【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当社は、当第3四半期連結会計期間より四半期連結財務諸表を作成しているため、前年同四半期連結累計期間及び前連結会計年度末との比較分析は行っておりません。文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において、当社グループが判断したものであります。
(1) 業績の状況当第3四半期連結累計期間(2021年10月1日~2022年6月30日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の影響による厳しい状況が徐々に緩和されてきておりましたが、新たな変異株の流行により、景気の先行きは依然として不透明な状況が続いております。一方、世界経済は、ロシアの軍事侵攻によるウクライナ情勢の悪化による原油等の資源価格高騰や米中貿易摩擦を背景としたインフレ懸念、急速な円安進行による金融市場の動向等、景気の先行きは不安定な状況となっております。当社グループを取り巻く事業環境といたしましては、主要分野であるヘルスケア領域において、政府・総務省が推進する医療ICT政策にて「ネットワーク化による情報の共有・活用」「医療等データの利活用」が挙げられており、また、2021年9月に新設されたデジタル庁の医療分野構想においても「オンライン診療の原則解禁」等も発表されております。これらの実現の為には当社主要販売商品であるクラウド型電子カルテ、医療用画像管理システムは必須アイテムとなっております。また新型コロナウイルスの新たな変異株出現により、PCR検査・抗原検査等の新型コロナウイルス関連商品の需要もより一層高まっております。今後も新型コロナウイルスによるPCR検査の需要が見込まれることから商品の販売だけでなく受託検査機関を設けるべく当社100%子会社である株式会社ワン・サイエンスを2022年5月に設立いたしました。地球環境領域においては、日本国内において、2050年までに温暖化ガスの排出量を全体として実質ゼロにする政府目標が示されております。再生可能エネルギーの積極的活用を図るため規制の緩和や普及促進を見込んだ制度変更、また、エネルギー基本計画において再生可能エネルギーの主力電源化の検討が開始されていることにより、当社再生可能エネルギー分野の社会的需要は今後も高まるものと考えられます。トリチウム除去事業においては、東京電力ホールディングス株式会社からトリチウム除去技術に関する公募の二次評価結果の連絡が3月中旬に届き、「評価基準を満たすと判断しました。」との内容でした。二次評価後のプロセスとなるフィージビリティスタディ(実行可能性調査)をスタートさせております。当第3四半期連結累計期間における当社グループの業績は、売上高1,742,991千円、営業損失247,257千円、経常損失272,663千円、親会社株主に帰属する四半期純損失296,151千円となりました。当社グループの四半期連結業績は、メディカルシステム事業におけるクラウド型電子カルテの納品時期やエネルギー事業における太陽光発電案件の売却時期等により大きく変動するため、事業計画を年間で作成・管理しております。なお、納品及び売却活動は年間事業計画に対して概ね予定通りに進捗しており、現時点では通期業績予想に変更ありませんが、新型コロナウイルス感染症の影響やその他諸事情により、売買市場等に変動が生じた場合には、当社の業績も影響を受ける可能性があります。このような状況の中で当社グループは、新たな3カ年計画である中期経営計画[2022年9月期~2024年9月期](2022年1月13日発表)をスタートさせました。今回の中期経営計画はコーポレートストラクチャー改編=組織改編という抜本的な改革と事業多様化戦略に基づく事業再編という施策をもって事業基盤強化と安定した企業力を構築して、企業価値向上を図ることを主眼としております。従来からのヘルスケアソリューション事業と地球環境ソリューション事業というセグメントの事業領域内でそれぞれに事業多様化戦略に基づき、事業及びプロジェクトを展開し、売上高100億円規模の長期ビジョンの達成を目指してまいります。また、当第1四半期から新たに記載しておりますメディカルシステム事業及びメディカルサプライ事業並びにESG事業とは以下のとおりであります。メディカルシステム事業は従来からのPACS、電子カルテ『i-HIS』(クラウド型電子カルテ)等のシステム販売やこれらシステムの保守サービスを行っており、今後は医療機関におけるデジタル化のサポート業務等も行う予定です。メディカルサプライ事業はメディカルシステム事業の顧客への付帯サービス、薬事製品、衛生資材用品等の提供を行っております。ESG事業は再生バッテリーや空気清浄器の販売及びレンタル販売等を行っております。再生バッテリーは、脱炭素社会化で加速的に需要拡大するEVマーケットの中から派生した再生バッテリーを事業用ポータブル電源としてリユースレンタルする環境配慮型事業です。 セグメント別の概況は以下のとおりです。
ヘルスケアソリューション事業ヘルスケアソリューション事業の当第3四半期連結累計期間は、売上高1,297,371千円、セグメント利益52,962千円となりました。当セグメントの業況といたしましては、メディカルサプライ事業においては、医療用グローブ、PCR検出試薬、抗原検査キット等の受注活動により、予算を大きく上回る売上計上をしており、業績に大きく寄与しています。メディカルシステム事業における『PACS』(医療用画像管理システム)及び『i-HIS』(クラウド型電子カルテ)は、当第3四半期連結累計期間の予算には未達ではありますが、一定の売上計上は出来ております。また2022年6月末時点での、ヘルスケアソリューション事業の受注残は、457,413千円となっており、今後の売上に寄与していくものと考えております。メディカルシステム事業の新たな製品として、医療機関のDX化が注目を集める中、統合viewer・医用文書スキャンシステムが加わりました。統合viewerは一画面で患者様の情報が俯瞰できるため情報を探す手間が省け、業務の効率が上がり、医療従事者の働き方改革にも役立つシステムになります。院内に紙媒体で散見する医用文書をファイリングできる医用文書スキャンシステムは、患者様の同意書や各種検査の検査結果用紙などの医療文書にタイムスタンプを付与し原本としてデジタル保存することで膨大な紙文書の保管から解放(ペーパーレス化)を実現いたします。これからも医療ITの進化と共に新しいサービスを提供してまいります。
地球環境ソリューション事業地球環境ソリューション事業の当第3四半期連結累計期間は、売上高445,619千円、セグメント損失48,337千円となりました。当セグメントの業況といたしましては、エネルギー事業として、販売目的の太陽光発電の東北2案件の売却を第2四半期累計期間に計上しております。また、売電収入目的で太陽光発電所を取得しており、継続して安定した収益を確保出来る状況でありますが、販売費及び一般管理費を吸収するほどの利益を確保する事は出来ませんでした。GEOソリューション事業については、当社が販売するPix4D社製の三次元画像処理ソフトウェア『Pix4Dmapper』は堅調に推移し、商材の拡販や代理店販売も好調であり、利益も確保出来ている状況にあります。また、地理空間情報や三次元画像処理による大型設備の保守メンテナンスや、AIを活用したソリューションサービス事業に関しては多種多様な業界からあらゆる要望がきており、成長の見込めるマーケットになります。2021年12月より新設したESG事業は、EVマーケットの中から派生した再生バッテリーを事業用ポータルバッテリーとしてリユースレンタルする環境配慮型の事業内容となります。しかし、当該事業については、四半期連結財務諸表「注記事項(四半期連結貸借対照表関係) 2 偶発債務」に記載のとおり、2024年1月15日に受領した第三者委員会の調査報告書における調査結果を踏まえ、実体のない可能性がある業務についての売上及び売上原価の取消を行っております。トリチウム除去分野では、トリチウム分離技術実装プレパイロット装置の製作を創イノベーション株式会社及び慶應義塾大学理工学部大村研究室と共同で進めております。東京電力ホールディングス株式会社より依頼されている二次評価の次のステップとなるフィージビリティスタディで求められる「提案社の技術能力および処理能力達成可能性」「廃棄物等」「運用性」「法令適合性等」「その他」の検討項目を明確にした実証試験に関する提案を行うことと、その更に次のステップとなる「福島第一原子力発電所構外における小規模実証試験」での使用を目的としています。また福島原発のALPS処理水だけでなく、世界の重水炉等で大量に発生するトリチウムの分離と再利用を目指しております。
(2) 財政状態の分析(資産)当第3四半期連結会計期間末における流動資産は、1,672,288千円となりました。主な内訳は、現金及び預金が387,281千円、受取手形及び売掛金が487,718千円であります。固定資産は、1,470,895千円となりました。主な内訳は、機械及び装置が720,531千円、土地が288,000千円であります。この結果、当第3四半期連結会計期間末における総資産は、3,143,183千円となりました。
(負債)当第3四半期連結会計期間末における流動負債は、754,327千円となりました。主な内訳は、買掛金が359,077千円、その他が315,991千円であります。固定負債は、40,654千円となりました。主な内訳は、長期借入金が33,620千円であります。この結果、当第3四半期連結会計期間末における負債合計は、794,981千円であります。
(純資産)当第3四半期連結会計期間末における純資産合計は、2,348,201千円となりました。主な内訳は、親会社株主に帰属する四半期純損失296,151千円を計上したことによります。
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4) 経営方針・経営戦略等及び経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当第3四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。 (5) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。 (6) 研究開発活動該当事項はありません。
(7) 経営成績に重要な影響を与える要因当第3四半期連結累計期間において、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因に重要な変更はありません。
(8) 資本の財源及び資金の流動性についての分析当第3四半期連結累計期間において、前事業年度の有価証券報告書に記載した当社の資本の財源及び資金の流動性について重要な変更はありません。