【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症による経済活動の制限が緩和される中、景気は緩やかに回復の兆しが見られました。一方、地政学的リスクの高まりに起因した物価上昇や米国金利上昇の影響、世界的な金融引き締め等、経済的リスクも高まり続けており、依然として経済の見通しは不透明な状況にあります。こうした経済環境の中、当社グループが属する情報サービス産業の市場におきましては、富士キメラ総研「2023デジタルトランスフォーメーション市場の将来展望」における予想によりますと、日本企業のデジタルトランスフォーメーション(以下、DX)市場は、2030年には6.5兆円規模への成長が見込まれており、継続した市場の拡大が期待されております。
このような状況の下、当社グループでは、市場や顧客のニーズに応じて、『ストックサービス(準委任型)』と『フローサービス(請負型)』の2つの内容でクライアントへサービス提供しておりますが、主要サービスであるストックサービスの売上収益は、2021年9月期で1,511,490千円、2022年9月期で2,262,680千円、2023年9月期では2,705,849千円とグループ全体として前年同期を上回る水準で推移しております。
また、2023年4月に株式会社ハイブリッドテックエージェント、2023年5月に株式会社イクシアスを連結子会社としており、システム開発やコンサルティングにおける受注機会の拡大、日本人エンジニアの採用、育成強化をしてまいりました。さらに、2022年9月期に参入したサイバーセキュリティサービスに関しては、システム開発から脆弱性評価、社内体制構築までを一体的に提供するサービスを展開し、2023年9月期は11案件に対してセキュリティテストサービスを提供するなど、順調な立ち上がりとなっております。
DX支援と事業拡大を担うスタートアップ支援プログラム「Hybrid Technologies Capital」においては、累計20件の投資を実行しており、投資、開発を多様な業界、事業領域に展開することで、事業成長シナジーが見込まれる幅広いパートナーを支援しつつ、既存事業の成長及び拡大を進めてまいりました。
この結果、当社グループの当連結会計年度の売上収益は2,905,837千円(前年同期比20.7%増)、営業利益は256,760千円(前年同期比10.8%減)、税引前利益は189,270千円(前年同期比39.0%減)、親会社の所有者に帰属する当期利益は160,328千円(前年同期比35.8%減)となりました。
なお、当社はハイブリッド型サービスの単一セグメントのため、セグメントごとの記載はしておりません。
②財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ882,398千円増加し、3,847,463千円となりました。
流動資産は前連結会計年度末に比べ436,407千円減少し、1,857,692千円となりました。これは主に、営業債権及びその他の債権が103,489千円増加した一方で、現金及び現金同等物が512,264千円減少したことによるものです。
非流動資産は前連結会計年度末に比べ1,318,805千円増加し、1,989,772千円になりました。これは主に、使用権資産が546,573千円、のれんが376,648千円増加したことによるものです。
(負債)
当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ674,641千円増加し、1,514,233千円となりました。
流動負債は前連結会計年度末に比べ83,900千円増加し、611,481千円となりました。これは主に、その他の流動負債が47,739千円増加したことによるものです。
非流動負債は前連結会計年度末に比べ590,740千円増加し、902,752千円になりました。これは主に、リース負債が525,619千円増加したことによるものです。
(資本)
当連結会計年度末における資本合計は、前連結会計年度末に比べ207,758千円増加し、2,333,231千円となりました。これは主に、利益剰余金が160,328千円増加したことによるものです。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という)の残高は、前連結会計年度末より512,264千円減少し、1,296,698千円となりました。各キャッシュ・フローの状況とその要因は以下の通りです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動により獲得した資金は、260,835千円となりました(前年同期は344,804千円の獲得)。これは主に、税引前利益を189,270千円、減価償却費及び償却費を145,758千円計上したこと、及び営業債権及びその他の債権の増加額△79,052千円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動により使用した資金は、694,562千円となりました(前年同期は247,791千円の使用)。これは主に、投資有価証券の取得による支出192,219千円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出472,624千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動により使用した資金は、85,083千円となりました(前年同期は1,183,913千円の獲得)。これは主に、リース負債の返済による支出104,431千円によるものです。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループのサービス提供は、生産実績の記載になじまないため、生産実績に関する記載は省略しております。
b.受注実績
当社グループの行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度における販売実績は、次の通りであります。
(単位:千円)
売上収益の区分
当連結会計年度
(自 2022年10月1日
至 2023年9月30日)
前年同期比(%)
ストックサービス
2,705,849
119.6
フローサービス
199,988
137.7
合計
2,905,837
120.7
(注)1.当社グループの事業セグメントは、「ハイブリッド型サービス」を単一の報告セグメントとしているため、サービス別の販売実績を記載しております。
2.主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合は、次の通りであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年10月1日
至 2022年9月30日)
当連結会計年度
(自 2022年10月1日
至 2023年9月30日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
クロスクラウド株式会社
249,291
10.4
335,157
11.5
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たっては、経営者による会計方針の選択と適用を前提とし、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて過去の実績や将来における発生の可能性等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りの不確実性により実際の結果が、これらの見積りと異なる可能性があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表等 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針、4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しておりますが、重要なものは以下の通りであります。
(収益認識)
当社グループでは、フローサービスの新規受注案件のうち、進捗部分について成果の確実性が認められる案件については工事進行基準(進捗率の見積りは原価比例法)を適用しております。適用にあたっては、受注総額、総製造原価及び当連結会計年度における進捗率を合理的に見積る必要がありますが、予想し得ない工数の大幅な増加等により当該見積りが変更された場合、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
(受注損失引当金)
受注契約に係る将来の損失に備えるため、当連結会計年度末における受注契約に係る損失見込額を計上しております。受注契約時に予想し得ない事象の発生やプロジェクトの進捗状況等によって損失額が大きく変動する可能性があります。
(投資有価証券)
当社グループの投資有価証券は非上場株式で構成されております。活発な市場における公表価格が入手できない非上場株式の公正価値は、合理的に入手可能なインプットにより、主に割引キャッシュ・フロー法を使用して測定しております。公正価値の評価は、評価する時点において入手可能な情報に基づく最善の見積りと判断に基づき実施しておりますが、将来の事業環境の変化等の影響により見積りの見直しが必要となった場合には、当社グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
(のれん)
当社グループは経営戦略に基づく事業拡大のため、株式取得による企業結合を行っております。当該企業結合により認識されたのれんについては、減損の兆候の有無にかかわらず年に一度、又は減損の兆候がある場合はその都度、減損テストを実施しております。この減損テストにおいては、評価時点で入手可能な経営者の最善の見積りと判断による将来キャッシュ・フロー予測に基づいて実施されておりますが、将来の事業環境の変化等の影響によりこれらの見積もりが変更された場合は、当社グループの事業及び業績に影響を及ぼす可能性があります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ②財政状態の状況」に記載の通りであります。
b.経営成績の分析
(売上収益)
当連結会計年度の売上収益は、2,905,837千円(前期比20.7%増)となりました。これは主に、主要サービスであるストックサービス件数の増加による売上収益の増加、当連結会計年度中に取得した連結子会社の株式会社ハイブリッドテックエージェント、株式会社イクシアスによるシステム開発やコンサルティングの受注機会の拡大、及び前連結会計年度に参入したサイバーセキュリティサービスの順調な立ち上がり等によるものであります。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は、1,858,449千円(前期比26.9%増)となりました。これは主に、売上規模に応じてエンジニアの稼働が増加したことによるものであります。
以上の結果、当連結会計年度の売上総利益は、1,047,388千円(前期比11.0%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、798,850千円(前期比21.1%増)となりました。これは主に、売上規模に応じた人件費及び管理費等の増加、マーケティング活動費用の増加、当連結会計年度に取得した連結子会社2社のM&A関連の一時費用計上によるものであります。
以上の結果、当連結会計年度の営業利益は、256,760千円(前期比10.8%減)となりました。
(金融収益、金融費用、税引前利益)
当連結会計年度の金融収益は、2,764千円(前期比92.1%減)となりました。これは主に、受取利息によるものであります。一方で金融費用は、70,253千円(前期比454.0%増)となりました。これは主に、為替差損によるものであります。
以上の結果、当連結会計年度の税引前利益は、189,270千円(前期比39.0%減)となり、法人所得税費用を28,943千円(前期比52.1%減)計上したことにより親会社の所有者に帰属する当期利益は、160,328千円(前期比35.8%減)となりました。
c.キャッシュ・フローの分析
キャッシュ・フローの分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
③資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資本の財源及び資金の流動性について、事業活動のための適切な水準の流動性の維持及び市場から理解を得られる株主価値向上を目指した明確な資金調達戦略の提示と実行を基本方針としております。ハイブリッド型サービスにおいて技術者の採用は重要であり、これらの資金需要は内部資金または資金調達の実施により賄うことを基本としております。
④目標とする客観的な指標等の推移
当社グループは、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標」に記載の通り、売上高の継続的かつ累積的な増加の実現のため、ストックサービス件数とストックサービス単価を重要指標としております。
2023年9月期は、上期には為替市場の円安動向が、当社のUSドル建て契約の向かい風となり、新規案件の獲得や小規模な既存案件の離脱等に影響したものの、下期には大手顧客や紹介経由の引合の案件化、出資先との連携等による案件の獲得チャネルの多様化等が貢献し、2023年9月期のストックサービス件数は、2022年9月期末時点の49件から20件増加して69件(前期比40.8%増)と大幅に進捗しました。
ストックサービス単価においては、既存案件の開発体制の拡大が進捗したものの、小規模な開発体制から始まる傾向がある新規案件の獲得が下期にかけて進捗した結果、2022年9月期末時点の4,349千円から592千円減少して3,757千円(前期比13.6%減)となりました。
⑤経営成績に重要な影響を与える要因について
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因は「第2 事業の状況 3事業等のリスク」をご参照ください。
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