【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①経営成績の状況
当事業年度におけるわが国経済は、引き続き新型コロナウイルス感染症の影響が残るものの、行動制限は緩和され、人流や経済活動も回復基調にあります。一方で、急激な為替変動、エネルギーや原材料の価格高騰に起因する物価上昇等により、企業業績や個人消費の動向は不透明な状況が継続しております。
このような環境のもと、当事業年度においては、2022年9月と2023年3月に「TOKYO GIRLS COLLECTION」を有観客で開催し、協賛企業数の増加や来場チケットの完売等により収益性の向上に貢献いたしました。また、2022年10月に山梨県の魅力を全国に発信する「TGC FES YAMANASHI 2022」や東京都江戸川区のSDGs推進活動を区内外に発信するための「SDGs FES in EDOGAWA」、2022年11月に「TGC KITAKYUSHU 2022 by TOKYO GIRLS COLLECTION」(以下「TGC 北九州 2022」)、2023年1月に「SDGs推進 TGC しずおか 2023 by TOKYO GIRLS COLLECTION」(以下「TGC しずおか 2023」)、2023年2月には関西地方で初の開催となる「oomiya presents TGC WAKAYAMA 2023 by TOKYO GIRLS COLLECTION」(以下「TGC 和歌山 2023」)、2023年5月には「TGC teen ICHINOSEKI 2023」をそれぞれ有観客で開催し、地方創生プロジェクトが活性化しております。この結果、TGCプロデュース領域の売上高は2,650百万円(前年同期比87.1%増)となりました。
その他、タレントキャスティングとクリエイティブ制作を組み合わせた顧客の商材のブランディング・コンテンツプロデュースによる売上や、イオンクレジットサービス株式会社(現 イオンフィナンシャルサービス株式会社)との事業提携による「TGC CARD」の利用者の決済額等に基づくロイヤリティの受領、その他ブランドロイヤリティの受領等により、ブランドやネットワークを活かした収益基盤が多層化しております。この結果、コンテンツプロデュース・ブランディング領域の売上高は869百万円(前年同期比66.8%増)となりました。
なお、サービス領域別の状況は次のとおりであります。
サービス領域別売上高
サービス領域
2022年6月期
(前事業年度)
2023年6月期
(当事業年度)
前年同期比
金額
構成比
金額
構成比
金額
増減率
TGCプロデュース領域
1,416百万円
68.6%
2,650百万円
73.3%
1,233百万円
87.1%
コンテンツプロデュース・ブランディング領域
521
25.2
869
24.0
348
66.8
デジタル広告領域
127
6.2
96
2.7
△31
△24.5
合計
2,065
100.0
3,616
100.0
1,550
75.1
以上の結果、当事業年度の経営成績は、売上高3,616百万円(前年同期比75.1%増)、営業利益645百万円(同587.0%増)、経常利益620百万円(同605.8%増)、当期純利益406百万円(同215.1%増)となりました。
また、当社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、調整後営業利益、調整後当期純利益を採用しております。これらの指標は、当社のTOKYO GIRLS COLLECTIONというブランド価値を活用した社会への価値提供の程度、また当社における経営の効率性を測るためものとして適切であると考えております。
(調整後利益の計算方法)
調整後営業利益=営業利益+のれん償却額+商標権償却額
調整後当期純利益=税引前当期純利益+のれん償却額+商標権償却額-想定税金費用(※1)
※1想定税金費用=法人税、住民税及び事業税+法人税等調整額+商標権償却額×実効税率(課税所得が発生する場合)
当事業年度の調整後営業利益は809百万円(前年同期比214.1%増)、調整後当期純利益は542百万円(同85.3%増)となりました。なお、調整後営業利益、調整後当期純利益については、PwC京都監査法人の監査を受けておりません。
当社は、ブランディングプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載はしておりません。
②財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における総資産は、前事業年度末と比較して625百万円増加し、3,122百万円となりました。これは主に、税引前当期純利益619百万円の計上及び新規上場に伴う公募増資331百万円等による現金及び預金966百万円の増加、2022年6月期第4四半期に納品した大型イベント制作売上代金の回収等による売掛金及び契約資産34百万円の減少、「SDGs FES in EDOGAWA」活動協力費の費用化等による前渡金39百万円の減少、商標権90百万円、のれん72百万円の償却による減少、課税所得の計上に伴う税務上の繰越欠損金の取り崩しによる繰延税金資産39百万円の減少によるものであります。
(負債)
当事業年度末における負債合計は、前事業年度末と比較して124百万円減少し、1,852百万円となりました。これは主に、2022年6月期第4四半期に納品した大型イベント制作やクリエイティブ制作の外注費の支払等による買掛金96百万円の減少、課税所得の計上に伴う未払法人税等188百万円の増加及び、長期借入金(1年内返済予定を含む)164百万円の約定返済、有利子負債依存度の低下を目的とした短期借入金100百万円の返済による減少によるものであります。
(純資産)
当事業年度末における純資産は、前事業年度末と比較して749百万円増加し、1,270百万円となりました。これは主に、新規上場に伴う公募増資等による資本金171百万円及び資本準備金171百万円の増加、当期純利益406百万円の計上によるものであります。
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末に比べ966百万円増加し、当事業年度末には1,971百万円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は864百万円(前事業年度は281百万円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益619百万円の計上(前事業年度は税引前当期純利益82百万円の計上)、非資金取引である減価償却費21百万円の計上(前事業年度は18百万円の計上)、商標権償却額90百万円の計上(前事業年度も同額の計上)、のれん償却額72百万円の計上(前事業年度も同額の計上)等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果得られた資金は46百万円(前事業年度は95百万円の支出)となりました。これは主に、スマートフォンアプリ追加開発に伴う無形固定資産の取得による支出10百万円(前事業年度は無形固定資産の取得による支出95百万円)、スマートフォンアプリ開発に伴う補助金の受取額60百万円(前事業年度は計上なし)等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は55百万円(前事業年度は356百万円の支出)となりました。これは主に、新規上場に伴う公募増資等による株式の発行による収入331百万円(前事業年度は計上なし)、長期借入金の返済による支出164百万円(前事業年度は長期借入金の返済による支出206百万円)、短期借入金の純減少額100百万円(前事業年度は短期借入金の純減少額150百万円)等によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社が提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
b.受注実績
当社が提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績は、次のとおりであります。
なお、当社は、ブランディングプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載はしておりません。
セグメントの名称
当事業年度
(自 2022年7月1日
至 2023年6月30日)
金額(百万円)
前年同期比(%)
ブランディングプラットフォーム事業
3,616
175.1
計
3,616
175.1
(注)最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前事業年度
(自
2021年7月1日
至
2022年6月30日)
当事業年度
(自
2022年7月1日
至
2023年6月30日)
金額(百万円)
割合(%)
金額(百万円)
割合(%)
株式会社Waqoo
222
10.8
-
-
(注)総販売実績に対する割合が100分の10未満の相手先については記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しております。この財務諸表の作成に当たり、決算日における財政状態及び会計期間における経営成績に影響を与える見積りを必要とします。経営者はこれらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性があるため、この見積りと異なる場合があります。
財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。また、当該注記事項に記載の翌事業年度の財務諸表に与える影響は、翌事業年度以降においても同様に影響を及ぼす可能性があります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・結果内容
(売上高)
当事業年度の売上高は、前事業年度に比べ1,550百万円増加し、3,616百万円(前年同期比75.1%増)となりました。
これは主に、TGCプロデュース領域において、2022年9月と2023年3月開催の「TOKYO GIRLS COLLECTION」における協賛企業数の増加や来場チケットの完売の他、2022年10月の「TGC FES YAMANASHI 2022」(初開催)、「SDGs FES in EDOGAWA」(継続2年目)、2022年11月の「TGC 北九州 2022」(2019年10月以来3年ぶりの開催)、2023年1月の「TGC しずおか 2023」(2020年1月以来3年ぶりの開催)、2023年2月の「TGC 和歌山 2023」(初開催)、2023年5月の「TGC teen ICHINOSEKI 2023」(初開催)をそれぞれ有観客で開催する等、地方創生プロジェクトの活性化等による前年同期比1,233百万円増(同87.1%増)によるものであります。
その他、コンテンツプロデュース・ブランディング領域においても、タレントキャスティングとクリエイティブ制作を組み合わせた顧客の商材のブランディング・コンテンツプロデュースによる売上や、イオンクレジットサービス株式会社(現 イオンフィナンシャルサービス株式会社)との事業提携による「TGC CARD」の利用者の決済額等に基づくロイヤリティの受領等により、前年同期比348百万円増(同66.8%増)となっております。
(営業費用及び営業利益)
当事業年度の売上原価は、前事業年度に比べ874百万円増加し、2,027百万円(前年同期比75.8%増)となりました。これは主に売上高の増加に伴う外注費の増加によるものであります。
販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ124百万円増加し、942百万円(前年同期比15.3%増)となりました。これは主に人件費及び業務委託費の増加によるものであります。
この結果、営業利益は、前事業年度に比べ551百万円増加し、645百万円(前年同期比587.0%増)となりました。また、当社の経営方針、経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としている調整後営業利益は、前事業年度に比べ551百万円増加し、809百万円(前年同期比214.1%増)となりました。なお、調整後営業利益については、PwC京都監査法人の監査を受けておりません。
(営業外損益及び経常利益)
当事業年度において、上場関連費用14百万円、支払利息7百万円等により営業外費用が25百万円(前事業年度は8百万円)発生しております。この結果、経常利益は、前事業年度に比べ532百万円増加し、620百万円(前年同期比605.8%増)となりました。
(特別損益、法人税等及び当期純利益)
当事業年度において、投資有価証券評価損による特別損失が1百万円発生しております。なお、前事業年度は、国庫補助金による特別利益が60百万円、固定資産圧縮損による特別損失が60百万円、関係会社株式評価損による特別損失が4百万円発生しております。
法人税、住民税及び事業税と法人税等調整額を合算した法人税等は、213百万円(前事業年度は△46百万円)となりました。これは主に、利益の増加に伴う課税所得の発生により法人税、住民税及び事業税を計上したためであります。
この結果、当期純利益は、前事業年度に比べ277百万円増加し、406百万円(前年同期比215.1%増)となりました。また、当社の経営方針、経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標としている調整後当期純利益は、前事業年度に比べ249百万円増加し、542百万円(前年同期比85.3%増)となりました。なお、調整後当期純利益については、PwC京都監査法人の監査を受けておりません。
財政状態の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
③キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資金需要のうち主なものは、人件費、外注費等の営業費用であります。必要な運転資金は自己資金、金融機関からの借入で調達し、事業運営上必要な流動性を確保していくことを基本方針としております。なお、資金調達方法の優先順位等に特段方針はなく、資金需要の額や使途に合わせて柔軟に検討を行う予定です。
なお、キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
④経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑤経営者の問題意識と今後の方針に関して
当社は、「すべてのヒト・モノ・コト・地域が輝く世界をつくる」というビジョンを掲げ、事業を拡大してまいりました。
当社がこの経営方針の下、長期的な競争力を維持し持続的な成長を図るためには、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載の様々な課題に対して、経営者は常に事業環境の変化に関する情報の入手及び分析を行い、最善の経営方針を立案していくことが必要であると認識しております。
⑥経営戦略の現状と見通し
経営戦略の現状と見通しについては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
⑦経営方針、経営戦略・経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
経営方針、経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、主な経営指標として売上高、営業利益、調整後営業利益及び調整後当期純利益を重視しております。
(参考情報)
当社は、過去に子会社との合併及び商標権の取得を実施しています。このため当社の貸借対照表には、当該取引に起因するのれん及び商標権が計上されており、損益計算書にはこれらにかかる償却費が計上されています。子会社との合併及び商標権の取得の概要は下記の通りです。
a.子会社との合併
2016年9月に株式会社TOKYO GIRLS COLLECTION(以下㈱TGC。現在の当社)が当時TGCの企画・運営を行っていた株式会社W media(以下㈱W media)を100%子会社化。後に㈱W mediaは㈱TGCを存続会社とする吸収合併により消滅。本合併によりのれんを引継ぎ。
b.商標権
2018年6月に当時の親会社であった株式会社ディー・エル・イーよりTGCに関連する広範な商標権を取得。
上記の取引は、商標権の保有者及び、TGCの企画・運営者が分離していたという当社固有の事情を解消するために実行されたものであり、このような特殊事情がなければ生じていなかったものです。従って、当社の正常な収益力を評価する上では、これらの償却額の影響を調整した営業利益と当期純利益を参照することが適切と考えており、当社ではこれらの調整後利益を重要な指標として重視しております。
前事業年度及び当事業年度における各指標は以下のとおりであり、引き続き経営課題の改善を図りながら、経営戦略を推進してまいります。
売上高、営業利益、調整後営業利益及び調整後当期純利益
前事業年度
(自
2021年7月1日
至
2022年6月30日)
当事業年度
(自
2022年7月1日
至
2023年6月30日)
売上高
2,065百万円
3,616百万円
営業利益
93百万円
645百万円
+のれん償却額
72百万円
72百万円
+商標権償却額
90百万円
90百万円
調整後営業利益
257百万円
809百万円
調整後税引前当期純利益
245百万円
783百万円
想定税金費用
△46百万円
241百万円
調整後当期純利益
292百万円
542百万円
(注)調整後営業利益、調整後税引前当期純利益、調整後当期純利益については、PwC京都監査法人の監査を受けておりません。
#C9159JP #WTOKYO #サービス業セクター