【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要①財政状態及び経営成績の状況イ.経営成績当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い、経済活動の正常化による個人消費や設備投資に持ち直しの動きが見られ、景気は緩やかな回復を続けております。しかしながら海外の景気減退の可能性や、原材料・エネルギーコストの高止まり等により、先行きは依然として不透明な状況にあります。当社グループを取り巻く事業環境においては、半導体・電子材料向けの需要回復が遅れており、引き続き厳しい状況が続いております。このような状況のもと、当社は2022年11月10日に公表しました3か年中期経営計画(2023年9月期~2025年9月期)に基づき、①事業継続力の強化②自社製品開発の推進③品質性能の向上等の企業活動に取り組み、長期的な企業価値向上に努めております。受託蒸留事業では、一部の主要顧客との取引の縮小に加え、半導体・電子材料メーカーにおいて在庫調整や設備投資の抑制により、関連する引き合いが減少いたしました。また、プラント事業では、自社オリジナル装置の販路拡大に引き続き取り組んでおります。以上の結果、当連結会計年度における売上高は、1,235,059千円(前期比4.7%増)となりました。利益面におきましては、エネルギーコスト高や材料費の高騰による影響を受けたこと及び当社グループの将来にわたる事業成長と持続的な企業価値向上に向けた人的資本投資に伴い、販売費及び一般管理費が増加したことにより、営業利益は115,369千円(前期比16.1%減)、経常利益は110,934千円(前期比20.8%減)、また、既存の連続式蒸留装置の除却並びに連結子会社カイコーに係るのれん及び顧客関連資産の減損損失を計上したことにより、親会社株主に帰属する当期純損失は8,671千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益88,229千円)となりました。
セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。なお、各セグメントの売上高にはセグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおります。(受託蒸留事業)受託蒸留事業におきましては、研究開発支援において、ファインケミカルに関連する蒸留案件の引き合いが好調だったため増収となりましたが、受託加工において、一部の主要顧客との取引の縮小等が生じたことにより減収となりました。その結果、受託蒸留事業の売上高は1,088,685千円(前期比2.2%減)、セグメント利益は400,046千円(前期比3.6%減)となりました。(プラント事業)プラント事業におきましては、蒸留装置の工事・メンテナンスの実施及びろ過装置の安定的な受注により、プラント事業の売上高は246,094千円(前期比90.0%増)、セグメント損失は11,187千円(前連結会計年度はセグメント損失42,172千円)となりました。
ロ.財政状態当連結会計年度末の資産合計は、前連結会計年度末に比べ167,708千円減少し、1,890,856千円となりました。当連結会計年度末の負債合計は、前連結会計年度末に比べ92,569千円減少し、152,208千円となりました。当連結会計年度末の純資産合計は、前連結会計年度末に比べ75,138千円減少し、1,738,647千円となりました。
②キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前年同期に比べ12,840千円増加し、814,203千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において営業活動により得られた資金は、210,853千円(前年同期は218,804千円の収入)となりました。主な要因は、減価償却費126,594千円及び減損損失53,327千円の計上並びに法人税等の支払額66,465千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において投資活動により使用した資金は、112,064千円(前年同期は106,530千円の支出)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出110,438千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において財務活動により使用した資金は、85,947千円(前年同期は26,372千円の支出)となりました。主な要因は、自己株式の取得による支出59,440千円、配当金の支払額26,507千円によるものであります。
③生産、受注及び販売の状況
イ.生産実績当連結会計年度における生産実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(千円)
前期比(%)
受託蒸留事業
596,524
99.4
プラント事業
193,089
186.5
合計
789,613
112.2
(注)1.金額は、製造原価によっております。
ロ.受注実績当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前期比(%)
受注残高(千円)
前期比(%)
受託蒸留事業
1,161,287
96.0
96,457
103.1
プラント事業
77,251
88.1
-
-
合計
1,238,538
95.4
96,457
62.5
ハ.販売実績当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(千円)
前期比(%)
受託蒸留事業
1,088,685
97.8
プラント事業
246,094
190.0
合計
1,334,779
107.4
(注)1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度(自 2021年10月1日至 2022年9月30日)
当連結会計年度(自 2022年10月1日至 2023年9月30日)
販売高(千円)
割合(%)
販売高(千円)
割合(%)
ダウ・東レ株式会社
231,023
19.6
188,172
15.2
東洋紡株式会社
-
-
145,038
11.7
住友商事ケミカル株式会社
244,088
20.7
144,591
11.7
東レ株式会社
-
-
129,873
10.5
2.プラント事業の販売高には、セグメント間の内部売上高99,719千円も含んでおります。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社が判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。この連結財務諸表を作成するにあたり重要となる会計方針については「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載のとおりであります。また、連結財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りと異なる場合があります。
②当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容イ.財政状態の分析a.資産当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ167,708千円減少し、1,890,856千円となりました。(流動資産)当連結会計年度末における流動資産は、前連結会計年度末に比べ21,470千円減少し、1,051,354千円となりました。主な要因は、現金及び預金が12,840千円、原材料及び貯蔵品が10,616千円増加したものの、受取手形、売掛金及び契約資産が32,962千円、商品及び製品が29,590千円減少したことによるものであります。
(固定資産)当連結会計年度末における固定資産は、前連結会計年度末に比べ146,238千円減少し、839,501千円となりました。主な要因は、のれん及び顧客関連資産が減損等により69,202千円、連続蒸留塔の除却等により機械装置及び運搬具(純額)が36,294千円減少したことによるものであります。
b.負債当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ92,569千円減少し、152,208千円となりました。(流動負債)当連結会計年度末における流動負債は、前連結会計年度末に比べ85,062千円減少し、145,132千円となりました。主な要因は、未払金が7,635千円増加したものの、未払法人税等が34,911千円、未払費用が30,738千円、未払消費税等が8,997千円減少したことによるものであります。
(固定負債)当連結会計年度末における固定負債は、前連結会計年度末に比べ7,506千円減少し、7,076千円となりました。主な要因は、資産除去債務が7,076千円増加したものの、繰延税金負債が14,583千円減少したことによるものであります。
c.純資産当連結会計年度末における純資産は、前連結会計年度末に比べ75,138千円減少し、1,738,647千円となりました。主な要因は、剰余金の配当等により利益剰余金が36,478千円減少、自己株式立会外買付取引及び自己株式処分の実施により自己株式が38,659千円増加したことによるものであります。
ロ.経営成績の分析
a.売上高受託蒸留事業では、一部の主要顧客との取引の縮小に加え、半導体・電子材料メーカーにおいて在庫調整や設備投資の抑制により、関連する引き合いが減少いたしました。また、プラント事業では、自社オリジナル装置の販路拡大に引き続き取り組んでおります。以上の結果、売上高は、前期比4.7%増収となる1,235,059千円となりました。セグメントごとの経営成績は、次のとおりであります。なお、各セグメントの売上高にはセグメント間の内部売上高又は振替高を含んでおります。受託蒸留事業におきましては、研究開発支援において、ファインケミカルに関連する蒸留案件の引き合いが好調だったため増収となりましたが、受託加工において、一部の主要顧客との取引の縮小等が生じたことにより減収となりました。その結果、受託蒸留事業の売上高は、前期比2.2%減収となる1,088,685千円となりました。プラント事業の売上高は、蒸留装置の工事・メンテナンスの実施及びろ過装置の安定的な受注により、前期比90.0%増収となる246,094千円となりました。
b.営業利益売上原価は、エネルギーコスト高や材料費の高騰による影響を受けたことにより、前期比7.6%増加し、689,722千円となりました。販売費及び一般管理費は、当社グループの将来にわたる事業成長と持続的な企業価値向上に向けた人的資本投資に伴い、前期比7.0%増加し、429,967千円となりました。これらの結果、営業利益は、前期比16.1%減少し、115,369千円となりました。
c.経常利益営業外損益は、営業外収益が248千円、営業外費用が4,683千円となりました。これらの結果、経常利益は、前連結会計年度末に比べ20.8%減少し、110,934千円となりました。
d.親会社株主に帰属する当期純損失特別損失として、既存の連続式蒸留装置に係る固定資産除却損を65,568千円、連結子会社カイコーに係るのれん及び顧客関連資産の減損損失を53,327千円計上しております。また、法人税、住民税及び事業税は、9,341千円、法人税等調整額は△4,676千円を計上しております。これらの結果、親会社株主に帰属する当期純損失は、8,671千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純利益88,229千円)となりました。
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標につきましては、次のとおりであります。2023年9月期の達成・進捗状況は以下のとおりです。
経営指標
2023年9月期業績予想
2023年9月期実績
2023年9月期業績予想比
連結売上高(千円)
1,235,000
1,235,059
59
連結営業利益(千円)
115,000
115,369
369
2023年10月31日公表の業績予想との比較では、売上高・営業利益共に概ね修正予想水準での着地となりました。なお、セグメント別ごとの分析・検討内容については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況 イ.経営成績」に記載の内容と同様であります。
ハ.キャッシュ・フローの状況の分析当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ12,840千円増加し、814,203千円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において営業活動により得られた資金は、210,853千円(前年同期は218,804千円の収入)となりました。主な要因は、減価償却費126,594千円及び減損損失53,327千円の計上並びに法人税等の支払額66,465千円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において投資活動により使用した資金は、112,064千円(前年同期は106,530千円の支出)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出110,438千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)当連結会計年度において財務活動により使用した資金は、85,947千円(前年同期は26,372千円の支出)となりました。主な要因は、自己株式の取得による支出59,440千円、配当金の支払額26,507千円によるものであります。
当社グループの資本の財源及び資金の流動性につきましては、次のとおりであります。運転資金需要のうち主なものは、製造費用、販売費及び一般管理費の営業費用であります。投資を目的とした資金需要は、設備投資等となります。短期運転資金及び設備投資資金の調達は自己資本を基本としておりますが、状況に応じて金融機関からの借入も検討しながら、事業運営上必要な資金の流動性と資金の源泉を安定的に確保することとしております。
ニ.重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成しております。この連結財務諸表を作成するにあたって、資産、負債、収益及び費用の報告額に影響を及ぼす見積り及び仮定を用いておりますが、これらの見積り及び仮定に基づく数値は実際の結果と異なる可能性があります。連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。
ホ.経営成績に重要な影響を与える要因について当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。当社は、これらのリスク要因について、内部管理体制を強化し、優秀な人材を確保する等の対応を図ることにより、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因を分散・低減し、適切に対応を行ってまいります。
ヘ.経営戦略の現状と見通し当社グループは、実績に裏付けられた技術力及び研究開発力を活かし、蒸留受託加工にて収益を確保してまいりました。収益性の安定化を図り、蒸留装置の販売を開始することにより、一社完結によるサービスの提供ができるため、「受託蒸留事業」から「プラント事業」まで包括的なサービス提供が可能となっております。これにより、顧客に最適なソリューションの提案を行うことができ、より一層の収益の安定化につながるものと考えております。
ト.経営者の問題認識と今後の方針について当社グループが今後、業容を拡大し、より良いサービスを継続的に展開していくためには、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対処していくことが必要であると認識しております。これらの課題に対処するために、経営者は、常に外部環境の構造やその変化に関する情報の入手及び分析を行い、最適な解決策を実施していく方針であります。