【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況当第1四半期連結累計期間における世界経済は、ロシア・ウクライナ情勢の影響などによる原材料価格の高騰に加え、世界的なインフレの進行リスクに対応した政策金利の引き上げなど、依然として先行きの不透明な状況が続いております。日本経済においては、インバウンド需要の増加や、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)に対する影響の緩和により社会経済活動の正常化が進み、景気は緩やかに回復の兆しがみられておりますが、円安による輸入価格の高騰が国内物価を上昇させる懸念等、依然として先行きは不透明な状況が続いております。加えて、日本企業は、グローバル化、戦略実現のスピードアップ、イノベーション創発、企業間連携の促進、生産性の向上、また、それらを実現するためのテクノロジーの活用といったテーマに直面し、激しく変化する市場環境における経営のあり方そのものの見直しを迫られております。特に大手企業を中心に、デジタルの力で新規事業やビジネスモデルの変革を行うことを余儀なくされており、デジタルトランスフォーメーション(DX)(注1)に強い関心が寄せられ、既存のビジネスモデルや業界構造を大きく変化させる新たなデジタル化の流れに注目が集まっております。企業はユーザーにより高い付加価値を提供するため、クラウド等のプラットフォーム、スマートフォンやIoT等の新たなデバイス、AIやブロックチェーン等の新たなテクノロジーを組み合わせたプロダクトやサービスの開発に取り組んでおります。そして、これらデジタル技術を活用した取り組みは、従来のビジネスモデルや業界構造を大きく変化させる可能性があります。このような事業環境の中で、当社グループは「ハートを揺さぶるデザインで世界を前進させる」というビジョンのもと、「デザインの力を証明する」というミッションを掲げて、「デザイン」を通じて人々の生活がより便利になり、より暮らしやすくなることを目指し事業活動を推進してきました。主要事業であるデザインパートナー事業においては、当社の強みである戦略デザインやUI/UXデザイン(注2)と、連結子会社である株式会社スタジオディテイルズの強みである質の高いクリエイティブとブランディングを融合し、顧客企業のさらなる期待に応えられるよう、デザイン支援の提供を行ってまいりました。また、自社サービスである「ReDesigner」、「Strap」、「Prott」などのプロダクトで構成されるデザインプラットフォーム事業においては、デザインパートナー事業で培ったノウハウやブランドを有効活用することに注力しながら推進してまいりました。なお、当第1四半期連結累計期間において、デザイン支援の顧客企業数が伸長する一方で、中長期の成長を企図し、人材採用の強化及びマーケティング投資等を積極的に実施したことにより、営業損失となりました。 以上の結果、当第1四半期連結累計期間における売上高は1,024,444千円(前年同期比20.7%増)、営業損失は28,307千円(前年同期は34,123千円の営業損失)、経常損失は29,822千円(前年同期は32,159千円の経常損失)、親会社株主に帰属する四半期純損失は30,107千円(前年同期は13,445千円の親会社株主に帰属する四半期純損失)となりました。
報告セグメント別の業績の状況は以下のとおりであります。
① デザインパートナー事業デザインパートナー事業は、顧客企業と当社のデザイナーが一体となりプロジェクト形式で包括的なデザインサービスを提供しております。最初に、新たな価値を創出したい顧客企業とともにプロジェクトチームを立ち上げ、プロジェクトで解決する課題を抽出します。プロジェクトが開始されると、本質的な価値の発見が行われ、顧客企業の独自の強みや特徴が明らかにされます。このフェーズでは、プロジェクトチームが顧客企業と緊密に連携し、価値の洗練と特定が行われます。次に、ユーザー中心のデザインが進行します。顧客企業のユーザーの価値観に合致するデザインが開発されます。このフェーズでは、プロジェクトチームはデザインの詳細な要件を抽出し、ユーザーフィードバックを絶えず取り入れて調整を行います。こうして生み出されたデザインは顧客企業の戦略とブランディングに統合され、企業のビジョンと目標に一貫性をもたらします。なお、アプリケーションのUI/UXデザイン開発においては、当社のエンジニアリングチームもプロジェクトに参画し、実際のデジタルプロダクトの構築を行うことがあります。これら一連のプロセスを通じて、顧客企業は既存のビジネスプロセスをデジタル化し、イノベーションを促進でき、効率性の向上や新しい価値の提供が可能となります。近年DXが注目を集め、企業がデジタル領域において変革を求められる状況の中で、デザインの持つ役割の重要性は益々高まっております。そのような状況の中、デザインパートナー事業では、数多くのデジタルデザイン支援の知見を集約し、経験豊富なデザイナーを集め、育成することで、より多くの企業に対して、高品質なデザイン支援を行うことが可能になります。そのため、デザインパートナー事業はデザイナーの採用活動を積極的に行い、提供リソースであるデザイナー人員を拡大するとともに、より幅広い業種業態の顧客企業に対してデザイン支援を実施してまいりました。また、日本国内の正社員デザイン部門及び「Goodpatch Anywhere」における営業リードの共有に加え、プロジェクト獲得やデザイナーリソースの連携を行ってまいりました。当第1四半期連結会計期間においては、株式会社スタジオディテイルズ及びGoodpatch Anywhereを含むプロジェクト提供を行った顧客社数(注3)は53.3社(前年同期は41.3社、前年同期比29.0%増)、月額平均顧客単価(注4)は5,603千円(前年同期は5,862千円、前年同期比4.4%減)となりました。また、社内デザイン組織のデザイナー数は、当第1四半期連結会計期間末において141名(前年同期比5.4%減)、「Goodpatch Anywhere」の所属デザイナー数は556名(前年同期比22.5%増、うち稼働デザイナー数は78名、前年同期比59.2%増)となりました。 以上の結果、当第1四半期連結累計期間におけるデザインパートナー事業の外部顧客への売上高は950,868千円(前年同期比23.6%増)、営業利益は5,833千円(前年同期は2,823千円の営業損失)となりました。
(デザインパートナー事業のKPI推移)
2023年8月期
2024年8月期
第1四半期
第2四半期
第3四半期
第4四半期
第1四半期
実績
実績
実績
実績
実績
前年同期比
顧客社数(社)
41.3
52.3
56.0
61.0
53.3
29.0%
月額平均顧客単価(千円)
5,862
5,499
5,392
5,142
5,603
△4.4%
※2023年8月期より、Goodpatch Anywhereを含めた数値を記載しております。
② デザインプラットフォーム事業デザインプラットフォーム事業は、デザインパートナー事業によって行われるUI/UXデザイン支援を様々な側面からサポートするサービスを提供しております。具体的には、自社で構築したデザイン人材プールを活用したデザイナー採用支援サービス「ReDesigner」、SaaS型のオンラインホワイトボードツール「Strap」及びデザインパートナー事業で培ったナレッジの蓄積をもとにしたプロトタイピングツール(注5)「Prott」で構成され、それぞれのシナジーを創出し、デザインに関連したビジネスの拡大を行うものとなります。当第1四半期連結会計期間においては、「ReDesigner」は、入社決定者数が減少した結果、売上高が減少しておりますが、契約企業数は増加傾向にあり、影響は一時的なものと捉えております。また、「Strap」並びに「Prott」においては、「Prott」のリソースを有効に活用し、「Strap」の機能開発を強化するとともに、企業の研修ニーズを捉えた導入支援を経て、導入規模の拡大を図っております。以上の結果、当第1四半期連結累計期間におけるデザインプラットフォーム事業の外部顧客への売上高は73,576千円(前年同期比7.3%減)、営業損失は34,141千円(前年同期は31,200千円の営業損失)となりました。
(注)1.デジタルトランスフォーメーション(DX)とは、Digital Transformationの略語で、企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること、を意味します。2.UI(User Interface/ユーザーインターフェース)とは、「ユーザーがPCやスマートフォン等のデバイスとやり取りをする際の入力や表示方法などの仕組み」を意味します。また、UX(User Experience/ユーザーエクスペリエンス)は「サービスなどによって得られるユーザー体験」のことを意味します。3.顧客社数とは、デザインパートナー事業において、当社グループとデザインプロジェクトを進めるために契約した顧客企業の社数を指しており、1か月にデザイン支援を提供した顧客社数の当該期間の平均値を示しています。4.月額平均顧客単価とは、四半期ごとの売上高を顧客社数で除した数値の平均値を示しています。5.プロトタイピングとは、最終成果物の試作品を早い段階から作り、改善を繰り返す手法のことを意味します。
(2) 財政状態に関する分析(資産)当第1四半期連結会計期間末における流動資産は、前連結会計年度末に比べて217,454千円減少し、3,582,385千円となりました。主な要因は、現金及び預金の減少227,064千円、売掛金及び契約資産の減少38,398千円があったこと等によるものであります。固定資産は、前連結会計年度末に比べ7,050千円増加し、878,759千円となりました。主な要因は、償却によるのれんの減少15,866千円があった一方で、デザインパートナー投資の実行等による投資有価証券の増加17,735千円があったこと等によるものであります。この結果、当第1四半期連結会計期間末における総資産は、前連結会計年度末に比べて210,404千円減少し、4,461,145千円となりました。
(負債)当第1四半期連結会計期間末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ164,872千円減少し、443,627千円となりました。主な要因は、法人税等の支払いによる未払法人税等の減少79,690千円、未払金の減少51,518千円があったこと等によるものであります。固定負債は、前連結会計年度末に比べ18,779千円減少し、100,643千円となりました。主な要因は、長期借入金の返済による長期借入金の減少19,750千円等によるものであります。この結果、当第1四半期連結会計期間末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて183,651千円減少し、544,271千円となりました。
(純資産)当第1四半期連結会計期間末における純資産は、前連結会計年度末と比べて26,752千円減少し、3,916,873千円となりました。主な要因は、親会社株主に帰属する四半期純損失の計上に伴う利益剰余金の減少30,107千円等であります。
(3) 会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定前事業年度の有価証券報告書に記載した「経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析」中の会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定の記載について重要な変更はありません。
(4) 経営方針・経営戦略等当第1四半期連結累計期間において、当社グループが定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(5) 事業上及び財務上の対処すべき課題当第1四半期連結累計期間において、当社グループが対処すべき課題について重要な変更はありません。
(6) 研究開発活動該当事項はありません。
#C7351JP #グッドパッチ #情報通信業セクター