【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の5類への移行に伴って経済活動は正常化が進みました。また、賃上げの動きも見られるなど、国内景気は徐々に回復しております。一方、原料やエネルギー価格の世界的な高騰をはじめとしたインフレリスクに加え、欧米における金融引き締めの影響など、先行きの不透明な状況は継続しております。当社グループの主要な取引先である建設業界においても建築資材の急騰などの懸念はあるものの、公共投資が底堅く推移する中、民間建設投資の持ち直しが続いており、国内建設需要は堅調に推移しております。このような環境の中、当社グループは事業成長のための人材採用強化を推進し、在籍人数が増加しました。また、顧客からのニーズに応えて人材を送り出した結果、稼働人数も増加しました。以上の結果、当連結会計年度の経営成績は、売上収益は17,994,881千円(前連結会計年度比23.8%増)、営業利益は2,469,161千円(同21.1%増)、税引前当期利益は2,475,904千円(同33.7%増)、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,741,337千円(同40.1%増)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。(建設ソリューション事業)建設業界は慢性的な人手不足が続いており、技術者人材を派遣する当社の役割は大きく、人材不足解消に貢献することを求められています。その期待に応えるべく、技術者人材の採用・教育の強化に取組んだことにより、技術者の在籍人数・稼働人数が増加しました(注1)。また、2024年4月から建設業でも規制を受ける改正労働基準法による時間外労働の上限規制に、先んじて取組んでおり残業時間は減少傾向にありますが、単価交渉を含めた積極的な営業活動が奏功し、派遣単価や稼働率が向上し(注2)業績に寄与しております。以上の結果、同事業の売上収益は16,044,957千円(前連結会計年度比23.1%増)、セグメント利益は2,250,835千円(前連結会計年度比24.2%増)となりました。(注) 1. ㈱ワールドコーポレーションの在籍人数は前連結会計年度比20.4%増、稼働人数は同22.3%増であります。2. ㈱ワールドコーポレーションの一人あたり契約単価は前連結会計年度比3.4%増、稼働率(研修中含)は同0.7pt上昇であります。
(ITソリューション事業)IT業界においても、建設業界と同様に人手不足が続いており、将来において成長発展が期待される分野であります。この状況において、IT人材の育成は日本にとって大きな課題であると認識し、未経験者の採用・育成に注力しており、顧客の要員ニーズに応じてエンジニアの在籍人数・稼働人数が増加しました(注3)。以上の結果、同事業の売上収益は1,954,123千円(前連結会計年度比29.4%増)、セグメント利益は113,352千円(前連結会計年度比6.8%増)となりました。(注) 3. ㈱ATJCの在籍人数は前連結会計年度比29.1%増、稼働人数は同39.7%増であります。
② 財政状態の状況(資産)当連結会計年度末の流動資産合計は、7,060,690千円(前連結会計年度末比2,183,393千円増加)であります。これは主に、東京証券取引所グロース市場への上場に伴う公募による新株式発行等により、現金及び現金同等物が1,799,431千円増加したことによるものであります。非流動資産合計は15,444,376千円(同165,755千円増加)であります。これは主に、繰延税金資産が107,590千円増加したことによるものであります。この結果、当連結会計年度末における資産合計は、22,505,067千円(同2,349,148千円増加)となりました。(負債)当連結会計年度末の流動負債合計は、6,287,444千円(前連結会計年度末比754,358千円増加)であります。これは主に、その他の流動負債が647,995千円増加したことによるものであります。非流動負債合計は、4,040,407千円(同649,173千円減少)であります。これは主に、退職給付に係る負債が61,875千円増加した一方で、借入金が714,284千円減少したことによるものであります。この結果、当連結会計年度末における負債合計は、10,327,852千円(同105,185千円増加)となりました。(資本)当連結会計年度末の資本合計は、12,177,215千円(前連結会計年度末比2,243,963千円増加)であります。その主な内訳は、東京証券取引所グロース市場への上場に伴う公募による新株式発行等により、資本金が198,368千円、資本剰余金が195,032千円増加したことに加え、親会社の所有者に帰属する当期利益の計上などにより、利益剰余金が1,762,609千円増加したことによるものです。
③ キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)につきましては、4,083,222千円(前連結会計年度末比1,799,431千円増加)となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果、獲得した資金は、2,314,011千円(前連結会計年度は1,553,992千円の収入)となりました。これは主に税引前当期利益が2,475,904千円が計上されたことによるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果、獲得した資金は、22,053千円(前連結会計年度は176,443千円の支出)となりました。これは主に保険積立金の解約による収入等を含むその他の金融資産の回収による収入145,352千円によるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果、使用した資金は、536,633千円(前連結会計年度は1,249,216千円の支出)となりました。これは主に、株式の発行による収入391,929千円があった一方で、長期借入金の返済による支出714,284千円があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績当社グループが提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績当社グループが提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績当連結会計年度の受注状況をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前年同期比(%)
建設ソリューション事業
16,044,957
23.1
ITソリューション事業
1,949,923
29.4
合計
17,994,881
23.8
(注) セグメント間取引については相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、IFRSに基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたって、決算日における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況に影響を与えるような会計上の見積り及び予測を必要としております。当社グループは、過去の実績や状況を踏まえ合理的と判断される前提に基づき、会計上の見積り及び予測を行っておりますが、前提条件やその後の環境等に変化がある場合には、実際の結果がこれら見積りと異なる可能性があります。なお、当社グループの連結財務諸表の作成にあたって採用している重要な会計上の見積りは、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 4.重要な会計上の見積り及び判断」に記載のとおりであります。
② 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容当社グループの経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。a. 売上収益売上収益は、17,994,881千円(前連結会計年度比23.8%増)となりました。売上収益の分析・検討内容につきましては「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①経営成績の状況」に記載のとおりであります。
b. 売上原価、売上総利益売上原価は、主に売上規模拡大に伴う派遣技術者の人件費の増加等により12,825,513千円(前連結会計年度比24.4%増)となりました。この結果、当連結会計年度の売上総利益は5,169,367千円(前連結会計年度比22.2%増)となりました。
c.販売費及び一般管理費、営業利益販売費及び一般管理費につきましては、主に事業拡大に伴う管理部門の人件費の増加により2,710,325千円(前連結会計年度比21.8%増)となりました。この結果、当連結会計年度の営業利益は2,469,161千円(前連結会計年度比21.1%増)となりました。
d. 金融収益・金融費用、税引前利益金融収益につきましては、主に保険積立金解約による収益の計上により57,272千円となりました。金融費用につきましては、主に支払利息の計上により50,529千円となりました。この結果、当連結会計年度の税引前当期利益は2,475,904千円(前連結会計年度比33.7%増)となりました。
e.親会社の所有者に帰属する当期利益法人所得税費用734,567千円を計上した結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は1,741,337千円(前連結会計年度比40.1%増)となりました。
当社グループの財政状態の状況は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社グループの当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。資金の流動性については、経理財務部が適時に資金繰り計画を作成・更新するとともに手許流動性の維持等により流動性リスクを管理しております。当社グループの主な運転資金需要は、派遣技術者の人件費等であり、設備投資資金としては、営業拠点投資や情報システム投資等であります。これらの資金需要は手元資金で賄うことを基本としております。今後は、借入金の総額を減少させつつも、資金需要の必要性に応じて柔軟に対応し、流動性リスクを適切にコントロールしてまいります。
④ 経営方針、経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、当社は売上収益及び営業利益を重視するとともに、売上収益の構成要素である在籍人数、稼働人数、採用者数、退職者数、退職率、稼働率、一人あたり契約単価を主要なKPIとして管理しております。
当連結会計年度においては、売上収益17,994,881千円(前連結会計年度比23.8%増)、営業利益2,469,161千円(同21.1%増)となりました。また、当連結会計年度における株式会社ワールドコーポレーションの主要なKPIは、在籍人数2,696人(同20.4%増)、稼働人数2,351人(同22.3%増)、採用者数1,559人(同23.5%増)、退職者数1,125人(同27.1%増)、退職率30.2%(同1.1%増)、稼働率(研修中の従業員を除く)96.2%(同0.9%増)、一人あたり契約単価487千円(同3.4%増)となりました。
前連結会計年度から引き続き、建設業界は人手不足が継続し、技術者人材を派遣する当社グループの役割は大きく、技術者人材の採用・教育の強化に取組み、在籍人数、稼働人数は順調に拡大し、各種KPIは堅調に推移しており、当連結会計年度における増収増益に寄与しております。
(参考情報)当社グループは、経営成績の推移を把握するために、以下の算式により算出されたEBITDA、調整後EBITDA、調整後営業利益を重要な経営指標として認識しており、過去3期間の各指標の推移は以下のとおりであります。(単位:千円)
日本基準
国際会計基準
第2期
第3期
第4期
第5期
2020年10月期(LTM)(注)1
2021年10月期
2022年10月期
2023年10月期
売上収益
10,328,694
12,125,351
14,540,628
17,994,881
営業利益
△60,003
1,758,271
2,039,645
2,469,161
+ 減価償却費及びその他償却費
534,442
229,321
237,782
244,626
+ のれん償却費
833,389
–
–
–
EBITDA
1,307,828
1,987,593
2,277,428
(調整額)
+ 支払報酬料(注)2
453,033
49,328
–
–
調整後EBITDA
1,760,862
2,036,921
2,277,428
2,713,788
営業利益
△60,003
1,758,271
2,039,645
2,469,161
(調整額)
+ 支払報酬料(注)2
453,033
49,328
–
–
+ 無形資産償却費(注)2
490,000
13,000
–
–
+ のれん償却費
833,389
–
–
–
調整後営業利益(注)3
1,716,419
1,820,599
2,039,645
2,469,161
(注) 1. 当社は2019年5月27日の設立後、決算期を4月末から10月末に変更したため、当社の2020年10月期は2020年5月1日から2020年10月31日までの6ヶ月間となっております。2020年10月期(LTM)は、2019年11月1日から2020年10月31日までの12ヶ月を一連結会計年度と仮定して計算した数値(未監査)であり、2020年10月期(6ヶ月間)の実績とは異なります。2. 2020年10月期(LTM)は、当社(旧AP64)によるワールドコーポレーション株式取得に係るFAフィー、DD費用、リーガルコスト、2021年10月期は、当社によるATJC株式取得、職人の職業紹介関連事業譲受、オフィス・アークス株式取得に係るFAフィー、DD費用、リーガルコスト等を、それぞれ一時費用として調整しております。なお、2022年10月期及び2023年10月期は、一時費用が不存在のため調整はありません。3. 2020年10月期(LTM)は日本基準、2021年10月期以降は国際会計基準に基づく数値であるため、これらの有意な比較を可能とする観点から、2020年10月期(LTM)の調整後営業利益については、営業利益に対して一時費用(注2)のほかのれん償却費を足し戻して算出しております。
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