【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
①財政状態及び経営成績の状況
足許の経営環境については、「1(3)経営環境」に記載の通りです。
そのような状況の下で、当連結会計年度における日本及び海外を合わせた販売数量は前年度比2.8%増となりました。欧州市場の販売数量は、需要の落ち着きを反映して前年度比0.2%増で推移しました。北米市場の販売数量は、代理店が前連結会計年度において販売好調ななかで積み増した在庫の調整を図ったこと、及び当連結会計年度の需要減により、前年度比47.7%減となりました。日本市場の販売数量は、前年度比2.3%減ですが当連結会計年度内ではポストコロナの需要減は見受けられませんでした。アジア市場の販売数量は、中国において好調な需要が続くなか、前々連結会計年度の代理店による発注出遅れの影響も一巡し、販売が前年度比90.1%増と大幅に増加したことから、前年度比72.8%増となりました。
a.財政状態
当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ3,376,847千円増加し、32,805,478千円となりました。主な変動要因は、現預金が880,064千円、棚卸資産が1,310,931千円、設備投資により有形固定資産が871,566千円増加したことによるものです。
当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ873,006千円減少し、5,660,235千円となりました。主な変動要因は、買掛金が858,642千円減少したことによるものです。
当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ4,249,854千円増加し、27,145,242千円となりました。主な変動要因は、利益剰余金が4,058,954千円増加したことによるものです。これらの結果、自己資本比率は前年度比5.0ポイント増加し、82.7%となりました。
b.経営成績
当連結会計年度の業績につきましては、中国を中心とするアジア市場の好調と円安効果が牽引し、売上高は33,616,724千円と前年度比4,663,211千円(16.1%)の増収となりました。資材費等のコストアップはありましたが、2022年10月に行った一斉値上げと新たに投入した新モデル(X-Fifteenシリーズ)発売に伴う単価アップ等から、営業利益は9,825,750千円と前年度比1,443,489千円(17.2%)の増益となりました。経常利益は9,858,156千円と前年度比1,354,637千円(15.9%)の増益、税金等調整前当期純利益は9,859,169千円と前年度比1,355,599千円(15.9%)の増益、親会社株主に帰属する当期純利益は7,068,677千円と前年度比1,050,068千円(17.4%)の増益となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」と表示します。)の残高は、前年度末に比べ880,064千円(6.34%)増加し、14,767,282千円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果による資金は、6,354,767千円の増加(前年度は6,027,263千円の増加)となりました。主な増加は、税金等調整前当期純利益による資金の増加9,859,169千円、減価償却費による資金の増加1,486,429千円であり、主な減少は、棚卸資産の増加による減少1,081,709千円、法人税等の支払による資金の減少3,004,117千円などによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果による資金は、2,350,506千円の減少(前年度は1,845,714千円の減少)となりました。主な内訳は、生産設備の維持・増強のための有形固定資産の取得2,237,150千円、システム導入による無形固定資産の取得59,520千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果による資金は、3,461,862千円の減少(前年度は2,270,898千円の減少)となりました。主な内訳は、配当金の支払額3,002,990千円、自己株式の取得353,599千円によるものです。
③生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
生産実績を品目別に示すと、次の通りであります。
当連結会計年度
(自 2022年10月1日
至 2023年9月30日)
品目名
金額(千円)
前年同期比(%)
ヘルメット関連事業
二輪乗車用ヘルメット
32,622,660
118.8
官需用ヘルメット
70,235
96.8
その他
3,884,113
134.9
合計
36,577,009
120.3
(注) 金額は、販売価格によっております。
b.受注実績
受注実績を品目別に示すと、次の通りであります。
当連結会計年度
(自 2022年10月1日
至 2023年9月30日)
品目名
受注金額(千円)
前年同期比(%)
期末受注残高
(千円)
前年同期比(%)
ヘルメット関連事業
二輪乗車用ヘルメット
21,270,787
100.7
8,052,591
48.6
官需用ヘルメット
38,206
55.6
8,665
18.8
その他
2,999,554
107.3
549,706
42.5
合計
24,308,548
101.4
8,610,962
48.1
(注) 前第1四半期後半より、受注から出荷までのリードタイムを短縮させる目的で、月次の受注数量をコントロー
ルしておりましたが、当第3四半期後半より解除しております。
c.販売実績
(ⅰ)品目別販売実績
当連結会計年度
(自 2022年10月1日
至 2023年9月30日)
品目名
金額(千円)
前年同期比(%)
ヘルメット関連事業
二輪乗車用ヘルメット
29,798,184
113.7
官需用ヘルメット
75,617
252.5
その他
3,742,922
137.3
合計
33,616,724
116.1
(ⅱ)主要相手先別販売実績
相手先名
前連結会計年度
当連結会計年度
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
岡田商事㈱
4,196,738
14.5
4,255,247
12.7
XIAMEN CHUANGJIAN HELMETS CO.,LTD.
1,978,416
6.8
3,709,618
11.0
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①経営成績等
当連結会計年度の外部環境は「1(3)経営環境」に記載の通りでありますが、そのなかにおいて、「1(1)経営方針」に記載している「Made in Japanで勝負すること」、「お客様の声に耳を傾けること」を徹底したことで、世界の殆どの国でシェアNo.1の地位を維持・拡大しており、当連結会計年度の業績は、前年度比増収増益、高い利益率(ROE 28.3%)を確保することができました。
まず、「Made in Japanで勝負すること」については、ジャストインタイムシステム(JIT)による改善活動が大きな柱となりますが、各工場工程における日々の活動に加え、毎月のJIT会議で両工場の成果を共有して全社で徹底することでコストダウンと品質向上を実現しています。新型コロナウイルスの感染者が再拡大した時期においても、工場において手洗い・うがい等の予防対策を徹底しつつ、月次のJIT会議も出張を控えて各工場で活動を行い、それらをリモートで共有することで継続してきました。
次に、「お客様の声に耳を傾けること」については、市場のニーズに対して真摯に耳を傾け、業界を率先して商品化やモデルチェンジを行っております。ネオクラシックブームに合わせて投入したGlamster等は好調を維持するとともに、当社の主力製品であるレーシング対応最上位フルフェイスモデルであるX-Fifteenシリーズ(X-Fifteen/X-SPR Pro)を刷新し、2022年から2023年にかけて欧州・日本・北米と順次投入した効果が当連結会計年度はフルに寄与しました。
②経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に影響を与える大きな要因は、「3(1)特に重要なリスク」に記載の通りであります。
③資本の財源及び資金の流動性
当社グループでは、持続的に成長するために必要不可欠な設備投資や研究開発を継続しており、それら全ての資金は自己資金で賄っております。1(1)経営方針に記載の通り、当社は、「健全な財務体質により、事業継続を長期にコミット」しており、それを実現するため、他人資本等に頼らない財務的な独立を維持します。そのために当社グループは、長年築き上げた高いブランド力を背景に高収益体質、無借金経営を維持しております。
また、当社グループでは、将来の様々な成長投資のみならず、伝染病流行、大規模自然災害等の発生や、予期せぬ市場の冷え込みによる生産能力の落ち込みを受けても、ブランドを棄損することなく終息まで耐え抜くだけの体力を備えるべく、現預金を手厚く維持しております。当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は14,767,282千円(前年度末比6.3%増)となっております。
株主還元につきましては、当社の方針は連結配当性向50%を目途としておりますが、今般、資本効率の向上や株主還元の充実を図るため、経営環境の変化に対応して機動的に資本政策を遂行することを基本方針に追加しました。配当総額は3,534,538千円(連結配当性向は50.1%)となり、引き続きこの水準の維持に努めて参ります。
④経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループは、健全な財務体質を維持するには高収益体質の継続が重要であることから、売上総利益率及びROE(自己資本当期純利益率)を重要な経営指標として位置付けております。当連結会計年度においては、前項①~③に記載の取り組みにより、売上総利益率45.5%(前年同期45.5%)、ROE 28.3%(前年同期29.1%)となりました。また、期末配当による株主還元は基本方針に従い連結配当性向50%を目途とし、配当総額3,534,538千円(連結配当性向は50.1%)となりました。引き続きこれらの指標の維持に努めてまいります。
⑤キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの分析は、「3(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」及び前項③をご参照ください。
⑥重要な会計上の見積り
財務諸表の作成にあたり、経営者は、決算日における資産及び負債の報告金額、偶発資産及び負債の開示、報告期間における収益や費用の報告金額に影響を与える様な見積りを行う必要があります。見積りは、過去の経験やその時点の状況として妥当と考えられる様々な要素に基づき行っており、他の情報源からは得られない資産及び負債の帳簿価額について当社及び連結子会社の判断の基礎となっております。経営者は見積りが必要となる項目に関する評価は合理的であると判断しております。ただし、これらの評価には経営者としても管理不能な不確実性が含まれているため、前提条件や事業環境などに変化が見られた場合には、見積りと将来の実績が異なることもあります。
次に挙げるものは、当社及び連結子会社のすべての会計方針を包括的に記載するものではありません。当社及び連結子会社の会計方針については、「第5 経理の状況」連結財務諸表等注記の「3 会計方針に関する事項」に記載されております。
連結財務諸表に関して、認識している重要な見積りを伴う会計方針に関する補足情報は、以下の通りです。
(商品及び製品の評価)
商品及び製品の連結貸借対照表価額については、取得価額を基本としております。また、その収益性の低下について、将来の販売見込数や販売可能性を踏まえた価格設定を踏まえて、営業循環過程から外れた滞留又は処分見込等の商品及び製品については、帳簿価額を正味売却価額又は処分見込価額まで切り下げております。なお、経営環境の変化等により市場における需要が見積りより悪化した場合には、翌連結会計年度の連結財務諸表において追加の評価減が必要となる可能性があります。
(退職給付関係)
退職給付債務については、割引率等の数理計算上で設定される前提条件に基づき算出しておりますが、実際の結果が前提条件と異なる場合、または前提条件が変更された場合、退職給付に係る負債及び退職給付費用の金額に重要な影響を与える可能性があります。
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