【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
(1)経営成績の状況
当連結会計年度における経営環境は、中東地域をめぐる情勢、海外景気の下振れに伴う影響や、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響に十分注意が必要であるものの、雇用・所得環境が改善する下で各種政策の効果もあり、緩やかな回復が続くことが期待されます。
このような状況の中、旅行業界においては、新型コロナウイルス感染症による出入国時の水際対策終了と感染症法上で「5類」に移行されたことから、訪日旅行と海外旅行といった国際的な往来による需要の回復がみられたほか、国内旅行でも全国旅行支援といった観光支援策が実施され、堅調な回復をみせました。
当社グループにおいては、生産性と収益性の向上や、基幹事業である日本発の海外旅行の需要拡大を図るため、売上の最大化にむけた人員配置や広告展開など、夏の繁忙期に向けた取り組み強化を推し進めました。
また、旅行を中心に幅広い事業の展開を通じて、グループ全体の持続的成長を実現するため、HIS Group Purpose〝「心躍る」を解き放つ″の旗印のもと、これからもあらゆる出会いと繋がりを創出し、豊かでかけがえのない時間の創造、相互理解を促進することで、世界を近づけ、新たな価値の提供に努めていきます。
当連結会計年度における業績は以下のとおりです。 (単位:百万円)
2022年10月期
2023年10月期
売上高
142,794
251,866
売上総利益
28,257
82,777
営業利益又は営業損失(△)
△47,934
1,397
税金等調整前当期純損失(△)
△8,222
△1,288
親会社株主に帰属する当期純損失(△)
△9,547
△2,618
売上高は、前期と比較し1,090億71百万円増加し、前期比176.4%の2,518億66百万円となりました。これは、主に新型コロナウイルス拡大により甚大な影響を受けた前期と比較して、主力の日本発の海外旅行事業の大型需要期の夏期に回復を図れたことに加え、海外における旅行事業が、欧米を中心とした子会社が好調に推移したことで大幅な増収となりました。
販売費及び一般管理費は、コロナ禍からの業績回復に即したコスト削減策を実施しつつ、基幹事業である海外旅行の再開にむけて、出向からの帰任による人件費や、市場の活性化に向けた広告を投入したことにより51億88百万円増加し、前期比106.8%の813億80百万円となりました。
損益面においては、コロナ禍からの人流再開に伴い旅行関連事業が上向いてきたこともあり、売上総利益が大きく改善し、4年ぶりの営業黒字となる、13億97百万円の営業利益(前期より493億31百万円の改善)となりました。また、新型コロナウイルス感染症の影響に伴う特例措置の適用を受けた雇用調整助成金並びに国及び地方自治体等から収受した助成金収入等による特別利益を15億64百万円計上した一方で、固定資産の減損損失及び当社が保有する美術品の売却に伴うその他の投資売却損等により特別損失を42億98百万円計上したため、税金等調整前当期純損失は12億88百万円(前期は税金等調整前当期純損失82億22百万円)となりました。そして、法人税等が前期と比較し22億14百万円減少したことに加え、非支配株主に帰属する当期純利益7億11百万円を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は26億18百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失95億47百万円)となりました。
セグメント別の当連結会計年度の業績は以下のとおりです。
なお、当連結会計年度の期首より、セグメントを従来の「旅行事業」「テーマパーク事業」「ホテル事業」「九州産交グループ」「エネルギー事業」の5セグメントから、「旅行事業」「テーマパーク事業」「ホテル事業」「九州産交グループ」の4セグメントに変更しております。このため、前連結会計年度との比較については、セグメント変更後の数値に組み替えて比較を行っております。詳細は、「5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおりであります。
また、各セグメントの金額は、セグメント間取引を相殺消去する前の金額であります。
(旅行事業) (単位:百万円)
2022年10月期
2023年10月期
売上高
67,693
202,008
営業利益又は営業損失(△)
△28,629
803
当連結会計年度における旅行市場は、海外では欧米マーケットを中心に活況に推移しました。日本においては、2022年10月より開始された政府の需要喚起策「全国旅行支援」による国内旅行の活性化をきっかけに、通期を通じて2019年水準の回復をみせました。海外旅行・訪日旅行市場においては、2023年5月に新型コロナウイルス感染症が「5類」に移行したことを受けて、各国の入国制限解除を含む水際対策の終了や国際航空便の復便により、日本と海外との双方向の旅行需要回復が顕著に表れた1年となりました。特に訪日旅行市場においては、円安の追い風を受け、月を追うごとにコロナ禍以前と同水準まで回復がみられました。当連結会計年度における日本人出国者数は、前期比410.5%(2019年比42.2%)の846万人、訪日外客数は前期比1,422.7%(2019年比69.4%)の2,219万人と、ピーク時であったコロナ禍以前と比較し、回復の動きが顕著に表れました。(出典:日本政府観光局(JNTO))
当社の海外旅行事業においては、HIS最大のセールである「初夢フェア2023」を皮切りに、「HIS海外旅行大感謝祭」を開催するなど、海外旅行需要喚起にむけたイベントを積極的に展開しました。また、観光誘致拡大を目的とした業務提携を韓国観光公社・カリフォルニア観光局・台湾観光庁・シンガポール政府観光局などと締結し、持続可能な観光の構築に向けた旅行商材の開発など、観光促進ならびに送客強化における協力体制を推進しました。新型コロナウイルス感染症が「5類」に移行し、海外旅行に関わる水際対策が撤廃された5月には、夏のレジャー需要を後押しするキャンペーン「SUPER SUMMER SALE!」を開始し、パスポート申請代金の全額負担をはじめ、出発の30日・40日前から発生する取消料を15日前まで無料とするなどの施策を通じて集客強化を図り、コロナ明け初の大型旅行需要である夏休みが好調に推移したことで、旅行事業全体を牽引する規模にまで回復しました。
国内旅行事業においては、「全国旅行支援」対象商品の販売強化に加え、周遊プランをお得にする「ぐるり旅キャンペーン」や、お子さまの急病によるキャンセル料を無料にする施策を展開するなど、独自の特別施策を通じて、航空機を利用する沖縄・北海道・九州方面へのパッケージツアーの集客強化を図り、利益の最大化に努めました。また、流通チャネルのオンライン化の推進を図るとともに、航空券とホテルを組み合わせた「ダイナミックパッケージ」の取扱いが増加したこともあり、コロナ禍前の水準まで回復をみせました。
訪日旅行事業においては、インバウンド観光推進を目的として、地域におけるブランド力の向上と国内外でのプロモーションを展開し観光消費額の拡大を促進すべく、鹿児島県と熊本市と連携協定を締結するなど、観光誘客を推し進めました。また、HISの海外現地法人や欧米の旅行会社からのインセンティブ団体旅行が売上高を牽引しました。日本全国のアクティビティ商材を掲載するHIS訪日WEBサイトでは、53カ国からの個人旅行者よりご予約いただいており、自社主催の日帰りバスツアーなどが好調に推移しました。しかしながら、コロナ禍前のコアターゲットであった中国からの受客が戻っておらず、本格的な回復には至っておりません。
法人事業では、旅行需要の回復により、社員旅行、教育旅行、スポーツ旅行、業務渡航が大幅に改善いたしました。また企業との関係性強化につとめ、MICE運営のノウハウを活かした周年イベント・表彰式・入社式などビジネスイベントのサポートをはじめ、ソリューションビジネスの推進を行いました。また、官公庁・自治体を対象とした事業に関しましても、観光庁主導の観光再始動事業の採択や、海外支店ネットワークを活用した地域ブランディングなどのBPOの受託強化を図りました。
海外における旅行事業では、カナダに拠点を置く子会社が、本格的な旅行需要の回復を受け、引き続き業績を牽引しました。また、トルコのほか、インドネシア・タイ・ベトナム・マレーシア・フィリピンといった東南アジアの現地法人では、業務渡航を中心としたB2Bマーケットを強化したことで、アウトバウンド事業が回復をみせました。現地法人におけるインバウンド事業においては、日本からのパッケージツアーの受客が段階的に戻りつつあることから回復の動きがみられました。一方で、北米ではCanadian Collegeグループが総合医療と福祉サービスの職業育成プログラムに特化した学校「Stenberg College International」をグループ傘下にするなど、事業領域の拡大に努めました。加えて、京都府とのコラボレーションによる「はんなりカフェ」の運営を手掛けるタイ現地法人がバンコクに日本風居酒屋「満天の。」を開業させたほか、アメリカ現地法人では在ロサンゼルス・ジャパンハウス内に日本食懐石レストラン「UKA」をオープンさせ、食をメインとした日本文化を発信する事業を各地で展開し、ローカルマーケットへ向けた事業領域の拡大に努めました。
なお、当社グループの営業拠点数は、国内134拠点、海外58カ国113都市162拠点となりました。(2023年10月末日時点)
以上の結果、当連結会計年度における売上高は前期と比較し298.4%の2,020億8百万円、営業利益は8億3百万円(前期は営業損失286億29百万円)となりました。
(テーマパーク事業) (単位:百万円)
2022年10月期
2023年10月期
売上高
21,225
3,356
営業利益
183
160
EBITDA
2,240
483
ラグーナテンボスでは、全国旅行支援の効果やアニメ「鬼滅の刃」とのタイアップイベントの開催、また夏期プールの早期オープンにおける集客力強化により、ラグナシア入園者数が前年比107.4%となりました。ショッピングモール「フェスティバルマーケット」では「RE:BORN PROJECT」と題し、6店舗を新店オープン・リニューアルオープンし、商圏拡大による集客力向上に努めました。
なお、これまでテーマパーク事業として展開していたハウステンボスは、2022年9月30日をもって全株式の譲渡を完了しております。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は前期と比較し15.8%の33億56百万円、営業利益は1億60百万円(前期比87.7%)、EBITDAベースでは4億83百万円の利益(前期比21.6%)となりました。
(ホテル事業) (単位:百万円)
2022年10月期
2023年10月期
売上高
9,207
17,937
営業利益又は営業損失(△)
△4,122
577
EBITDA
△192
4,700
ホテル事業では、「全国旅行支援」の効果や、新型コロナウイルス感染症が「5類」に移行したことを受け、人流回復がみられ、国内移動が再開された事による観光やビジネスの需要回復に加え、インバウンド需要の急回復により宿泊市場は好調に推移しました。そのような状況下、鹿児島・名古屋での新規開業や、リゾートホテル久米アイランド(沖縄)のリノベーションを実施しました。また、各施設における独自性のあるコンセプトルームや多岐に渡る販売プランの展開など、販促プロモーションにも注力しました。海外のホテルにおいては、リゾート・都市部ともに各国旅行需要の回復がさらに強まり、各ホテルの業績回復がみられました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は前期と比較し194.8%の179億37百万円、営業利益は5億77百万円(前期は営業損失41億22百万円)、EBITDAベースでは47億円の利益(前期は1億92百万円の損失)となりました。
(九州産交グループ) (単位:百万円)
2022年10月期
2023年10月期
売上高
17,960
21,676
営業利益又は営業損失(△)
△1,554
58
EBITDA
309
1,791
九州産交グループでは、エネルギー価格の高騰、食品コストの上昇などの影響を受けたものの、コロナ禍の影響により減少した国内の人流が回復し、また海外からの入国者数増加による復調もみられ、特に中核事業であるバス事業において、路線バスで輸送人員が2019年比95.2%、貸切バスでは稼働台数が2019年比106.1%と回復しました。また、熊本県内バス事業者と共同で公共交通機関の利用促進並びに利便性向上を促すことで、交通渋滞の緩和やCO₂削減など環境対策に繋げることを目的として、「熊本県内バス・電車こども無料(大人100円)の日」を開催しました。商業施設「サクラマチクマモト」においても、熊本観光のシンボルである熊本城の復興に向け、熊本にゆかりのあるアニメアイドルグループとのコラボレーション企画「熊本城復興応援プロジェクト」の開催など、様々なイベント実施により順調に来館者数が回復しました。加えて、併設する熊本城ホールと連携し、店舗の利用促進による売上回復により、収益の改善がみられました。旅行業においては、2回の台湾チャーター便(3月及び5月)を実施しました。さらに新規事業の取り組みとして、グループECサイト「KUMATOKU」を立ち上げ、自社バスにて貨客混載を利用した「天草産直輸送」を実施するなど、熊本県を代表する特産品をはじめグループの商材等の販売を開始しました。
以上の結果、当連結会計年度における売上高は前期と比較し120.7%の216億76百万円、営業利益は58百万円(前期は営業損失15億54百万円)、EBITDAベースでは17億91百万円の利益(前期比578.6%)となりました。
(2)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末に比べ261億2百万円減少し、1,108億36百万円となりました。営業活動により資金は310億75百万円増加、投資活動により資金は463億93百万円減少、財務活動により資金は117億85百万円減少いたしました。
各キャッシュ・フローの状況についての詳細は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、営業活動により資金は310億75百万円の増加となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失(12億88百万円)、売上債権及び契約資産の増加(130億86百万円)により資金が減少し、一方で非資金項目である減価償却費(105億円)、仕入債務の増加(37億35百万円)、旅行前受金の増加(150億78百万円)、預り金を含むその他の負債の増加(147億41百万円)により資金が増加したことによるものです。
また、前連結会計年度において、営業活動により資金は149億15百万円の減少となりました。これは主に、税金等調整前当期純損失(82億22百万円)、関係会社株式売却損益(324億37百万円)、未収入金を含むその他の資産の増加(83億45百万円)により資金が減少し、一方で非資金項目である減価償却費(124億87百万円)、預り金を含むその他の負債の増加(227億57百万円)により資金が増加したことによるものです。
以上の結果、当連結会計年度において、営業活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ459億90百万円の増加となりました。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、投資活動により資金は463億93百万円の減少となりました。これは主に、定期預金の払戻による収入(127億11百万円)により資金が増加し、一方で定期預金の預入による支出(505億56百万円)、有形及び無形固定資産の取得による支出(64億87百万円)、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出(17億72百万円)により資金が減少したことによるものです。
また、前連結会計年度において、投資活動により資金は535億20百万円の増加となりました。これは主に、連結範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入(398億47百万円)、定期預金の払戻による収入(194億42百万円)により資金が増加し、一方で定期預金の預入による支出(120億1百万円)により資金が減少したことによるものです。
以上の結果、当連結会計年度において、投資活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ999億14百万円の減少となりました。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当連結会計年度において、財務活動により資金は117億85百万円の減少となりました。これは主に、長・短借入れによる収入(1,622億77百万円)、一方で長・短借入金の返済による支出(1,724億76百万円)により資金が減少したことによるものです。
また、前連結会計年度において、財務活動により資金は54億58百万円の増加となりました。これは主に、長・短借入れによる収入(1,155億17百万円)、株式発行による収入(75億円)により資金が増加し、一方で長・短借入金の返済による支出(1,154億92百万円)により資金が減少したことによるものです。
以上の結果、当連結会計年度において、財務活動によるキャッシュ・フローは、前連結会計年度に比べ172億43百万円の減少となりました。
(3)生産、受注及び販売の実績
① 仕入実績
当連結会計年度の仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年11月1日
至 2023年10月31日)
前年同期比(%)
旅行事業(百万円)
136,006
308.0
テーマパーク事業(百万円)
1,942
14.5
ホテル事業(百万円)
6,449
152.7
九州産交グループ(百万円)
19,935
111.0
報告セグメント計(百万円)
164,333
206.1
その他(百万円)
4,756
13.7
合計(百万円)
169,089
147.6
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.当社グループは生産形態をとっていないため、生産状況にかわって仕入実績について記載しております。
3.「5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおり、当連結会計年度において報告セグメントの変更を行っております。それに伴い、「前年同期比(%)」は変更後の報告セグメントに基づき算定しております。
② 受注実績
当社グループは受注形態をとっていないため、該当事項はありません。
③ 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年11月1日
至 2023年10月31日)
前年同期比(%)
旅行事業(百万円)
200,894
298.4
テーマパーク事業(百万円)
3,343
16.2
ホテル事業(百万円)
17,562
196.6
九州産交グループ(百万円)
21,664
120.7
報告セグメント計(百万円)
243,464
212.0
その他(百万円)
8,402
30.1
合計(百万円)
251,866
176.4
(注)1.セグメント間の取引については、相殺消去しております。
2.当社グループは、取扱高(販売価格)を売上高として計上しております。
3.「5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」に記載のとおり、当連結会計年度において報告セグメントの変更を行っております。それに伴い、「前年同期比(%)」は変更後の報告セグメントに基づき算定しております。
(4)財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
当連結会計年度における財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析は、以下のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項については、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 財政状態の分析
(ⅰ)流動資産
当連結会計年度末における流動資産の残高は、2,175億26百万円となり、前連結会計年度末に比べ290億32百万円の増加となりました。
主な要因といたしましては、受取手形、売掛金及び契約資産の増加(前期末比132億75百万円増)、現金及び預金の増加(同127億76百万円増)が挙げられます。
(ⅱ)固定資産
当連結会計年度末における固定資産の残高は、2,237億27百万円となり、前連結会計年度末に比べ25億46百万円の減少となりました。
主な要因といたしましては、繰延税金資産の増加(前期末比6億52百万円増)がある一方で、有形固定資産の減少(同26億73百万円減)、無形固定資産の減少(同13億42百万円減)が挙げられます。
(ⅲ)流動負債
当連結会計年度末における流動負債の残高は、2,026億32百万円となり、前連結会計年度末に比べ740億63百万円の増加となりました。
主な要因といたしましては、短期借入金の増加(前期末比227億70百万円増)、旅行前受金の増加(同154億2百万円増)、1年内償還予定の社債の増加(同150億円増)、流動負債の「その他」の増加(同98億12百万円増)が挙げられます。
(ⅳ)固定負債
当連結会計年度末における固定負債の残高は、1,805億63百万円となり、前連結会計年度末に比べ492億14百万円の減少となりました。
主な要因といたしましては、長期借入金の減少(前期末比333億24百万円減)、社債の減少(同150億円減)が挙げられます。
(ⅴ)純資産
当連結会計年度末における純資産の残高は、581億49百万円となり、前連結会計年度末に比べ15億13百万円の増加となりました。
主な要因といたしましては、親会社株主に帰属する当期純損失の計上等による利益剰余金の減少(前期末比25億71百万円減)、資本剰余金の減少(同7億27百万円減)がある一方で、為替換算調整勘定の増加(同29億12百万円増)、自己株式の減少(同19億25百万円増)が挙げられます。
② 経営成績の分析
(ⅰ)売上高
当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ1,090億71百万円増加し、前期比176.4%の2,518億66百万円となりました。報告セグメントごとの売上高については、旅行事業は前期比298.4%の2,020億8百万円、テーマパーク事業は前期比15.8%の33億56百万円、ホテル事業は前期比194.8%の179億37百万円、九州産交グループは前期比120.7%の216億76百万円となりました。
なお、当連結会計年度の期首より、セグメントを従来の「旅行事業」「テーマパーク事業」「ホテル事業」「九州産交グループ」「エネルギー事業」の5セグメントから、「旅行事業」「テーマパーク事業」「ホテル事業」「九州産交グループ」の4セグメントに変更しております。このため、前連結会計年度との比較については、セグメント変更後の数値に組み替えて比較を行っております。詳細は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(セグメント情報等)」をご参照ください。また、報告セグメントごとの金額は、セグメント間取引を相殺消去する前の金額であります。
(ⅱ)営業費用
当連結会計年度の営業費用は、前連結会計年度に比べ597億40百万円増加し、前期比131.3%の2,504億69百万円となりました。
そのうち、売上原価は前連結会計年度に比べ545億52百万円増加し、前期比147.6%の1,690億89百万円となりました。
また、販売費及び一般管理費は前連結会計年度に比べ51億88百万円増加し、前期比106.8%の813億80百万円となりました。
(ⅲ)営業利益又は営業損失
当連結会計年度の営業利益は13億97百万円(前期は営業損失479億34百万円)となり、前連結会計年度に比べ493億31百万円の増加となりました。
(ⅳ)経常利益又は経常損失
当連結会計年度の経常利益は14億46百万円(前期は経常損失490億1百万円)となり、前連結会計年度に比べ504億47百万円の増加となりました。
主な営業外収益として、受取利息(7億59百万円)、為替差益(5億85百万円)、また営業外費用として、支払利息(22億24百万円)が挙げられます。
(ⅴ)親会社株主に帰属する当期純損失
当連結会計年度の税金等調整前当期純損失は12億88百万円(前期は税金等調整前当期純損失82億22百万円)となり、前連結会計年度に比べ69億34百万円の改善となりました。
また、当連結会計年度の法人税等は6億18百万円(前期は28億33百万円)となり、前連結会計年度に比べ22億14百万円の減少となりました。
以上の結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失は26億18百万円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失95億47百万円)となり、前連結会計年度に比べ69億28百万円の改善となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析並びに資本の財源及び資金の流動性
キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「第一部 企業情報 第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析(2)キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
当社グループの資金需要のうち主なものは、運転資金及び設備投資等であります。運転資金につきましては金融機関からの借入により資金調達を行っております。設備投資等につきましては金融機関からの借入、社債及び転換社債型新株予約権付社債の発行、増資により資金調達を行っております。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。連結財務諸表の作成にあたり、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積りを用いており、これらの見積りは過去の実績等を勘案して合理的に判断しておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果と異なる場合があります。
なお、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定並びに新型コロナウイルスの感染拡大に関する重要な会計上の見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しています。
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