【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における資産合計は、3,066,829千円となり、前事業年度末と比較して1,915,810千円増加(前期比166.4%増)となりました。流動資産は、前事業年度末と比較して1,874,574千円増加し、2,918,713千円となりました。主な増減として、上場による資金調達及び売上高増加に伴い現金及び預金が1,840,109千円増加したためであります。また、固定資産は、前事業年度末と比較して41,235千円増加し、148,116千円となりました。主な増減として、ソフトウエア仮勘定が49,967千円増加したためであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は、183,345千円となり、前事業年度末と比較して47,573千円増加(前期比35.0%増)となりました。主な増減として、事業の拡大に伴って未払消費税等が33,393千円増加したこと及び、仕入増加により買掛金が8,097千円増加したためであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は、2,883,484千円となり、前事業年度末と比較して1,868,237千円増加(前期比184.0%増)となりました。これは主に、資金調達により資本金797,558千円及び資本剰余金797,558千円が増加したことによるものであります。
② 経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、経済活動の正常化を背景に内需を中心に緩やかな持ち直しがみられます。新型コロナウイルス感染症の位置付けも見直され、経済が自律的に循環する環境が整ってきております。一方で世界的な物価上昇とそれを受けた急速な金融引締めが続いており、金融資本市場を中心に先行きは依然不透明な状況にあります。
当社の事業環境におきましては、超高齢社会がますます進み、2040年には65歳以上の人口が3,920万人に達する見込みであり、その割合は総人口の35.3%に上ります。2065年には現役世代1.3人で1人の65歳以上の者を支える社会の到来が予測されており、介護の担い手不足が深刻化すると予想されております。一方で国の施策としては、内閣官房の『成長戦略フォローアップ』において医療・介護現場関連のICT、DXも重要分野における取り組みの1つとされているほか、厚生労働省は、経済産業省とともに「ロボット技術の介護利用における重点分野」を6分野13項目と定め、その開発・導入を支援しております。
このような背景の中、介護現場の業務効率化に資するBtoB向けサービス「ライフリズムナビ+Dr.」は介護人材不足に対する重要な打ち手として捉えられており、各種補助金の対象となっております。また業界のICTリテラシーに関する課題については、当社では早い段階でカスタマーサクセスチームを立ち上げており施設内のネットワーク環境の新規導入相談、ライフリズムナビ導入直後の稼働時、継続利用時、そして科学的介護システム(LIFE)の活用ができるようになるまで手厚い伴走型サポートを行っており、お客さまから大変ご好評をいただいております。これらの取り組みによりライフリズムナビを導入いただいたお客さまに関するChurn Rateはほぼ0%を維持できており、ライフリズムナビの導入施設数に応じた売上の増大だけでなく、1物件導入いただいた法人さまのグループ施設に対する追加導入件数もまた拡大を続けております。
これらの結果、当事業年度における業績は、売上高1,086,242千円(前年同期比192,562千円増、21.5%増)、営業利益385,186千円(前年同期比82,192千円増、27.1%増)、経常利益372,501千円(前年同期比68,144千円増、22.4%増)、当期純利益273,121千円(前年同期比75,239千円増、38.0%増)となりました。
また、当社はライフリズムナビ事業の単一セグメントであるため、売上高はすべて同事業より獲得しております。当社は単一セグメント事業であるためセグメント情報は記載しておりませんが、個別事業ごとの売上高は以下となります。
ライフリズムナビ事業
ライフリズムナビ事業は、センサー機器の販売とストックビジネスからなり、新規顧客の獲得とその後の既存顧客グループへの水平展開の増加に加え、Churn Rate ほぼ0%を維持したストック売上を継続した結果、ライフリズムナビ全体の売上高は979,186千円(前年同期比180,044千円増、22.5%増)、内ストックの売上高は116,650千円(前年同期比57,223千円増、96.3%増)となりました。
受託研究開発事業
受託研究開発事業は、ライフリズムナビ事業の拡大を優先したため、売上高は107,056千円(前年同期比12,518千円増、13.2%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物は、前事業年度末に比べ1,840,109千円増加し、2,544,507千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、309,300千円の収入(前年同期は94,491千円の収入)となりました。増加の主な内訳は、税引前当期純利益372,501千円、未払消費税等の増加額33,393千円であり、減少の主な内訳は、法人税等の支払額121,167千円、棚卸資産の増加額30,609千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、64,307千円の支出(前年同期は78,253千円の支出)となりました。主な要因は、無形固定資産の取得による支出52,416千円、有形固定資産の取得による支出6,570千円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、1,595,116千円の収入(前年同期は188,800千円の収入)となりました。これは、株式の発行による収入1,595,116千円があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当事業年度の生産実績は次のとおりであります。なお、当社はライフリズムナビ事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載は省略しております。
事業の名称
当事業年度
(自2022年11月1日
至2023年10月31日)
前年同期比(%)
ライフリズムナビ事業(千円)
477,984
109.7
合計(千円)
477,984
109.7
(注)上記の生産実績を示す金額は総製造費用によっております。
b.受注実績
当社は、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。
c.販売実績
当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社はライフリズムナビ事業の単一セグメントのため、セグメント別の記載は省略しております。
事業の名称
当事業年度
(自2022年11月1日
至2023年10月31日)
前年同期比(%)
ライフリズムナビ事業(千円)
1,086,242
121.5
合計(千円)
1,086,242
121.5
(注)1.ライフリズムナビ事業の販売実績が著しく変動しております。内容については新規顧客の獲得と、その後の既存顧客グループが経営する他施設への展開が増加したこと等によるものです。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前事業年度
(自2021年11月1日
至2022年10月31日)
当事業年度
(自2022年11月1日
至2023年10月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
SFIリーシング株式会社
191,205
21.4
258,850
23.8
株式会社チャーム・ケア・コーポレーション
140,640
15.7
175,045
16.1
東京ガス株式会社
67,563
7.6
152,923
14.1
社会福祉法人聖隷福祉事業団
108,850
12.2
55,100
5.1
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りによる不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りとは異なる場合があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。
② 財政状態及び経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりであります。
b.経営成績の分析
(売上高)
当社はライフリズムナビ事業の単一セグメントであるため、売上高1,086,242千円(前年同期比21.5%増)はすべて同事業より獲得し、売上高の増加要因は新規顧客並びに既存顧客からの追加導入の増加によるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当事業年度において売上原価は363,279千円(前年同期比4.3%増)となり、売上原価は売上高の増加に伴い増加したものの、新製品開発等機器の見直しを実施したため売上原価率は33.4%と前事業年度に比べ5.5ポイント良化しました。その結果、売上総利益は722,963千円(前年同期比32.6%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費は337,777千円(前年同期比39.4%増)となりました。主要な費目は役員報酬73,114千円、給料手当84,541千円、支払報酬料22,784千円であり、事業拡大のための体制整備に係る費用が主な増加要因となっております。その結果、営業利益は385,186千円(前年同期比27.1%増)となりました。
(営業外損益、経常利益)
営業外収益は雑収入及び受取利息等があり1,126千円となりました。営業外費用は上場関連費用13,793千円等があり13,811千円となりました。その結果、経常利益372,501千円(前年同期比22.4%増)となりました。
(特別損益、税引前当期純利益)
当事業年度において特別利益、特別損失は発生していないため、税引前当期純利益は経常利益と同額の372,501千円(前年同期比22.4%増)となりました。
(当期純利益)
法人税、住民税及び事業税に税効果会計適用に伴う法人税等調整額を合わせた税金費用は99,380千円(前年同期比6.7%減)となり、当期純利益は273,121千円(前年同期比38.0%増)となりました。
c.キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
d.資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資金需要のうち主なものは、ライフリズムナビ事業における開発費用等の売上原価及び人件費等の営業費用であります。
当社は、運転資金につきましては内部資金により充当しております。今後、資金需要の必要性に応じて、外部も含めた資金調達等柔軟に対応する方針としております。
e.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (5)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおりライフリズムナビ+Dr.に関する導入床数、年間リカーリング収益、Churn Rateとしております。過年度における当社の各指標の進捗は以下の通りです。これは、現時点において予定どおりの進捗となっており、堅調に推移しているものと認識しております。なお現時点では売上の大部分を占めるライフリズムナビ+Dr.を対象に確認しております。
2021年10月期
2022年10月期
2023年10月期
導入床数(累計床数)
2,752
5,101
9,006
年間リカーリング収益(千円)
27,905
59,427
116,650
Churn Rate(%)
0.00
0.02
0.02
f.経営成績に重要な影響を与える要因
「3 事業等のリスク」に記載の通りであります。
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