【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループ(当社および連結子会社)が判断したものであります。(1) 財政状態及び経営成績の状況当第2四半期連結累計期間における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症による経済活動の制限緩和により正常化が進み、景気は緩やかに持ち直す動きがみられました。一方で、世界的な金融引き締めに伴う為替変動や、継続的な物価上昇の影響により、今後の国内経済の先行きは依然として不透明な状況にあります。このような状況のもと、第10次中期経営計画(2022年6月期から2024年6月期)の目標達成に向けた取り組みを実行してまいりました。「テプラ」やファイルといった基盤事業のさらなる強化を図りつつ、インテリアライフスタイル事業や衛生・健康用品の拡販、M&Aによる事業領域拡大など、成長分野への注力をしております。当第2四半期連結累計期間の業績につきましては、2023年2月に吸収合併した㈱エイチアイエムの売上寄与もありEC事業が伸長したものの、全般的な売上減により売上高は 178億9,064万円(前年同期比 3.7%減)となりました。利益面では、価格改定による原価率の改善がありましたが、想定を上回る円安進行により大きな改善とはならず、新型コロナ関連用品の在庫の処理や、販管費の増加もあり、営業損失は7億8,099万円(前年同期は2億7,435万円の損失)、経常損失は5億519万円(前年同期は1億966万円の損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失は4億2,599万円(前年同期は1億9,736万円の損失)となりました。セグメントの業績は次のとおりであります。① 文具事務用品事業基盤事業の「テプラ」では、「ヨシ!」でおなじみの人気キャラクター『仕事猫』と新キャラクター『テプラ猫』のインターネット広告をはじめ、ラベル表示需要の掘り起こしを図るため、各種販促・広告活動を積極的に展開しております。また、ラベルの活用術を紹介する『アレコレテプラ』サイトを公開するなど、新たな用途提案を積極的に行うことで、売上拡大に努めてまいります。成長分野の各カテゴリにおきましては、世の中のニーズに応える商品を開発し、市場に投入いたしました。デジタル文具では、タブレットなどの画面に近づくとライトとブザーで教えてくれる近視対策ライト「めまもりん」を発売いたしました。スタイル文具では、HITOTOKIシリーズの新しいラインアップとして、コスメをモチーフにした新しいシール「コフレ」や、手帳のように使えるノート「HITOTOKI NOTE」の新作を発売し、ご好評をいただいております。バッグ・収納用品では、収納物に合わせてマチが広がるPC用トートバッグ「ジプト」などを発売し、新たなユーザー層の獲得に努めております。また、日々の暮らしに役立つ商品や社会の変化に対応する商品の提案活動にも、力を入れて取り組んでおります。発売以来多くの方々にお使いいただいている「取扱説明書ファイル」、「冷蔵庫ピタッとファイル」など、用途別に書類を収納できる「スキットマン」シリーズの拡販や、テレビ通販では暮らしを快適にする整理収納用品をご紹介しております。職場の節電対策に向けては、エアコンに取りつけるだけで空調効率を向上させる「ハイブリッドファン」のキャンペーンもスタートしております。今後も基盤事業の拡大と新商品のご提案を中心に当社商品の市場への浸透を図り、新たな需要の拡大に取り組んでまいります。しかしながら、「テプラ」や手指消毒器「テッテ」の販売減などの影響により、売上高は 115億5,108万円(前年同期比 3.4%減)、価格改定による原価率の改善があったものの、新型コロナ関連用品の在庫の処理や、販管費等の増加により、営業損失は9億1,973万円(前年同期は4億5,662万円の損失)となりました。
② インテリアライフスタイル事業㈱ぼん家具では、主力の収納用品は堅調な売上を維持しましたが、テーブル・デスクなどの大型家具が低調に推移しました。新製品は、主力の組み立て家具に加え、スタンドライトなどの照明も発売しました。ライフオンプロダクツ㈱では、冬物商材として、砂時計型加湿器やアロマストーン付き加湿器などの卓上加湿器を展開しました。また、昨年から人気の充電式のカイロ・蓄熱式電気湯たんぽのラインアップを強化し売上が伸長しました。㈱ラドンナでは、より嗜好性の高い高価格帯のコーヒーメーカーや、手軽にお買い求めいただける低価格のキッチン家電・加湿器などはメディアに取り上げられた影響もあり、好調でした。また、注力しているTV通販が売上を伸ばしており、主力のチャネルに成長しつつあります。しかしながら、コト消費志向の影響を受け、主力のキッチン家電の販売が鈍化し、暖冬の影響により加湿器も振るわず、厳しい状況でした。㈱アスカ商会では、引き続き小売店は不調でしたが、装飾関連では徐々に復調の兆しが見られます。この結果、ライフオンプロダクツ㈱は好調だったものの、その他の国内グループ会社が振るわず、売上高はインテリアライフスタイル事業全体で
63億3,955万円(前年同期比 4.2%減)、値上げ効果や新製品の導入で原価率はやや改善したものの、売上減の影響が大きく、営業利益は1億2,748万円(前年同期比 26.0%減)となりました。
また、財政状態の状況については、次のとおりであります。当第2四半期連結会計期間末の総資産は、前連結会計年度末と比較して、14億262万円増加し、372億1,477万円となりました。これは主に、商品及び製品が増加したことによるものであります。負債合計は、前連結会計年度末と比較して、17億8,358万円増加し、127億6,239万円となりました。これは主に、運転資金需要等として短期借入金が増加したことによるものであります。純資産合計は、前連結会計年度末と比較して、3億8,095万円減少し、244億5,237万円となりました。これは主に、その他有価証券評価差額金や為替換算調整勘定が増加した一方、親会社株主に帰属する当期純損失を計上したことによるものであります。
(2) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結会計期間末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末と比較し、現金及び現金同等物が 3,404万円増加し、59億5,779万円となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果使用した資金は、前年同期に比べ8億6,347万円減少し、9億5,810万円となりました。これは主に、仕入債務の増加額5億3,237万円や減価償却費2億9,200万円等があった一方、棚卸資産の増加額 14億5,364万円や税金等調整前四半期純損失4億451万円等があったことによるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は、前年同期に比べ 10億5,520万円減少し、2億498万円となりました。これは主に、有形及び無形固定資産の売却による収入1億5,411万円があった一方、有形及び無形固定資産の取得による支出3億7,314万円等があったことによるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果得られた資金は、前年同期に比べ 17億5,140万円減少し、10億8,655万円となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出3億2,378万円や配当金の支払いによる支出1億9,970万円があった一方、短期借入金の純増額 16億1,000万円等があったことによるものであります。
(3) 経営方針・経営戦略等当第2四半期連結累計期間において、経営方針・経営戦略等に重要な変更はありません。
(4) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。なお、当社は財務および事業の方針の決定を支配する者の在り方に関する基本方針を定めており、その内容等(会社法施行規則第118条第3号に掲げる事項)は次のとおりであります。① 基本方針の概要当社は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者は、当社の企業価値の源泉を理解し、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に確保、向上していくことを可能とする者である必要があると考えています。当社は、当社の支配権の移転を伴う買収提案についての判断は、最終的には当社の株主全体の意思に基づき行われるべきものと考えております。また、当社は、当社株式について大量買付けがなされる場合、これが当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資するものであれば、これを否定するものではありません。しかしながら、株式の大量買付けの中には、その目的等から見て企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすもの、株主に株式の売却を事実上強要するおそれがあるもの、対象会社の取締役会や株主が株式の大量買付けの内容等について検討しあるいは対象会社の取締役会が代替案を提案するための十分な時間や情報を提供しないもの、対象会社が買収者の提示した条件よりも有利な条件をもたらすために買収者との協議・交渉を必要とするもの等、対象会社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さないものも少なくありません。当社は、企業価値の確保・向上に努めておりますが、特に、当社の企業価値の源泉は、①秀でた商品開発力・提案力、②安心のブランド力、③広い販売力と顧客サポート力、さらには④全員経営の風土と堅実経営にあります。当社株式の大量買付けを行う者が当社の企業価値の源泉を理解し、これらを中長期的に確保し、向上させられるのでなければ、当社の企業価値ひいては株主共同の利益は毀損されることになります。当社としては、このような当社の企業価値ひいては株主共同の利益に資さない大量買付けを行う者は、当社の財務および事業の方針の決定を支配する者として不適切であり、このような者による大量買付けに対しては必要かつ相当な対抗をすることにより、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を確保する必要があると考えます。
② 基本方針実現のための具体的取組みの概要(イ)基本方針の実現に資する特別な取組みの概要<基本施策> 当社は、中期経営計画の方針として「成長分野への注力」と「基盤事業の更なる強化」を掲げ、当社グループが保有している柔軟な開発体制と独創的で多彩な商品群、多様な販売チャネルといった経営資源を最大限に活用し、グループ経営を推進することで、アフターコロナに向けて経営基盤を固め、持続的な成長を目指します。<コーポレート・ガバナンスの強化>当社は、取締役の経営責任をより明確にし、経営環境の変化に迅速に対応できる経営体制を構築するため、取締役の任期を1年としております。また、当社から独立した社外取締役5名の体制とし、取締役会における社外取締役の比率を高めており、社外取締役は取締役会に出席して専門的な立場から各取締役の業務執行を監督しています。また、当社では執行役員制度を採用することにより、業務の監督と執行を分離するとともに意思決定の迅速化を図っています。さらに、当社は監査役会設置会社を選択し、常勤監査役1名のほか当社から独立した社外監査役2名を選任しており、社外監査役は専門的な立場から監査しています。また、取締役会の諮問機関として、社外取締役3名および社内取締役2名の計5名で構成される「指名・報酬委員会」を設置し、当該「指名・報酬委員会」にて取締役、執行役員および監査役の候補者、報酬等を検討することにより、これらに関する決定プロセスの一層の透明化を図っております。
(ロ)基本方針に照らして不適切な者によって当社の財務および事業の方針の決定が支配されることを防止するための取組みの概要当社は、2022年8月1日開催の取締役会において「当社株式の大量取得行為に関する対応策(買収防衛策)」を更新することを決議し(以下「本更新」といい、更新後のプランを「本プラン」といいます。)、同年9月15日開催の第74回定時株主総会において本プランの更新について承認を得ております。
本プランの概要は以下のとおりであります。本プランは、次の(a)又は(b)に該当する当社株券等の買付けその他の取得又はこれらに類似する行為(これらの提案を含みます。)(当社取締役会が本プランを適用しない旨別途決定したものを除くものとし、以下「買付等」といいます。)がなされる場合を適用対象とします。買付等を行おうとする者(以下「買付者等」といいます。)には、予め本プランに定められる手続に従っていただくこととします。(a) 当社が発行者である株券等について、保有者の株券等保有割合が20%以上となる買付その他の取得(b) 当社が発行者である株券等について、公開買付けを行う者の株券等所有割合およびその特別関係者の株券等所有割合の合計が20%以上となる公開買付け本プランは、これらの買付等が行われようとする際に、それに応じるべきか否かを株主の皆様が判断するために必要な情報や時間を確保したり、株主の皆様のために交渉を行うこと等を可能とするものです。また、上記基本方針に反し、当社の企業価値・株主共同の利益を毀損する買付等を阻止することにより、当社の企業価値・株主共同の利益を確保・向上させることを目的としております。当社の株券等について買付等が行われる場合、当該買付等に係る買付者等には、買付内容等の検討に必要な情報および本プランを遵守する旨の法的拘束力のある誓約文言等を記載した書面の提出を求めます。その後、買付者等から提出された情報や当社取締役会からの意見や根拠資料、代替案(もしあれば)が、業務執行を行う経営陣から独立している当社社外取締役、当社社外監査役〔もしくはこれに準ずる監査役(過去に当社又は当社の子会社の社外取締役であったために、会社法第2条第16号の要件を充足しない監査役を含みます。以下同様とします。)〕、又は社外の有識者(現時点においては業務執行を行う経営陣から独立している社外取締役3名)から構成される独立委員会に提供され、その評価、検討を経るものとします。独立委員会は、外部専門家等の助言を独自に得た上、買付内容の評価・検討、当社取締役会の提示した代替案の検討、買付者等との交渉、ならびに以下の勧告等を行います。独立委員会は、買付者等が本プランに規定する手続を遵守しなかった場合、または当該買付等の内容の検討、買付者等との協議・交渉等の結果、当該買付等が当社の企業価値ひいては株主共同の利益に対する明白な侵害をもたらすおそれのある買付等である場合など本プランに定める要件に該当し、後述する新株予約権の無償割当てを実施することが相当であると判断した場合には、独立委員会規則に従い、当社取締役会に対して、新株予約権の無償割当てを実施することを勧告します。また、当社取締役会は、本プランに定める場合には、本プランに従った新株予約権の無償割当てを実施するに際して、実務上可能な限り最短の期間で株主総会を開催できるように、速やかに株主総会を招集し、株主の皆様の意思を確認することができるものとします。この新株予約権には、買付者等による権利行使が認められないという行使条件、および当社が買付者等以外の者から当社株式等と引換えに新株予約権を取得することができる旨の取得条項が付されております。この新株予約権を割り当てられた株主は、原則として、1円(を下限として当社株式1株の時価の2分の1の金額を上限とする範囲内で当社取締役会が新株予約権無償割当ての決議において定める金額)を払い込むことにより、新株予約権を行使し、当社株式1株を取得することができます。当社取締役会は、独立委員会の上記勧告を最大限尊重して新株予約権無償割当ての実施又は不実施等の決議を行うものとします。本プランの運用に際しては、当社取締役会は、適用ある法令又は東京証券取引所の諸規程等に従い、本プランの各手続の進捗状況、独立委員会による勧告等の概要、当社取締役会の決議の概要、当社株主総会の決議の概要、その他独立委員会又は当社取締役会が適切と判断する事項について、適時に情報開示を行います。本プランの有効期間は、2022年9月15日開催の第74回定時株主総会終結後3年以内に終了する事業年度のうち最終のものに関する定時株主総会終結の時までです。但し、有効期間の満了前であっても、株主総会または取締役会により本プランを廃止する旨の決議が行われた場合には、本プランはその時点で廃止されることになります。本更新後であっても、新株予約権無償割当てが実施されていない場合、本プランによって株主の皆様に直接具体的な影響が生じることはありません。他方、本プランが発動され、新株予約権無償割当てが実施された場合、株主の皆様が新株予約権行使の手続を行わないとその保有する株式が希釈化される場合があります(但し、当社が当社株式を対価として新株予約権の取得を行った場合、株主の皆様が保有する株式の希釈化は生じません。)。なお、本プランの詳細については、インターネット上の当社ウェブサイトに掲載されている2022年8月1日付プレスリリースをご覧下さい。(https://www.kingjim.co.jp/)
③ 具体的取組みに対する当社取締役会の判断およびその理由本プランは、当社の経営計画に基づく各施策、当社の企業価値ひいては株主共同の利益を継続的かつ持続的に向上させるための具体的方策として策定され更新されたものであり、まさに当社の基本方針に沿うものです。また、本プランは、前記②(ロ)記載のとおり、企業価値ひいては株主共同の利益を確保・向上させる目的をもって更新されたものであり、当社の基本方針に沿うものです。特に、本プランは、株主総会で承認を得て導入され更新されたものであること、その内容として合理的な客観的要件が設定されていること、業務執行を行う経営陣から独立している当社社外取締役、当社社外監査役(もしくはこれに準ずる監査役)、又は社外の有識者によって構成される独立委員会が設置され、本プランの発動に際しては必ず独立委員会の判断を経ることが必要とされていること、独立委員会は当社の費用で外部専門家を利用することができるとされていること、有効期間が最長約3年と定められた上、取締役会によりいつでも廃止できるとされていることなどにより、その公正性・客観性が担保されており、企業価値ひいては株主共同の利益を損なうものではなく、当社の会社役員の地位の維持を目的とするものではありません。
(5) 研究開発活動当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発活動の金額は、3億3,476万円であります。なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。
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