【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績子育て支援事業を取り巻く状況は、共働き世帯数の増加や女性の就業率上昇により保育所利用者数及び保育施設数の増加が続いていましたが、2023年4月の待機児童数が2,680人と前年比264人減少したほか、2022年の出生数が統計を取り始めた1899年以来初めて80万人を割るなど、外部環境が変化しております。一方、政府は子どもに関する政策を一元化し子ども政策を社会の中心に据える「こどもまんなか社会」を掲げ、家庭を取り巻く諸問題に本格的に取り組む「こども家庭庁」を2023年4月に設置するなど、関連施策を推進しています。また、2023年1月の施政方針演説 “次元の異なる少子化対策” の試案(同年3月発表)には、75年ぶりの保育士の配置基準改善と更なる処遇改善や、就労要件を問わず全ての子育て家庭が保育所を利用できるようにするこども誰でも通園制度(仮称)の創設などの政策が盛り込まれています。更に、6月に閣議決定された「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」では、子ども政策を最重要政策と位置づけ、幼児教育・保育の質向上を目的に保育所、認定こども園等の公定価格の改善に向けて取り組むなど、社会的な子ども重視の機運が一段と高まっております。このように子育て支援事業を取り巻く外部環境が大きく変化する中、当社グループは2021年11月12日に公表した「中期経営計画2024」に基づき、「規模拡大」「機能拡充」「基盤強化」の3つの施策を骨子とした取り組みを進めております。「規模拡大」の具体策として2023年4月18日に、当社グループが注力する東京都認可保育所を中心に展開する株式会社おはようキッズ(旧東京建物キッズ株式会社)の全株式を取得する株式譲渡契約を締結し、6月1日付で完全子会社化いたしました。また「機能拡充」を企図した新規事業強化等による収益源の多様化推進のためにはグループ本社機能の再編による生産性向上が不可欠と判断し、2023年4月1日を効力発生日として株式会社グローバルキッズの子育て支援事業の一部を株式会社GKSへ承継いたしました。「基盤強化」の施策としてはICT戦略の要点である子育てプラットフォーム開発を進めており、積極的な投資を継続しております。加えて習い事事業「GlobalKids Plus+」についても2023年6月に豊洲で開講しました。なお、当連結会計年度末時点における運営施設数は、株式会社おはようキッズ(旧東京建物キッズ株式会社)の17施設が加わった結果、認可保育所154施設(東京都115施設、神奈川県29施設、千葉県4施設、埼玉県1施設、大阪府5施設)、認証保育所・認定こども園等保育施設22施設、学童クラブ・児童館11施設、企業主導型保育所1施設の計188施設となりました。上記の結果、当連結会計年度は、売上高25,136百万円(前年同期比3.2%増)、営業利益341百万円(同51.8%減)、経常利益321百万円(同72.8%減)、親会社株主に帰属する当期純損失55百万円となりました。なお、当連結会計年度は当社グループの目標とする経営指標である『中期経営計画(2024)』の2期目に当たり、2023年9月期の計画値である売上高24,750百万円、営業利益800百万円と比較した達成率は売上高101.6%、営業利益42.6%となりました。
② キャッシュ・フロー当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」)は、営業活動による資金の増加1,154百万円、投資活動による資金の減少428百万円、財務活動による資金の減少670百万円により55百万円増加し、1,359百万円となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)税金等調整前当期純損失の計上154百万円に加え、株式会社おはようキッズの子会社化による段階取得に係る差益、負ののれん発生益をそれぞれ21百万円、98百万円計上したことによる減少の一方で、減損損失及び減価償却によりそれぞれ608百万円、809百万円計上したことによる増加を主因として、1,154百万円の資金の増加となりました。また、前連結会計年度と比較して獲得した資金が349百万円減少しております。これは、補助金収入が642百万円減少した一方で、減損損失が1,068百万円減少したことが主因です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)有形固定資産の取得による支出63百万円、無形固定資産の取得による支出289百万円を主因として、428百万円の資金の減少となりました。また、前連結会計年度と比較して資金の支出が277百万円減少しております。これは、無形固定資産の取得による支出が283百万円増加した一方で、有形固定資産の取得による支出が665百万円減少したことが主因です。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)長期借入金による収入により1,070百万円増加した一方で、長期借入金の返済による支出1,504百万円を主因として、670百万円の資金の減少となりました。また、前連結会計年度と比較して資金の支出が151百万円減少しております。これは、第7期期末配当に係る支払額234百万円が主因です。
(2) 生産、受注及び売上の実績
① 生産実績当社グループは生産活動を行っていないため、該当事項はありません。
② 受注実績当社グループは受注生産を行っていないため、該当事項はありません。
③ 売上実績当連結会計年度(自 2022年10月1日 至 2023年9月30日)の売上実績を示すと、次のとおりであります。なお、当社グループは子育て支援事業の単一セグメントであります。
セグメントの名称
当連結会計年度(自 2022年10月1日 至 2023年9月30日)
前年同期比(%)
子育て支援事業(百万円)
25,136
3.2
(注) 1.上記の金額には消費税は、含まれておりません。2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該売上実績の総売上実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度(自 2021年10月1日 至 2022年9月30日)
当連結会計年度(自 2022年10月1日 至 2023年9月30日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
横浜市
3,469
14.2
3,676
14.6
3.上記は、子育て支援事業における同市からの運営に関する補助金収入で、売上計上しております。
(3) 経営者の視点による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、損益又は、資産の状況に影響を与える見積りの判断は、一定の会計基準の範囲の中において、過去の実績や判断時点で入手可能な情報に基づき合理的に行っておりますが、実際の結果は、見積りによる不確実性があるため、これらの見積りと異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項 連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項」に記載しております。
(固定資産の減損処理)当社グループは、固定資産のうち減損の兆候がある資産又は資産グループについて、当該資産又は資産グループから得られる割引前将来キャッシュ・フローの総額が帳簿価額を下回る場合には、帳簿価額を回収可能価額まで減額し、当該減少額を減損損失として計上しております。減損兆候の把握、減損損失の認識及び測定にあたっては決算時点で入手可能な情報等に基づき慎重に検討しておりますが、事業計画や市場環境の変化により、その見積り額の前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、減損処理が必要となる可能性があります。
(投資有価証券の減損)当社グループは、投資有価証券のうち、満期保有目的の債券、子会社株式及び関連会社株式並びにその他有価証券のうち、市場価格のない株式等については、実質価額が取得価額に対して50%程度以上下回った場合には「著しく下落した」ものとし、回復可能性が十分な根拠により裏付けられる場合を除き減損処理を行っております。将来の時価の下落または投資先の業績不振や財政状態の悪化により、現状の帳簿価額に反映されていない損失又は帳簿価額の回収不能が生じ、減損処理が必要となる可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)当社グループは、繰延税金資産について将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性を十分に検討し回収可能見込額を計上しております。しかし、繰延税金資産の回収可能見込額に変動が生じた場合には、繰延税金資産の取崩し又は追加計上により利益が変動する可能性があります。
② 財政状態の分析(資産)当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末と比較して74百万円増加し16,675百万円となりました。流動資産は、前連結会計年度末と比較して206百万円増加し4,753百万円となりました。これは、業務効率化に向けたシステム利用料等による前払費用が68百万円、未収還付法人税等が86百万円それぞれ増加したことが主因です。固定資産は、前連結会計年度末と比較して132百万円減少し11,921百万円となりました。これは、減損損失及び減価償却等により有形固定資産が494百万円減少した一方で、ソフトウエア及びソフトウエア仮勘定が265百万円増加したことが主因です。
(負債)当連結会計年度末の総負債は、前連結会計年度末と比較して337百万円増加し8,571百万円となりました。流動負債は、前連結会計年度末と比較して435百万円増加し3,652百万円となりました。これは、1年以内返済予定の長期借入金が195百万円、未払金が108百万円それぞれ増加したことが主因です。固定負債は、前連結会計年度末と比較して97百万円減少し4,918百万円となりました。主な要因は、繰延税金負債が284百万円減少した一方で、長期借入金が69百万円増加したことです。
(純資産)当連結会計年度末の純資産は、前連結会計年度末と比べ263百万円減少し8,104百万円となりました。これは、親会社株主に帰属する当期純損失の計上により55百万円、第7期期末配当金により234百万円がそれぞれ減少したことが主因です。
③ 経営成績の分析(売上高)売上高は、企業主導型保育事業の譲渡による減少の一方で株式会社おはようキッズを新規に連結子会社化した影響で売上高は微増し、25,136百万円となりました。
(売上原価)売上原価は前連結会計年度に比べ4.1%増の23,050百万円となりました。前連結会計年度と比較して、人件費職員配置適正化の遅れ等により派遣職員費や採用費が増加いたしました。売上原価率は前連結会計年度の90.9%から当連結会計年度の91.7%と0.8ポイント上昇しました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、前連結会計年度に比べ16.0%増の1,744百万円となりました。「中期経営計画2024」の施策の1つである「基盤強化」を推進すべくICT戦略の要点である子育てプラットフォーム開発への投資などにより業務委託費が増加いたしました。販管費率は前連結会計年度の6.2%から当連結会計年度は6.9%へ上昇しました。営業利益については、売上高増加が売上原価、販管費の増加を吸収しきれず、前連結会計年度に比べ51.8%減少の341百万円となり、営業利益率は、前連結会計年度の2.9%から当連結会計年度は1.3%へ下落いたしました。
(営業外損益と経常利益)当連結会計年度の営業外収益は前連結会計年度に比べ98.0%減の13百万円、営業外費用は前連結会計年度に比べ81.8%減の33百万円となりました。営業外収益及び営業外費用が減少した要因は、当連結会計年度は保育所の新規開設を行わなかったため、開設に伴う補助金収入及び開設準備費用の計上がなかったためです。この結果、経常利益は前連結会計年度比72.8%減の321百万円となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)税金等調整前当期純損失は、154百万円(前連結会計年度は484百万円の損失)となりました。これは特別利益に株式会社おはようキッズの完全子会社に係る段階取得に係る差益及び負ののれん発生益等を計上した一方、特別損失として施設の固定資産に係る減損損失を計上したためです。親会社株主に帰属する当期純損失は、55百万円(前連結会計年度は314百万円の損失)となりました。
④ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
イ.キャッシュ・フローの状況の分析当社グループのキャッシュ・フローの状況の分析については、「第2 事業の状況 4 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ② キャッシュ・フロー」をご参照下さい。なお、今後の資金需要のうち主なものは、子育て支援施設等の設備投資、施設の運営費の支払いによるものであります。
ロ.財政政策当社グループは、運転資金及び設備資金につきましては、内部資金または借入により資金調達することとしております。M&A等の成長投資が重要であり、これらの資金需要は内部資金又は長期借入により調達しております。2023年9月30日現在、長期借入金の残高は3,976百万円であります。また、当連結会計年度末において、複数の金融機関との間で合計3,100百万円の当座貸越契約を締結しております(借入実行残高-百万円、借入未実行残高3,100百万円)。
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