【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況当社は、「すべての産業の新たな姿をつくる。」「テクノロジーとビジネスを、つなぐ。」をミッションに掲げ、各業界の代表的な企業との協働を通し、企業や産業、そして社会の長期的・本質的な構造転換に貢献することを目指しております。当事業年度における我が国の経済環境は、新型コロナウィルスの対策進展や行動制限の緩和を通じ、景気は堅調に推移している一方で、ロシアのウクライナ侵攻の長期化や国内外マクロ経済におけるインフレ・金融引き締めの傾向が見られつつあり、先行き不透明な状況が続いております。このような中、当社が属するAIソリューション市場においては、「Chat GPT」をはじめとする大規模言語モデルの技術革新の進捗などの結果、企業の競争力の強化や人材不足への対応から幅広い産業で積極的な投資が行われており、事業環境は堅調に推移しております。これらの結果、当事業年度における経営成績は以下の通りとなりました。(売上高)売上高は、人員増加に伴う営業活動強化の結果、新規顧客獲得件数は11件に達し、当事業年度における売上高は1,369,186千円(前期比+86.8%)となり、前事業年度から636,137千円増加いたしました。(売上原価、売上総利益)売上原価は、481,070千円(前期比+121.2%)となりました。主な内訳は、労務費及び業務委託料であります。以上の結果、売上総利益は888,115千円(前期比+72.2%)となりました。 (販売費及び一般管理費、営業利益)販売費及び一般管理費は681,844千円(前期比+19.5%)となりました。これは主に、人件費及び先行投資としての採用費用、積極的なマーケティング活動に伴う広告宣伝費であります。以上の結果、営業利益は206,271千円(前年度は55,043千円の営業損失)となりました。(営業外損益、経常利益)経常損益については、営業外収益として302千円(前期比+90.6%)、営業外費用として主に上場関連費用の計上があったことにより12,623千円(前年度は496千円)計上し、193,950千円の利益(前年度は55,381千円の損失)となりました。(特別損益、当期純利益)当事業年度における特別損益の計上はありませんでした(前年度は295千円の特別損失)。以上の結果、当事業年度の税引前当期純利益は193,950千円(前年度は55,676千円の税引前当期純損失)となり、法人税等を54,397千円計上したことにより、当期純利益は139,552千円(前年度は39,846千円の当期純損失)となりました。
② 財政状況(資産)当事業年度における資産合計は、2,490,752千円となり、前事業年度末より1,171,185千円増加しました。流動資産は2,414,933千円となり、固定資産は75,819千円となりました。流動資産の主な内訳は、現金及び預金1,943,577千円、売掛金及び契約資産461,062千円であり、前事業年度末からの主な変動要因は、当社株式上場に伴う株式の発行等による現金及び預金増加、売上高増加に伴う売掛金及び契約資産の増加であります。固定資産の内訳は有形固定資産41,238千円、投資その他の資産34,580千円であり、前事業年度末から重要な変動はありません。(負債)当事業年度における負債合計は、242,484千円となり、前事業年度末より92,603千円増加しました。流動負債は242,484千円となり、固定負債の計上はなくなりました。流動負債の主な内訳は、未払費用64,377千円、未払消費税等59,629千円、未払法人税等56,340千円であり、前事業年度末からの主な変動要因は、従業員が増加したことによる人件費関連の未払費用の増加、売上高増加による未払消費税等の増加、税引前当期純利益に伴う未払法人税等の増加であります。固定負債は、長期借入金を全額返済したことより、当事業年度末の残高はなくなっております。(純資産)当事業年度末における純資産合計は、2,248,267千円となり、前事業年度末より1,078,581千円増加しました。主な内訳は、資本金1,004,513千円、資本剰余金994,513千円、利益剰余金248,924千円であり、前事業年度末からの主な変動要因は、当社株式上場に伴う株式の発行等による資本金及び資本準備金の増加、当期純利益の計上に伴う利益剰余金の増加であります。
③ キャッシュ・フローの状況当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、主に当社株式上場に伴う株式の発行による資金の払込により、前事業年度末と比べ977,799千円増加し、1,943,577千円となりました。当事業年度における各キャッシュフローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果得られた資金は116,534千円となりました(前事業年度は182,209千円の支出)。これは主に税引前当期純利益193,950千円の計上、未払消費税等の増減額59,629千円、未払金及び未払費用の増減額27,177千円があったことによるものであります。(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は15,464千円となりました(前事業年度は54,495千円の支出)。これは、有形固定資産の取得による支出によるものであります。(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果調達した資金は876,729千円となりました(前事業年度は987,723千円の収入)。これは、長期借入金の返済による支出62,300千円、株式の発行による収入939,029千円によるものであります。
④ 生産、受注及び販売の状況a. 生産実績 当社が提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b. 受注実績 当社が提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c. 販売実績
当事業年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(千円)
前期比(%)
カスタムAIソリューション事業
1,369,186
86.8
主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
第7期事業年度(自
2021年10月1日至
2022年9月30日)
第8期事業年度(自
2022年10月1日至
2023年9月30日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
エン・ジャパン株式会社
98,015
13.4
287,064
21.0
株式会社SCREENアドバンストシステムソリューションズ
178,750
24.4
229,894
16.8
味の素株式会社
88,060
12.0
–
–
(注)第7期事業年度及び第8期事業年度のいずれかが10%未満の場合、記載を省略し、「-」表示しています。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、経営者の会計方針の選択や適用、資産・負債や収益・費用の計上に際し、合理的な基準による見積りが含まれております。これらの見積りについては、継続して評価し、必要に応じて見直しを行っていますが、見積りは不確実性を伴うため、実際の結果はこれらの見積りによる数値と異なる場合があります。詳細は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。なお、当社の財務諸表で採用する重要となる会計方針につきましては「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりであります。会計上の見積りのうち、特に重要なものは次のとおりであります。(一定の期間にわたり履行義務を充足し認識する収益)当社は主として契約等に基づき、顧客が要求するカスタムAIの開発を、定められた期間に応じて役務の提供等を通じた又は一定の成果物のサービスの提供を行っております。当該契約に基づき一定の期間にわたり履行義務の充足が認められる場合には、契約金額に対応して発生すると見込まれる見積総原価に対する発生原価の割合(インプット法)により算出した進捗率により売上高を計上しております。進捗率の算定は見積総原価に影響を受けるため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、売上高の計上額に影響する可能性があります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 当社は、「すべての産業の新たな姿をつくる。」「テクノロジーとビジネスを、つなぐ。」をミッションに掲げ、各業界の代表的な企業との協働を通し、企業や産業、そして社会の長期的・本質的な構造転換に貢献することを目指しております。当該ミッションを達成するため、顧客基盤を「広げ」て「深め」ながら、顧客に提供する付加価値を最大化するために継続的にモニタリングするKPIを、年間売上成長率、売上総利益率、年間新規顧客獲得数及び継続顧客売上成長率としており、その推移は以下の通りです。
2022年9月期
2023年9月期
年間売上成長率
11.6%
86.8%
売上総利益率
70.3%
64.9%
年間新規顧客獲得数
15件
11件
継続顧客売上成長率
△32.9%
39.0%
(注)年間売上成長率及び継続顧客売上成長率は四半期ごとの算定は行っておりません。
年間売上高成長率は産業へのインパクトの総量とその成長性をモニタリングするため、重要な経営指標と位置付けております。2023年9月期につきましては、新規顧客獲得数が11件と順調に推移したことに加え、継続顧客売上成長率が39.0%となったため、新規顧客による売上増加と既存顧客による売上増加がおおよそ均等に売上増加に寄与し、売上高成長率は86.8%となり、2022年9月期を大きく上回る結果になっております。 売上総利益率はクライアントに提供する付加価値量をモニタリングするため重要な経営指標と位置付けております。2023年9月期においては、AIに関わらないシステム開発業務など外注が必要なプロジェクトの比率が高かったことにより64.9%と2022年9月期と比べて若干低い水準になっております。 年間新規顧客獲得数は、顧客基盤を広げる活動をモニタリングするために重要な指標と位置付けております。人員増加に伴い、営業を担う体制の強化が順調に進捗した結果、2023年9月期は11件の新規顧客を獲得いたしました。 継続顧客売上成長率は、前事業年度から継続して取引がある顧客に対する売上高の成長率として算定しており、顧客基盤を深める活動をモニタリングするために重要な指標と位置付けております。既存プロジェクトの継続や、既存顧客への異なるテーマの提案活動が奏功した結果、既存顧客売上成長率は39.0%となり、前事業年度を大幅に上回る結果となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報当社の資本の財源及び資金の流動性については、当社の運転資金需要のうち主なものは、事業拡大のための採用活動費及び新規顧客獲得のための広告宣伝費であります。これらの資金需要に対しては、営業キャッシュフロー、借入金及びびエクイティファイナンスで調達していくことを基本方針としております。なお、現金及び現金同等物の残高は、2023年9月末において1,943,577千円であり、当社の事業を推進していく上で十分な流動性を確保していると考えております。
#C5586JP #LaboroAI #情報通信業セクター