【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社および連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態および経営成績の状況当連結会計年度における当社事業を取巻く国内外の経済は、世界的に新型コロナウイルス感染症による行動制限の大幅な緩和や各国政府の経済対策など社会経済活動の正常化が進む中で、景気回復の兆しも見られておりましたが、長期化するロシア・ウクライナ情勢に起因する世界的な原油・原材料価格の高騰や大幅な円安などの影響に加え、当社グループの主要な取引先である自動車業界では半導体他様々な部品の供給面での影響を受け、回復の遅れが顕著であるなど、今後の本格的な景気回復に対する懸念が依然として払拭されない状況が続いております。こうした経済状況のなか、2023年3月期の当社の業況は、海外では世界的な原油・原材料価格の高騰によるコスト増の悪影響はありましたが、新型コロナウイルス感染拡大が落ち着きを見せ始めたこと等による安定的な需要回復に急速なタイバーツ、ベトナムドン高の影響も重なり、前年度に対し増収・増益、順調に回復することとなりました。一方で、当社の主力である国内事業においては、年初では需要の回復を想定し前年度に対し増収を見込んでおりましたが、年度を通じて、海外と同様に原油・原材料価格高騰の影響及び国内自動車産業の度重なる生産調整、住宅設備事業における巣篭り需要やリフォーム需要の一巡による減収など、当初の想定以上に収益を圧迫する要因が重なりましたため、連結・個別とも昨年11月に修正開示いたしました業績予想を本年2月に再度修正開示することとなりました。財務体質の健全化については、進めてきた様々な経営改善施策の実施による事業収益性の改善に加え、過年度の赤字による資本の毀損、今後の新製品、新技術の開発のための新たな資金の調達不安や人材不足等の問題を解決すると同時に抜本的な再建が必要と判断し、2020年1月に産業競争力強化法に基づく特定認証紛争解決手続(いわゆる事業再生ADR手続)の正式な申請を行い、対象債権者(取引先金融機関)による金融支援等を内容とした事業再生計画を策定、2020年4月開催の事業再生ADR手続の第3回債権者会議において、全ての対象債権者からの同意のもと、事業再生計画及び事業再生ADR手続を着実に進めることと、2020年6月に、当社の主力市場である自動車業界への豊富な投資実績を有するエンデバー・ユナイテッド株式会社が組成したファンドであるエンデバー・ユナイテッド2号投資事業有限責任組合との間で、第三者割当方式により、普通株式及びA種優先株式を発行する資本増強策を実施いたしました。当社グループは、この事業再生計画を確実に実施することにより収益力を上げ、財務内容を健全化させ経営基盤を安定化させると同時に、安定操業の確保、コンプライアンスの遵守およびリスク管理の強化などに継続的に取り組んでまいりました。
このような厳しい環境下ではありますが、当年度上半期をボトムとして下期には収益回復の兆しも見え、当期の連結業績は下記のようになりました。
売上高
15,389百万円(対前期比 3.4%増加)
営業利益
381百万円(対前期比 47.2%減少)
経常利益
432百万円(対前期比 25.4%減少)
親会社株主に帰属する当期純利益
189百万円(対前期比 54.7%減少)
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。当社グループは製品別セグメントから構成されており、「モビリティ事業」、「リビングスペース事業」および「アドバンスド&エッセンシャル事業」の3つを報告セグメントとしております。
モビリティ事業当事業の国内自動車部門におきましては、部品供給不足とモデルの生産中止による建機農機の落ち込みと大型・中型トラック向け車両の減産で、販売減となりました。海外自動車部門におきましては、ピックアップトラック向けの販売が回復し増収となりました。それにより、タイのECHO AUTOPARTS(THAILAND) CO.,LTD.については、前年度と比べ売上高は増加いたしました。この結果、当事業の売上高は93億55百万円となり、前連結会計年度比9億5百万円増加いたしました。セグメント利益は3億20百万円となりました。
リビングスペース事業当事業の国内住宅設備部門におきましては、業界の全般的なサプライチェーンは回復基調に向かっておりますが、住宅リフォーム需要は減少傾向が続き、弱含みに推移しました。また、DIY等の巣篭り需要の落ち込みが継続しています。この状況下において、新規化粧鏡の受注や普及タイプの化粧鏡の需要は引き続き好調に推移しましたが、業務用空調部品は需要がやや落ち込みました。その結果、売上高は減少いたしました。海外冷機部品部門におきましては、タイのTHAI KODAMA CO.,LTD.では、前連結会計年度と比べ売上高は増加いたしました。ベトナムのTHAI KODAMA (VIETNAM)CO.,LTD.は引き続き業務用冷蔵庫部品が好調に推移し、売上高は増加いたしました。この結果、売上高は51億92百万円となり、前連結会計年度比99百万円減少いたしました。セグメント利益は5億77百万円となりました。
アドバンスド&エッセンシャル事業当事業におきましては、ゲームソフト用パッケージ事業は需要増により前年を上回り、また、エネルギー関連インフラ設備向けでは新規部品受注により販売増となりました。前年度まで当事業に含んでおりました自動車向け関連製品を当年度においてはモビリティ事業に移管したことにより、売上高は減少いたしました。利益については、売上減少分が減益となりましたが、利益率では10%以上を確保しております。この結果、売上高は8億41百万円となり、前連結会計年度比3億円減少いたしました。セグメント利益は1億48百万円となりました。
当連結会計年度末の総資産は、133億56百万円となり、前連結会計年度と比べ4億70百万円の増加となりました。流動資産では、現金及び預金の減少等により1億26百万円減少し、固定資産では有形固定資産の増加等により5億97百万円の増加となりました。負債では、流動負債はその他流動負債の増加等により4億25百万円増加し、固定負債は長期借入金の減少等により4億40百万円の減少となりました。純資産では、利益剰余金の増加等により、4億86百万円の増加となりました。これらの結果、自己資本比率は29.2%(前連結会計年度末は28.3%)となりました。
②キャッシュ・フローの状況当連結会計年度の現金および現金同等物(以下「資金」という)は、営業活動により9億5百万円増加し、投資活動により6億9百万円減少し、財務活動により8億12百万円減少いたしました。この結果、資金は前連結会計年度より4億51百万円減少し、13億17百万円(25.5%減)となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動による資金の増加は9億5百万円(前連結会計年度比1億81百万円の収入減)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益および減価償却費等によるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動による資金の減少は6億9百万円(前連結会計年度比2億25百万円の支出増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出等によるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動による資金の減少は8億12百万円(前連結会計年度比96百万円の支出減)となりました。これは主に、借入金の返済によるものであります。
③生産、受注および販売の状況
イ.生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(千円)
前期比(%)
モビリティ事業
8,329,926
3.4%
リビングスペース事業
5,383,120
2.2%
アドバンスド&エッセンシャル事業
705,201
20.9%
合計
14,418,247
3.7%
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
ロ.受注状況当社グループは受注による生産を行っておりますが、いずれも随時受注契約で、受注確定日と納入日は短期間のため記載を省略しております。
ハ.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(千円)
前期比(%)
モビリティ事業
9,355,988
10.7%
リビングスペース事業
5,192,149
△1.9%
アドバンスド&エッセンシャル事業
841,631
△26.3%
合計
15,389,770
3.4%
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計方針および見積り当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたりまして、決算日における資産・負債の報告数値、報告期間における収益・費用の報告数値に影響を与える見積りは、主に貸倒引当金、棚卸資産、繰延税金資産、固定資産の減損損失及び退職給付に係る負債等であり、継続して評価を行っております。当社は、以下の会計上の見積りが当社グループの連結財務諸表に重要な影響を与えるものと考えております。固定資産の減損処理当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産または資産グループについて、当該資産または資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損の兆候の把握、減損損失の認識および測定にあたっては慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じ減少した場合、減損処理が必要となる可能性があります。繰延税金資産の回収可能性繰延税金資産の算定に際して用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容
a経営成績等の分析当社グループの当連結会計年度の経営成績等は、海外では世界的な原油・原材料価格の高騰によるコスト増の悪影響はありましたが、新型コロナウイルス感染拡大が落ち着きを見せ始めたこと等による安定的な需要回復に急速なタイバーツ、ベトナムドン高の影響も重なり、前年度に対し増収・増益、順調に回復することとなりました。一方で、当社の主力である国内事業においては、年初では需要の回復を想定し前年度に対し増収を見込んでおりましたが、年度を通じて、海外と同様に原油・原材料価格高騰の影響及び国内自動車産業の度重なる生産調整、住宅設備事業における巣篭り需要やリフォーム需要の一巡による減収など、当初の想定以上に収益を圧迫する要因が重なりましたため、連結・個別とも昨年11月に修正開示いたしました業績予想を本年2月に再度修正開示することとなりました。その結果、当連結会計年度の売上高は153億89百万円(前連結会計年度比3.4%増)と増収となり、営業利益は3 億81百万円(前連結会計年度比43.7%減)、経常利益は4億32百万円(前連結会計年度比25.4%減)、税金等調整前当期純利益は4億32百万円(前連結会計年度比25.4%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は1億89百万円(前連結会計年度比54.7%減)となりました。
b経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について、主事業は受注生産事業であり、得意先の工法変更、外注政策、競業他社との受注競争および生産動向等により受注高が大きく変動することがあります。また、当社グループの主力分野であるプラスチックス材料での住宅設備、自動車部品分野は、過当競争体質の状況下にあり、価格競争が激しく、当社グループにとって不利な受注価格になることがあります。
c資本の財源および資金の流動性当社グループの資本の財源および資金の流動性については、営業活動による資金の増加は9億5百万円(前連結会計年度比1億81百万円の収入減)となりました。これは主に、税引前当期純利益および減価償却費等によるものであります。投資活動による資金の減少は6億9百万円(前連結会計年度比2億25百万円の支出増)となりました。これは主に、有形固定資産の取得による支出等によるものであります。財務活動による資金の減少は8億12百万円(前連結会計年度比96百万円の支出減)となりました。これは主に、借入金の返済によるものであります。今後、内部留保を超える設備投資は借入等外部調達にて対応予定であります。
d経営成績に重要な影響を与える要因経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりです。台風、地震、火災等の災害及び新型コロナウイルス、新型インフルエンザ等の感染症などが、想定を大きく上回る規模で発生、流行し、当社グループの事業所の稼働が長期にわたり困難になるような場合や当社グループの顧客の属する業界に大きな影響が生じる場合には、当社グループの財政状態および経営成績等に悪影響を及ぼす可能性があります。これらの予測は非常に難しい状況ですが、当社グループは、非常時に備えた危機管理体制の整備に努め対策を講じており、非常時においては、機動的・予防的な財務施策により資金の流動性確保に努めるとともに、需要に応じた生産活動の徹底、設備投資の抑制や徹底的な固定費削減など緊急対策等を進め、これらの影響が最小限となるよう努めています。
e経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標については、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)目標とする経営指標」に記載のとおりです。当目標の達成に向けた取り組みについては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(3)中長期的な会社の経営戦略および会社の対処すべき課題」に記載のとおりです。