【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度の当社グループの経営成績は、売上高7,061,045千円(前期比27.6%減)、営業損失540,391千円(前期は234,391千円の営業損失)、経常損失616,056千円(前期は経常利益100,617千円)、親会社株主に帰属する当期純損失3,105,217千円(前期は親会社株主に帰属する当期純損失818,700千円)となりました。
当連結会計年度においては、テストセンター事業及びAI事業で当初計画に対して売上高が順調に推移したことから、通期業績予想に対する上振れ要因となりました。一方で、前年比では、テスト等ライセンス事業、教育プラットフォーム事業、AI事業、テスト運営・受託事業における売上減少により減収となり、売上総利益は減益となりました。業務委託費や人件費の削減等により、販売費及び一般管理費が減少しましたが、売上総利益の減少を補いきれず、営業損失は前年同期比で損失幅を拡大しました。また、主に第2四半期までに計上したソフトウエア等の減損損、訴訟関連費用および事業構造改革にかかる費用等の引き当てに伴う特別損失の計上等により、親会社株主に帰属する当期純損失は損失幅を拡大しました。
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
a. テスト等ライセンス事業
テスト等ライセンス事業においては、英語スピーキングテストのライセンス収入やオンライン英語テスト「CASEC」の売上減少等により、当該セグメントの売上高は924,370千円(前年同期比27.1%減)となり、セグメント利益は81,439千円(同69.7%減)となりました。
b. 教育プラットフォーム事業
教育プラットフォーム事業においては、主に当社子会社が特定の顧客に対して提供する語学ラーニングツールの利用に関するライセンス契約が、期間満了日である2023年3月31日付けで終了したことにより、当該セグメントの売上高は1,480,427千円(前年同期比42.9%減)、セグメント利益は117,271千円(同83.9%減)となりました。
c. テストセンター事業
テストセンター事業においては、CBT配信受託業務における一部契約終了の影響等を受けたものの、テストセンター利用者数は順調に増加し、当該セグメントの売上高は2,911,257千円(前年同期比0.4%増)、セグメント利益は335,261千円(同0.4%減)となりました。
d. AI事業
AI事業においては、外部顧客への手書き文字認識エンジン(AI-OCR)「DEEP READ」のライセンス収入が安定して推移したものの、前連結会計年度に発生した学力調査関連のライセンス収入の減少等に伴い、売上高は減収となりました。費用面では、中国自習室事業にかかる販売管理費の減少等により利益率が改善し、当該セグメントの売上高は350,482千円(前年同期比23.9%減)、セグメント利益は114,607千円(前年同期はセグメント損失76,729千円)となりました。
e. テスト運営・受託事業
テスト運営・受託事業においては、前年度に単独で受託した文部科学省による全国学力・学習状況調査(小学校事業)を今年度は再委託機関として受託したこと等により前年比減収となり、当該セグメントの売上高1,433,053千円(前年同期比47.1%減)、セグメント損失は24,817千円(前年同期はセグメント利益31,059千円)となりました。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末における財政状態は、資産は6,021,579千円(前連結会計年度末比6,416,313千円減)、負債は4,136,727千円(前連結会計年度末比3,266,020千円減)、純資産は1,884,852千円(前連結会計年度末比3,150,292千円減)となりました。
(資産)
流動資産は、前連結会計年度末に比べて3,797,355千円減少し、5,293,842千円となりました。これは、借入金の返済等により、現金及び預金が2,208,638千円減少したことなどによります。
固定資産は、前連結会計年度末に比べて2,616,905千円減少し、725,585千円となりました。これは、ソフトウエア及びソフトウエア仮勘定が1,717,295千円、投資有価証券が298,164千円減少したことなどによります。
繰延資産は、前連結会計年度末に比べ2,052千円減少し、2,151千円となりました。
この結果、総資産は、前連結会計年度末に比べて6,416,313千円減少し、6,021,579千円となりました。
(負債)
流動負債は、前連結会計年度末に比べて1,758,706千円減少し、3,659,790千円となりました。これは、借入金の返済等により、借入金及び社債が1,221,175千円減少したことなどによります。
固定負債は、前連結会計年度末に比べて1,507,314千円減少し、476,936千円となりました。これは、借入金及び社債が1,482,586千円減少したことなどによります。
この結果、負債合計は、前連結会計年度末に比べて3,266,020千円減少し、4,136,727千円となりました。
(純資産)
純資産合計は、前連結会計年度末に比べて3,150,292千円減少し、1,884,852千円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純損失の計上等により利益剰余金が3,105,217千円減少したことなどによります。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物は、2,622,367千円(前連結会計年度末比819,139千円減)となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは336,612千円の収入(前連結会計年度は581,118千円の支出)となり、前期比大幅な収入増となりました。これは、税金等調整前当期純損失3,189,669千円(前連結会計年度は786,867千円)などの減少要因があるものの、主に減損損失2,032,254千円(前連結会計年度は595,849千円)などの非資金支出、売上債権の増減額929,833千円等の増加要因の影響によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは1,434,256千円の収入(前連結会計年度は3,125,434千円の支出)となりました。これは、定期預金の預入による支出3,106,522千円(前連結会計年度は8,669,183千円)、定期預金の払戻による収入4,496,021千円(前連結会計年度は6,057,180千円)、ソフトウエア開発による無形固定資産の取得による支出330,654千円(前連結会計年度は1,092,687千円)などの影響によります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは2,560,846千円の支出(前連結会計年度は3,251,757千円の支出)となりました。これは、長期借入金の返済による支出1,630,686千円(前連結会計年度は2,521,019千円)などの影響によります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績
当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b. 受注実績
当連結会計年度の受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自
2022年10月1日
至
2023年9月30日)
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
テスト運営・受託事業
1,414,037
54.6%
402,444
97.4%
(注)テスト運営・受託事業以外のセグメントについては事業の性格上、受注実績の記載に馴染まないため、記載しておりません。
c. 販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自
2022年10月1日
至
2023年9月30日)
金額(千円)
前年同期比(%)
テスト等ライセンス事業
924,370
72.9
教育プラットフォーム事業
1,480,427
57.1
テストセンター事業
2,872,710
99.7
AI事業
350,482
113.5
テスト運営・受託事業
1,433,053
52.9
合計
7,061,045
72.3
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自
2021年10月1日
至
2022年9月30日)
当連結会計年度
(自
2022年10月1日
至
2023年9月30日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
公益財団法人日本英語検定協会
4,866,393
49.9
3,818,144
54.1
文部科学省
1,582,501
16.2
205,387
2.9
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表はわが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成しております。その作成には経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積り・仮定設定を必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績や状況に応じて合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績
(売上高)
当連結会計年度の売上高は7,061,045千円(前年同期比27.6%減)となりました。これはテストセンター事業の売上高が2,911,257千円(前年同期比0.4%増)と増加した以上に、テスト等ライセンス事業924,370千円(前年同期比27.1%減)、教育プラットフォーム事業の売上高が1,480,427千円(前年同期比42.9%減)、AI事業の売上高が350,482千円(前年同期比23.9%減)、テスト運営・受託事業の売上高が1,433,053千円(前年同期比47.1%減)と減少したこと等によります。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度の売上原価は5,133,127千円(前年同期比24.2%減)となりました。その結果、売上総利益は1,927,917千円(前年同期比35.5%減)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は2,468,309千円(前年同期比23.4%減)となりました。これは業務委託費や人件費が削減されたこと等によります。その結果、営業損失は540,391千円(前連結会計年度は、234,391千円の営業損失)となりました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
当連結会計年度の営業外収益は為替差益93,754千円、契約解約益68,750千円等により179,162千円となり、営業外費用は投資事業組合管理費180,378千円、支払利息26,262千円等により254,827千円となりました。その結果、経常損失は616,056千円(前連結会計年度は、100,617千円の経常利益)となりました。
(特別利益、特別損失及び親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度の特別利益は固定資産売却益333,644千円等により355,720千円となり、特別損失は減損損失2,032,254千円、特別調査費用引当金繰入額67,000千円、訴訟関連費用引当金繰入額182,086千円、事業構造改革引当金繰入額105,000千円等により2,929,333千円となりました。その結果、当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純損失3,105,217千円(前連結会計年度は、818,700千円の親会社株主に帰属する当期純損失)となりました。
b. 財政状態
財政状態の状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」をご参照ください。
③ キャッシュ・フローの状況の分析
キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
④ 資本の財源及び資金の流動性
当社グループの運転資金需要につきましては、売上原価並びに販売費及び一般管理費等の営業費用であります。
設備資金需要の主なものは、テスト及びラーニングツール開発のためのソフトウエア開発及びコンテンツ開発費であります。当連結会計年度においては、362,584千円の設備投資となりました。
翌連結会計年度の資金需要については、ソフトウエア開発及びコンテンツ開発による設備投資を中心に416百万円を予定しております。
運転資金につきましては、自己資金を基本としており、必要に応じて金融機関から短期借入を実施しております。設備投資資金につきましては、自己資金を基本としており、必要に応じて長期借入の実施、社債発行を行っております。
今後も収益構造の強化と成長性の維持のため継続的な設備投資が必要となりますので、安定的な自己資金の確保を目指してまいります。
⑤ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおり、事業環境、事業内容、事業運営体制等、様々なリスク要因が当社グループの経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。
そのため、当社グループは常に市場動向に留意しつつ、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保し、市場のニーズにあったサービスを展開していくことにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行っていく予定でおります。
⑥ 経営戦略の現状と見通し
当社グループは、持続的な成長を目指した体制構築に向け、2024年9月期から2026年9月期までの3年間を期間とする、「中期経営計画 -事業計画及び成長可能性に関する事項-」を2023年12月8日に公表いたしました。
当社は、以下に記載する3つの改革に取り組み、2025年9月期に、営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益の黒字化を目指します。
i) 事業構造改革
事業ポートフォリオの見直しを行い、高付加価値事業及び成長事業に対して経営資源を積極的に投下するとともに、不採算事業からの撤退を行い、高収益な企業体制を目指します。具体的には、テスト等ライセンス事業及びテスト運営・受託事業で、より付加価値を高めていくとともに、テストセンター事業及びAI事業を成長事業として育成します。一方で、教育プラットフォーム事業については、上記に記載の通り、撤退することで、他事業へ資源を再配分してまいります。
ii) コスト構造改革
早期のコスト削減、人員の再配置を行い、筋肉質な組織体制を目指します。具体的には、海外子会社の運営体制の見直しによるスリム化、外注費の最適化、オフィス移転を含めた徹底的な販管費の削減に取り組むとともに、一部事業・サービス撤退による、成長事業への人員の再配置を行います。
iii) 組織体制・企業風土改革
これまでの事業部制を廃止し、顧客軸とプロダクト軸を明確にし、顧客ニーズに応じた適切なソリューションを提供する組織へ移行することで複合的なサービス展開を行い、更なる販売拡大を目指します。また、これまで取り組んできたガバナンス体制強化に引き続き注力していきます。さらに、人事評価制度を再構築することで、変革に挑戦できる組織を目指してまいります。
⑦ 経営者の問題認識と今後の方針について
国内教育市場においては、GIGAスクール構想に基づき、児童・生徒1人に1台端末が整備され、ICTを活用した教育が不可欠となっております。テスト市場全体においては、従来型の紙のテストからCBTへの移行が進みつつあり、学習のオンライン化及びテストのCBT化が加速する傾向が続いております。また、英語教育の低年齢化、リスキリング需要の高まり及びデジタル化により、英語に対する教育とテスト需要の拡大も見込まれております。当社グループはこれを事業機会と捉え、経営資源を投入してまいります。
海外においては、海外子会社の運営体制の見直しによるスリム化を図り、早期のコスト削減を目指してまいります。選択と集中を意識した経営資源投入を行い、事業を展開してまいります。
経営者の問題認識については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりです。
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