【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
経営成績
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する規制の緩和に伴う経済活動の正常化により、緩やかな回復が見られましたが、不安定な国際情勢による原材料価格の高騰や世界的な金融引締め、金融資本市場の変動など、依然として先行きは不透明な状況が続いております。
当社グループが関連する建設業界におきましては、安定的な公共投資に加え、民間設備投資の緩やかな持ち直しにより、建設投資は比較的堅調な状況で推移いたしました。しかしながら、建設コストの上昇や半導体の供給不足による機材供給遅れの懸念に加え、景気の後退による設備投資の抑制などにも留意が必要な状況が続いております。
このような状況のなか、当社グループでは、中期経営計画「Creative 60」(2020〜2024年度)の実現に向け、経営資源の効率的運用による利益率向上やシナジー効果の最大化に向けた地域戦略を推進するとともに、組織体制の再整備や部門間の連携強化を推し進め、稼働率の改善とレンタル単価の適正化に向けた資産管理体制の強化と遂行管理力の進化を図り、安定的な収益基盤の拡大に取り組みました。
2023年10月期の連結業績につきましては、売上高は1,974億81百万円(前年同期比5.0%増)となりました。利益面につきましては、将来を見据えた人財投資に加え、グループ内での吸収合併等による減価償却費や販管費の増加もあり、営業利益は119億58百万円(同9.6%減)、経常利益は124億88百万円(同9.4%減)、また、親会社株主に帰属する当期純利益は67億21百万円(同19.5%減)となりました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
イ.建設関連
主力事業である建設関連におきましては、都市部の再開発工事や新幹線延伸工事、再生可能エネルギー関連工事の継続に加え、北海道や九州の半導体工場建設や安全保障関連工事等、各種大型案件の進行もあり、地域差はありますが、建設機械のレンタル需要は堅調さを取り戻しつつ推移いたしました。
また、当社グループでは、各種プロジェクト工事等への対応強化に向け、保有資産の更なる効率活用を追求しつつ、建設需要の高まりに対するレンタル用資産の安定供給の課題解決に努めた一方で、建設現場のDX化や環境負荷低減の実現に向けた技術開発や業務提携を推進いたしました。
これらの結果、同事業における地域別売上高の前年同期比は、北海道地区1.1%増、東北地区8.4%増、関東甲信越地区5.0%増、西日本地区1.2%増、九州沖縄地区8.7%増となりました。
中古建機販売につきましては、レンタル用資産の運用期間の延長を進めつつ、適正な資産構成を維持するため、期初計画に基づき売却を進めていることから、売上高は前年同期比5.0%増となりました。
以上の結果、建設関連事業の売上高は1,780億87百万円(前年同期比4.5%増)、営業利益は103億9百万円(同10.4%減)となりました。
ロ.その他
その他の事業につきましては、鉄鋼関連、情報関連、福祉関連ともに堅調に推移したことから、売上高は193億93百万円(前年同期比10.2%増)、営業利益は11億44百万円(同7.1%減)となりました。
財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末から111億20百万円増加し3,164億40百万円となりました。これは主に「レンタル用資産」が100億69百万円増加したことによるものであります。
負債合計は、前連結会計年度末から80億54百万円増加し1,727億63百万円となりました。主な要因として「支払手形及び買掛金」が23億62百万円、「未払金」が12億21百万円、「長期借入金」が11億37百万円及び「長期未払金」が12億3百万円それぞれ増加したことによるものであります。
純資産合計は、前連結会計年度末から30億65百万円増加し1,436億77百万円となりました。これは主に「親会社株主に帰属する当期純利益」を67億21百万円計上した一方で、剰余金の配当により27億39百万円、「自己株式」の取得等により19億60百万円とそれぞれ減少したことによるものであります。
② キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末の現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は450億93百万円となり、前連結会計年度末から19億53百万円減少しました。各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によって得られた資金は379億60百万円(前年同期比14.5%増)となりました。
これは主に「税金等調整前当期純利益」は121億6百万円、「減価償却費」は342億52百万円の収入をそれぞれ計上した一方で、「レンタル用資産の取得による支出」は56億23百万円、「売上債権及び契約資産の増減額」は54億56百万円及び「法人税等の支払額」は36億74百万円の支出をそれぞれ計上したことが要因であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によって支出した資金は66億99百万円(前連結会計年度末は113億31百万円の支出)となりました。
これは主に「有形固定資産の取得による支出」を52億54百万円計上したことが要因であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によって支出した資金は339億95百万円(前連結会計年度末は308億93百万円の支出)となりました。
これは主に「長期借入れによる収入」は142億5百万円の収入を計上した一方で、「長期借入金の返済による支出」は155億11百万円、「割賦債務の返済による支出」は261億85百万円及び「配当金の支払額」は27億39百万円の支出をそれぞれ計上したことが要因であります。
③ 販売の実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、下表のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年11月1日
至 2023年10月31日)
前年同期比
(%)
建設関連
178,087百万円
4.5
その他
19,393百万円
10.2
セグメント間取引消去
-
-
合計
197,481百万円
5.0
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在にて判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社グループの当連結会計年度の財政状態及び経営成績は、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ① 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。また、当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
なお、当社グループの目標とする経営指標の実績値は、下表のとおりであります。
前連結会計年度
(自 2021年11月1日
至 2022年10月31日)
当連結会計年度
(自 2022年11月1日
至 2023年10月31日)
自己資本比率
43.2%
42.5%
ROE(自己資本利益率)
6.4%
5.0%
EBITDA+(減価償却他調整前営業利益)
56,241百万円
57,894百万円
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
イ.キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析については、「4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
ロ.資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要の主なものは、売上原価、販売費及び一般管理費の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、レンタル用資産の購入及び有形固定資産の取得等によるものであります。短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、割賦契約及びリース契約等の資金調達手段を活用しながら安定的な資金の源泉を確保するため、金融機関からの長期借入を行うことを基本としております。
なお、当連結会計年度末における借入金及びリース債務等を含む有利子負債残高は、下表のとおりであります。
年度別要支払額(百万円)
契約債務
合計
1年以内
1年超3年以内
3年超5年以内
5年超
短期借入金
900
900
-
-
-
長期借入金
50,396
14,600
26,610
8,500
686
長期未払金(割賦)
61,567
21,719
27,614
10,992
1,241
リース債務
5,272
1,645
2,360
1,052
213
上記の表において、連結貸借対照表の1年内返済予定の長期借入金、未払金に含まれている割賦契約に係る未払金及び流動負債のリース債務は、長期借入金、長期未払金(割賦)及びリース債務にそれぞれ含めております。
③ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
(3)経営成績に影響を与える重要な要因について
「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
(4)財務政策
レンタル用資産購入等の設備投資計画を踏まえながら、より有効かつ安価な資金調達手段を模索しており、資金調達と資金運用の多様化・効率化を図りつつ、さらには受取手形等の債権について流動化等を行うことで、資産・負債バランスの軽量化に取り組んでおります。
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