【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の概要
当事業年度の財政状態及び経営成績は以下の通りであります。
a.財政状態
当事業年度末の総資産は前事業年度末より517百万円増加して17,527百万円となりました。
流動資産は前事業年度末より1,357百万円増加の8,634百万円、固定資産は前事業年度末より839百万円減少の8,892百万円となりました。
流動資産増加の主な原因は、有価証券が減少したものの、現金及び預金と電子記録債権が増加したこと等によるものです。固定資産減少の主な原因は、投資有価証券を売却したこと等によるものです。
当事業年度末の負債は前事業年度末より363百万円増加して2,359百万円となりました。
流動負債は前事業年度末より442百万円増加の1,753百万円、固定負債は前事業年度末より78百万円減少の605百万円となりました。
流動負債増加の主な原因は、未払法人税等、電子記録債務及び買掛金の増加等によるものです。固定負債減少の主な原因は、役員退職慰労引当金が増加したものの、繰延税金負債が減少したこと等によるものです。
当事業年度末の純資産は前事業年度末より154百万円増加して15,168百万円となりました。
この結果、自己資本比率は88.3%から86.5%になり、1株当たり純資産は18,945円71銭から19,141円41銭となりました。
b.経営成績
新型コロナウイルス感染症の影響が長期化する状況のもと、行動制限の解除やワクチンの普及により経済活動が徐々に正常化に向かっている一方で、ロシアによるウクライナ侵攻長期化の影響による資源エネルギー価格・原材料価格の高止まりや、歴史的な円安の進行などにより、依然として先行き不透明な状態が続いております。
このような状況の下当社は、製品を安定的に供給するため原材料の確保に最大限の努力をすると同時に原材料価格の高騰を製品価格に転嫁いたしました。
高圧メラミン化粧板製品では、焼却時のCO2を40%削減できるフェノールフリーメラミン化粧板「メラバイオ」について、ご好評頂いている「ニュアンスカラー」に新柄を5柄追加いたしました。また、植物由来の原材料を50%以上使用した人工大理石「バイオマーブルカウンター」では、従来の人工大理石にはない、ダイナミックで大柄な大理石柄を追加いたしました。
ケミカルアンカー製品では、容器をフォイルパック化することで廃棄物を85%以上削減できる、エポキシ樹脂を採用した環境配慮型カートリッジ製品「ケミチューブ GL430」の販売を開始いたしました。
以上の結果、当事業年度の業績といたしましては、売上高は5,633百万円(前期比114.9%)、営業利益は419百万円(前期比122.9%)、経常利益は508百万円(前期比123.1%)となりました。また、当社が保有する投資有価証券の一部売却による投資有価証券売却益306百万円を特別利益に計上したことにより、当期純利益は576百万円(前期比204.5%)となりました。
次にセグメント別の業績を述べます。
<建築材料事業セグメント>
化粧板製品
高圧メラミン化粧板は、新型コロナウイルス感染症の影響による在宅勤務の普及や物件減少によりオフィス家具向け、トイレブース市場向けの需要が減少したものの、競合他社の工場閉鎖に伴う新規顧客との取引増加、店舗市場が一部回復基調となったこと、及び原材料等の価格高騰の一部を販売価格に転嫁したことにより、売上が増加しました。
不燃メラミン化粧板は、資材高騰による買い控え及び住宅リフォーム市場の工事件数減少により販売が減少したものの、新規顧客との取引増加、原材料等の価格高騰の一部を販売価格に転嫁したことにより、売上が増加しました。
その結果、化粧板製品の売上高は3,635百万円(前期比119.8%)となりました。
電子部品業界向け製品
電子部品業界向け製品は、自動車の半導体不足や部品調達の遅れにより電装化の需要が減少したものの、5G(第5世代移動通信システム)や産業機器向け等のプリント基板用フェノール樹脂積層板が堅調であったこと、原材料等の価格高騰の一部を販売価格に転嫁したことにより、売上が増加しました。
その結果、電子部品業界向け製品の売上高は821百万円(前期比114.4%)となりました。
ケミカルアンカー製品
ケミカルアンカー製品は、資材の高騰、エネルギー高により予定価格と入札金額の乖離が発生したことにより入札の不調、発注の見送りなどの影響を受け主に建築工事分野での販売が減少したものの、港湾土木工事分野での販売が増加したこと、原材料等の価格高騰の一部を販売価格に転嫁したことにより、売上が増加しました。
その結果、ケミカルアンカー製品の売上高は739百万円(前期比100.8%)となりました。
これらの結果、その他の売上高も合わせて、当セグメントの売上高は5,250百万円(前期比115.6%)となりました。
<不動産事業セグメント>
不動産事業は、堅調に推移し売上は増加しました。
その結果、不動産事業セグメントの売上高は383百万円(前期比105.1%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は営業活動により286百万円増加、投資活動により1,059百万円増加、財務活動により207百万円減少したこと等により、前事業年度末に比べ1,156百万円増加し、当事業年度末には5,584百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において営業活動の結果獲得した資金は286百万円(前期比43.1%)となりました。これは、主に税引前当期純利益814百万円及び減価償却費324百万円計上による増加要因と、投資有価証券売却益306百万円の計上、売上債権の増加423百万円及び棚卸資産の増加339百万円による減少要因によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において投資活動の結果獲得した資金は1,059百万円(前期比563.5%)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出が225百万円、無形固定資産の取得による支出が18百万円あったこと、投資有価証券の売却による収入が803百万円、有価証券の償還による収入が500百万円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当事業年度において財務活動の結果使用した資金は207百万円(前期比64.5%)となりました。これは、配当金の支払額が207百万円であったこと等によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当事業年度の生産実績については、建築材料事業セグメントの製品区分別に記載しております。なお、不動産事業セグメントの生産実績はありません。
製品区分別
当事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
化粧板製品(千円)
3,461,489
119.8
電子部品業界向け製品(千円)
896,447
127.6
ケミカルアンカー製品(千円)
720,437
101.4
合計(千円)
5,078,373
118.0
(注)金額は販売価格によっております。
b.商品仕入実績
当事業年度の商品仕入実績については、建築材料事業セグメントの製品区分別に記載しております。なお、不動産事業セグメントの商品仕入実績はありません。
製品区分別
当事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
化粧板製品(千円)
261,363
131.1
ケミカルアンカー製品(千円)
23,422
195.2
合計(千円)
284,786
134.8
c.受注実績
当事業年度の受注実績については、建築材料事業セグメントの製品区分別に記載しております。なお、不動産事業セグメントは該当事項はありません。
製品区分別
当事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
化粧板製品(千円)
3,664,584
120.4
124,953
129.9
電子部品業界向け製品(千円)
782,812
103.8
28,464
42.4
(注)1.金額は販売価格によっております。
2.ケミカルアンカー製品については、主として、見込生産方式によっております。
d.販売実績
当事業年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
製品区分別
当事業年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
建築材料事業
化粧板製品(千円)
3,635,803
119.8
電子部品業界向け製品(千円)
821,491
114.4
ケミカルアンカー製品(千円)
739,151
100.8
その他
53,740
99.6
小計(千円)
5,250,187
115.6
不動産事業(千円)
383,601
105.1
合計(千円)
5,633,789
114.9
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次の通りであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の財政状態及び経営成績は次の通りであります。
a.経営成績等の状況
当事業年度の経営成績は、高圧メラミン化粧板において、新型コロナウイルス感染症の影響による在宅勤務の普及や物件減少によりオフィス家具向け、トイレブース市場向けの需要が減少したものの、競合他社の工場閉鎖に伴う新規顧客との取引増加、店舗市場が一部回復基調となったこと、及び原材料等の価格高騰の一部を販売価格に転嫁したことにより、売上が増加しました。不燃メラミン化粧板は、資材高騰による買い控え及び住宅リフォーム市場の工事件数減少により販売が減少したものの、新規顧客との取引増加、原材料等の価格高騰の一部を販売価格に転嫁したことにより、売上が増加しました。電子部品業界向け製品は、自動車の半導体不足や部品調達の遅れにより電装化の需要が減少したものの、5G(第5世代移動通信システム)や産業機器向け等のプリント基板用フェノール樹脂積層板が堅調であったこと、原材料等の価格高騰の一部を販売価格に転嫁したことにより、売上が増加しました。ケミカルアンカー製品は、資材の高騰、エネルギー高により予定価格と入札金額の乖離が発生したことにより入札の不調、発注の見送りなどの影響を受け主に建築工事分野での販売が減少したものの、港湾土木工事分野での販売が増加したこと、原材料等の価格高騰の一部を販売価格に転嫁したことにより、売上が増加しました。
その結果、売上高は5,633百万円(前期比114.9%)、売上高売上原価率は65.9%と前事業年度より2.4ポイント悪化し、売上高販管費率は26.6%と前事業年度より2.9ポイント改善した結果、営業利益は前事業年度より77百万円増加の419百万円となりました。また、当社が保有する投資有価証券の一部売却による投資有価証券売却益306百万円を特別利益に計上したことにより、当期純利益は前事業年度より294百万円増加し、576百万円となりました。
b.経営成績に重要な影響を与える要因
当社の経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、四つあると考えております。一つ目は、建築・土木業界、電子・プリント基板業界、不動産業界、公共工事の動向に影響を受けます。住宅着工件数や公共投資の増加、減少により当社の業績は大きく影響を受けます。二つ目は、原油価格に影響を受けます。当社はプラスチック製品の販売製造が主体であるため、原油価格の上昇、下落により原材料及び燃料の調達コストが変動し、当社の業績は大きく影響を受けます。三つ目は、為替レートの変動に影響を受けます。為替レートの円安、円高により原材料及び燃料の調達コストが変動し、当社の業績は大きく影響を受けます。四つ目は、大規模災害や新型コロナウイルス感染症等の異常事態が発生した場合に、大きく影響を受けます。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社の資本の財源及び資金の流動性については、当社では、運転資金および設備投資資金については基本的に自己資金にてまかなうこととしております。
当事業年度において営業活動の結果獲得した現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は286百万円(前期比43.1%)となりました。これは、主に税引前当期純利益814百万円及び減価償却費324百万円計上による増加要因と、投資有価証券売却益306百万円の計上、売上債権の増加423百万円及び棚卸資産の増加339百万円による減少要因によるものであります。投資活動の結果獲得した資金は1,059百万円(前期比563.5%)となりました。これは、主に有形固定資産の取得による支出が225百万円、無形固定資産の取得による支出が18百万円あったこと、投資有価証券の売却による収入が803百万円、有価証券の償還による収入が500百万円あったこと等によるものであります。財務活動の結果使用した資金は207百万円(前期比64.5%)となりました。これは、配当金の支払額が207百万円であったこと等によるものであります。
これらの結果、当事業年度における資金は前事業年度末に比べ1,156百万円増加し、5,584百万円となりました。
③重要な会計上の見積及び当該見積に用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1.財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載の通りであります。
④経営方針・経営戦略、経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、企業価値の向上を意識した経営を推進すべく「自己資本当期純利益率(ROE)」を経営指標として採用しております。当社のROEの目標値は2.70%程度に設定しており、当事業年度におけるROEは3.82%(目標比1.12ポイント増)となりました。これは、当社が保有する投資有価証券の一部売却による投資有価証券売却益306百万円を特別利益に計上したことにより、当期純利益が増加したことが主な要因であります。引き続き、ROEの目標を達成できるよう取り組んでまいります。