【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当社は、前第3四半期連結会計期間より四半期連結財務諸表を作成しているため、前年同四半期連結累計期間との比較分析は行っておりません。文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況当第2四半期連結累計期間(2022年10月1日~2023年3月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する各種政策の効果や、行動制限の緩和等による個人消費の増加など回復の兆候が見られます。一方で、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れがわが国の景気を下押しすることが懸念され、ウクライナ情勢に関連した供給制約や急速な円安進行に伴う物価上昇等、先行きは依然不透明な状況にあります。当社グループを取り巻く事業環境といたしましては、主要分野であるヘルスケア領域において、政府・総務省が推進する医療ICT政策にて「ネットワーク化による情報の共有・活用」「医療等データの利活用」が挙げられており、また、2021年9月に新設されたデジタル庁の医療分野構想においても「オンライン診療の原則解禁」等も発表されております。これらの実現の為には当社主要販売商品である医療用画像管理システムは必須アイテムとなっております。また、政府は新型コロナウイルス感染症の分類を2023年5月8日から、季節性インフルエンザと同じ「5類」に引き下げる事を2023年4月に決定しました。この事から今後の抗原検査キット等の受注活動への影響が懸念されます。地球環境領域においては、2021年4月現在、125カ国・1地域が、2050年までにカーボンニュートラルを実現することを表明しており、日本国内でも2050年までに温暖化ガスの排出量を全体として実質ゼロにする政府目標が示されております。こうした環境下において、当社が手掛けるGEOソリューション事業、ESG事業への重要性は増しております。トリチウム除去事業においては、東京電力ホールディングス株式会社(以下、「東京電力」)・廃炉プロジェクトホームページで、2022年3月10日に公開されている「ALPS処理水等からトリチウムを分離する技術の公募に係る第1回募集の二次評価と第2回募集の一次評価について」(p.3)に記載されている、東京電力及び第三者による「フィージビリティスタディ」に関するプロセスに対して、当社は2022年5月16日付けで「参加希望」の回答をしておりましたが、2023年1月26日に東京電力から連絡が届き、「第一期公募で二次評価を通過した提案者のうち、フィージビリティスタディへの参加意向を示した国内外7件(国内2件、国外5件)について、秘密保持契約(NDA)を締結し、今後、各事業者と具体的な実施事項の調整を行う。」との返答を得ました。「フィージビリティスタディ」が今後は進んでいくことが想定されるため、国内2件のうち選定された1社として、当社も引き続き本案件に取り組んでまいります。当第2四半期連結累計期間における当社グループの業績は、売上高2,478,394千円、営業損失135,866千円、経常損失151,889千円、親会社株主に帰属する四半期純損失82,502千円となりました。
セグメント別の概況は以下のとおりです。
ヘルスケアソリューション事業ヘルスケアソリューション事業の当第2四半期連結累計期間は、売上高942,126千円、セグメント損失5,160千円となりました。当セグメントの業況といたしましては、メディカルサプライ事業が当社グループ売上全体に占める割合が大きい傾向は継続しております。しかし、抗原検査キット、PCR検出試薬等の受注活動は、新型コロナウイルス感染症が緩やかに改善し感染対策に係る行動制限も緩和されたことに伴い、一定の売上高、利益は確保できたものの、当社グループが想定していた受注を下回りました。メディカルシステム事業においては、PACS(医療用画像管理システム)及び電子カルテに関して、一定の売上計上を行うことができました。なお、採算重視を目指した電子カルテ事業を今後も継続していくため、『i-HIS』事業資産の一部(開発・設置作業等)を株式会社ヴェリタス(以下、「ヴェリタス」)へ譲渡することといたしました。今後の電子カルテ事業の展開については、当社は販売活動に専念し、案件成約時にヴェリタスから顧客紹介料として受注額の一部を受領する商流に変更する方針です。一方、医療機関のDX化が注目を集める中、当社主力商品であるRIS(放射線科情報システム)、統合viewer・医用文書スキャンシステムについては継続販売しております。統合viewerは一画面で患者様の情報が俯瞰できるため情報を探す手間が省け、業務の効率が上がり、医療従事者の働き方改革にも役立つシステムになります。院内に紙媒体で散見する医用文書をファイリングできる医用文書スキャンシステムは、患者様の同意書や各種検査の検査結果用紙などの医用文書にタイムスタンプを付与し原本としてデジタル保存することで膨大な紙文書の保管から解放(ペーパーレス化)を実現いたします。
地球環境ソリューション事業地球環境ソリューション事業の当第2四半期連結累計期間は、売上高1,536,268千円、セグメント利益70,242千円となりました。当セグメントの業況といたしましては、エネルギー事業においては、再生可能エネルギーのセカンダリー市場の動向に注視しつつ、「販売用不動産」として、セカンダリー市場での売買のための営業活動を行っておりました。その結果、2021年12月に取得した稼働済5か所の太陽光発電所(兵庫県神戸市、島根県松江市、岡山県久米郡は2カ所、鹿児島県霧島市に所在する太陽光発電所)については、短期キャッシュの創出と安定収入の確保を目的として、売却取引の成立に至りました。また、埼玉県鴻巣市に所在する稼働済太陽光発電所も、一定の利益が確保できる販売条件で交渉が成立したため売却することといたしました。なお、鹿児島県南九州市における川辺風力発電事業については、2019年11月以降開発を進めてきましたが、今後の土地、風力発電設備購入等の開発費用を勘案した結果、事業採算性等がとれないと判断し撤退することにいたしました。GEOソリューション事業については、当社が販売するPix4D社製の三次元画像処理ソフトウェア『Pix4Dmapper』の受注は堅調に推移し、一定の利益も確保できている状況にあります。また、地理空間情報や三次元画像処理による大型設備の保守メンテナンスや、AIを活用したソリューションサービス事業に関しては多種多様な業界からあらゆる要望がきており、今後も成長が期待できるマーケットになります。ESG事業は、EVマーケットの中から派生した再生バッテリーを事業用ポータルバッテリーとしてリユースレンタルする環境配慮型の事業内容となります。しかし、当該事業については、四半期連結財務諸表「注記事項(四半期連結貸借対照表関係) 2 偶発債務」に記載のとおり、2024年1月15日に受領した第三者委員会の調査報告書における調査結果を踏まえ、実体のない可能性がある業務についての売上及び売上原価の取消を行っております。トリチウム除去分野では、トリチウム分離技術実装プレパイロット装置の製作を創イノベーション株式会社及び慶應義塾大学理工学部大村研究室と共同で進めております。東京電力より依頼されている二次評価の次のステップとなるフィージビリティスタディで求められる「提案社の技術能力および処理能力達成可能性」「廃棄物等」「運用性」「法令適合性等」「その他」の検討項目を明確にした実証試験に関する提案を行うことと、その更に次のステップとなる「福島第一原子力発電所構外における小規模実証試験」での使用を目的としています。また福島原発のALPS処理水だけでなく、世界の重水炉等で大量に発生するトリチウムの分離と再利用を目指しております。
(2) 財政状態の分析(資産)当第2四半期連結会計期間末における流動資産は、2,564,018千円(前連結会計年度末比34.2%増)となりました。これは、現金及び預金が926,751千円増加し、受取手形及び売掛金が75,262千円、商品が89,836千円、仕掛販売用不動産が131,701千円減少したこと等によります。固定資産は、448,513千円(同65.9%減)となりました。これは、機械装置が703,927千円減少したこと等によります。この結果、当第2四半期連結会計期間末における総資産は、3,012,532千円(同6.6%減)となりました。
(負債)当第2四半期連結会計期間末における流動負債は、603,511千円(前連結会計年度末比16.7%減)となりました。これは、買掛金が196,624千円減少したこと等によります。固定負債は、25,266千円(同28.2%減)となりました。これは、長期借入金が8,035千円減少したこと等によります。この結果、当第2四半期連結会計期間末における負債合計は、628,777千円(同17.2%減)となりました。
(純資産)当第2四半期連結会計期間末における純資産合計は、2,383,755千円(前連結会計年度末比3.3%減)となりました。これは、親会社株主に帰属する四半期純損失82,502千円を計上したことによります。
(3) キャッシュ・フローの状況当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)は、1,557,154千円となり、前連結会計年度末に対し、926,751千円増加しました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間において、営業活動の結果獲得した資金は794,494千円となりました。これは、税金等調整前四半期純損失68,304千円、棚卸資産の減少159,870千円、販売用不動産の減少768,599千円、仕入債務の減少196,624千円等があったことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間において、投資活動の結果獲得した資金は214,666千円となりました。これは、投資有価証券の取得による支出25,300千円、保証金の回収による収入146,300千円等があったことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当第2四半期連結累計期間において、財務活動の結果使用した資金は82,409千円となりました。これは、短期借入金返済による支出50,000千円、新株予約権の発行による支出10,080千円等があったことによるものです。
(4) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(5) 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(6) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(7) 研究開発活動該当事項はありません。
(8) 経営成績に重要な影響を与える要因当第2四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因に重要な変更はありません。
(9) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当第2四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した当社グループの資本の財源及び資金の流動性について重要な変更はありません。