【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
(経営成績の状況)当連結会計年度における我が国の経済は、新型コロナウイルス感染症の感染症法の位置づけが、2023年5月に「2類相当」から「5類」になり、経済活動の正常化が進む中で、景気は緩やかに持ち直しの動きが見られました。しかしながら、世界的な金融引締め政策等が続くとともに、物価の上昇、金融資本市場の変動等、依然として景気の先行きは不透明な状況が続いております。当社グループが属する人材サービス業界におきましては、2023年9月の有効求人倍率(季節調整値)は1.29倍、完全失業率(季節調整値)は2.6%となりました。人材需要はコロナ前の水準まで回復していないものの、少子高齢化に伴う構造的な人手不足という社会課題は解消されていないものと判断しております。このような市場環境のもと、当社グループにおきましては、「人のチカラとIT」の融合を事業方針として掲げ、主力の人材派遣紹介事業における継続的な労働力の提供に加え、業務効率化の支援を行うことを目的に、人材派遣紹介事業にて培ったナレッジを活かした採用支援・BPOなどの各種代行事業や、AI・RPA(注1)・OCR(注2)などを活用したITソリューション事業を行っており、人手不足という大きな課題を解決するためのトータルサポートを提供してまいりました。また、近年、これまで以上に期待されているシニア、女性、グローバル人材の活用や、障がいをお持ちの方の雇用機会の創出や処遇の確保・改善にも注力してまいりました。当連結会計年度におきましては、翻訳・通訳サービスのプラットフォーム事業を営む株式会社オシエテの株式を取得し完全子会社化いたしました。同社においては、海外投資家向けに英文開示のニーズが高まっていることを踏まえ、IR情報に特化した翻訳者が様々な英文開示に対応する「OCiETe IR」のサービス提供やアライアンスによる売上拡大に尽力いたしました。また、障がいをお持ちの方の就労移行支援やサテライト型障がい者雇用支援サービスを営む株式会社パレットにおいては、新たに自立訓練(生活訓練)事業所を開設することにいたしました。これにより、自立訓練(生活訓練)から就労移行、就労後の定着支援まで一気通貫のサポート体制を構築いたしました。その他、協業による事業シナジー等を前提とした資本業務提携、各種新規事業に係る運営体制の整備など、様々な施策に注力してまいりました。一方で、主力の人材派遣紹介事業は、コールセンター向け派遣における利益率の高いワクチン問い合わせ業務など、新型コロナウイルス感染症関連案件などの特需が一服し、新規案件の獲得にも苦戦したことから売上高が伸び悩み、各段階利益を押し下げる結果となりました。以上の結果、当連結会計年度の売上高は20,815百万円(前年同期比2.6%減)となり、事業部門別内訳は、人材派遣紹介事業が18,169百万円(前年同期比4.1%減)、製造請負事業が2,168百万円(前年同期比2.0%減)、その他事業が477百万円(前年同期比110.5%増)となりました。また、利益面では、営業利益が113百万円(前年同期比76.6%減)、経常利益が107百万円(前年同期比76.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益が44百万円(前年同期比84.6%減)となりました。なお、当社グループは、人材派遣紹介関連事業を主な事業としており、他のセグメントの重要性が乏しいため、セグメント別の記載を省略しております。
(注)1.Robotic Process Automationの略。主にパソコンで作業している定型化された業務を、ロボットにより自動化する取り組みのこと。2.Optical Character Recognition/Readerの略。手書きや印刷された文字を、イメージスキャナやデジタルカメラによって読みとり、コンピュータが利用できるデジタルの文字コードに変換する技術のこと。
(財政状態の状況)a.資産の部当連結会計年度末における流動資産は4,819百万円となり、前連結会計年度末に比べ351百万円増加いたしました。これは主に売掛金が269百万円減少したものの、現金及び預金が610百万円、その他が7百万円増加したこと等によるものであります。固定資産は2,410百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,065百万円増加いたしました。これは主に投資有価証券が112百万円減少したものの、のれんが480百万円、土地が472百万円、建設仮勘定が100百万円、顧客関連資産が65百万円、繰延税金資産が48百万円増加したこと等によるものであります。この結果、総資産は、7,229百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,416百万円増加いたしました。
b.負債の部当連結会計年度末における流動負債は4,046百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,321百万円増加いたしました。これは主に未払費用が74百万円、未払消費税等が81百万円、未払法人税等が32百万円減少したものの、短期借入金が1,300百万円、未払金が215百万円増加したこと等によるものであります。固定負債は67百万円となり、前連結会計年度末に比べ50百万円増加いたしました。これは主にその他が9百万円減少したものの、長期借入金が40百万円、繰延税金負債が19百万円増加したこと等によるものであります。
c.純資産の部当連結会計年度末における純資産合計は3,115百万円となり、前連結会計年度末に比べ44百万円増加いたしました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が44百万円増加したことによるものであります。この結果、自己資本比率は43.1%(前連結会計年度末は52.8%)となりました。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物は、2,624百万円と前連結会計年度末に比べ609百万円の増加となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は436百万円(前年同期は652百万円の獲得)となりました。これは主に、法人税等の支払額が141百万円、未払消費税等の減少額が82百万円、未払費用の減少額が76百万円あったものの、売上債権の減少額が308百万円、未払金の増加額が215百万円、減価償却費の計上が76百万円、法人税等の還付額が22百万円、税金等調整前当期純利益が107百万円あったこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は1,101百万円(前年同期は742百万円の使用)となりました。これは主に、投資有価証券の売却による収入が210百万円あったものの、有形固定資産の取得による支出が604百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出が584百万円、投資有価証券の取得による支出が102百万円あったこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果得られた資金は1,275百万円(前年同期は106百万円の獲得)となりました。これは主に、長期借入金の返済による支出が14百万円、シンジケートローン手数料による支出が3百万円あったものの、短期借入金の借入による収入が1,300百万円あったこと等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績当社グループの提供するサービスの性質上、生産体制、販売経路の記載と関連づけ難いため、記載を省略しております。
b.受注実績当社グループの提供するサービスの性質上、受注実績の記載につきましても上記「a.生産実績」同様に、記載を省略しております。
c.販売実績当連結会計年度の販売実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは人材派遣紹介関連事業を主な事業としており、他のセグメントの重要性が乏しいため、事業部門別に記載しております。
事業部門の名称
当連結会計年度(自 2022年10月1日至 2023年9月30日)
前年同期比(%)
人材派遣紹介事業(千円)
18,169,839
95.9
製造請負事業(千円)
2,168,587
98.0
その他事業(千円)
477,307
110.5
合計(千円)
20,815,734
97.4
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産・負債、収益及び費用の金額に影響を与える見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.経営成績の分析(売上高)当連結会計年度の売上高は、前連結会計年度に比べ565百万円減少し、20,815百万円(前年同期比2.6%減)となりました。これは主に、新型コロナウイルス感染症関連案件などの需要が一服し、新規案件の獲得に苦戦したこと等によるものです。
(売上原価、売上総利益)当連結会計年度の売上原価は、前連結会計年度に比べ572百万円減少し、16,768百万円(前年同期比3.3%減)となりました。これは主に、前述の売上高の減少に伴う派遣スタッフの人件費の減少によるものです。一方、利益率の高い新規事業の売上貢献により、売上総利益は4,047百万円(前年同期比0.2%増)となりました。 (販売費及び一般管理費、営業利益)当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ378百万円増加し、3,934百万円(前年同期比10.6%増)となりました。これは主に、新規事業の開始等に伴う人件費の増加、及び派遣スタッフの求人費の増加、のれん償却費等その他の経費の増加によるものであります。この結果、営業利益は、113百万円(前年同期比76.6%減)となりました。 (経常利益)当連結会計年度の経常利益は、前連結会計年度に比べ356百万円減少し、107百万円(前年同期比76.8%減)となりました。これは主に、営業利益が減少したこと等によるものであります。 (親会社株主に帰属する当期純利益)当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は、前連結会計年度に比べ243百万円減少し、44百万円(前年同期比84.6%減)となりました。これは主に、経常利益が減少したことによるものであります。
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3.事業等のリスク」に記載のとおりであります。
b.資本の財源及び資金の流動性についての分析当社グループは、収益力の強化や事業基盤の整備を実施しつつ、内部留保の状況及び企業を取り巻く事業環境を勘案した上で、株主に対して安定的かつ継続的な利益還元を実施することを基本方針としております。当社グループの資金需要は主に運転資金需要と設備資金需要があります。運転資金需要は稼動スタッフの労務費と販売費及び一般管理費等の営業費用によるものです。設備資金需要につきましては、拠点の新設及び移転に伴う改装費用やシステム関連投資であります。この資本の財源は内部資金、当座貸越契約及びコミットメントライン契約等の銀行借入によります。当社グループは、新規事業への新たな取り組みに関する運転資金の確保及び財務基盤の安定性向上のために機動的な資金調達手段を確保することを目的に2023年7月に新たに株式会社千葉銀行と300百万円のコミットメントライン契約を、2023年9月に日本生命保険相互会社と300百万円の金銭消費貸借契約書を締結しております。これにより従前からの当座貸越契約及びコミットメントライン契約を含め総額2,850百万円の融資枠を確保しております。当連結会計年度における借入実行残高は、1,500百万円となります。なお、キャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
③ 経営者の問題意識と今後の方針について経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおりでありますが、今後収益を拡大するためには、既存の事業の更なる拡大、新規事業の展開が必要であると認識しております。そのためには、優秀な人材の確保や教育の強化、組織体制の整備を引き続き行い、これらの課題に対して最善の事業戦略を立案するよう、努めてまいります。
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