【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
① 業績当連結会計年度におけるわが国の経済は、調達供給網制約の緩和による自動車を中心とした製造業の生産が復調したことに加え、経済活動の正常化や賃金上昇に伴う個人消費回復、訪日外国人によるインバウンド需要の復調もあり、企業収益は全体として緩やかな回復傾向が見られました。一方で、米国、欧州においては金融引き締めによる経済成長の停滞が懸念されており、ウクライナ情勢の長期化や中東における新たな地政学上のリスク要因も不安定材料として加わり、世界経済は依然として不確実性が高い環境となっております。当社の主要顧客が属する金融分野における主なトピックスとしては、岸田政権が2023年を資産所得倍増元年とし、貯蓄から投資へのシフトを強力に進めています。2023年6月末の家計の金融資産残高は、2,115兆円と過去最高額を更新し、日本の家計金融資産に占める現預金比率は52.8%と米国に比べ非常に高く、退職後の資金枯渇の可能性が依然高いと言えます。岸田政権が推進する「資産所得倍増プラン」では、この現預金を投資に変えていくことで持続的な企業価値向上の恩恵が資産所得の拡大という形で家計にも及ぶような好循環を実現させることを目指しています。このような状況の下、岸田政権は「新NISA革命」というべき個人投資家を対象にした資産所得倍増プラン実現のための国策として、つみたてNISA枠と成長NISA枠からなる新NISA制度を2024年1月から開始します。新NISAは、株式や投資信託から発生する配当・投資損益を非課税で保有できる期間を無期限とし、保有限度額も1,800万円に拡大する制度であり、これに伴い当社顧客企業であるメガバンクや大手証券会社においては既に新たな個人顧客獲得と維持に向けて顧客本位の業務運営を実現する最新のコンサルティングサービスを強化する動きが相次いで見られます。一方、2023年初めよりChatGPTの急速な実用化による「生成AI革命」により、金融機関の業務プロセスの自動化、省力化さらには個々の顧客属性・ニーズに合わせたパーソナリゼーションを追求するための先進のAIテクノロジーを導入する実例が欧米の大手金融機関で見られます。生成AIを活用した「仮想金融アシスタント」やビッグデータ解析により、金融ポートフォリオに対して「顧客がとるべきアクション」を自動提案するテクノロジーが米国で浸透しつつあります。2024年以降、新NISA革命と生成AI革命の2つの革命による金融資産運用立国の実現が我国における中長期的国策として劇的に加速し、当社の事業環境の拡大に対し強力な追い風となると予想されます。
このような環境の中、当社グループは当連結会計年度を2024年9月期に終了する中期経営計画の第2年度として位置づけ、資産所得倍増計画に沿いながら金融レガシーシステムのDX化と日本人のゴールベースプランニングのDX化により、個人資産の最適なアセットアロケーションと豊かな老後・円滑な相続を実現するための施策を継続的に実行してまいりました。当連結会計年度における主なトピックスは次のとおりです。① 当連結会計年度の売上高は8,046,862千円(前年度比19.3%増)と会社設立以来過去最大の売上高を計上しました。また、営業利益は324,673千円(前連結会計年度は営業損失260,240千円)、経常利益は331,093千円(前連結会計年度は経常損失245,813千円)、親会社株主に帰属する当期純利益は221,621千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失248,375千円)となり、各段階利益ともに黒字転換を果たしました。② 2024年1月から始まる新NISA制度に対してつみたてNISAと成長NISAの最適利用配分を決定し、さらに個別株式や投資信託の最適組合せを提案する生成AIアプリ、W2Cの開発に着手しました。この開発については、生成AIに多くの知見と実績、開発能力を有する米国のAwakApp社と業務提携・資本提携を実施し、個人の資産形成と資産管理のためのパーソナリゼーションを追求した利便性の高い提案・支援システムを開発中です。③ 生命保険会社においては、変額個人年金保険、変額保険等の資産形成型の新商品を加えた生保設計書・申込書作成システムの開発プロジェクトやゴールベースプランニングシステムの再構築プロジェクト等の受託開発を行いました。また、基幹系システムにある顧客データ等をAWS環境でクラウド化してデータウェアハウス基盤を構築し、それらのビッグデータを解析・活用する仕組みを整備するという新たな生保DXプロジェクトに取り組んでおります。④ メガバンク向けには、大相続時代の到来に向けて融資先企業、オーナーの相続・事業承継・財産承継コンサルティングを自動化・効率化するウェルスマネジメントプラットフォームシステムを提供しました。総資産に対する課題を分析し、実行すべきアクションプランを生成する顧客プロジェクトを支援しました。受託開発売上に加えて使用料課金も拡大し、顧客金融機関が目標とする最先端イノベーション戦略の実現を強力に支援しております。⑤ 人生100年時代を見据えた世界分散投資による資産形成を支援するシステムとして、信託銀行向けに確定拠出年金運用アプリを提供いたしました。資産クラスの変更、投資信託の組替ロジックの提供をAPIで実現し、開発期間を短縮して直感的でわかりやすい操作性を実現しています。また、証券会社向けには、ロボアドバイザーによりファンドラップのオンライン上での資産クラスの最適配分シミュレーション、契約締結システムを提供しました。リスク許容度診断に基づくモデルポートフォリオの提案、将来運用予測を表示し、多様な投資目標の達成可能性を確率的にシミュレーションし、ファンド選択から契約締結に至る時間を短縮し、手続きを格段に自動化するDXシステムを提供いたしました。なお、当社グループはシステム開発事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしておりません。事業の売上区分別の業績は次のとおりであります。
(システム開発)生命保険会社向けの①ライフプランシステム、②エステートプランシステム、③生保設計書システム、④生保申込書システム、⑤生命保険契約ペーパーレスシステム、⑥生保販売業務の省略化、効率化、自動化を実現するフロントエンドシステム、非金融機関向けの統合資産形成アドバイスシステム等の開発販売の結果、当連結会計年度のシステム開発売上高は7,566,903千円(前年度比19.8%増)となりました。
(使用許諾・保守運用)ライフプランシステム等で使用する、CAPライブラリ(CAP/Lib)について、使用許諾契約や保守契約は引続き堅調であり、使用許諾・保守運用売上高は450,519千円(前年度比12.8%増)となりました。
(その他)システムプラットフォームを活用した富裕層向けの資産管理コンサルティング契約の獲得を進め、その他売上高は29,439千円(前年度比9.5%減)となりました。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べて678,266千円増加し、1,866,155千円となりました。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動によるキャッシュ・フローは、1,216,480千円の収入(前連結会計年度は182,173千円の支出)となりました。これは主として税金等調整前当期純利益318,604千円、減価償却費401,553千円、売上債権の減少218,869千円を計上したこと等によるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動によるキャッシュ・フローは、433,676千円の支出(前連結会計年度は164,646千円の支出)となりました。これは主として無形固定資産の取得による支出302,645千円、投資有価証券の取得による支出81,248千円を計上したこと等によるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動によるキャッシュ・フローは、104,536千円の支出(前連結会計年度は334,996千円の支出)となりました。これは主として長期借入金の返済による支出591,678千円、配当金の支払額62,858千円を計上した一方で、長期借入れによる収入550,000千円を計上したこと等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の状況当社グループは、システム開発事業の単一セグメントのため、生産、受注及び販売の状況については、売上の区分別に示しております。
a. 生産実績当連結会計年度におけるシステム開発売上の生産実績は、次のとおりであります。なお、他の売上区分については生産に相当する事項がないため、生産実績に関する記載はしておりません。
売上区分
当連結会計年度(自 2022年10月1日至 2023年9月30日)
金額
前年同期比(%)
システム開発
(千円)
6,798,509
111.1
合計
(千円)
6,798,509
111.1
(注) 金額は、販売価格で記載しております。
b. 受注実績当連結会計年度におけるシステム開発売上の受注実績は、次のとおりであります。なお、他の売上区分については受注生産を行っていないため、受注実績に関する記載はしておりません。
売上区分
当連結会計年度(自 2022年10月1日至 2023年9月30日)
受注高
前年同期比(%)
受注残高
前年同期比(%)
システム開発
(千円)
6,972,483
115.7
1,934,883
111.8
合計
(千円)
6,972,483
115.7
1,934,883
111.8
(注) 金額は、販売価格で記載しております。
c. 販売実績当連結会計年度における販売実績を売上区分別に示すと、次のとおりであります。
売上区分
当連結会計年度(自 2022年10月1日至 2023年9月30日)
金額
前年同期比(%)
システム開発
(千円)
7,566,903
119.8
使用許諾・保守運用
(千円)
450,519
112.8
その他
(千円)
29,439
90.5
合計
(千円)
8,046,862
119.3
(注) 1.「その他」は、富裕層向けコンサルティング、セミナー開催等に関する売上であります。2.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度(自 2021年10月1日至 2022年9月30日)
当連結会計年度(自 2022年10月1日至 2023年9月30日)
販売高(千円)
割合(%)
販売高(千円)
割合(%)
ソニー生命保険㈱
2,708,670
40.2
2,318,500
28.8
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されておりますが、この連結財務諸表の作成にあたっては、経営者により一定の会計基準の範囲内で見積りが行われている部分があり、それが資産・負債や収益・費用の数値に反映されております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っておりますが、見積りには不確実性が伴うため、実際の結果はこれらと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表作成にあたって採用している重要な会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5
経理の状況
1連結財務諸表等
(1) 連結財務諸表
注記事項
(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」を参照ください。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績等
1) 経営成績の分析
(売上高)生命保険会社向けには、資産形成商品である変額個人年金保険等の生保設計書・申込書作成システムの開発やゴールベースプランニングシステムの再構築プロジェクトをはじめ、基幹系システムのクラウド化やデータウェアハウス基盤構築プロジェクトにも参画しました。銀行向けでは、相続・事業承継・財産承継コンサルティングを自動化・効率化するウェルスマネジメントプラットフォームシステムの提供や人生100年時代を見据えた世界分散投資による資産形成を支援する確定拠出年金運用アプリの開発を行い、受託開発売上に加えて使用料課金も拡大しました。また、証券会社向けには、ロボアドバイザーによるファンドラップシミュレーションを提供し、国際分散投資と資産管理の自動化を支援しました。以上のとおり、コロナ禍終息後の生命保険会社における新商品投入の復活に銀行や証券会社における新規業務開拓も加わり、当連結会計年度の売上高は8,046,862千円(前年度比19.3%増)となり、過去最高の売上高を記録しました。
(営業利益)当連結会計年度は、生命保険会社や銀行向けの受託開発および使用料課金の伸長により売上高が前連結会計年度に比べ2割近く増加した一方で、労務費・外注費等の採算管理の強化による売上総利益率の改善や販管費及び一般管理費の増加を抑制したことなどが奏功し、営業利益は324,673千円(前連結会計年度は営業損失260,240千円)となりました。(経常利益)営業外収益として、受取利息及び配当金を14,890千円計上しました。また、営業外費用として、支払利息を19,072千円計上しました。この結果、経常利益は331,093千円(前連結会計年度は経常損失245,813千円)となりました。(親会社株主に帰属する当期純利益)法人税等合計を96,983千円計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は221,621千円(前連結会計年度は親会社株主に帰属する当期純損失248,375千円)となりました。
2) 財政状態の分析
<資産> 当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べて450,180千円増加し、5,545,948千円となりました。(流動資産) 当連結会計年度末における流動資産合計は、前連結会計年度末に比べて421,054千円増加し、3,557,226千円となりました。これは主として現金及び預金が678,267千円増加した一方で、売掛金及び契約資産が218,869千円減少したこと等によるものであります。(固定資産) 当連結会計年度末における固定資産合計は、前連結会計年度末に比べて29,125千円増加し、1,988,721千円となりました。これは主としてソフトウエア仮勘定が156,135千円、投資有価証券が139,723千円増加した一方で、ソフトウエアが204,111千円、繰延税金資産が36,158千円減少したこと等によるものであります。
<負債> 当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べて239,282千円増加し、2,396,657千円となりました。(流動負債) 当連結会計年度末における流動負債合計は、前連結会計年度末に比べて235,759千円増加し、1,878,468千円となりました。これは主として未払法人税等が82,137千円、流動負債のその他に含まれる未払消費税が79,654千円、未払金が72,946千円増加した一方で、1年内返済予定の長期借入金が44,424千円減少したこと等によるものであります。(固定負債) 当連結会計年度末における固定負債合計は、前連結会計年度末に比べて3,522千円増加し、518,189千円となりました。これは主として長期借入金が2,746千円増加したこと等によるものであります。
<純資産> 当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べて210,898千円増加し、3,149,290千円となりました。これは親会社株主に帰属する当期純利益を221,621千円、剰余金の配当を62,951千円をそれぞれ計上したこと等によるものであります。
b. 経営成績に重要な影響を与える要因経営成績に重要な影響を与える要因の詳細につきましては、「第2事業の状況 3事業等のリスク」を参照ください。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析キャッシュ・フローの状況については、「(1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」を参照ください。当社グループは、企業体質の強化を図りながら持続的な企業価値の向上を進めるにあたり、事業運営上必要な資金を、安定的に確保することを基本方針としております。当社グループの資本の財源は、主に営業キャッシュ・フローで生み出した資金を源泉とし、必要に応じて資金調達を行っております。なお、当連結会計年度末における借入金の残高は1,336,283千円となっております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は1,866,155千円となっております。
④ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、事業の収益力を表す経常利益を重視し、拡大を目指しております。当連結会計年度におきましては、経常利益331,093千円を計上いたしました。引続き事業の継続的な拡大を通じて企業価値を向上させてまいります。
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