【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
①経営成績の状況
当連結会計年度におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症対策が新たな段階に移行し、企業活動に持ち直しの動きがみられ、実質GDPが新型コロナウイルス感染症拡大前の水準まで回復する等、経済活動の正常化が進みました。個人消費は緩やかに増加し、景気も緩やかに回復の動きがみられました。一方で、地政学リスクの高まりや世界的なインフレとそれに伴う金融引き締め、エネルギー・資源価格の高騰等、不安定な側面もみられました。
当社グループにおいては、民生電子機器や情報通信機器に使われる半導体製品等の電子部品需要の低下に伴う取引先の大幅な減産を受けて、貴金属の取り扱い数量は前期を下回りました。
主要製品のうち、金の価格は米国金利の利上げペースが一服するとの見方や、安全資産としての需要の高まりから、ドル建て価格が上昇し、高い水準で堅調に推移しました。また円安ドル高傾向であったことも影響し、円建て価格は前期を上回る水準となりました。銅の価格は、世界最大の銅消費国である中国の経済停滞等により需要が低下したことが影響し、ドル建て価格は前期の水準を下回ったものの、円安ドル高の影響により円建て価格は前期と同水準となりました。
このような事業環境の中、当社グループは資源循環型社会の実現を見据えた取り組みをより拡充し、経営基盤の強化及び新規事業の確立に努めたほか、社員が自発的にチャレンジする風土の醸成を目指し、人事制度を刷新しました。
既存事業では脱炭素社会の実現に向けた取り組みやDXの推進等に伴い拡大が期待される電子部品業界において、取引先とのリレーション強化や独自技術を武器とした新規開拓に注力しました。
新規事業では、リチウムイオン電池(以下、LiB:Lithium-ion Battery)再生事業の研究開発及び事業化に注力し、CO₂等の廃棄物を大幅に削減しつつ、LiBからリチウム等のレアメタルを高い収率で回収する独自工程の開発に成功する等、事業化に向けて大きく前進しました。事業スキーム構築を目的とした事業パートナーとの連携につきましては、現在も大きな枠組みの形成に向けて、複数企業とアライアンス締結に向けた交渉を継続しております。
当連結会計年度の連結業績は売上高8,285,656千円(対前期3.6%減)、営業利益395,043千円(同51.6%減)、経常利益386,017千円(同50.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益307,327千円(同50.6%減)となりました。貴金属の主要製品価格は前期を上回ったものの、取引先の減産等に伴い、取り扱い数量が減少したことにより売上高が減少しました。加えて人件費や昨年の新社屋竣工に伴う減価償却費等の増加、電気料や薬品費等の高騰により減収減益となりました。
各セグメントの経営成績は、次のとおりです。なお、各セグメントの金額については、セグメント間取引を含んでおります。
(貴金属事業)
主要製品の価格が前期を上回ったものの、貴金属の取り扱い数量が減少したことにより、売上高は7,033,960千円(対前期2.9%減)となりました。電気料や薬品費等の高騰、及び間接部門の経費負担が増加したことにより、セグメント利益は327,435千円(同44.6%減)の減収減益となりました。
(環境事業)
銅の販売数量の減少により売上高は1,036,973千円(同9.7%減)となりました。輸送費等の経費負担の増加により、セグメント利益は13,522千円(同90.3%減)の減収減益となりました。
(システム事業)
主力製品である品質管理システムの販売が増加したことにより、売上高は196,152千円(同9.4%増)となりました。一方で、間接部門の経費負担が増加したことにより、セグメント利益は26,007千円(同22.2%減)の増収減益となりました。
(その他)
その他に含まれる運輸事業等は、連結グループ内の受注が増加したことにより、売上高は314,019千円(同4.1%増)、セグメント利益は19,052千円(同52.1%増)の増収増益となりました。
②財政状態の状況
(資産の部)
前連結会計年度末に比べて463,117千円増加し、8,348,738千円となりました。
主な要因は、建設仮勘定が682,191千円増加し、現金及び預金が207,424千円減少したことです。
(負債の部)
前連結会計年度末に比べて325,407千円増加し、4,092,808千円となりました。
主な要因は、借入金が438,575千円増加し、未払法人税等が135,850千円減少したことです。
(純資産の部)
前連結会計年度末に比べて137,710千円増加し、4,255,929千円となりました。
主な要因は、利益剰余金が226,129千円、その他有価証券評価差額金が16,205千円増加し、自己株式取得により117,150千円減少したことです。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物の期末残高は、前連結会計年度末と比べ207,424千円減少し、1,138,990千円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、697,502千円の収入となりました(前期は838,034千円の収入)。
この主な内訳は、税金等調整前当期純利益が386,277千円、減価償却費が271,563千円です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、1,108,651千円の支出となりました(前期は369,970千円の支出)。
この主な内訳は、有形固定資産の取得による支出が1,054,669千円、無形固定資産の取得による支出が48,016千円です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、202,961千円の収入となりました(前期は179,186千円の支出)。
この主な内訳は、長期借入れによる収入が550,000千円、長期借入金の返済による支出が112,379千円、自己株式の取得による支出が125,229千円、配当金の支払額が80,945千円です。
なお、当社グループのキャッシュ・フロー関連指標の推移は次のとおりです。
2021年9月期
2022年9月期
2023年9月期
自己資本比率(%)
49.4
51.7
50.4
時価ベースの自己資本比率(%)
104.7
107.8
74.7
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(年)
5.6
2.6
3.8
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)
23.3
59.9
45.3
(注)
自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により算出しております。
2.株式時価総額は自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しております。
3.営業キャッシュ・フローは連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち、利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自
2022年10月1日
至
2023年9月30日)
前年同期比(%)
貴金属事業(千円)
7,324,975
99.8
環境事業(千円)
924,432
89.4
システム事業(千円)
196,152
109.4
報告セグメント計(千円)
8,445,560
98.8
その他(千円)
18,691
100.1
合計(千円)
8,464,251
98.8
(注)金額は販売価格により、セグメント間の取引は含んでおりません。
b.受注実績
貴金属事業、環境事業ともに回収量に応じて生産しているため該当事項はありません。システム事業においては、受注生産を行っております。
セグメントの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
システム事業
268,986
191.9
143,848
399.6
(注)セグメント間の取引は含んでおりません。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自
2022年10月1日
至
2023年9月30日)
前年同期比(%)
貴金属事業(千円)
7,033,960
97.1
環境事業(千円)
1,036,851
90.3
システム事業(千円)
196,152
109.4
報告セグメント計(千円)
8,266,964
96.4
その他(千円)
18,691
100.1
合計(千円)
8,285,656
96.4
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自
2021年10月1日
至
2022年9月30日)
当連結会計年度
(自
2022年10月1日
至
2023年9月30日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
住商マテリアル株式会社
1,334,580
15.5
1,872,195
22.6
三菱商事RtMジャパン株式会社
1,598,371
18.6
1,438,273
17.4
田中貴金属工業株式会社
962,350
11.2
1,317,142
15.9
JX金属商事株式会社
977,705
11.4
926,656
11.2
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。
なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものです。
①財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績は売上高8,285,656千円(対前期3.6%減)、営業利益395,043千円(同51.6%減)、経常利益386,017千円(同50.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益307,327千円(同50.6%減)となりました。貴金属の主要製品価格は前期を上回ったものの、取引先の減産等に伴い、取り扱い数量が減少したことにより売上高が減少しました。加えて人件費や昨年の新社屋竣工に伴う減価償却費等の増加、電気料や薬品費等の高騰により減収減益となりました。
なお、セグメント別の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要
①経営成績の状況」に記載のとおりです。
経営成績に重要な影響を与える要因として、当社グループは貴金属、非鉄金属を主な製品として取り扱っているため、金属相場及び為替相場による影響を受ける可能性があります。また、当社の取引先の多くは電子部品・デバイス工業分野に属しており、この分野の景況の変化に伴い、当社の業績も連動する可能性があります。
その他、経営成績に重要な影響を与える要因については、「3[事業等のリスク]」に記載のとおりです。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当連結会計年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要
③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりです。
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、貴金属事業における材料仕入資金並びに製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。投資を目的とした資金需要は、主に研究開発投資及び設備投資によるものです。
当社グループの事業運営上で必要な資金の確保は、基本的には営業活動によるキャッシュ・フローの増加を中心としつつ、資金使途を踏まえ、調達する時点で最も効率的かつ安定的と判断される方法により資金調達を行っていく方針です。
③重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に基づいて作成しております。当社グループの連結財務諸表の作成に当たって採用している重要な会計方針は、「第5
経理の状況
1
連結財務諸表等
(1) 連結財務諸表
注記事項
(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載しております。
また、この連結財務諸表の作成に当たって、見積りが必要となる事項については、過去の実績や状況に応じて合理的と考えられる要因等に基づき行っておりますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果と異なる場合があります。連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5
経理の状況
1 連結財務諸表等
(1)連結財務諸表
注記事項
(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりです。