【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(経営成績等の状況の概要)(1) 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症対策の行動制限が撤廃されたこと等から、内需およびインバウンド需要が徐々に回復し、経済活動の正常化の動きが見られました。しかしながら、国際情勢不安や円安の進行、物価の上昇等が続いており、経済の先行きには依然として不確実性が残る状況が続いています。当社グループが主に関連いたします建設業界におきましては、国のインフラ投資計画が進展し、民間設備投資が活発化する中、業界全体の需要は増加傾向にありますが、慢性的な労働力の不足や建築資材のコスト上昇はより一層深刻さを増しており、これらの要因が経営環境を厳しいものにしました。このような状況の中で、鋲螺部門におきましては、機動的に販売価格の改定を行い速やかに仕入れ価格の上昇を販売価格へ反映することで、粗利率の低下を防ぎました。また、前期に稼働を開始した新倉庫「大正DC」の業務効率を高めるとともに在庫アイテム数を約10%増加させ、既存業務の生産性向上に繋げました。デジタル化の主要施策であるウェブ受注システム「ねじネット」につきましては、ユーザー数増加を目指してキャンペーンを行うとともに、ねじネット以外で受け付けた注文もねじネットを通して確認できるようにするなど機能の追加と向上を行いました。さらに、「ねじネット」に連動するモバイルアプリ「引取通知」をリリースするなど、顧客体験の向上に努めました。あわせて、人材面でも社員のAI活用能力を高めるためにChatGPTの利用に関するオンライン研修を行い、リスキリングに取り組みました。コンクリート製品関連金物部門におきましては、中期的に強化してきた設計部門を中心に、顧客への提案内容のレベルアップを図り、高速道路や新幹線などの大規模プロジェクトの受注に繋げました。以上のことから、当社グループの当連結会計年度の売上高は21,757百万円(前年同期比6.2%増)となりました。損益面では、営業利益は772百万円(前年同期比84.3%増)、経常利益は1,239百万円(前年同期比74.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は845百万円(前年同期比58.8%増)となりました。
(2) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末と比べ1,170百万円増加し、2,632百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果獲得した資金は、1,865百万円(前連結会計年度は869百万円の資金の使用)となりました。収入の主な内訳は、税金等調整前当期純利益1,246百万円、減価償却費539百万円、その他の流動資産の減少額391百万円であり、支出の主な内訳は、売上債権の増加額322百万円であります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は、61百万円(前連結会計年度は1,695百万円の資金の使用)となりました。支出の主な内訳は、無形固定資産の取得による支出48百万円であります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果使用した資金は、634百万円(前連結会計年度は2,059百万円の資金の獲得)となりました。支出の主な内訳は、長期借入金の返済による支出1,586百万円であり、収入の主な内訳は、長期借入れによる収入1,100百万円であります。
(販売及び仕入の状況)
(1) 販売実績当連結会計年度における販売実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
事業部門
販売高(千円)
前年同期比(%)
鋲螺部門
18,184,123
7.2
コンクリート製品関連金物部門
3,573,000
1.7
合計
21,757,123
6.2
(2) 仕入実績当連結会計年度における仕入実績を事業部門別に示すと、次のとおりであります。
事業部門
仕入高(千円)
前年同期比(%)
鋲螺部門
14,248,586
△3.4
コンクリート製品関連金物部門
2,391,392
△2.2
合計
16,639,978
△3.2
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容)当社グループの当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下の通りであります。
(1) 経営成績の分析(売上高)売上高は、21,757百万円となり、前連結会計年度に比べ1,279百万円(前期比6.2%)増加となりました。これは、仕入れ価格の上昇を受けて、販売価格を改正したことによります。
(売上原価、売上総利益)売上原価は16,844百万円となり、前連結会計年度に比べ935百万円(前期比5.9%)増加となりました。これは、売上高の高の増加によるものであります。この結果、売上総利益は、4,912百万円となり、前連結会計年度に比べ343百万円(前期比7.5%)増加となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)販売費及び一般管理費は、4,140百万円となり、前連結会計年度に比べ9百万円(前期比0.2%)減少となりました。大正DC稼働による減価償却額が増加しましたが、その他の一般管理費の削減により減少となりました。この結果、営業利益は772百万円(前期比84.3%増加)となりました。
(営業外損益、経常利益)営業外収益は527百万円となり、前連結会計年度に比べ174百万円(前期比49.4%)増加となりました。これは有価証券運用益の増加によるものであります。営業外費用は、61百万円となり、前連結会計年度に比べ1百万円(前期比2.7%)減少となりました。この結果、経常利益は1,239百万円となり、前連結会計年度に比べ529百万円(前期比74.7%)増加となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)親会社株主に帰属する当期純利益は、845百万円となり、前連結会計年度に比べ313百万円(前期比58.8%)増加となりました。
(2) 財政状態の分析当社グループは適切な流動性の維持、事業活動のための資金確保、および健全なバランスシートの維持を財務方針としております。(資産)流動資産は、前連結会計年度末に比べて1,123百万円(7.5%)増加し、16,005百万円となりました。これは、現金及び預金が1,170百万円、電子記録債権が558百万円それぞれ増加し、その他流動資産が462百万円減少したことによるものであります。固定資産は、前連結会計年度末に比べて446百万円(2.7%)増加し、16,684百万円となりました。これは主に、投資有価証券が時価評価により877百万円増加する一方で、機械装置及び運搬具が減価償却により343百万円減少したことによるものであります。この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて1,569百万円(5.0%)増加し、32,689百万円となりました。(負債)流動負債は、前連結会計年度末に比べて619百万円(5.1%)減少し、11,469百万円となりました。これは主に、一年以内返済予定の長期借入金が返済により1,100百万円減少する一方で、流動負債その他が274百万円、未払法人税等が196百万円それぞれ増加したことによるものであります。固定負債は、前連結会計年度末に比べて880百万円(11.0%)増加し、8,875百万円となりました。これは主に、新規契約等に伴う長期借入金が613百万円、繰延税金負債が267百万円それぞれ増加したことによるものであります。この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて260百万円(1.3%)増加し、20,345百万円となりました。(純資産)純資産合計は、前連結会計年度末に比べて1,308百万円(11.9%)増加し、12,344百万円となりました。これは、利益剰余金が696百万円、その他有価証券評価差額金が620百万円増加したことによるものであります。
(3) キャッシュ・フローの状況の分析キャッシュ・フローの状況については、「(経営成績等の状況の概要)(2)キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
(4) 資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループの資金需要の主なものは、運転資金、固定資産への投資資金であります。運転資金の主な内容は商品仕入、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。固定資産への投資資金の主な内容はデジタル化への投資や物流倉庫への投資であります。資金の調達については、自己資金または、金融機関からの借入等を基本方針として調達しております。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。