【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
連結会計年度における当社グループ(当社、連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要並びに経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症の法的位置付けが5類へと移行し、社会経済活動の正常化が進む一方、ロシアのウクライナ侵攻等による資源・エネルギー及び原材料価格の高騰、高インフレ抑制を目的とした世界的な金融引締め、円安の進行や物価上昇等による国内景気への影響など、依然として先行き不透明な状況が続いております。住宅業界におきましては、住宅建設費の上昇、物価上昇による消費マインドの低下等に伴い、国土交通省発表による新設住宅着工戸数(持家)は前年同期比減少となっております。ホテル業界におきましては、新型コロナウイルス感染症拡大により集客及びホテル稼働の停滞が長期化しておりましたが、5類への移行に伴い、緩やかな回復の兆しがみられております。このような状況のもと、中期経営計画「飛躍6ヶ年計画」に基づき、収益拡大を通じた企業価値の向上に当社グループ全体で取組みました。住宅事業では、「環境にやさしい、脱炭素社会の住宅」をコンセプトに、柱・土台・内装材に国産の檜を使用するとともに、新木造ストロング工法の採用で耐震性に優れた「檜品質」、高断熱・高気密によって暮らしで使うエネルギーを半減させながら太陽光発電によりエネルギー自給自足をはかる「ゼロエネ品質」、感謝訪問(ホームドクターシステム)・24時間対応コールセンター・冷暖房標準装備などによる「快適品質」の3つの品質を実現する注文住宅4商品(日本の家・檜の家「館」「極」「輝」「雅」)を中心とした販売促進に注力しました。また、360度3D映像を利用し当社の代表的展示場(15展示場)をウォークスルー体験出来るWEB住宅展示場を公式ホームページに設置することに加え、公式ホームページ及びBIPROGY「MY HOME MARKET」上に開設したネットバーチャル住宅展示場で、外観・暮らし方スタイル・価格帯を選択可能なセミオーダー住宅「クレステージ18」・「クレステージS」を展開するなど、オンライン見学会や公式SNSと併せて、インターネットを活用した営業施策を推進しました。ホテル事業では、2022年12月に神奈川県足柄下郡箱根町に新たなリゾートホテル「ホテル森の風箱根仙石原」を開業し、積極的な営業展開を図っております。以上の結果、売上高は391億3百万円(前年同期比8.6%減)、営業利益は9億73百万円(前年同期比61.4%減)、経常利益は6億84百万円(前年同期比70.6%減)となりました。また、繰延税金資産を取り崩し、法人税等調整額を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は47百万円(前年同期の親会社株主に帰属する当期純利益は14億74百万円)となりました。
セグメントの経営成績は、次のとおりであります。
① 住宅事業住宅事業につきましては、請負工事の進捗度を反映した期首受注残高が前連結会計年度と比較して25億99百万円減少したことに加えて、当期受注棟数及び受注高の減少等により、売上高は355億33百万円(前年同期比10.9%減)となりました。また、売上高の減少による粗利の減少並びに建設コストの上昇に伴う原価率の悪化により、営業利益は24億36百万円(前年同期比42.7%減)となりました。
② ホテル事業ホテル事業につきましては、5類移行に伴う稼働率の改善、「ホテル四季の館箱根芦ノ湖(2022年2月開業)」及び「ホテル森の風箱根仙石原(2022年12月開業)」の新設等により、売上高は34億15百万円(前年同期比24.8%増)となりました。、主にホテル新設に伴う減価償却費の増加により、営業損失は7億53百万円(前年同期の営業損失は7億45百万円)となりました。
③ その他事業その他事業につきましては、太陽光発電事業であり、売上高は1億54百万円(前年同期比8.7%減)、営業利益は1億19百万円(前年同期比11.0%減)となりました。
生産、受注及び販売の実績は、次のとおりであります。
① 生産実績当社グループが営んでいる事業の大部分を占める住宅事業及びホテル事業は、生産実績を定義することが困難であるため、生産実績を記載しておりません。
② 受注状況当社グループでは、当社の受注が大部分を占めているため、当社の受注状況を記載しております。
期別
部門別
前期繰越工事高(百万円)
当期受注工事高(百万円)
計(百万円)
当期完成工事高(百万円)
次期繰越工事高(百万円)
当期施工高(百万円)
手持工事高
うち施工高
第54期(自2021年 11月1日至2022年 10月31日)
建築部門
24,283
30,405
54,689
30,281
24,408
22.6%
5,517
30,791
不動産部門
1,410
4,662
6,072
4,936
1,136
計
25,694
35,067
60,762
35,217
25,545
第55期(自2022年 11月1日至2023年 10月31日)
建築部門
24,408
23,706
48,114
29,223
18,891
28.3%
5,341
29,046
不動産部門
1,136
3,986
5,122
4,836
285
計
25,545
27,692
53,237
34,060
19,177
(注) 1 上記金額は全て販売価額により表示しております。2 前期以前に受注した工事で契約の更改により請負金額に変更があるものについては、当期受注工事高にその増減額を含んでおります。従って当期完成工事高にも、かかる増減額が含まれております。3 次期繰越工事高の施工高は、未成工事支出金により手持工事高の施工高を推定したものであります。4 当期施工高は(当期完成工事高+次期繰越施工高-前期末繰越施工高)に一致いたします。5 建築部門の完成工事高は、冬季の積雪等の影響により第4四半期に集中する傾向にあります。6 当期完成工事高は、工事完成基準に拠っております。
③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前年同期比(%)
住宅事業
35,533
△10.9
ホテル事業
3,415
+24.8
その他事業
154
△8.7
計
39,103
△8.6
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。2 総販売実績に対する割合が10%以上の相手先はありません。
(2) 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、売上高営業利益率8%以上の達成を目標としております。2023年10月期の売上高営業利益率は2.5%(前連結会計年度の売上高営業利益率は5.9%)となりました、目標未達の理由は、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおり、建設コストの上昇に伴う原価率の悪化等によるものであります。今後の対策については、「第2 事業の状況」「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」「(3)中長期的な会社の経営戦略と対処すべき課題」に記載しております。
(3) 財政状態の状況の概要当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末と比較して、38億35百万円減少し、437億5百万円となりました。流動資産は36億81百万円減少し、125億95百万円となりました。主な要因は、現金預金の減少24億26百万円、受取手形・完成工事未収入金等の減少4億68百万円、販売用不動産の減少3億6百万円、原材料及び製品の減少1億91百万円、その他の流動資産の減少2億38百万円によるものであります。また、固定資産は1億34百万円減少し、310億69百万円となりました。主な要因は、無形固定資産の減少2億20百万円、投資その他の資産の減少1億7百万円、及び有形固定資産の増加1億93百万円によるものであります。流動負債は36億89百万円減少し、111億94百万円となりました。主な要因は、支払手形・工事未払金等の減少5億34百万円、短期借入金の減少15億52百万円、1年内返済予定の長期借入金の減少12億33百万円、及び未払法人税等の減少2億86百万円によるものであります。また、固定負債は3億99百万円増加し、98億16百万円となりました。主な要因は、長期借入金の増加1億81百万円、リース債務の増加2億63百万円、役員退職慰労引当金の増加53百万円、及び社債の減少1億20百万円によるものであります。当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末と比較して、5億45百万円減少し、226億94百万円となりました。これは、利益剰余金の減少6億87百万円等によるものであります。この結果、当連結会計年度末における自己資本比率は、前連結会計年度末と比較して2.8ポイント上昇し51.1%となりました。
(4) キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)の残高は、前連結会計年度末と比較して24億27百万円減少し、48億4百万円となりました。営業活動により25億20百万円の資金を獲得し、投資活動により18億55百万円の資金を使用し、財務活動により30億91百万円の資金を使用しております。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動により獲得した資金は25億20百万円(前連結会計年度比7.6%減)となりました。その主たる要因は、税金等調整前当期純利益6億59百万円の計上、減価償却費15億10百万円、売上債権の減少4億68百万円、その他の棚卸資産の減少4億94百万円、未成工事受入金の増加1億17百万円、及び退職給付に係る負債の減少2億59百万円、法人税の支払による支出5億1百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動により使用した資金は18億55百万円(前連結会計年度比43.7%減)となりました。その主たる要因は、有形及び無形固定資産の取得による支出15億99百万円、貸付金による支出1億8百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動により使用した資金は30億91百万円(前連結会計年度の財務活動に使用した資金は22億5百万円)となりました。その主たる要因は、短期借入金の返済による支出15億52百万円、長期借入金の返済による支出16億66百万円、リース債務返済による支出4億50百万円、配当金の支払による支出6億40百万円、及び長期借入れによる収入6億15百万円、セールアンドリースバックによる収入7億25百万円によるものであります。
キャッシュ・フローの分析
前連結会計年度(百万円)
当連結会計年度(百万円)
増減(百万円)
営業活動によるキャッシュ・フロー
2,726
2,520
△206
投資活動によるキャッシュ・フロー
△3,297
△1,855
1,441
財務活動によるキャッシュ・フロー
2,205
△3,091
△5,297
当企業集団のキャッシュ・フロー指標のトレンドは次のとおりであります。
前連結会計年度
当連結会計年度
自己資本比率 (%)
48.2
51.1
時価ベースの自己資本比率 (%)
35.2
31.8
債務償還年数 (年)
4.3
3.8
インタレスト・カバレッジ・レシオ (倍)
13.2
11.5
(注) 1 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
2 債務償還年数:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
3 インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払
(1) 各指標はいずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
(2) 株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式総数により算出しております。 (3) 営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを
使用しております。
有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象 としております。また、利払については、連結キャッシュ・フロー計算書の利息支払額を使用してお ります。
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。資金需要のうち主なものは、事業用地・建設資金及び運転資金であります。また、資金の財源は主として自己資金及び借入金等であります。借入金については、取引金融機関とコミット型シンジケート契約及びシンジケートローン契約を締結し、資金の流動性を確保しております。適正な手許資金の水準を定め、長期資金と短期資金の均衡を保ちつつ、金利コストの最小化を図り、財務健全性の維持を図っております。
(5) 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表の作成にあたり、見積りが必要な事項につきましては、合理的な基準に基づき会計上の見積りを行っていますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果はこれらの見積りと異なる場合があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。