【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
1.財政状態の状況
(資産)当事業年度末における資産合計は、前事業年度末に比べ3,924,417千円増加し、5,805,200千円となりました。流動資産は3,887,910千円増加し、5,736,898千円となりました。主な要因は、現金及び預金の増加3,791,509千円であり、tripla Bookにおける宿泊代金の決済の増加等による預り金3,124,531千円の増加、株式の発行による645,019千円の増加等によるものであります。固定資産は36,507千円増加し、68,302千円となりました。主な要因は、繰延税金資産の増加26,919千円によるものであります。(負債)当事業年度末における負債合計は、前事業年度末に比べ3,113,506千円増加し、4,769,534千円となりました。流動負債は3,144,190千円増加し、4,592,849千円となりました。主な要因は、tripla Bookにおける宿泊代金の決済の増加等による預り金の増加3,124,531千円となります。固定負債は前事業年度末に比べ30,684千円減少し、176,685千円となりました。これは借入金の返済によるものです。(純資産)当事業年度末における純資産合計は、前事業年度末に比べ810,910千円増加し、1,035,665千円となりました。主な要因は、株式の発行による645,019千円の増加、当期純利益165,987千円の計上による増加によるものです。
2.経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、物価高が継続する中でも、新型コロナウイルス感染症に関する各種行動制限の緩和が進み、経済活動の正常化による個人消費やインバウンドなどの持ち直しがみられました。その一方で、円安基調の経済情勢を背景としたエネルギー価格の高騰、物価の上昇、各国の金利政策等により、景気の先行きは不透明な状況が継続しております。当社のホスピタリティソリューション事業と関連性がある宿泊業界においては、行動制限の解除、入国規制の緩和に続き、2023年3月13日から、マスクの着用は個人の判断に委ねる方針を発表、2023年5月8日に、新型コロナウイルス感染症を2類相当(新型インフルエンザ等感染症)から5類感染症へ移行する等、正常化に向けた動きが進んでいく中、宿泊者数は回復に向かいました。観光庁の統計によると、当事業年度における延べ宿泊者数(訪日外国人旅行者を含む)は、新型コロナウイルス感染症拡大前の2019年の同月と比較し、98%まで回復いたしました。内訳としては、日本人の宿泊者数は100%となり2019年の水準まで回復した一方、訪日外国人の宿泊者数においては86%に留まりました。ただし、訪日外国人の宿泊者数についても、2022年10月期が7%であったものの、2023年7月以降は2019年同月を上回る宿泊者数が継続しております。なお、延べ宿泊者数については、国土交通省観光庁の発表する数値に基づき集計しております。 新型コロナウイルス感染症によって生活様式の変化を強いられていた状況から正常化へ向けて進行する中、当社ホスピタリティソリューション事業においては、顧客価値向上のため、前事業年度に引き続き、主要サービスである「tripla Book」及び「tripla Bot」、2022年10月期にローンチした宿泊業界特化型のCRM・MAツールである「tripla Connect」等の機能改善を行うとともに、新サービスの開発に注力いたしました。tripla Bookの機能改善として、株式会社ホワイト・ベアーファミリーが提供するダイナミックパッケージとの連携を開始いたしました。また、施設数を積み上げる営業活動に注力し、ルートインホテルズを始めとした多くの契約を獲得いたしました。加えて、2023年3月には韓国の宿泊施設への販売を目的とし韓国支店を設立、2023年7月には台湾で「tripla Connect」の販売を開始、2023年11月には「tripla Boost」の販売を開始いたしました。当社の成長戦略の柱である海外展開を進めて参ります。 このような取組の結果、tripla Bookの施設数は、当事業年度において、前事業年度末より861施設増の2,485施設、tripla Botの施設数は、当事業年度において、前事業年度末より558施設増の1,666施設となりました。また、取扱高・GMV(Gross Merchandise Value)も、当事業年度において、前事業年度比95.5%増の64,369百万円となりました。以上の結果、当事業年度の営業収益は1,176,209千円(前事業年度比43.8%増)となりました。利益面については、営業利益は177,115千円(前事業年度比111.7%増)、経常利益は166,692千円(前事業年度比121.7%増)、当期純利益は165,987千円(前事業年度比121.6%増)となりました。なお、当社はホスピタリティソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント毎の記載はしておりません。
3.キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は5,468,162千円となり、前事業年度末から3,791,509千円増加いたしました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度において営業活動の結果獲得した資金は、3,191,288千円(前事業年度は944,437千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益165,529千円による増加、預り金の増減額3,124,531千円による増加等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度において投資活動の結果使用した資金は、8,859千円(前事業年度は5,000千円の使用)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出5,715千円等によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当事業年度において財務活動の結果獲得した資金は、606,834千円(前事業年度は42,052千円の使用)となりました。これは主に、株式の発行による収入645,019千円によるものです。
4.生産、受注及び販売の実績
a 生産実績
当社は、インターネット上での各種サービスを主たる事業としており、生産に該当する項目がないため、生産実績に関する記載はしておりません。
b 受注実績
当社は受注生産をしておりませんので、受注実績に関する記載はしておりません。
c 販売実績
当社は、ホスピタリティソリューション事業の単一セグメントでありますが、以下のとおりサービスごとに記載しております。なお、第9期事業年度における販売実績は次のとおりであります。
金額(千円)
前期比(%)
1,176,209
+43.8
(注) 1.上記の金額には、tripla Bookによる収益を含めております。当該金額は、第9期事業年度については766,060千円であります。当該数値は関連するオプションの収益を除いた数値であります。2.上記の金額には、tripla Botによる収益を含めております。当該金額は、第9期事業年度については401,948千円であります。3.上記の金額には、System Integrationに掛かる一時的な収益を含めております。当該金額は、第9期事業年度については8,200千円であります。4.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合 主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上を占める相手先がいないため記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。なお、本文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
1 経営成績の分析
当社の当事業年度の営業収益は1,176,209千円千円(前事業年度比43.8%増%増)、営業利益は177,115千円(前事業年度比112円%増)、経常利益は166,692千円(前事業年度比122円%増)、当期純利益は165,987千円(前事業年度比122円%増)となりました。
(営業収益)当事業年度の営業収益は1,176,209千円千円(前事業年度比43.8%増)となりました。これは、tripla Bookの施設数が前事業年度から861施設増加し、当事業年度末において2,485施設となったこと、tripla Botの施設数が前事業年度から558施設増加し、当事業年度末において1,666施設となったこと、取扱高・GMVが当事業年度において64,369百万円(前事業年度比95.5%増)となったことによるものであります。導入施設数については大手チェーンホテルへの導入等により堅調に推移したと考えております。一方、取扱高・GMVについては、コロナ禍の影響による宿泊需要の低迷が当期においても継続した結果、取扱高・GMVの下落圧力となりました。
(営業利益)当事業年度の営業利益は177,115千円(前事業年度比111.7%増)となりました。営業力及び商品開発強化などに対応する体制強化を行う一方で、業務改善等による生産性の向上に努めた結果、営業利益が大きく増加したと考えております。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)当事業年度の営業外損益は、主に、上場関連費用等による営業外費用5,747千円を計上いたしました。この結果、経常利益は166,692千円(前事業年度比121.7%増)となりました。
(特別利益、特別損失、当期純利益)当事業年度の特別損益は、主に、減損損失1,111千円を計上いたしました。この結果、法人税等△457千円計上後の当期純利益は165,987千円(前事業年度比121.6%増)となりました。
2 キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当事業年度のキャッシュ・フローの分析については、「(1) 経営成績等の状況の概要 3.キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。当社は、事業運営上必要な資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。短期運転資金、長期運転資金の調達について、自己資金又は金融機関からの借入を基本としており、都度最適な方法を選択しております。当社は設備投資については「第3 設備の状況」に記載のとおり少額であり、必要資金は具体的には、人件費、広告宣伝費等を含む運転資金、及び長期借入金の返済となります。特に、新しいサービス・プロダクトの開発、既存サービス・プロダクトの機能拡充のためのエンジニア採用等について資金配分を進めて参ります。なお、当事業年度末における借入金の残高は207,369千円であります。また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は5,468,162千円であります。なお、当社は、ホスピタリティソリューション事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
3 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたりまして、事業年度末日における資産及び負債、会計期間における収益及び費用について会計上の見積りを必要としております。この見積りに関しては、過去の実績及び適切な仮定に基づいて合理的に計算しておりますが、実際の結果と相違する場合があります。なお、財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
4 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、導入施設数(tripla Book、tripla Bot、当社のサービスを複数導入している施設数)、取扱高・GMV等を重要な経営指標と位置付けております。当該指標の具体的な数値については、「(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
5 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおり、様々なリスク要因が当社の経営成績に影響を与えるおそれがあることを認識しております。これらリスク要因の発生を回避するためにも、提供するサービスの機能強化、人員増強、財務基盤の安定化等、継続的な経営基盤の強化が必要であるものと認識し、実行に努めております。
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