【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。なお、当連結会計年度は連結財務諸表の作成初年度であるため、前年同期との比較分析は行っておりません。
① 財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は25,834百万円となりました。その主な内訳は、売掛金が13,870百万円、現金及び預金が5,345百万円であります。固定資産は23,774百万円となりました。その主な内訳は、有形固定資産が16,177百万円、投資その他の資産が5,318百万円であります。
この結果、総資産は49,608百万円となりました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は17,185百万円となりました。その主な内訳は、買掛金が5,228百万円、契約負債が2,911百万円であります。固定負債は10,201百万円となりました。その主な内訳は、長期借入金が9,285百万円であります。
この結果、負債合計は27,387百万円となりました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は22,221百万円となりました。その主な内訳は、利益剰余金が13,089百万円、資本剰余金が8,648百万円であります。
この結果、自己資本比率は44.8%となりました。
② 経営成績の状況
当連結会計年度の国内経済は、新型コロナウイルス感染症対策が緩和され、経済活動が正常化に向かう中、景気は緩やかな持ち直しが続きました。一方で、資源価格の高騰や物価高に加え、世界的な金融引き締めに伴う影響や中国経済の先行きへの懸念など、依然として先行き不透明な状況が続いております。
国内IT市場においては、幅広い業種にわたり事業の拡大や競争力強化を目的とした各企業のデジタル変革(DX)に対する投資意欲は引き続き底堅く、顧客企業におけるIT投資は拡大基調が続いております。生産性向上や業務効率化に加えて、「働き方改革」等のニーズは引き続き拡大しており、IT投資需要の持続的な拡大が期待されます。
このような環境のもと、当社グループは市場拡大が続くパブリッククラウド市場において、マイクロソフト製品を中心に、価値のデザインから構築、利活用促進までを一気通貫で担えるソリューション提供力を強みに、大手エンタープライズとの直接取引によって事業拡大を実現してまいりました。当社顧客においては、クラウド利活用推進のニーズが高まっており、支援体制の強化のための積極的な人材採用及びスキルシフトを実施してきたほか、重点顧客に対応する製販一体の組織を新設し、顧客深耕を図ってまいりました。また、2022年12月には、マイクロソフトクラウドにおいて、特にMicrosoft Azure、MRデバイス、動画配信及びアプリ開発などに強みを持つ株式会社ネクストスケープの子会社化を実施いたしました。さらに、グローバルでのマイクロソフトライセンスを一括で契約いただける体制を整えたほか、当社海外拠点の拡充を進めたことに加え、Crayon Group Holding ASAとの業務提携を締結し、海外における日系企業に対する支援体制の強化を進めてまいりました。
生成AIについては、2023年4月にChatGPTに関する新規ソリューションサービスの提供を開始して以来、顧客企業からは高い関心が寄せられ、徐々に導入が始まってきており、今後はさらなるサービスの拡充に向けた開発及びエンジニア育成に努めてまいります。
以上の結果、当連結会計年度における経営成績は、売上高は112,800百万円、営業利益は4,192百万円、経常利益は4,349百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は3,350百万円となりました。
セグメント別の経営成績は次のとおりであります。
(クラウドインテグレーション事業)
M365の拡大を見込んだものの、顧客需要がインフラやアプリにシフトしたことに対応すべく、エンジニアのスキルシフトを進めていった結果、Microsoft AzureやERPなどのクラウド活用の案件が増加したことにより、売上高は23,023百万円、セグメント利益は3,537百万円となりました。
(クラウドサービス事業)
継続案件を中心に運用・保守案件が順調に拡大し、売上高は15,403百万円、セグメント利益は1,983百万円となりました。
(ライセンス&プロダクツ事業)
マイクロソフト社のライセンス販売において、製造業及び公共向けの大型ライセンスの一括受注獲得が売上拡大につながったことに加え、ハイブリッド需要による物販の拡大が特に利益拡大に貢献し、売上高は74,398百万円、セグメント利益は2,045百万円となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
現金及び現金同等物(以下「資金」という)の当連結会計年度末残高は、5,345百万円となりました。
これは、営業活動、投資活動、財務活動によるキャッシュ・フローの合計が2,262百万円減少し、現金及び現金同等物に係る換算差額により38百万円増加したことによるものです。
なお、当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金は、206百万円の減少となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益4,318百万円、契約負債の増加額1,058百万円による増加があった一方で、売上債権及び契約資産の増加額4,171百万円、法人税等の支払額2,193百万円による減少があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金は、7,044百万円の減少となりました。これは主に、有形及び無形固定資産の取得による支出4,528百万円、連結の範囲の変更を伴う子会社株式の取得による支出2,576百万円があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金は、4,989百万円の増加となりました。これは主に、長期借入れによる収入5,800百万円、短期借入金の純増加額1,500百万円による増加があった一方で、配当金の支払額1,352百万円、長期借入金の返済による支出1,148百万円による減少があったことによるものであります。
④ 仕入、受注及び販売の実績
a.仕入実績
当連結会計年度の仕入実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年10月1日
至 2023年9月30日)
仕入高(百万円)
前年同期比(%)
ライセンス&プロダクツ
72,431
-
その他
2,017
-
合計
74,448
-
(注)当社グループの仕入実績におけるライセンス&プロダクツの占める割合が高いため、上記のとおりライセンス&プロダクツとその他に区分し、集計しております。
b.受注実績
当社グループは受注から納品及び役務提供の完了までの期間が短く、受注実績と販売実績に大きな乖離が発生しないため、受注実績に関する記載は省略しております。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年10月1日
至 2023年9月30日)
販売高(百万円)
前年同期比(%)
クラウドインテグレーション
23,015
-
クラウドサービス
15,389
-
ライセンス&プロダクツ
74,381
-
その他
13
-
合計
112,800
-
(注)1.内部取引については、相殺消去しております。
2.当連結会計年度における主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%以上の販売先がないため、省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うために、実際の結果は、これらとは異なることがあります。
連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態の分析
財政状態の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」に記載のとおりです。
b.経営成績の分析
(売上高)
当連結会計年度における売上高は、112,800百万円となりました。詳細につきましては、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②経営成績の状況」に記載のとおりです。
(売上原価、売上総利益)
当連結会計年度における売上原価は、99,722百万円となりました。その主な内訳は、案件増加により商品仕入高が7,252百万円増加したことによるものです。
その結果、売上総利益は13,077百万円となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、8,884百万円となりました。その主な内訳は、給与手当2,911百万円、業務委託費773百万円です。
その結果、営業利益は4,192百万円となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
当連結会計年度における営業外収益は、351百万円となりました。その主な内訳は、持分法による投資利益114百万円、保険解約返戻金64百万円です。
営業外費用は、194百万円となりました。その主な内訳は、支払手数料115百万円、支払利息46百万円です。
その結果、経常利益は4,349百万円となりました。
(特別利益、特別損失、法人税等合計、親会社株主に帰属する当期純利益)
当連結会計年度における特別利益は、0百万円となりました。その内訳は、新株予約権戻入益0百万円です。
特別損失は、31百万円となりました。その主な内訳は、固定資産除却損29百万円です。
法人税等合計は、967百万円となりました。
その結果、親会社株主に帰属する当期純利益は3,350百万円となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの運転資金需要のうち主なものは、サービスを安定的に運営し、また拡大していくための開発人員及び営業人員の人件費、研究開発に係る費用であります。投資を目的とした資金需要は、福利厚生の一環としての社宅への設備投資等によるものです。
当社グループは、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等についての分析
当社グループは、クラウドシフトが進む市場環境において、マイクロソフト社のクラウド製品を中心に、オンプレミスからクラウドへの事業転換を加速することで事業規模の拡大を図る方針のもと、M365のID数を増加させるとともに、顧客一人当たりの単価であるクラウドARPUの拡大が、基本戦略となっております。
ID数の増加においては、企業のクラウド導入の入り口となるM365ライセンス契約をエンタープライズ中心にさらにシェアを高めていきます。
ARPU拡大においては、クラウド導入の入り口であるモダンワークプレイスの領域で、堅調に拡大するM365需要を獲得し、その後、クラウドセキュリティやM365とつながる各種システムデータの連携により、オフィスワーク環境のData&AI領域へと広げていく方針です。また、当社の独自ソリューションブランドであるJBS Cloud Suiteにより、クラウドインフラにおけるAzureへのLift&Shift需要への対応、内製化支援とアプリケーション開発に必要なインフラ構築といった、クラウドの導入計画から保守運用までをワンストップでの支援が実現し、導入、運用保守、さらなる導入といったサイクルを連動させ、ARPUを拡大していきます。
加えて、事業拡大の基盤となる人材の確保においては、新卒・中途採用を通じた人員獲得及び人員拡大に加え、ビジネスパートナーとの協業拡大を通じたケイパビリティの向上とコスト削減を図っております。コアパートナー制度を通じて、ビジネスパートナー活用比率の拡大に努めてまいります。
当社グループの各指標についての推移は以下のとおりであります。
2022年9月期
2023年9月期
Microsoft 365のID数
171.9万ID
239.0万ID
ARPU
50,282円/ID
47,197円/ID
ビジネスパートナー活用比率
32%
33%
2023年9月期においては、引き続きユーザーのリモートワークの採用が進んだこともあり、マイクロソフト社のクラウド製品であるM365の導入が進んだ結果、ID数が大きく伸長しました。
また、コアパートナー制度の拡充により、ビジネスパートナーとの協業が大きく拡大し、ビジネスパートナー活用比率が前事業年度から1%増の33%となった結果、ケイパビリティの向上による売上拡大とコスト削減につながりました。
ARPUにつきましては、ID数が想定より伸長した結果、47,197円(前期比93.9%)となりました。
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