【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループは業種・業務に特化したパッケージソフトを核とした付加価値の高いソリューションを顧客に提供しており、子会社を含めた6つの業種・業務を対象に事業を展開しております。その対象とする市場に向けて、新規及び追加のシステム提案によるフロービジネスを拡げるとともに、サポート及びクラウドサービス提供による安定的なストックビジネスを展開しており、中でも近年は需要が高まっているクラウドサービスの拡大に力を入れております。
当連結会計年度におきましては、新型コロナウイルス感染拡大に伴う行動制限が緩和され、社会経済活動の正常化が進む中、ストック収益の拡大や、カスタマイズ案件及び仕入商品の販売増加等に伴い、過去最高の売上、営業利益を計上することができました。
当連結会計年度の業績は、売上高4,736,844千円(前連結会計年度比11.9%増)、営業利益913,933千円(前連結会計年度比1.8%増)、経常利益915,080千円(前連結会計年度比1.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益632,700千円(前連結会計年度比7.0%増)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。文中の各セグメントの売上高は、セグメント間の内部売上高を含んでおりません。
(ソフトウェア事業)
当事業におきましては、業種特化・業務特化のパッケージソフトを自社開発して提供しております。
学園ソリューション事業におきましては、業界トップシェアの『キャンパスプラン.NET Framework』及び『キャンパスプラン for Azure』(クラウドサービス)を複数の大規模大学等へ導入することができ、前連結会計年度を上回る業績を計上いたしました。また、前連結会計年度にトータルリリースした次世代学園総合情報システム『CampusPlan Smart』につきましても、大規模大学への納品を行う事ができたとともに、新規受注や引き合いも多く、翌連結会計年度以降、さらに導入校数を拡大してまいります。
スポーツ・健康関連施設向け会員・会費管理システム『Hello EX』、文化観光施設向け運営支援システム『Hello Fun』を主に展開しているウェルネスソリューション事業におきましては、新規出店が相次ぐ24時間ジムやゴルフスクール等の小規模フィットネス施設、会費制スクール等に対してクラウド型会員管理・会費回収システム『Smart Hello』を、前連結会計年度を上回る数の施設へと納品することができました。また、公共博物館施設や民間テーマパーク向けクラウド型チケット管理システム『Smart Hello チケット』につきましても、各種施設へ納品を行い、さらなる顧客獲得に向けた営業活動を進めております。
公立小中高校向け校務支援システム『School Engine』を提供している公教育ソリューション事業におきましては、当社がトップシェアを占める都道府県向け公立高校、複数の大規模自治体を含んだ多くの公立小・中学校にサービス提供を行っております。当連結会計年度におきましても、2023年4月本稼働の案件に係る導入・稼働立ち上げを行うとともに、岩手県の県内全自治体向けのシステムとして採択される等、複数の大規模案件を新たに受注することができ、納品に向けた開発作業を事業部一丸となって進めております。
公共団体向けの公会計ソリューション事業におきましては、公会計のデファクトスタンダードとなった『PPP(トリプル・ピー) Ver.5 新統一基準対応版』が、府・県・政令市・特別区などの大規模自治体をはじめとした多くの市町村自治体・公共団体に導入いただいた結果、全国の自治体の過半数を超える圧倒的なシェアを占めており、当連結会計年度も安定したストック収入を計上いたしました。また、公会計の先進的な考え方を取り入れた、地方公共団体向け『Common財務会計システム』につきましては、引き続き積極的な営業展開と追加機能の開発に力を注ぎました。さらに、2023年10月には、地方公共団体の財産管理業務を支援する新たなパッケージソフトとして、 『公有財産管理システム』をリリースいたしました。本システムを用いて地方公共団体が保有する公共施設の情報を正確に管理することで、地方創生の推進や地方財政の健全化を支援します。
民間企業や学校法人をはじめ幅広い市場に向けて、コンプライアンス、ガバナンス支援ソフトとして『規程管理システム』及び『契約書作成・管理システム』を提供しているソフトエンジニアリング事業におきましては、高機能かつコストパフォーマンスに優れたこれらのソフトが市場で高い評価を受けて毎期業績を伸ばしております。当連結会計年度におきましても、大手民間企業や金融機関等、幅広い市場へ当ソリューションの導入を進めることができました。
保険薬局向け事業を営んでいる株式会社シンクにおきましては、引き続き保守サポート収入を安定的に確保するとともに、厚生労働省が推進するオンライン資格確認の導入に全面的に取り組みました。
これらの結果、当事業の売上高は4,685,169千円(前連結会計年度比11.3%増)となり、営業利益は1,237,030千円(前連結会計年度比1.4%増)となりました。
(その他事業)
当事業におきましては、コンサルティング、テナント賃貸、各種広報宣伝の企画・制作等の業務を行っており、当事業の売上高は51,674千円(前連結会計年度比117.0%増)、営業利益は18,671千円(前連結会計年度比22.8%増)となりました。
また、当連結会計年度においては、AIを活用したソフトウェアの受託開発、コンサルティングを行っている中村牧場株式会社の全株式を取得して子会社化いたしました。同社の持つテクノロジーを当社の各種パッケージ開発やサポート業務等に活かすことでグループ全体の収益力向上に繋げるとともに、大企業のAI人材育成やコンサルティングも数多く手掛けている同社をグループに加えることで当社グループの人材育成に活かすべく、各種取り組みを開始いたしました。
また、当連結会計年度における財政状態の概況は次のとおりであります。
当連結会計年度末における資産は、前連結会計年度末の残高5,899,569千円より346,053千円増加して6,245,623千円となりました。
流動資産は、前連結会計年度末残高2,119,767千円より93,000千円増加して2,212,767千円となりました。主な要因は、売掛金が130,299千円増加、契約資産が22,620千円増加したことに対して現金及び預金が37,969千円減少、棚卸資産が22,989千円減少したことによるものであります。
固定資産は、前連結会計年度末残高3,779,802千円より253,053千円増加して4,032,855千円となりました。主な要因は、京都本社第二ビルの稼働開始により建物及び構築物が158,871千円増加、子会社取得によりのれんが127,923千円増加、時価評価により投資有価証券が14,875千円増加した一方で、償却によりソフトウエアが57,505千円減少、パッケージソフトウエアのリリースによりソフトウエア仮勘定が10,826千円減少したことによるものであります。
負債は、前連結会計年度末残高2,320,219千円より168,088千円減少して2,152,130千円となりました。
流動負債は、前連結会計年度末残高1,599,287千円より82,779千円減少して1,516,507千円となりました。主な要因は、長期のストック案件の増加により前受収益が16,164千円増加、支払手形及び買掛金が30,938千円増加した一方で、未払金が14,901千円減少、未払費用が14,993千円減少、未払法人税等が28,972千円減少、未払消費税等が38,513千円減少、長期借入金の返済により1年内返済予定の長期借入金が8,370千円減少したことによるものであります。
固定負債は、前連結会計年度末残高720,932千円より85,309千円減少して635,623千円となりました。主な要因は、退職給付に係る負債が30,077千円増加した一方で、長期借入金が119,988千円減少したことによるものであります。
純資産は、前連結会計年度末残高3,579,349千円より514,142千円増加して4,093,492千円となりました。主な要因は、利益剰余金が504,645千円増加したことによるものであります。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末1,225,450千円に比べ37,969千円減少し、1,187,481千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
法人税等の支払額312,750千円、売上債権の増加額120,112千円、未払金の減少額17,650千円等により資金が減少しましたが、税金等調整前当期純利益907,394千円、棚卸資産の減少額22,989千円、仕入債務の増加額16,788千円、ソフトウエア償却費423,650千円、減価償却費33,700千円、のれん償却額14,943千円等による資金の増加により、900,333千円の増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
有形固定資産の取得による支出197,821千円、ソフトウエアの取得による支出353,752千円、連結の範囲を伴う子会社株式の取得による支出138,786千円等により、資金が682,470千円減少しました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
長期借入金の返済による支出128,358千円、配当金の支払額127,474千円による資金の減少により、255,832千円の減少となりました。
生産、受注及び販売の実績
1.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年11月1日
至 2023年10月31日)
生産高(千円)
前年同期比(%)
ソフトウェア事業
1,231,416
117.5
報告セグメント計
1,231,416
117.5
その他事業
26
49.8
合計
1,231,442
117.5
(注)金額は製造原価によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年11月1日
至 2023年10月31日)
商品仕入高(千円)
前年同期比(%)
ソフトウェア事業
657,828
142.1
報告セグメント計
657,828
142.1
その他事業
-
-
合計
657,828
142.1
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
3.受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年11月1日
至 2023年10月31日)
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
ソフトウェア事業
4,707,472
110.2
2,713,354
100.8
報告セグメント計
4,707,472
110.2
2,713,354
100.8
その他事業
130,058
492.4
100,911
447.9
合計
4,837,530
112.5
2,814,266
103.7
(注)金額は販売価格によっております。
4.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメント別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年11月1日
至 2023年10月31日)
販売高(千円)
前年同期比(%)
ソフトウェア事業
4,685,169
111.3
報告セグメント計
4,685,169
111.3
その他事業
51,674
217.0
合計
4,736,844
111.9
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な販売先の販売実績で、当該販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の販売先はありません。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。これら連結財務諸表の作成にあたって当社グループが採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等(1)連結財務諸表注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。なお、連結財務諸表等には将来に対する見積り等が含まれておりますが、これらは当連結会計年度末現在における判断によるものであります。このような将来に対する見積り等は過去の実績や趨勢に基づき可能な限り合理的に判断したものでありますが、判断時には予期し得なかった事象等により、結果とは異なる可能性があります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」に含めて記載しております。
③ キャッシュ・フローの分析
当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、当該事業リスクが発生した場合、経営成績に重要な影響を与える可能性があります。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループにおける資金需要の主なものは、製造費用、販売費及び一般管理費の営業費用による運転資金及び設備投資資金(ソフトウェア含む)であり、自己資金及び銀行からの借入により賄っております。
また、有価証券報告書提出日現在において支出が予定されている重要な資本的支出はありません。
⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について
経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
⑦ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 3.目標とする経営指標」に記載しておりますとおり、継続的な成長と経営基盤の安定、売上高経常利益率20%を目指しております。
なお、当連結会計年度における売上高経常利益率は19.3%であります。
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