【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
(経営成績)当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症が5類に移行され、行動制限が大幅に緩和されたことに伴い、インバウンド需要が増加し、個人消費や企業の設備投資にも回復傾向が見られるなど、総じて緩やかな回復基調で推移しました。一方で、ウクライナ侵攻の長期化に伴う原材料の高騰、世界的な金融引き締め政策に伴う急激な円安により、物価の高騰や金利の上昇などの影響による消費者マインドの低下懸念など、国内景気を下押しするリスクにも警戒が必要な状況で推移しました。当社グループの属する建設関連の市場におきましては、住宅ローンの低金利の継続、子育て層の住環境への意識の高まりなどを背景に、住宅需要は比較的堅調に推移しました。また、民間非住宅投資、公共投資、リフォーム需要についても持ち直しの傾向が見られました。このような環境の下、当社グループは、当期を初年度とする第4次中期3か年計画に基づき、当社の基盤事業である戸建住宅向けのタイル、石材、住宅設備、衛生機器等の販売・工事に加え、重点商材と位置付けているサッシ、サイディング、空調機器、内装建材の拡販に取り組みました。また、それら商材の拡販スピードを速めるためのM&Aを実施し、サイディング工事会社やサッシ工事会社等のグループ化を図りました。この結果、当連結会計年度の業績は、売上高は860億85百万円と前連結会計年度に比べ69億42百万円の増収(8.8%増)となりました。増収の主な要因としましては、戸建住宅向けの販売及び工事、大型物件向けの工事が増加したことによるものであります。損益面につきましては、営業利益は戸建住宅事業の売上総利益率が低下したことや、人件費や物流費等の販管費が増加したことにより、17億70百万円と前連結会計年度に比べ1億29百万円の減益(6.8%減)、経常利益は20億68百万円と前連結会計年度に比べ99百万円の減益(4.6%減)となりました。親会社株主に帰属する当期純利益は12億74百万円と前連結会計年度に比べ3億73百万円の減益(22.7%減)となりましたが、これは前期に負ののれん発生益による特別利益が存在したことによるものであります。
セグメントの業績は、以下のとおりであります。
(戸建住宅事業)タイル・建材販売につきましては、売上高は前年比プラスで推移しました。その主な要因としましては、住宅向けスペック営業の強化や市況の持ち直しにより、自社ブランドを含むタイル販売が回復したことによるものであります。タイル・建材工事につきましては、売上高は前年比プラスで推移しました。その主な要因としましては、外壁用タイル工事の需要が増加したことや、新規開拓先のサイディング工事やサッシ工事の受注が増加したことによるものであります。住宅設備機器関連販売及び工事につきましては、売上高は前年比プラスで推移しました。その主な要因としましては、新規ビルダー向けのキッチンや衛生陶器の受注が増加したことや、仕入れ商品の値上げに対する販売価格への転嫁が進んだことによるものであります。以上の結果、売上高は735億45百万円と前連結会計年度に比べ58億11百万円の増収(8.6%増)、セグメント利益は商品販売の売上総利益率の低下により28億30百万円と前連結会計年度に比べ13百万円の減益(0.5%減)となりました。
(大型物件事業)タイル工事につきましては、売上高は前年を上回りました。その主な要因としましては、中規模マンション等の工事が前年並みに推移したことに加え、商業施設物件の受注が回復したことによるものであります。住宅設備販売及び工事につきましては、売上高は前年比プラスで推移しました。その主な要因としましては、マンションリフォーム工事や非住宅物件向けの設備工事が増加したことによるものであります。空調衛生設備工事につきましては、売上高は前年を下回りました。主な要因としましては、民間の設備改修工事は増加したものの、昨年秋以降、入札競争の激化による公共物件の受注が減少したことによるものであります。以上の結果、大型物件事業の売上高は125億40百万円と前連結会計年度に比べ11億31百万円の増収(9.9%増)、セグメント利益は工事原価の見直し等により5億69百万円と前連結会計年度に比べ1億77百万円の増益(45.2%増)となりました。
(財政状態)当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ13億62百万円増加し、440億2百万円となりました。負債合計は、前連結会計年度末に比べ3億92百万円増加し、198億23百万円となりました。
②キャッシュ・フローの状況当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度に比べ19億47百万円減少し、101億66百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動によるキャッシュ・フローは16億77百万円増加(前連結会計年度は3億95百万円増加)となりました。これは主として、税金等調整前当期純利益20億49百万円の計上、売上債権の増加額5億円、法人税等の支払額10億78百万円によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動によるキャッシュ・フローは28億76百万円減少(前連結会計年度は3億88百万円増加)となりました。これは主として、投資有価証券の取得による支出7億6百万円、貸付けによる支出3億71百万円、有形固定資産の取得による支出83百万円、非連結子会社株式の取得による支出16億38百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動によるキャッシュ・フローは8億11百万円減少(前連結会計年度は14億57百万円減少)となりました。これは主として、配当金の支払額5億63百万円、長期借入金の返済3億64百万円によるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(戸建住宅事業)
(イ)商品仕入実績当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
商品仕入高(千円)
前年同期比(%)
建材及び関連商品
23,626,465
+14.1
住宅設備機器
31,395,133
+4.6
合計
55,021,599
+8.5
(注)
1.金額は、仕入価格によっております。2.建材及び関連商品、住宅設備機器の商品仕入高の金額には、それぞれ完成工事原価又は未成工事支出金への振替高7,199,078千円、11,045,913千円が含まれております。
(ロ)受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
外壁工事
16,823,465
+0.9
4,486,015
△8.1
住宅設備工事
21,716,950
+2.2
4,967,131
△3.4
合計
38,540,415
+1.6
9,453,147
△5.7
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
(ハ)売上実績当連結会計年度における売上実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
売上高(千円)
前年同期比(%)
販売実績
建材及び関連商品
16,156,916
+11.1
住宅設備機器
18,278,557
+4.8
合計
34,435,474
+7.7
完成工事実績
外壁工事
17,216,433
+9.5
住宅設備工事
21,893,380
+9.3
合計
39,109,813
+9.4
総合計
73,545,287
+8.6
(注) セグメント間の取引については、相殺消去しております。
(大型物件事業)
(イ)商品仕入実績当連結会計年度における仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
商品仕入高(千円)
前年同期比(%)
建材及び関連商品
1,266,103
+20.7
住宅設備機器
2,724,333
△1.4
合計
3,990,436
+4.7
(注)
1.金額は、仕入価格によっております。2.建材及び関連商品、住宅設備機器の商品仕入高の金額には、それぞれ完成工事原価又は未成工事支出金への振替高999,795千円、1,317,645千円が含まれております。
(ロ)受注実績当連結会計年度における受注実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
タイル工事
3,651,986
+1.3
3,512,510
+10.6
住宅設備工事
8,791,320
△8.0
6,425,424
+14.1
合計
12,443,306
△5.5
9,937,934
+12.8
(注) セグメント間取引については、相殺消去しております。
(ハ)売上実績当連結会計年度における完成工事実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
完成工事高(千円)
前年同期比(%)
販売実績
建材及び関連商品
288,712
+32.2
住宅設備機器
939,729
△0.4
合計
1,228,441
+5.8
完成工事実績
タイル工事
3,314,774
+6.0
住宅設備工事
7,997,420
+12.3
合計
11,312,194
+10.4
総合計
12,540,636
+9.9
(注)セグメント間取引については、相殺消去しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、有価証券報告書提出日(2023年12月18日)現在において当社グループが判断したものであります。
①重要な会計方針及び見積り当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たっては、貸倒引当金、完成工事補償引当金、退職給付に係る負債、工事損失引当金、有形・無形固定資産及び繰延税金資産の計上及び工事進行基準による収益認識に関しましては重要な見積り及び判断を行っております。従いまして、実際の結果はこれらの見積り及び判断と異なる場合があり、業績に影響を与える可能性があります。
②経営成績等の状況に関する分析(イ)財政状態(資産)当連結会計年度末における資産合計は、前連結会計年度末に比べ13億62百万円増加し、440億2百万円となりました。これは主として、現金及び預金が19億49百万円減少した一方で、投資有価証券が8億73百万円、子会社株式(投資その他の資産、その他)が16億53百万円、受取手形・完成工事未収入金等が3億46百万円、短期貸付金(流動資産、その他)が3億30百万円増加したことによるものであります。
(負債)当連結会計年度末における負債合計は、前連結会計年度末に比べ3億92百万円増加し、198億23百万円となりました。これは主として、未成工事受入金が2億6百万円、短期借入金が1億36百万円減少した一方で、未払金(流動負債、その他)が3億30百万円、未払費用(流動負債、その他)が2億66百万円増加したことによるものであります。
(純資産)当連結会計年度末における純資産合計は、前連結会計年度末に比べ9億70百万円増加し、241億79百万円となりました。これは主として、利益剰余金が7億7百万円、その他有価証券評価差額金が1億53百万円増加したことによるものであります。
(ロ)経営成績(売上高)売上高は、前連結会計年度の791億43百万円から69億42百万円増加して860億85百万円となりました。増収の主な要因としましては、戸建住宅向けの販売及び工事、大型物件向けの工事が増加したことによるものであります。(売上原価)売上原価は、前連結会計年度の678億82百万円から62億93百万円増加して741億75百万円となりました。売上増に連動して原価増となります。(売上総利益)売上総利益は、前連結会計年度の112億61百万円から6億48百万円増加して119億9百万円となりました。工程管理や原価管理の徹底に注力いたしましたが、コスト競争の激化、売り上げを伸ばすための積極的な価格対策などにより売上総利益率はダウンいたしました。(販売費及び一般管理費)販売費及び一般管理費は、前連結会計年度の93億61百万円から7億78百万円増加して101億39百万円となりました。人件費や物流コストが増加したことによります。(営業利益)営業利益は、前連結会計年度の18億99百万円から1億29百万円減少して17億70百万円となり、売上高に対する営業利益の比率は前連結会計年度に比べ0.3ポイント減少して2.1%となりました。これは、戸建住宅事業の売上総利益率が低下したことや、人件費、物流費等の販管費が増加したことによります。(営業外収益(費用))営業外収益(費用)は、前連結会計年度の2億68百万円の収益(純額)から29百万円増加して2億98百万円の収益(純額)となりました。主な要因として、受取利息等の営業外収益が15百万円増加したこと、支払手数料が14百万円減少したことによるものであります。(経常利益)経常利益は前連結会計年度の21億67百万円から99百万円減少して20億68百万円となり、売上高に対する経常利益の比率は前連結会計年度に比べ0.3ポイント減少して2.4%となりました。売上高に対する営業利益率に連動して減少しております。(特別利益(損失))特別利益(損失)は、前連結会計年度は2億79百万円の利益(純額)から2億98百万円減少して19百万円の損失(純額)となりました。これは主に前期に負ののれん発生益による特別利益が存在したことによるものであります。(税金等調整前当期純利益)税金等調整前当期純利益は前連結会計年度の24億47百万円から3億97百万円減少して20億49百万円となりました。(法人税、住民税及び事業税・法人税等調整額)法人税、住民税及び事業税・法人税等調整額は前連結会計年度の7億99百万円から24百万円減少して7億75百万円となりました。(親会社株主に帰属する当期純利益)以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は前連結会計年度の16億47百万円から3億73百万円減少して12億74百万円となりました。
(ハ)資本の財源及び資金の流動性についての分析資金需要のうち主なものは、商品等の原材料の仕入及び労務費のほか、販売費及び一般管理費等の営業費用であります。また、投資資金としてM&Aや設備投資のための資金も発生いたします。それら財源については、グループ内各事業会社の営業活動から発生する営業キャッシュ・フローにおける自己資金を基本に賄っておりますが、一部借入金等の調達もあり、当連結会計年度末においては、有利子負債の残高は4億62百万円となっております。また、運転資金の機動的な調達を行うため主要取引金融機関と総額30億の特定融資枠(コミットメントライン)契約を締結しております。2023年9月30日現在特定融資枠の借入実行残高は0となっております。
(ニ)経営方針・経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等当社グループは、第4次中期経営計画(2022年10月1日~2025年9月30日)を策定しており、同計画において、連結売上高970億円、連結営業利益25億円を最終年度に達成すべき数値目標として定めております。当期を初年度とする第4次中期3か年計画に基づき、当社の基盤事業である戸建住宅向けのタイル、石材、住宅設備、衛生機器等の販売・工事に加え、重点商材と位置付けているサッシ、サイディング、空調機器、内装建材の拡販に取り組みました。また、それら商材の拡販スピードを速めるためのM&Aを実施し、サイディング工事会社やサッシ工事会社等のグループ化を図りました。このような環境のもと、当連結会計年度の業績は、売上高は860億85百万円と前連結会計年度に比べ69億42百万円の増収(8.8%増)となりました。