【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況 a. 経営成績当連結会計年度におけるわが国の経済は、コロナ禍からの正常化の動きが続いているものの、インフレと利上げ影響に伴う欧米景気の不透明感や半導体市場の調整長期化が下押し圧力となり、先行き不透明な状況となっております。一方で、このような状況下にあっても、各企業においては、労働生産性向上や事業の付加価値向上等のためにIT・IOT・AI等の省人化投資等へのニーズが強まるとともに、安定的な業務継続のためにデータやデジタル技術の積極的活用を行うDXの推進は今後も加速していくものとみられます。そのような状況下で、当社グループは、引き続き国内FO事業として様々な事業規模・事業セクターの顧客企業向けにSaaS型車両管理サービスの提供や走行データ等の分析解析サービスの提供、顧客企業が保有するデータの利活用提案・DX推進を行うとともに、国内AO事業としてデータを活用した新たなビジネス機会創出を図るリース会社や自動車メーカーとの間で、エンドユーザー(リース会社や自動車メーカーが持つ法人顧客)に対するテレマティクスサービスの提供・導入支援、並びに当社データプラットフォームやデータ分析解析サービスの提供を行うなど、当社既存サービスのOEM提供と共同での顧客開拓や拡販を進めてまいりました。また、海外においては、連結子会社SmartDrive Sdn. Bhd.がマレーシアの現地企業に向けてドライバーエンゲージメントサービス等の提供や現地保険会社に向けたアプリ提供などを進めてまいりました。その結果、当社グループの当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高は1,709,054千円(前年同期比36.2%増)、営業損失は9,740千円(前連結会計年度は319,236千円の損失)、経常損失は26,796千円(前連結会計年度は302,118千円の損失)、親会社株主に帰属する当期純損失は28,851千円(前連結会計年度は303,486千円の損失)となりました。なお、当社グループは「国内FO事業」、「国内AO事業」及び「海外モビリティDX事業」を有機的に結合させたサービスを展開しているため、モビリティDX事業の単一セグメントとしております。
b. 財政状態(資産) 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ362,960千円増加し、1,507,978千円となりました。流動資産は、前連結会計年度末より265,661千円増加し、1,391,987千円となりました。これは主に現金及び預金が126,245千円増加したこと、加えて、売掛金が122,983千円増加したことによるものであります。固定資産は、前連結会計年度末より97,298千円増加し、115,991千円となりました。これは、主にソフトウエアを82,295千円計上したことによるものであります。
(負債) 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ80,310千円減少し、1,018,477千円となりました。流動負債は、前連結会計年度末より80,310千円減少し、488,477千円となりました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が100,000千円減少したことによるものであります。
(純資産) 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ443,270千円増加し、489,500千円となりました。これは主に、公募による新株発行により資本金及び資本剰余金をそれぞれ135,648千円、第三者割当増資による新株発行により資本金及び資本剰余金をそれぞれ86,404千円計上したことによるものであります。加えて、新株予約権の行使により、資本金及び資本剰余金がそれぞれ14,477千円増加しております。なお、自己資本比率は32.0%となっております。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ126,245千円増加し、971,167千円となりました。なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動によるキャッシュ・フローは、主に売上債権の増加及び税金等調整前当期純損失の計上により、107,325千円の支出(前年同期は445,965千円の支出)となりました。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動によるキャッシュ・フローは、主に無形固定資産の取得により、113,325千円の支出(前年同期は16,591千円の支出)となりました。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動によるキャッシュ・フローは、主に新規上場に伴う新株の発行により、347,243千円の収入(前年同期はなし)となりました。
(2) 生産実績
当社の事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため当該記載を省略しております。
(3) 受注実績
当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
モビリティDX事業
2,295,611
127.7
2,714,294
127.6
合計
2,295,611
127.7
2,714,294
127.6
(4) 販売実績当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。なお、当社はモビリティDX事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。
セグメントの名称
販売高(千円)
前年同期比(%)
モビリティDX事業
1,709,054
136.2
合計
1,709,054
136.2
(注) 最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
第9期連結会計年度(自 2021年10月1日至 2022年9月30日)
第10期連結会計年度(自 2022年10月1日至 2023年9月30日)
販売高(千円)
割合(%)
販売高(千円)
割合(%)
住友三井オートサービス㈱
133,983
10.7
371,738
21.8
スズキ㈱
217,199
17.3
234,799
13.7
出光興産㈱
154,209
12.3
38,237
2.2
(5) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。連結財務諸表の作成に当たり、資産及び負債又は損益の状況に影響を与える会計上の見積りは、過去の実績等の連結財務諸表作成時に入手可能な情報に基づき合理的に判断しておりますが、実際の結果は見積り特有の不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1連結財務諸表 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する分析・検討内容 a.当連結会計年度の経営成績の分析経営成績等の状況に関する分析・検討内容については、「(1)経営成績等の状況の概要」にも記載しておりますが、売上高は1,709,054千円(前年同期比36.2%増)となりました。これは主に、契約企業社数(エンドユーザー社数)の増加によるもの、及び住友三井オートサービス株式会社などパートナー企業との協業進展によるものであります。売上原価は主に、契約企業社数の増加等に伴い販売対象となったデバイス売上原価が増加したこと、並びにサービス提供に伴うSIM通信コストやサーバーコスト等の通信費が増加したこと等から、580,002千円(前年同期比18.2%増)となりました。販売費及び一般管理費は、1,138,793千円(前年同期比5.1%増)となりました。これは主に、事業拡大に伴い人員が増加した一方で、フリートオペレーター事業における代理店経由での顧客獲得に起因した広告宣伝費の圧縮等、コスト構造の最適化が進んだことによるものであります。その結果、営業損失は9,740千円(前連結会計年度は319,236千円の損失)となりました。営業外収益は12,575千円(前年同期比46.6%減)となりました。これは主に補助金収入が11,205千円計上されたことによるものです。営業外費用は29,631千円(前年同期比359.5%増)となりました。これは主に上場関連費用17,020千円が計上されたことによるものです。その結果、経常損失は26,796千円(前連結会計年度は302,118千円の損失)となりました。これらの結果、親会社株主に帰属する当期純損失は28,851千円(前連結会計年度は303,486千円の損失)と改善しております。また、経営成績等に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載しております。
b.資本の財源及び資金の流動性についての分析当社グループの資本の財源及び資金の流動性については、当社グループの主な資金需要は、人件費、通信費、車載端末仕入費用、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。これらにつきましては、基本的に営業活動によるキャッシュ・フローや自己資金を充当し、投資が必要な状況に応じて金融機関からの借入や資本政策に基づく資金調達で対応していくこととしております。c.目標とする経営指標経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりであります。
d.経営者の問題認識と今後の方針今後におきましては、国内FO事業において既存サービスのクロスセルや提供サービスの拡充によって、新規顧客の獲得、及び顧客単価増加を目指します。また、国内AO事業においては既存パートナーとの協調によるエンドユーザーに向けた拡販の実現、及び新規パートナー企業の新規開拓によって、今後の売上高の更なる拡大と、着実な売上総利益の確保を目指してまいります。
③ 売上高に係る参考情報当社は、「収益認識に関する会計基準」(企業会計基準第29号 2020年3月31日。以下「収益認識会計基準」という。)等を、第9期の期首から適用している影響で、自社製デバイスの物品販売について、従来は製品の出荷時点で収益を認識しておりましたが、顧客との契約における履行義務の充足に伴い、一定期間にわたり収益認識する方法に変更しております。その結果、第6期から第8期にかけて、売上高が従来の方法に比して減少しております。各期の売上高に係る比較可能性を担保するための参考情報として、以下をご参照ください。(単位:千円)
第6期
第7期
第8期
第9期
第10期
決算年月
2019年9月
2020年9月
2021年9月
2022年9月
2023年9月
売上高(注)1.
191,264
398,547
827,667
1,254,681
1,709,054
売上高(注)2.
165,372
347,231
691,020
1,254,681
1,709,054
(注)1.収益認識会計基準等を第9期の期首より適用した財務諸表上の売上高であります。 2.収益認識会計基準等を第6期の期首より適用したと仮定した場合の売上高であります。 3.(注)2.の数値に関しては、有限責任 あずさ監査法人の監査を受けておりません。 4.第6期は、提出会社の財務諸表上の売上高であります。
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