【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(業績等の概要)
(1) 経営成績等の状況の概要当事業年度におけるわが国の経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の分類が5類に引き下げられる等、経済活動の正常化が進むなか、雇用・所得環境が改善する等、景気は緩やかに回復しております。しかしながら、金融の引き締めによる欧米の景気減速、不動産不況を主因とする中国経済の低迷及び円安進行による資源・エネルギー価格の上昇等、景気の先行きは不透明な状況で推移しております。こうした状況のなかで、フィルター部門の国内におきましては、自動車用フィルター業界は、自動車メーカーの生産ライン、カーディーラーに供給するフィルターメーカー(以下、純正メーカー)とカーショップ、ガソリンスタンド及び整備工場等に供給するフィルターメーカー(以下、市販メーカー)に大きく2つに分かれます。純正メーカーは、取引先の自動車メーカー、カーディーラー以外にも他の自動車メーカーのフィルターを品揃えして、補修用として市販メーカーの納入先にも販売しております。よって、自動車用フィルター市場は、純正メーカー、市販メーカーが入り混じって激しい競争を繰り広げており、特に価格の面では、新興国で製造された安価な商品が増加し、激しい価格競争にも晒されております。輸出におきましては、当社ブランド「VIC」を約40年間、海外の日本車向けに販売しておりますが、日本のフィルターメーカー、海外のフィルターメーカーと品質、価格等で激しい競争を展開しております。燃焼機器部門におきましては、プレス加工技術を活かし、1976年から風呂釜用バーナを製造するようになり、現在は、厨房機器メーカー、ボイラメーカー及びコインランドリーメーカー等にガスバーナ、熱交換器等を販売しております。当社は、新規取引先の開拓並びに既存取引先への訪問活動をコロナ禍以前と同等程度に戻しつつも、電話、メール及びWEB会議システム等も積極的に活用し、次のような営業活動を継続してまいりました。フィルター部門において国内では、付加価値の高い大型車用フィルター、既存品と差別化した高性能オイルフィルター、建設機械用フィルター及びプレス部品の拡販に注力するとともに、既存取引先との取引拡大に取り組んでまいりました。輸出では、主要輸出先への新製品の提案等の営業活動を強化してまいりました。燃焼機器部門では、取引先から依頼を受けたバーナの開発、既存のバーナ部品及び熱交換器の拡販に取り組んでまいりました。その結果、売上高は前事業年度に比べ1億58百万円減少し、67億96百万円(前年同期比2.3%減)、商品仕入価格、原材料価格、梱包資材並びに電力費の上昇等により売上原価が増加したことが要因となり、営業利益は前事業年度に比べ2億22百万円減少し、1億16百万円(前年同期比65.7%減)、営業利益が減少したことが要因となり、経常利益は前事業年度に比べ2億17百万円減少し、1億47百万円(前年同期比59.6%減)、当期純利益は前事業年度に比べ1億39百万円減少し、1億35百万円(前年同期比50.7%減)となりました。セグメント別の経営成績は、次の通りであります。 (フィルター部門)売上高に関しては、国内売上並びに輸出売上ともに減少しました。営業利益に関しては、商品仕入価格、原材料価格、梱包資材並びに電力費の上昇等により売上原価が増加したことが要因となり減少しました。その結果、売上高は前事業年度に比べ1億5百万円減少し、64億67百万円(前年同期比1.6%減)、営業利益は前事業年度に比べ1億99百万円減少し、4億10百万円(前年同期比32.7%減)となりました。 (燃焼機器部門)売上高に関しては、厨房機器用バーナ及びコインランドリー向けバーナの売上高が減少しました。営業利益に関しては、売上高の減少に伴い生産量が減少したことにより、生産効率が低下したことが要因となり減少しました。その結果、売上高は前事業年度に比べ53百万円減少し、3億27百万円(前年同期比14.0%減)、営業利益は前事業年度に比べ19百万円減少し、15百万円(前年同期比56.2%減)となりました。
(その他)灰皿等の販売をしております。売上高は前事業年度に比べ930千円増加し、1,726千円(前年同期比116.9%増)、営業損失は広告宣伝費等の経費が増加したことにより4,714千円(前事業年度は営業損失1,535千円)となりました。 なお、財政状態の状況については、次のとおりであります。事業年度末における資産は、前事業年度末と比べて31百万円増加し、70億78百万円(前事業年度末比0.4%増)となりました。主な要因は、電子記録債権制度を採用した取引先が増加したことにより受取手形が1億28百万円、投資有価証券の売却等により投資有価証券が91百万円、それぞれ減少したものの、資金決済用の当座預金が増加したことにより現金及び預金が73百万円、電子記録債権が2億11百万円、それぞれ増加したことによるものです。負債は、前事業年度末に比べ13百万円減少し、13億86百万円となりました。主な要因は、退職給付引当金が19百万円増加したものの、仕入が減少したこと等により買掛金が22百万円減少したことによるものです。また、純資産は、前事業年度末と比べて44百万円増加し、56億92百万円(前事業年度末比0.8%増)となりました。主な要因は、配当金の支払いにより利益剰余金が1億10百万円減少したものの、当期純利益の計上により利益剰余金が1億35百万円増加したことによるものです。
(2) キャッシュ・フローの状況当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の期末残高は、7億70百万円(前年同期比2億76百万円増)となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次の通りであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは、たな卸資産の増加額が1億6百万円となったこと及び法人税等の支払額が49百万円となったものの、税引前当期純利益が1億75百万円となったこと及び減価償却費が2億60百万円となったことにより、2億53百万円の収入(前事業年度は4億22百万円の収入)となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは、定期預金の預入による支出が10億54百万円となったこと及び有形固定資産の取得による支出が1億97百万円となったものの、定期預金の払戻による収入が12億57百万円となったこと及び投資有価証券の償還による収入が1億5百万円となったことにより、1億39百万円の収入(前事業年度は3億4百万円の支出)となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは、配当金の支払額が1億10百万円となったことにより、1億15百万円の支出(前事業年度は2億14百万円の支出)となりました。
(生産、受注及び販売の状況)
(1) 生産実績当事業年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称
生産高(千円)
前年同期比(%)
フィルター部門
4,957,697
94.2
燃焼機器部門
269,190
79.1
その他
1,026
128.2
合計
5,227,914
93.3
(注) 金額は、平均販売価格で記載しております。
(2) 仕入実績当事業年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称
仕入高(千円)
前年同期比(%)
フィルター部門
1,047,134
106.4
燃焼機器部門
7,061
79.1
その他
476
―
合計
1,054,672
106.2
(注) 金額は、仕入価格で記載しております。
(3)
受注実績当社は、見込生産方式をとっているため該当事項はありません。
(4) 販売実績当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次の通りであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前年同期比(%)
フィルター部門
6,467,392
98.4
燃焼機器部門
327,514
86.0
その他
1,726
216.9
合計
6,796,633
97.7
(注) 主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は次の通りであります。
相手先
前事業年度
当事業年度
販売高(千円)
割合(%)
販売高(千円)
割合(%)
ユニオンモーター㈱
2,712,728
39.0
2,490,288
36.6
日発販売㈱
735,909
10.6
810,298
11.9
(経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容) 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。 なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において当社が判断したものであります。 (1) 重要な会計方針及び見積り当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積り特有の不確実性から、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 2 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項 重要な会計方針」に記載しております。財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下の通りです。①たな卸資産当社は、たな卸資産は製造原価並びに取得原価で測定しておりますが、期末における正味実現可能価額が製造原価並びに取得原価より下落している場合には、正味実現可能価額で測定し、製造原価並びに取得原価との差額を売上原価に認識しております。また、滞留するたな卸資産については、滞留期間を基に当社の規程に則り、たな卸資産の評価額を変更しております。しかし、将来の事象の結果、見直しが必要となった場合、当社の将来の業績に影響を及ぼす可能性があります。②固定資産当社は、固定資産を使用しているセグメント別にグルーピングしており、当該資産及び資産グループから得られる将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合は、回収可能価額まで減損処理を行うこととしております。減損の兆候は、主として資産グループが使用されている営業活動から生ずる営業損益が継続してマイナスとなる場合、固定資産の時価が著しく下落した場合に把握しております。減損の兆候があると判定した資産又は資産グループに関する減損損失の認識及び測定に当たっては、慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。③繰延税金資産当社は、繰延税金資産について、将来の利益計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
(2) 財政状態の分析①流動資産流動資産は、前事業年度末と比べて1億85百万円増加し、43億91百万円(前事業年度末比4.4%増)となりました。主な要因は、電子記録債権制度を採用した取引先が増加したことにより受取手形が1億28百万円減少したものの、資金決済用の当座預金が増加したことにより現金及び預金が73百万円、電子記録債権が2億11百万円、それぞれ増加したことによるものです。②固定資産固定資産は、前事業年度末と比べて1億53百万円減少し、26億87百万円(前事業年度末比5.4%減)となりました。主な要因は、減価償却費の計上等により機械及び装置が39百万円、投資有価証券の売却等により投資有価証券が91百万円、それぞれ減少したことによるものです。③流動負債流動負債は、前事業年度末と比べて27百万円減少し、11億円(前事業年度末比2.5%減)となりました。主な要因は、仕入が減少したこと等により買掛金が22百万円減少したことによるものです。
④固定負債固定負債は、前事業年度末と比べて14百万円増加し、2億86百万円(前事業年度末比5.3%増)となりました。主な要因は、退職給付引当金が19百万円増加したことによるものです。⑤純資産純資産合計は、前事業年度末と比べて44百万円増加し、56億92百万円(前事業年度末比0.8%増)となりました。主な要因は、配当金の支払いにより利益剰余金が1億10百万円減少したものの、当期純利益の計上により利益剰余金が1億35百万円増加したことによるものです。 (3) 経営成績の分析①売上高及び売上総利益売上高については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュフローの状況の分析 (業績等の概要) (1)経営成績等の状況の概要」及び「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (生産、受注及び販売の状況) (4)販売実績」に記載の通りであります。当事業年度の売上総利益は、前事業年度に比べ1億99百万円減少し、8億41百万円(前年同期比19.2%減)となりました。主な要因は、売上高が1億58百万円減少したこと及び売上原価が41百万円増加したことによるものであります。②販売費及び一般管理費当事業年度の販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ23百万円増加し、7億25百万円(前年同期比3.3%増)となりました。主な要因は、役員報酬が9百万円、給料が10百万円、それぞれ増加したことによるものであります。③営業利益①売上高及び売上総利益及び②販売費及び一般管理費の結果、当事業年度の営業利益は、前事業年度に比べ2億22百万円減少し、1億16百万円(前年同期比65.7%減)となりました。④営業外損益当事業年度の営業外損益は、営業外収益が前事業年度に比べ1百万円増加し、34百万円(前年同期比4.8%増)となり、営業外費用が前事業年度に比べ3百万円減少し、3百万円(前年同期比54.1%減)となりました。⑤経常利益①売上高及び売上総利益、②販売費及び一般管理費、③営業利益及び④営業外損益の結果、当事業年度の経常利益は、前事業年度に比べ2億17百万円減少し、1億47百万円(前年同期比59.6%減)となりました。⑥特別利益当事業年度の特別利益は、前事業年度に比べ5百万円増加し、32百万円(前年同期比21.1%増)となりました。主な要因は、保険金収入が20百万円減少したものの、投資有価証券売却益が28百万円増加したことによるものであります。⑦特別損失当事業年度の特別損失は、前事業年度に比べ16百万円減少し、4百万円(前年同期比76.5%減)となりました。主な要因は、前事業年度に19百万円計上した災害による損失が当事業年度に計上されなかったことによるものであります。⑧税引前当期純利益①売上高及び売上総利益、②販売費及び一般管理費、③営業利益、④営業外損益、⑤経常利益、⑥特別利益及び⑦特別損失の結果、当事業年度の税引前当期純利益は、前事業年度に比べ1億95百万円減少し、1億75百万円(前年同期比52.8%減)となりました。⑨税金費用当事業年度の税金費用(法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額の合計)は、前事業年度に比べ56百万円減少し、39百万円(前年同期比58.7%減)となりました。税効果会計適用後の税金負担率は、前事業年度より3.2%減少し、22.7%となりました。
⑩当期純利益①売上高及び売上総利益、②販売費及び一般管理費、③営業利益、④営業外損益、⑤経常利益、⑥特別利益、⑦特別損失、⑧税引前当期純利益及び⑨税金費用の結果、当事業年度の当期純利益は、前事業年度に比べ1億39百万円減少し、1億35百万円(前年同期比50.7%減)となりました。 (4) 経営成績に重要な影響を与える要因について経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。 (5) キャッシュ・フローの分析当社の資金状況については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (業績等の概要) (2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。 (6) 資本の財源及び資金の流動性当社における運転資金の主なものは、商品仕入に係る費用、材料費・労務費・経費の製品製造費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。投資資金の主なものは、設備投資を目的としたものであります。重要な資本的支出の予定については、「第3 設備の状況 3 設備の新設、除却等の計画 (1)重要な設備の新設等」に記載のとおりであります。資金調達については、自己資金によって充当する事を基本としておりますが、必要に応じて金融機関からの借入を実施しております。
(7) 経営方針、経営戦略等又は経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社は、資本効率を重視した経営により企業価値を向上するためにROE(自己資本利益率)の向上を目指しております。当事業年度におけるROE(自己資本利益率)は、2.4%(前年同期比2.5ポイント減)となりました。
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