【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、廃溶剤を回収したドラム缶等の容器を資材として売却した収入について表示方法の変更を行っております。当該変更に伴い、前連結会計年度の業績について、表示方法の変更を反映した遡及処理を行っております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (表示方法の変更)」をご参照ください。
① 財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度(2022年11月1日~2023年10月31日)における世界経済は、コロナ禍からの経済活動の再開により緩やかな回復基調であるものの、世界的な金融引き締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念、長期化するウクライナ情勢やイスラエル・パレスチナ情勢の悪化に伴う地政学的リスクの高まり等、予断を許さない状況となっております。
わが国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い経済活動の正常化に向けた動きが進み、景気は緩やかな回復傾向が続きましたが、原材料価格やエネルギー価格の高騰、急激な為替変動、物価の上昇等、依然として先行き不透明な状況が続いております。
このような状況のもと、当社グループは絶えず独創的、革新的な研究と技術力の向上に努め、付加価値の高い製品の開発を行うとともに、お客様の満足度を第一とし、品質と機能において常に優れた製品、サービス、情報を提供することに努めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態、経営成績は以下のとおりとなりました。
a.財政状態の状況
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ617百万円増加し、28,840百万円となりました。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ50百万円減少し、6,087百万円となりました。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ667百万円増加し、22,753百万円となりました。
b.経営成績の状況
当連結会計年度の売上高は20,164百万円(前年同期比1.4%減)、営業利益1,253百万円(前年同期比26.9%減)、経常利益1,360百万円(前年同期比35.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益951百万円(前年同期比37.2%減)となりました。
セグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
なお、当連結会計年度より、従来「シンナー事業」としていた報告セグメントの名称を「蒸留事業」に変更し、廃溶剤の蒸留を基本に付加価値の高い製品の製造・販売を行うとともに、当社グループとして循環型社会形成に向け、環境に対する取組みを推進しております。この変更はセグメント名称の変更であり、セグメント情報に与える影響はありません。
塗料事業
金属用塗料分野では、工作機械、特殊車両、鋼製家具を中心に採用された意匠、機能性塗料の販売が伸びたことや新たに上市した屋根用遮熱塗料の採用が増えたことで、売上高は前年同期に比べ増加いたしました。建材用塗料分野では、新設住宅着工動向は前年割れと厳しい方向へ推移し、主力ユーザーの生産状況も国内の住宅市況悪化に伴い需要が低下したため、売上高は前年同期に比べ減少いたしました。セグメント利益は、原材料価格やエネルギー価格の高騰、物流コストの上昇などの影響を受け、前年同期に比べ減少いたしました。
その結果、塗料事業における当連結会計年度の売上高は12,360百万円(前年同期比1.3%増)、セグメント利益は809百万円(前年同期比18.6%減)となりました。
ファインケミカル事業
モビリティ(自動車関連)向けのコーティング剤の需要は堅調であったものの、ディスプレイ業界の需要回復の遅れの影響を受け、スマートフォンやタブレットのアクセサリー、PC、光学フィルム向けのコーティング剤の需要が減少したことにより、売上高及びセグメント利益は前年同期に比べ大幅に減少いたしました。
その結果、ファインケミカル事業における当連結会計年度の売上高は2,532百万円(前年同期比22.7%減)、セグメント利益は795百万円(前年同期比32.1%減)となりました。
蒸留事業
新規ユーザーの獲得や既存ユーザーへの新規案件提案等に注力した結果、売上高及びセグメント利益は前年同期に比べ増加いたしました。
その結果、蒸留事業における当連結会計年度の売上高は5,270百万円(前年同期比6.1%増)、セグメント利益は380百万円(前年同期比38.0%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末より1,027百万円減少し、当連結会計年度末には6,103百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は、1,688百万円(前年同期は2,026百万円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益1,339百万円、減価償却費760百万円、売上債権の減少95百万円による資金の増加と法人税等の支払494百万円による資金の減少によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は、2,323百万円(前年同期は2,124百万円の支出)となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入1,485百万円、有価証券の償還による収入3,800百万円、信託受益権の償還による収入4,300百万円による資金の増加と定期預金の預入による支出3,123百万円、有価証券の取得による支出4,000百万円、信託受益権の取得による支出4,200百万円、有形固定資産の取得による支出617百万円による資金の減少によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果使用した資金は、383百万円(前年同期は414百万円の支出)となりました。これは主に、配当金の支払383百万円によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年11月1日
至 2023年10月31日)
前年同期比(%)
塗料事業(千円)
12,278,674
△0.6
金属用塗料(千円)
5,680,031
2.2
建材用塗料(千円)
6,373,168
△3.5
その他(千円)
225,475
18.8
ファインケミカル事業(千円)
2,525,180
△23.2
蒸留事業(千円)
5,279,624
5.7
合計(千円)
20,083,479
△2.7
(注)1.金額は販売価格で表示しており、セグメント間の内部振替前の数値によっております。
2.上記の実績のうちには、外注生産によるものが各種類ごとに含まれております。
b.受注実績
当社グループは、主として見込生産によっており、受注高及び受注残高について特に記載すべき事項はありません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年11月1日
至 2023年10月31日)
前年同期比(%)
塗料事業(千円)
12,360,501
1.3
金属用塗料(千円)
5,736,254
4.4
建材用塗料(千円)
6,398,780
△1.9
その他(千円)
225,466
20.1
ファインケミカル事業(千円)
2,532,532
△22.7
蒸留事業(千円)
5,270,985
6.1
合計(千円)
20,164,020
△1.4
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年11月1日
至 2022年10月31日)
当連結会計年度
(自 2022年11月1日
至 2023年10月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
ニチハ株式会社
4,943,282
24.2
4,828,494
23.9
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
また、当連結会計年度より、廃溶剤を回収したドラム缶等の容器を資材として売却した収入について表示方法の変更を行っております。当該変更に伴い、前連結会計年度の業績について、表示方法の変更を反映した遡及処理を行っております。
詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 注記事項 (表示方法の変更)」をご参照ください。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
(資産)
当連結会計年度末における流動資産の残高は20,125百万円となり、前連結会計年度末に比べ746百万円増加いたしました。これは主に受取手形及び売掛金が264百万円、信託受益権が100百万円減少したものの、現金及び預金が679百万円、電子記録債権が171百万円、有価証券が200百万円増加したことによるものであります。固定資産の残高は8,715百万円となり、前連結会計年度末に比べ128百万円減少いたしました。これは主に投資有価証券が67百万円増加したものの、建物及び構築物(純額)が51百万円、機械装置及び運搬具(純額)が13百万円、建設仮勘定が94百万円、無形固定資産が35百万円減少したことによるものであります。
この結果、当連結会計年度末の総資産は28,840百万円となり、前連結会計年度末に比べ617百万円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債の残高は5,507百万円となり、前連結会計年度末に比べ40百万円減少いたしました。これは主にその他流動負債が115百万円増加したものの、支払手形及び買掛金が40百万円、未払法人税等が105百万円、賞与引当金が25百万円減少したことによるものであります。固定負債の残高は579百万円となり、前連結会計年度末に比べ9百万円減少いたしました。これは主にその他固定負債が16百万円増加したものの、役員退職慰労引当金が22百万円減少したことによるものであります。
この結果、当連結会計年度末の負債合計は6,087百万円となり、前連結会計年度末に比べ50百万円減少いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産の残高は22,753百万円となり、前連結会計年度末に比べ667百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益を951百万円計上した一方で、配当金の支払384百万円があったこと、その他有価証券評価差額金が67百万円、為替換算調整勘定が28百万円増加したことによるものであります。
この結果、自己資本比率は78.9%(前連結会計年度末は78.3%)となりました。
b.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は20,164百万円(前年同期比1.4%減)となりました。
この内訳といたしましては、塗料事業の売上高が12,360百万円(前年同期比1.3%増)、ファインケミカル事業の売上高が2,532百万円(前年同期比22.7%減)、蒸留事業の売上高が5,270百万円(前年同期比6.1%増)であります。
概況につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
(営業利益)
売上原価は15,677百万円(前年同期比0.8%増)、売上原価率は77.8%(前連結会計年度末は76.1%)となりました。これは主に原材料価格やエネルギー価格の高騰に伴う材料費、経費の増加によるものであります。
販売費及び一般管理費は3,232百万円(前年同期比1.7%増)となりました。これは主に行動制限解除による営業活動の再開が進んだことによる旅費交通費の増加や物流コストの上昇による増加であります。
この結果、当連結会計年度における営業利益は1,253百万円(前年同期比26.9%減)となりました。
(経常利益)
営業外収益は109百万円(前年同期比72.1%減)となりました。主な内容としては、受取利息43百万円、為替差益38百万円であります。
営業外費用は1百万円(前年同期比4.4%減)となりました。
この結果、当連結会計年度における経常利益は1,360百万円(前年同期比35.3%減)となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)
特別利益は32百万円となりました。主な内容としては、投資有価証券売却益28百万円であります。
特別損失は53百万円となりました。主な内容としては、固定資産処分損53百万円であります。
この結果、当連結会計年度における親会社株主に帰属する当期純利益は951百万円(前年同期比37.2%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは、次のとおりであります。
2019年10月期
2020年10月期
2021年10月期
2022年10月期
2023年10月期
自己資本比率(%)
76.8
77.3
78.4
78.3
78.9
時価ベースの自己資本比率(%)
40.8
31.1
47.3
41.0
36.8
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)
8.1
11.2
8.9
8.9
11.5
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)
123,936
477,270
600,145
596,953
318,722
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
(注1)いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(注2)株式時価総額は自己株式を除く発行済株式総数をベースに計算しております。
(注3)キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを利用しております。
(注4)有利子負債は連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループの運転資金需要の主なものは、原材料の購入、製造費、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資を目的とした資金需要の主なものは、生産設備等の設備投資であります。
これらの運転資金や投資資金は、自己資金により充当することを基本方針としておりますが、必要に応じて資金調達を行ってまいります。
なお、当連結会計年度末における有利子負債の残高は193百万円となっております。
また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は6,103百万円となっております。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成において、会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。これらの見積りについては過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。
なお、当社グループが連結財務諸表の作成に際して採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑥ 経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するため客観的な指標等
当社グループは、独創的な高付加価値製品を開発し、生産性の向上を推進するなかで収益率を重視した経営を目指し、売上高営業利益率15%、海外売上高比率30%を目標としております。
当連結会計年度の売上高営業利益率は6.2%(前年同期8.4%)、海外売上高比率は16.8%(前年同期18.6%)となりました。引き続き当該指標の改善に邁進していく所存であります。