【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
① 経営成績当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の落ち着きに伴い、経済活動は正常化し、景気や企業業績に回復の動きがみられましたが、その動きは緩やかなものとなりました。一方で物価の上昇や為替の急激な円安進行などにより、先行きの不透明な状況が続いております。国際的な経済情勢においても、インフレの進行や地政学リスクの拡大、金利の引き締めなどを背景に、減速の見通しとなるとともに、今後さらに落ち込むリスクが高まってきております。当社の属する情報通信業界におきましては、情報通信機器や事務用機器のリース取扱高が前年比で緩やかな回復となっていますが、低位安定推移となっております。 こうした経営環境のなか、当社グループはグループ会社間のシナジーを最大化するべく、組織再編と海外事業強化に取り組んでまいりました。国内においては、約6万件の顧客データベースを活用しセキュリティ関連商品や情報通信機器、LED照明などのアップセルに取り組み、海外においてはカーボンニュートラルに取り組む企業へ環境商材の販売に注力しました。海外ローカル市場の取り込みに向けて、2021年10月にマレーシアでLED照明の卸売りを行うSin Lian Wah Lighting Sdn. Bhd.(以下、SLWL社)、2023年9月に電気製品部品の卸売りを行うSin Lian Wah Electric Sdn. Bhd.(以下、SLWE社)株式の100%を取得しております。以上の結果、当連結会計年度の業績は、売上収益が前年同期比6.6%増の9,510百万円となりました。営業利益は、海外事業の収益拡大、及び業務効率化により間接コストを削減したこと等により、前年同期比9.0%増の450百万円、親会社の所有者に帰属する当期利益は前年同期比10.4%減の314百万円となりました。セグメントの業績を示すと、次のとおりです。a.国内ソリューション事業直営店チャネルにおいては、顧客データベースを活用した効率的な営業活動を行うとともに、新規の顧客開拓に取り組み、企業のカーボンニュートラルへの取り組みやネットワークセキュリティ強化に対するソリューション営業を実施しました。その結果、同チャネルの売上収益は前年同期比3.1%減の2,171百万円となりました。FC加盟店チャネルにおいては、直営店の販売手法を水平展開し、セキュリティ商材等の販売支援を実施した結果、同チャネルの売上高は前年同期比0.8%増の1,156百万円となりました。代理店チャネルにおいては、電力料金の引き下げ対策として主力商品のLED商品の販売促進に取り組みました。一方、セキュリティソリューションではOEM供給が終了した影響もあり大幅な減収となりました。その結果、同チャネルの売上高は前年同期比0.9%減の986百万円となりました。これらの結果、国内ソリューション事業の売上収益は、前年同期比1.6%減の4,314百万円となりました。セグメント利益は、コスト構造の見直しにより、前年同期比91.4%増の188百万円となりました。
b.海外ソリューション事業海外ソリューション事業は、脱炭素化に取り組む企業へLED商品や業務用エアコン等による省エネソリューション提案に注力しました。中国やマレーシアでの販売が順調に推移しました。これらの結果、売上収益は前年同期比17.6%増の4,633百万円、セグメント利益は、前年同期比54.0%増の388百万円となりました。
c.BPR(※2)事業BPR事業は、新規顧客開拓に取り組むとともに、コンサルティング営業による業務効率化提案を通じてRPAやAI-OCRの導入、BPO業務受託を獲得しました。BPOセンターにおいては、業務の自動化に向けて、特にRPAの活用による業務効率化と品質向上に取り組みました。これらの結果、売上収益は前年同期比5.7%減の562百万円となり、セグメント利益は、大幅な円安元高によりセンター経費が増加したため、前年同期比24.6%減の85百万円となりました。※2 BPR(Business Process Re-engineering)の略称です。
② キャッシュ・フロー当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という)は、前連結会計年度末と比べ79百万円減少し、2,625百万円となりました。営業活動で104百万円、投資活動で843百万円をそれぞれ使用し、財務活動で876百万円を獲得したことによるものです。なお、当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動で使用した資金は、104百万円(前連結会計年度は266百万円の獲得)となりました。この主な要因は、税引前利益が490百万円となったものの、棚卸資産が224百万円増加し、営業債務及びその他の債務が148百万円減少したこと等によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動で使用した資金は、843百万円(前連結会計年度は536百万円の使用)となりました。この主な要因は、SLWE社株式を取得したことによるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動で獲得した資金は、876百万円(前連結会計年度は262百万円の使用)となりました。この主な要因は、SLWE社の株式取得に伴い、長期借入で800百万円の調達を実施したことによるものです。
③ 生産、受注及び販売の状況
a.生産実績該当事項はありません。
b.受注状況該当事項はありません。
c.販売実績当連結会計年度の販売実績をセグメント別、販売チャネル別に示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自 2022年10月1日至 2023年9月30日)
前年同期比(%)
国内ソリューション事業
直営店
(千円)
2,171,350
96.9
FC加盟店
(千円)
1,156,111
100.8
代理店
(千円)
986,624
99.1
計
(千円)
4,314,085
98.4
海外ソリューション事業
(千円)
4,633,534
117.6
BPR事業
(千円)
562,776
94.3
合計
(千円)
9,510,397
106.6
(注) 1 セグメント間の取引については相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績の状況に関する検討内容文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において、当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しております。この連結財務諸表の作成に当たって、必要と思われる見積りは、合理的な基準に基づいて実施しております。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 連結財務諸表注記 3.重要な会計方針及び4.重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載しております。
② 財政状態の分析当連結会計年度末の資産につきましては、前連結会計年度末より1,604百万円増加し、10,843百万円となりました。これは主にSLW社が連結対象となり、同社の営業債権及びその他の債権及び棚卸資産が加算されたことによるものであります。
負債につきましては、前連結会計年度末より1,291百万円増加し、5,889百万円となりました。これは主にSLW社が連結対象となり、営業債務及びその他の債務が増加したこと、及び事業拡大に伴う運転資金の増大に伴う借入金(流動負債と非流動負債の合計)が1,066百万円増加したことによるものであります。資本合計につきましては、前連結会計年度末より312百万円増加し、4,953百万円となりました。これは主に当期利益による利益剰余金が236百万円増加したことによるものであります。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載のとおりです。
④ 当社グループの資本の財源及び資金の流動性について当社グループの運転資金需要のうち主なものは、情報通信機器及び環境商材等の仕入資金ならびに人件費をはじめとする販売費及び一般管理費であります。また、M&Aや新規事業開発、グローバル事業への戦略的投資に係る資金需要が生じております。当社グループの事業活動に必要な資金を確保する方法として、運転資金につきましては、内部資金または短期借入金により調達することを原則としております。M&A等の戦略的投資に係る資金につきましては、長期借入金や転換社債、株式発行等で調達することとしており、負債と資本のバランスに配慮しつつ、必要な資金を調達してまいります。