【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(業績等の概要)
(1)
経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の分類が感染症法上5類に移行し、行動制限が緩和され、各種イベントなど経済活動は正常化に向かって進み、インバウンド需要も拡大してきたことから緩やかな回復基調となりました。一方でウクライナ情勢等の長期化による資源・エネルギー価格の高騰に加え、人件費や物流コストの上昇などにより世界的にインフレ基調が見られ、不安定な為替変動による物価上昇の影響等から、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。花き業界においては、東京都中央卸売市場の市場統計情報によると、2022年11月から2023年10月までの、らん鉢ファレノプシス類(胡蝶蘭)の取扱金額は3,688百万円(前年同期比3.94%減)で、前年同期比微減傾向で推移いたしました。このような事業環境の中、フラワービジネス支援事業は、主力である法人贈答用胡蝶蘭の新規顧客開拓及び既存顧客に対する訪問営業活動等、販売促進に注力いたしました。ブライダルにつきましても、コロナ禍に相次いで発生した結婚式の延期等もなくなり、回復基調で推移いたしました。ナーセリー支援事業におきましては、新規顧客開拓に注力し、オリジナル園芸資材の販売も順調に進めることが出来ました。フューネラル事業は、葬儀を縮小して行う小型化の葬儀が定着してきたものの、葬儀件数は増加傾向にあり、新規顧客開拓及び既存顧客に対する販売促進に注力しました。これらの結果、売上高は堅調に推移いたしました。一方で、台湾から仕入れる胡蝶蘭苗の価格が円安の影響で上昇したことや、光熱費が高騰した影響等で製造原価が上昇したことにより売上原価が上昇しました。また経費においては、人材不足が深刻化してきている中、今後の新たな事業に向けた優秀な人材の確保や、最低賃金引き上げ及び物価上昇への対応による人件費の増加、また人材の早期育成のため教育研修費や福利厚生費等が増加いたしました。この結果、当連結会計年度における売上高は2,484,559千円(前年同期比8.2%増)、営業利益は15,954千円(前年同期比72.7%減)、経常利益は13,565千円(前年同期比80.1%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は57千円(前年同期比99.9%減)となりました。なお、当社の事業セグメントは単一セグメントであるため、セグメント情報は記載せず、主要な事業について記載しております。
(フラワービジネス支援事業)フラワービジネス支援事業につきましては、主力である法人贈答用胡蝶蘭の新規顧客開拓及び既存顧客への対面営業等、コロナ禍以前のような営業活動が出来るように戻ってきたこともあり、順調に進める事ができました。また、オフィス緑化も順調で、長く過ごすオフィス環境を快適にするために、植物やフェイクグリーンを積極的にオフィスへ取り入れる企業が増えております。環境に配慮したSDGsへの取り組みの一環として、「Nakuseru!」「Atsumeru!」という新しいサービスも開始し、3R活動に取り組んで参りました。以上の結果、フラワービジネス支援事業の売上高は1,668,515千円(前年同期比9.0%増)となりました。
(ナーセリー支援事業)ナーセリー支援事業につきましては、新規顧客開拓と当社オリジナル園芸資材の販売強化に注力しました。園芸資材の原材料やエネルギー価格の高騰等によるコストの上昇が続くことから、各種販売単価の値上げ等も慎重に進めましたが、オリジナル園芸資材の品質や利便性から、安定的なリピート注文も増加し、順調に進めることができました。以上の結果、ナーセリー支援事業の売上高は612,255千円(前年同期比4.3%増)となりました。
(フューネラル事業)フューネラル事業につきましては、新規顧客開拓及び既存顧客への販売促進に注力いたしました。葬儀業界全体の環境としましては、今後も葬儀件数は増加するものと推計されている一方、全国的に、家族葬や一日葬、火葬式等の葬儀の小型化により葬儀単価が減少しており、当社においても同様に単価の下落傾向が続いておりますが、既存顧客をはじめ、葬儀業界関係各社との情報交換をしながら、柔軟な対応を継続して行って参りました。そのような中、当社といたしましては既存顧客のニーズに合わせた商品の提案とサービスの提供に注力するとともに、新規顧客開拓を順調に進められたことから売上高は堅調に推移いたしました。以上の結果、フューネラル事業の売上高は203,788千円(前年同期比14.5%増)となりました。
(資産)当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末と比較して47,481千円減少し、1,250,223千円となりました。。流動資産は1,081,078千円となり、前連結会計年度末と比較して45,621千円減少しました。この主な要因は、受取手形及び売掛金が40,873千円増加したものの、現金及び預金が60,201千円、流動資産のその他に含まれております未収入金が14,990千円、仕掛品が11,669千円それぞれ減少したことによるものであります。固定資産は169,145千円となり、前連結会計年度末と比較して1,860千円減少しました。この主な要因は、敷金及び保証金が2,402千円、保険積立金が2,034千円それぞれ増加したものの、ソフトウエアが8,404千円減少したことによるものであります。
(負債)当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末と比較して52,964千円減少し、742,944千円となりました。流動負債は429,097千円となり、前連結会計年度末と比較して2,417千円増加しました。この主な要因は、未払法人税等が10,298千円、未払消費税等が4,628千円、賞与引当金が4,467千円それぞれ減少したものの、買掛金が16,461千円、未払費用が2,258千円それぞれ増加したことによるものであります。固定負債は313,846千円となり、前連結会計年度末と比較して55,382千円減少しました。この主な要因は、長期借入金が54,337千円減少したことによるものであります。
(純資産)当連結会計年度末における純資産合計は507,279千円となり、前連結会計年度末と比較して5,483千円増加しました。この主な要因は、新株予約権の行使に伴い資本金が2,616千円、資本剰余金が2,616千円それぞれ増加したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末と比較して63,291千円減少し、258,940千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とそれらの増減要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは6,111千円の収入(前連結会計年度は59,757千円の収入)となりました。この主な要因は、売上債権の増加額が40,873千円、法人税等の支払額が22,002千円となったものの、仕入債務の増加額が16,461千円、減価償却費の計上額が15,968千円、税金等調整前当期純利益の計上額が11,608千円、棚卸資産の減少額が10,845千円、貸倒引当金の増加額が8,263千円、のれん償却額が3,081千円となったことによります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは18,786千円の支出(前連結会計年度は27,942千円の支出)となりました。この主な要因は、無形固定資産の取得による支出が8,565千円、定期預金の預入による支出が6,090千円、有形固定資産の取得による支出が2,192千円となったことによります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは50,616千円の支出(前連結会計年度は99,318千円の収入)となりました。この主な要因は、長期借入れによる収入が170,000千円となったものの、長期借入金の返済による支出が224,838千円となったことによります。
③ 生産、受注及び販売の実績当社グループの事業セグメントは単一セグメントであるため、事業部門別に記載しております。
a.生産実績当連結会計年度における生産実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。
事業部門の名称
生産高(千円)
前期比(%)
ナーセリー支援事業
372,426
97.7
合計
372,426
97.7
(注) 1.事業部門間取引については、相殺消去しております。2.金額は、製造原価によっております。
b.仕入実績当連結会計年度における仕入実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。
事業部門の名称
仕入高(千円)
前期比(%)
フラワービジネス支援事業
569,128
111.7
ナーセリー支援事業
310,990
105.5
フューネラル事業
166,983
115.6
合計
1,047,102
110.3
(注) 金額は、仕入価格によっております。
c. 受注実績当社は、需要予測に基づく見込生産を行っているため、該当事項はありません。
d. 販売実績当連結会計年度における販売実績を事業部門ごとに示すと、次のとおりであります。
事業部門の名称
販売高(千円)
前期比(%)
フラワービジネス支援事業
1,668,515
109.0
ナーセリー支援事業
612,255
104.3
フューネラル事業
203,788
114.5
合計
2,484,559
108.2
(注) 1.事業部門間取引については、相殺消去しております。2.主な相手先別販売実績及び販売実績に対する割合
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
株式会社日比谷花壇
279,155
12.2
271,360
10.9
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容 a.売上高当連結会計年度の売上高については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。 b.営業利益及び経常利益世間的には人材不足が深刻化してきている中で、当社従業員数は前期末の71名から当期末では87名となり、16名の人員増強を達成することができました。このような今後の新たな事業に向けた優秀な人材の確保や、最低賃金引き上げ及び物価上昇への対応による人件費の増加、また人材の早期育成のため教育研修費や福利厚生費等が増加したことにより、営業利益は15,954千円となりました。また、外貨建て資産等に係る為替差益の計上額が前期の4,457千円から当期は141千円と低下したことや、支払利息4,186千円があったことにより、経常利益は13,565千円となりました。 c.親会社株主に帰属する当期純利益使用見込みのなくなった胡蝶蘭ベンチ等の除却損1,956千円を特別損失に計上し、法人税等11,550千円等が発生した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は57千円となりました。
d.経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 当社グループでは、事業規模の指標としての売上高及び本業での収益性を示す指標としての売上高営業利益率を最重要指標として位置付けております。 当連結会計年度における売上高は、新型コロナウイルス感染症の影響が回復基調となったことにより2,484,559千円となり、前連結会計年度より8.2%増加いたしました。他方、売上高が増加したものの、人件費やその他の費用の増加により、当連結会計年度の営業利益率は0.6%となり、前連結会計年度の2.6%から低下いたしました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
a.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
b.資本の財源および資金の流動性に係る情報当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当社グループの運転資金需要のうち主なものは、商品の仕入れと提携農園での胡蝶蘭生産費用のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資及びM&A投資等であります。 必要な運転資金及び投資資金の財源は、自己資金及び金融機関からの借入を基本としております。 資金の流動性については、運転資金の効率的な調達のため、主要取引銀行5行と当座貸越契約を締結することで手元流動性を確保しており、金融機関との間で総額250,000千円の契約を締結しております。本契約に基づく当連結会計年度末の借入実行残高はありません。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づき作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。