【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社及び持分法適用会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当社グループは、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を当連結会計年度の期首から適用しております。そのため、当連結会計年度における経営成績に関する説明については、前連結会計年度と比較しての増減額及び前年同期比(%)の一部を除いて記載せずに説明しております。
詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(会計方針の変更)」に記載のとおりであります。
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症による規制が徐々に緩和され、社会経済活動も緩やかに持ち直しが見られましたが、急激な円安による為替相場の変動やロシア・ウクライナ情勢に起因する資源・エネルギーコスト等の高騰など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような状況のもと、当社グループでは、更なる成長と企業価値の向上を目指して策定した2030年11月期に向けた中長期ビジョン及び3ヵ年の中期経営計画を推進するため、各事業での主要施策の展開に注力してまいりました。
以上により、当連結会計年度の売上高は、496億3千6百万円(前年同期は723億2千2百万円)、原材料価格やエネルギーコスト等の影響から営業利益は8億1千9百万円(前年同期は22億3千3百万円)、経常利益は8億8千7百万円(前年同期は24億2千万円)、保有する有価証券の一部について評価損を計上したことにより親会社株主に帰属する当期純利益は5億7千9百万円(前年同期は17億3千6百万円)となりました。
なお、仮に収益認識会計基準等の適用による変更前の会計方針を適用した場合、当連結会計年度の売上高は723億8千9百万円(前年同期比0.1%増)、営業利益は8億4千8百万円(前年同期比62.0%減)、経常利益は9億1千6百万円(前年同期比62.1%減)、税金等調整前当期純利益は14億4千7百万円(前年同期比53.0%減)となります。
次にセグメントの概況につきご報告申し上げます。
ファインケミカル事業
医薬品原料市場におきましては、為替の大幅な円安基調並びにエネルギーコスト等の増加による要因から、継続的な価格対応を余儀なくされる環境が継続しております。一方ジェネリック医薬品分野におきましては、期中に発生した一部企業での製造管理等における諸問題を受け、原薬の荷動きにも影響を与える環境となっております。
このような状況のもと、販売面は、新規ジェネリック医薬品原薬や新薬向け中間体の新規販売に注力し、製造面は、新規受託案件の獲得や獲得した案件の遂行に注力いたしました。また、継続的にファインケミカル事業ならびに医薬事業のグループ各社と連携した取り組みと提案にも注力いたしました。その結果、新型コロナウイルス感染症の影響は残るものの、前年と比較して国内外への自社製品である解熱消炎鎮痛剤やアレルギー剤の原薬を中心に回復基調となっております。一方でジェネリック医薬品分野における新規開発品目への輸入原薬の採用や、自社受託製品の新規採用および既存品目の好調な荷動き、新薬分野における新たな開発案件による貢献もあり、総じて好調に推移いたしました。
医薬品CDMO(Contract Development and Manufacturing Organization)市場におきましては、製薬企業各社は新規モダリティの研究開発へ注力しており、低分子医薬品はオープンイノベーションなどベンチャーとの提携が増加しております。実際に米国では低分子医薬品の起源の多くがベンチャーに移っており、低分子医薬品のCMC(Chemistry, Manufacturing and Control)分野における外部委託は、今後増加していく見通しです。
このような状況のもと、CMC分野では外部委託のマーケットと現状のマーケットシェアとのギャップに基づいてターゲットセグメントを設定し、セグメント毎のアクションアイテムを明確化し、営業活動を継続いたしました。また新規モダリティ対応のため、サービスポートフォリオの見直しに取り組んでまいりました。その結果、一部新型コロナウイルス感染症の影響による製薬企業の医薬品開発の遅れや変更等の影響があったものの、経営環境の変化に伴う受注への影響もあり、売上高はやや弱含みな推移となりました。
以上により、当事業全体の売上高は146億3千万円(前年同期は229億3千3百万円)、営業利益は2億4千8百万円(前年同期は13億8千6百万円の営業利益)となりました。
HBC・食品事業
化粧品原料市場におきましては、国内化粧品市場が新型コロナウイルス感染症の行動制限緩和、水際対策の解除の影響もあり好調に推移している状況となり、通販化粧品市場におきましては、引き続き好調に推移している状況となっております。
このような状況のもと、化粧品原料分野におきましては、新規自社企画品及び自社原料の拡大及び顧客獲得のための新しい取り組みに注力し、通販化粧品分野におきましては、全国紙に新規広告を投下するなど積極的に展開しました。その結果、化粧品原料分野は、一部の得意先への販売が減少するなどがありましたが、新型コロナウイルス感染症の行動制限緩和、水際対策の解除の影響もあり堅調に推移いたしました。一方、通販化粧品分野は、主要顧客層の外出が増加するなど新型コロナウイルス感染症の影響は薄らいでおり、売上、利益とも前同を超過するなど好調に推移いたしました。
ドラッグストア・薬局・薬店を主とした市場におきましては、特に食品や日用品での販売が好調に推移している状況となっております。また秋口からの新型コロナウイルス感染症の水際対策の解除はインバウンドを呼び込む形となり、好影響を与えました。
このような状況のもと、一般用医薬品を主体とした卸売分野では、不採算取引の是正を継続するとともに、マルマンH&B株式会社と営業機能統合によるシナジーの創出に取り組み、自社商品の企画・販売促進に力を入れてまいりました。その結果、一般用医薬品を主体とした卸売分野は、不採算取引の解消が進み売上は大きく落ち込んだものの、営業利益は改善いたしました。また、新型コロナウイルス感染症の水際対策が解除された影響で10月及び11月の医薬品販売が好調に推移いたしました。一方、商品企画分野では、自社企画商品「Pureal(ピュレア)」が好調に推移したほか、EC販売においても「韓国コスメ」のキャンペーンにより好調に推移いたしました。
食品原料市場におきましては、原材料価格、エネルギーコスト、物流費の高騰、円安の影響が随所に見られ、値上げも相次いだことから消費マインドにマイナスの影響がありました。
このような状況のもと、食品原料分野では、組織の営業力強化を重点に置き、自社原料の提案、既存顧客の取引拡大、新規顧客の獲得及びその成功事例の組織活用に積極的に取り組んでまいりました。その結果、食品原料分野は、営業の対応力が顧客に評価され大口顧客の獲得に成功し、成功事例の横展開を行うことで売上は好調に推移いたしました。機能性食品原料分野では、顧客のニーズを的確にとらえた提案が奏功し、好調に推移いたしました。
以上により、当事業全体の売上高は139億7千万円(前年同期は282億3千8百万円)、営業利益は1億4千1百万円(前年同期は3億4千3百万円の営業損失)となりました。
医薬事業
医療用医薬品市場におきましては、2021年12月のジェネリック医薬品の製造管理等における諸問題後に10社を超える企業が業務停止・改善命令を受け、販売中止や出荷停止も多発、信頼回復に向け、各社では製造管理・品質管理の徹底、コンプライアンス・ガバナンスの徹底を図る取り組みに注力しています。他方、新型コロナウイルス感染症の影響が緩和され、社会活動が徐々に回復し、医療関係者とのコミュニケーションはECやITを併用した営業活動が主流となってきております。
このような状況のもと、医療用医薬品分野では、新型コロナウイルス感染対策に万全を期すとともに、営業DXのフル活用、2022年4月に承継した先発品をフックとした顧客開拓、後発品の研究開発や事業開発に注力いたしました。美容医療分野では、美容クリニック向け新製品の拡販に注力いたしました。岩城製薬佐倉工場株式会社では、受託品の安定供給並びに試験検査や固形剤新規案件の獲得に向け積極的に取り組みました。その結果、医療用医薬品では、売上が好調に推移いたしましたが、原材料やエネルギーコストなど各種コスト高騰の影響により売上原価が上昇し収益性が悪化いたしました。また、岩城製薬佐倉工場株式会社ではロシアのウクライナ侵攻の影響により欧州からの輸入機器の納期が遅延、注射設備の竣工が約2ヵ月延期となりました。一方、国内初となる抗真菌薬ジェネリック新製品の2022年12月発売に向けたマーケティング活動による顧客開拓、株式会社キノファーマとの共同開発・商業化契約や美容医療ブランドホルダー機能移管に伴う自社新製品開発の進捗もありました。
以上により、当事業全体の売上高は117億5千4百万円(前年同期は124億5千2百万円)、営業利益は3億9千2百万円(前年同期は9億8百万円の営業利益)となりました。
化学品事業
表面処理薬品市場におきましては、主力セグメントである半導体及び受動部品を始めとした電子部品市場が下半期にかけて急速に低迷いたしました。更に、世界的にあらゆる部品、原料の調達不安が断続的に発生し、多くの原材料価格、物流費用が高騰傾向となるなど、製造、流通面においてサプライチェーン上の逆風がより強くなり、厳しい状況となりました。
このような状況のもと、表面処理薬品分野では、国内においては、お客様とのコミュニケーションが少しずつ正常化に向かい、微細配線形成用薬品、半導体電極形成用薬品、受動部品向けめっき薬品の拡販を継続してまいりました。また海外への渡航も緩和されつつあるものの、新型コロナウイルス感染症の流行前の状況には戻らず、在外販売会社による主力製品の拡販を強化いたしました。その結果、新型コロナウイルス感染症に対し適切に対応しつつ活動を少しずつ再開してまいりました。電子部品、半導体向け薬品においては、車載部品を中心に在庫過剰による減産、また材料不足による生産制限も重なり大きく失速いたしました。結果として販売等においては低調に推移いたしました。
表面処理設備市場におきましては、世界経済が「ポスト・コロナ」を志向し始めたことで、2021年度までリモート需要としてIT市場を支えてきたPCやタブレットの需要が減速いたしました。一方で自動車市場における電動化の加速は産業機器市場の半導体や電池等、関連する部品の比率が高い企業の業績を牽引いたしました。
このような状況のもと、表面処理設備分野では、新型コロナウイルス感染症やロシアによるウクライナ侵攻の状況も勘案し、在庫確保に注力するとともに、当連結会計年度も装置事業のテーマである”納期短縮”に向けて、これまで以上に業務の効率化に努め、顧客満足度向上の取り組みを進めてまいりました。また製造業として”安全操業”を目指し、社員が安全で健康に業務ができる職場環境整備にも注力してまいりました。その結果、当連結会計年度も引き続き業務改善活動を推し進め「顧客満足度」につながる施策、新型コロナウイルス感染症に対する規制緩和、更に創意工夫により営業活動や現場工事計画を進めたことにより、売上目標・営業利益目標・経常利益目標を大きく超える結果で着地しました。また前期に続き第2期工場増築による生産量増加は昨年同様受注量に反映され、売上拡大に大きく寄与しました。
以上により、当事業全体の売上高は92億7千8百万円(前年同期は86億9千7百万円)、営業損失は1億5千6百万円(前年同期は3億8千3百万円の営業利益)となりました。
その他事業
社会課題解決事業では、ソーシャルインパクト投資として「のとSDGsファンド」を通じて社会課題を解決するベンチャーを中心とした企業に投資を行うとともに、投資先銘柄と当社のシナジーを創出していくことを目的に、2021年12月より投資を開始し、当連結会計年度中に9銘柄に投資を実行いたしました。
以上により、当事業全体の売上高は2百万円、営業損失は4千2百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローは減少、投資活動によるキャッシュ・フローは減少、財務活動によるキャッシュ・フローは減少、これに現金及び現金同等物に係る換算差額を加えた全体で40億3百万円の減少となり、当連結会計年度末における資金残高は68億3百万円(前年同期比37.0%減)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における営業活動により減少した資金は7億4千2百万円(前年同期比20億9千1百万円減)となりました。これは、主に税金等調整前当期純利益14億1千8百万円、減価償却費21億1千7百万円、棚卸資産の増加額9億6千万円、未払費用の減少額7億8千万円、売上債権及び契約資産(前連結会計年度末においては売上債権)の増加額13億4百万円、法人税等の支払額12億5千8百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における投資活動により減少した資金は22億2千2百万円(前年同期比21億5千7百万円増)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出27億7千万円、有形固定資産の売却による収入15億5千5百万円、事業譲受による支出6億2千7百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度における財務活動により減少した資金は10億9千3百万円(前年同期比74億4千6百万円減)となりました。これは、主に短期借入金の純増減額10億円、長期借入金の返済による支出10億5千3百万円、配当金の支払額7億2千9百万円、自己株式の取得による支出3億9百万円等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
当社グループは見込み生産を行っているため受注実績の記載は省略しております。
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2021年12月1日
至 2022年11月30日)
前年同期比(%)
ファインケミカル事業(千円)
7,691,895
101.4
HBC・食品事業(千円)
4,451
27.5
医薬事業(千円)
8,191,443
106.4
化学品事業(千円)
5,424,376
108.6
報告セグメント計(千円)
21,312,167
105.0
その他(千円)
-
-
合計(千円)
21,312,167
105.0
b.商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2021年12月1日
至 2022年11月30日)
前年同期比(%)
ファインケミカル事業(千円)
4,555,287
-
HBC・食品事業(千円)
7,764,444
-
医薬事業(千円)
1,010,054
-
化学品事業(千円)
1,231,319
-
報告セグメント計(千円)
14,561,106
-
その他(千円)
-
-
合計(千円)
14,561,106
-
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度に係る各数値は、当該会計基準等を適用した後の数値となっており、商品仕入実績は対前期増減率を記載しておりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2021年12月1日
至 2022年11月30日)
前年同期比(%)
ファインケミカル事業(千円)
14,630,215
-
HBC・食品事業(千円)
13,970,550
-
医薬事業(千円)
11,754,561
-
化学品事業(千円)
9,278,531
-
報告セグメント計(千円)
49,633,858
-
その他(千円)
2,154
-
合計(千円)
49,636,012
-
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.当連結会計年度における「主な相手先別販売実績」については、販売実績の総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先はありませんので記載を省略しております。
3.「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日)等を当連結会計年度の期首から適用しており、当連結会計年度に係る各数値は、当該会計基準等を適用した後の数値となっており、販売実績は対前期増減率を記載しておりません。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表の作成にあたっては、過去の実績や状況に応じ合理的と考えられる様々な要因に基づき、見積り及び判断を行っております。
なお、重要な会計方針及び見積りの詳細については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4 会計方針に関する事項」及び「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
また、新型コロナウイルス感染拡大に伴う会計上の見積りについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
当連結会計年度末の財政状態につきましては、総資産635億5千1百万円(前期末比1百万円減)、負債364億8千3百万円(同6千4百万円減)、純資産270億6千8百万円(同6千2百万円増)となりました。
総資産の減少の主な理由は、現金及び預金の減少40億1百万円、受取手形、売掛金及び契約資産(前連結会計年度末においては受取手形及び売掛金)の増加18億2千万円、建設仮勘定の増加13億5千1百万円等によるものです。
負債の減少の主な理由は、短期借入金の増加9億8千1百万円、長期借入金の減少10億3千5百万円等によるものです。
純資産の増加の主な理由は、自己株式の増加2億7千7百万円、為替換算調整勘定の増加8千7百万円、退職給付に係る調整累計額の増加1億3百万円、非支配株主持分の増加7千5百万円等によるものです。
b.経営成績
(売上高)
ファインケミカル事業におきましては、医薬品原料分野では、新型コロナウイルス感染症の影響は残るものの、前年と比較して国内外への自社製品である解熱消炎鎮痛剤やアレルギー剤の原薬を中心に回復基調となっております。一方でジェネリック医薬品分野における新規開発品目への輸入原薬の採用や、自社受託製品の新規採用および既存品目の好調な荷動き、新薬分野における新たな開発案件による貢献もあり、総じて好調に推移いたしました。医薬品CDMO分野では、一部新型コロナウイルス感染症の影響による製薬企業の医薬品開発の遅れや変更等の影響があったものの、経営環境の変化に伴う受注への影響もあり、売上高はやや弱含みな推移となりました。
以上により、当事業全体の売上高は146億3千万円(前年同期は229億3千3百万円)となりました。
HBC・食品事業におきましては、化粧品原料分野では、一部の得意先への販売が減少するなどがありましたが、新型コロナウイルス感染症の行動制限緩和、水際対策の解除の影響もあり堅調に推移いたしました。一方、通販化粧品分野では、主要顧客層の外出が増加するなど新型コロナウイルス感染症の影響は薄らいでおり、売上、利益とも前同を超過するなど好調に推移いたしました。一般用医薬品を主体とした卸売分野では、不採算取引の解消が進み売上は大きく落ち込んだものの、営業利益は改善いたしました。また、新型コロナウイルス感染症の水際対策が解除された影響で10月及び11月の医薬品販売が好調に推移いたしました。一方、商品企画分野では、自社企画商品「Pureal(ピュレア)」が好調に推移したほか、EC販売においても「韓国コスメ」のキャンペーンにより好調に推移いたしました。食品原料分野では、営業の対応力が顧客に評価され大口顧客の獲得に成功し、成功事例の横展開を行うことで売上は好調に推移いたしました。機能性食品原料分野では、顧客のニーズを的確にとらえた提案が奏功し、好調に推移いたしました。
以上により、当事業全体の売上高は139億7千万円(前年同期は282億3千8百万円)となりました。
医薬事業におきましては、医療用医薬品分野では、売上が好調に推移いたしましたが、原材料やエネルギーコストなど各種コスト高騰の影響により売上原価が上昇し収益性が悪化いたしました。また、岩城製薬佐倉工場株式会社ではロシアのウクライナ侵攻の影響により欧州からの輸入機器の納期が遅延、注射設備の竣工が約2ヵ月延期となりました。一方、国内初となる抗真菌薬ジェネリック新製品の2022年12月発売に向けたマーケティング活動による顧客開拓、株式会社キノファーマとの共同開発・商業化契約や美容医療ブランドホルダー機能移管に伴う自社新製品開発の進捗もありました。
以上により、当事業全体の売上高は117億5千4百万円(前年同期は124億5千2百万円)となりました。
化学品事業におきましては、表面処理薬品分野では、電子部品、半導体向け薬品においては、車載部品を中心に在庫過剰による減産、また材料不足による生産制限も重なり大きく失速し、販売等においては低調に推移いたしました。表面処理設備分野では、当連結会計年度も引き続き業務改善活動を推し進め「顧客満足度」につながる施策、新型コロナウイルス感染症に対する規制緩和、更に創意工夫により営業活動や現場工事計画を進めたことにより、売上目標・営業利益目標・経常利益目標を大きく超える結果で着地しました。また前期に続き第2期工場増築による生産量増加は昨年同様受注量に反映され、売上拡大に大きく寄与しました。
以上により、当事業全体の売上高は92億7千8百万円(前年同期は86億9千7百万円)となりました。
その他事業におきましては、売上高は2百万円となりました。
この結果、全体の売上高は496億3千6百万円(前年同期は723億2千2百万円)となりました。
(営業利益)
広告宣伝費の増加2億4千3百万円、報酬及び給料手当の増加9千万円、減価償却費の増加2億5百万円等により、販売費及び一般管理費は146億2千万円(前年同期は143億6千9百万円)となりました
この結果、営業利益は8億1千9百万円(前年同期は22億3千3百万円)となりました。
(経常利益)
営業利益が減少したことに加え、営業外収益の為替差益の増加7千4百万円、営業外費用の持分法による投資損失の増加5千3百万円、商品評価損の増加6千2百万円等により、経常利益は8億8千7百万円(前年同期は24億2千万円)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
経常利益が減少したことに加え、特別利益に固定資産売却益6億9千5百万円、投資有価証券売却益2億6千1百万円等を計上したものの、特別損失に投資有価証券評価損3億3百万円等を計上したことなどにより、親会社株主に帰属する当期純利益は5億7千9百万円(前年同期は17億3千6百万円)となりました。
c.資本の財源及び資金の流動性
ⅰ.キャッシュ・フロー
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
ⅱ.契約債務
2022年11月30日現在の契約債務の概要は以下のとおりであります。
年度別要支払額(千円)
契約債務
合計
1年以内
1年超3年以内
3年超5年以内
5年超
短期借入金
9,000,000
9,000,000
-
-
-
長期借入金
5,812,500
1,035,000
1,820,000
1,370,000
1,587,500
リース債務
238,557
101,738
105,513
23,513
7,792
上記の表において、連結貸借対照表の短期借入金に含まれている1年内返済予定の長期借入金は、長期借入金に含めております。
ⅲ.財政政策
当社グループは、運転資金、設備資金及びM&A等の投資資金につきましては、自己資金を充当するほか、金融機関からの借入れ、売掛債権の流動化など多角的な資金調達を検討、実施しております。このうち、運転資金は自己資金、金融機関からの短期借入を基本としており、大型設備やM&A投資資金等は金融機関からの長期借入を基本としております。
2022年11月30日現在、長期借入金の残高は47億7千7百万円であります。また、当連結会計年度末において、複数の金融機関との間で合計130億円のコミットメントライン契約を締結しております(借入実行残高0円、借入未実行残高130億円)。
d.経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標の当期達成状況
当社グループでは、2030年11月期を最終年度とする新たな中長期ビジョンにおいては、売上高1,300億円、自己資本当期純利益率(ROE)13.0%以上を経営上の目標の達成状況を判断するための客観的指標と位置付けております。
当連結会計年度においては、仮に収益認識会計基準等の適用による変更前の会計方針を適用した場合の売上高は、723億円、前連結会計年度比0.1%増加となりました。増加の主な理由としましては、医薬事業において売上高がやや弱含みな推移となった一方、化学品事業において表面処理設備分野の販売が好調であったことに起因するものであります。
自己資本当期純利益率(ROE)は、2.1%と前連結会計年度に比べ5.0pt減少いたしました。減少の主な理由としましては、主に親会社株主に帰属する当期純利益が減益となったことに起因するものであります。