【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」といいます。)の状況の概要は以下のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症が第5類感染症に位置付けられたことで、各種行動制限が緩和され、経済活動の正常化が進んでおり、個人消費の持ち直しの動きが見受けられました。一方で、ウクライナ情勢の長期化や中東における新たな地政学リスクに伴う資源価格の高騰等の影響により、依然として先行き不透明な状態が続いております。
当社グループが属する不動産業界におきましては、原材料価格や人件費の上昇等による建築コストの高止まり等、今後も注意を要する状況にありますが、都市部を中心に住宅需要は引き続き堅調に推移していくことが予想されています。
当社グループにおきましては、このような経営環境のもと、東京23区を中心に自社ブランド新築マンション「GENOVIA(ジェノヴィア)」シリーズとして、「GENOVIA green veil(ジェノヴィア グリーンヴェール)」、「GENOVIA skygarden(ジェノヴィア スカイガーデン)」及び「GENOVIA skyrun(ジェノヴィア スカイラン)」の企画・開発及び販売の拡大、顧客サポート体制の充実、広告宣伝の強化等に取り組んでまいりました。また、新規事業として、アセットマネジメント業務におけるストックビジネス拡大のため、2023年10月期までに約400億円規模(23棟1,190戸)の私募ファンド組成に向け、各所と調整を続けてまいりました。しかしながら、ファンド規模が大きいこと及び金利上昇局面等の投資環境の悪化等により、2023年10月末までに組成に至りませんでした。加えて、同物件において、ホールセールでの機関投資家向け1棟販売を行うため、数社と条件交渉を行っておりましたが10月までに売上計上ができませんでした。
これらにより、当連結会計年度においては14棟、全715戸を販売し、仕入については、46棟、全3,408戸の仕入を行いました。
以上の結果、当社グループの当連結会計年度の売上高は22,190百万円(前期比44.6%減)、営業利益は2,141百万円(同53.6%減)、経常利益は1,788百万円(同58.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,030百万円(同64.0%減)となりました。
セグメント別の業績は、以下のとおりであります。
A.ホールセール
当連結会計年度では、法人に対し、自社ブランド「GENOVIA」シリーズのワンルーム及びファミリータイプを6棟、全247戸販売いたしました。
以上の結果、売上高は8,673百万円(前期比72.4%減)、セグメント利益は1,248百万円(同73.2%減)となりました。
B.リテールセールス
当連結会計年度では、国内外の個人投資家に対し、自社ブランド「GENOVIA」シリーズのワンルーム及びファミリータイプを11棟、全468戸販売いたしました。
以上の結果、売上高は11,649百万円(前期比60.9%増)、セグメント利益は584百万円(前期は358百万円のセグメント損失)となりました。
C.リアルエステートマネジメント
当連結会計年度では、建物管理及び賃貸管理戸数の堅調な増加に加え、月末入居率9割超を毎月達成いたしました。
以上の結果、売上高は1,926百万円(前期比33.5%増)、セグメント利益は436百万円(前期比26.0%増)となりました。
D.その他
その他の区分は、新規上場及び上場後IR・資本政策に関するコンサルティング、不動産小口化商品販売事業Good Com Fundで構成されております。当連結会計年度から、連結子会社化した株式会社グッドコムアセット投資顧問を当セグメントに含めたことにより、販売費及び一般管理費が増加したことから増収減益となりました。
以上の結果、売上高は37百万円(前期比5.8%増)、セグメント損失は187百万円(前期は58百万円のセグメント損失)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」といいます。)は、前年度末に比べ3,615百万円減少し、8,040百万円(前年度末比31.0%減)となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、33,170百万円の資金減少(前年度は3,482百万円の資金増加)となりました。主な要因は、棚卸資産の増加額が31,191百万円あったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、53百万円の資金減少(前年度は255百万円の資金減少)となりました。主な要因は、敷金の差入による支出が38百万円あったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、29,446百万円の資金増加(前年度は455百万円の資金増加)となりました。主な要因は、長期借入金の返済による支出が3,131百万円あった一方で、長期借入れによる収入が20,887百万円、短期借入金の純増額が12,638百万円それぞれあったことによるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
A.生産実績
該当事項はありません。
B.受注実績
該当事項はありません。
C.販売実績
販売実績をセグメントごとに示すと、以下のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年11月1日
至 2023年10月31日)
販売戸数(戸)
金額(千円)
前年同期比(%)
ホールセール
247
8,673,190
27.6
リテールセールス
468
11,649,151
160.9
リアルエステートマネジメント
-
1,926,213
133.5
その他
-
37,950
105.8
合計
715
22,286,504
55.6
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年11月1日
至 2022年10月31日)
当連結会計年度
(自 2022年11月1日
至 2023年10月31日)
金額
(千円)
割合
(%)
金額
(千円)
割合
(%)
大江戸合同会社
-
-
4,318,639
19.5
株式会社BRI
-
-
3,201,984
14.4
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は、次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている企業会計の基準に基づいて作成されております。連結財務諸表を作成するにあたり、重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項」の「連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、必要な見積りを行っており、それらは資産・負債及び収益・費用の計上金額に影響を与えております。これらの見積りについては、過去の実績やその時点で入手可能な情報に基づき合理的と考えられる要因を考慮した上で行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、結果としてこれらの見積りと実績が異なる場合があります。また、特に以下の重要な会計方針及び見積りの適用が、その作成において用いられる見積り及び予測により、当社グループの連結財務諸表に大きな影響を及ぼすと考えております。
(販売用不動産の評価)
当社グループが保有する棚卸資産のうち、主なものは販売用不動産であり、販売用不動産の評価は、個別法による原価法を採用しており、事業計画上の販売見込額から販売経費見込額を控除した正味売却価額が取得原価を下回るものについては、その差額を費用処理しております。なお、当連結会計年度において、簿価の切り下げは行っておりません。
当該販売見込額の見積りにおいて、過去の販売実績や、市場動向を反映した賃料収益を割引計算する収益還元法を基礎に算定した価格を参考にしているため、想定賃料、還元利回りを主要な仮定としております。
なお、将来の市況悪化や大規模な自然災害による販売用不動産の被災等により、市場価格の著しい下落が発生し、事業計画が修正される等、主要な仮定に変動が生じた場合、翌連結会計年度の連結財務諸表に影響を与える可能性があります。
販売用不動産の評価の詳細については、「第5 経理の状況 1.連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項」の「重要な会計上の見積り」に記載のとおりであります。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
A.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度の売上高は、22,190百万円 (前期比44.6%減)となりました。
ホールセールの売上高は、247戸を販売し、8,673百万円(前期比72.4%減)となりました。これは、私募ファンド又は1棟バルク販売で想定していた23棟1,190戸の販売時期がずれたためであります。
リテールセールスの売上高は、468戸を販売し、11,649百万円(前期比60.9%増)となりました。これは、新型コロナウイルス感染症が第5類感染症に位置付けられ、営業活動に制限がなかったことから、前連結会計年度より249戸増加したことによるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、16,622百万円(前期比48.8%減)となりました。これは主に、売上高の減少によるものであります。
その結果、当連結会計年度の売上総利益は、5,568百万円(前期比26.8%減)となりました。
なお、相対的に売上総利益率の高いリテールセールスの販売が増加し、売上高に占める割合が高まったため、売上総利益率は、前連結会計年度より6.1ポイント上昇し、25.1%となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、3,427百万円(前期比14.5%増)となりました。これは主に、リテールセールスの販売が増加したことによる従業員給与の増加及び販売用不動産の取得に伴う借入に係る登記費用の増加によるものであります。
その結果、当連結会計年度の営業利益は、2,141百万円(前期比53.6%減)となりました。
なお、売上高の減少により固定費割合が高まったこと及び販売効率の高いホールセールの1棟販売が減少したため、営業利益率は、前連結会計年度より1.9ポイント減少し、9.6%となりました。
(営業外損益、経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は、108百万円(前期比84.2%増)、営業外費用は、461百万円(前期比40.2%増)となりました。これは主に、販売用不動産の取得に伴う借入金に係る支払利息が増加したことによるものであります。
その結果、当連結会計年度の経常利益は、1,788百万円(前期比58.8%減)となりました。
(特別利益、特別損失、税引前当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は、17百万円(前期は計上なし)、特別損失は、133百万円(前期比41.3%増)となりました。これは主に、株式会社ルームバンクインシュアの連結子会社化の際に発生したのれんについて、当連結会計年度において70百万円の減損損失を計上したことによるものであります。
その結果、当連結会計年度の税引前当期純利益は、1,672百万円(前期比60.6%減)となりました。
(法人税等、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の法人税等は、642百万円(53.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、1,030百万円(64.0%減)となりました。
B.財政状態の分析
(流動資産)
当連結会計年度末における流動資産は53,002百万円となり、前年度末に比べ29,368百万円増加いたしました。主な要因は、現金及び預金が3,615百万円減少した一方で、販売用不動産が26,166百万円、仕掛販売用不動産が4,915百万円それぞれ増加したことによるものであります。
(固定資産)
当連結会計年度末における固定資産は494百万円となり、前年度末に比べ323百万円減少いたしました。主な要因は、関係会社株式が239百万円、のれんが105百万円それぞれ減少したことによるものであります。
(流動負債)
当連結会計年度末における流動負債は30,564百万円となり、前年度末に比べ22,519百万円増加いたしました。主な要因は、23棟1,190戸の物件売却の期ずれにより、短期借入金が12,638百万円、1年内返済予定の長期借入金が11,343百万円それぞれ増加したことによるものであります。
(固定負債)
当連結会計年度末における固定負債は11,324百万円となり、前年度末に比べ6,388百万円増加いたしました。主な要因は、開発用地の取得等により長期借入金が6,412百万円増加したことによるものであります。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は11,608百万円となり、前年度末に比べ136百万円増加いたしました。主な要因は、配当の支払により利益剰余金が862百万円減少した一方で、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が1,030百万円増加したことによるものであります。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループは、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業内容、経済状況、法的規制等、様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。当社グループは、これらのリスク要因について注視するとともに、リスクを低減できるよう適切な対応を行ってまいります。
④ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容ならびに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
キャッシュ・フローの状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資金需要の主なものは、販売用不動産の取得資金であります。資金調達については、物件ごとに借入条件を勘案し、金融機関から借入れております。また、当社グループが成長を続けるためには、仕入物件の確保及び財務能力の健全性の維持が重要であると認識しておりますので、金融機関からの借入れや社債の発行、新株式発行による増資等、手許資金とのバランスを考慮し、成長原資である物件の確保、自己資本比率の上昇及び有利子負債依存度の低減により、財務能力の健全性を確保いたします。
なお、当連結会計年度末及び前連結会計年度末の有利子負債依存度については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
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