【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものです。
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりです。
① 財政状態の概況
(資産)
資産合計は、前連結会計年度末比5,224百万円増の39,750百万円となりました。流動資産については、主に新型コロナウイルス感染症ワクチン接種支援サービス、在宅治験及び健康観察支援サービスの需要が落ち着いたことにより営業債権及びその他の債権が2,274百万円減少し、前連結会計年度末比2,421百万円減の12,732百万円となりました。非流動資産については、主に在宅ホスピス施設の増加に伴い有形固定資産が4,307百万円増加、投資不動産が2,387百万円増加、使用権資産が1,075百万円増加したことにより前連結会計年度末比7,645百万円増の27,018百万円となりました。
(負債)
負債合計は、前連結会計年度末比2,983百万円増の27,830百万円となりました。流動負債については、在宅ホスピス建設資金を主とした親会社からの借入金が5,356百万円増加した一方、新型コロナウイルス感染症ワクチン接種支援サービス、在宅治験及び健康観察支援サービスの需要が落ち着いたことで営業債務及びその他の債務が1,791百万円減少、中間納付により未払法人所得税が1,291百万円減少したことにより前連結会計年度末比1,952百万円増の21,290百万円となりました。非流動負債については、主にリース負債が995百万円増加したことにより前連結会計年度末比1,031百万円増の6,540百万円となりました。
(資本)
資本合計は、前連結会計年度末比2,241百万円増の11,920百万円となりました。主に親会社の所有者に帰属する当期利益2,423百万円を計上したことにより、利益剰余金が増加したことによります。
② 経営成績の状況
当社グループは、「医療機関支援」及び「訪問看護」の2つを報告セグメントとしていますが、以下では、既存サービスと新規サービスのセグメント売上収益についても記載しています。新規サービスは医療機関支援セグメントの新型コロナウイルス感染症ワクチン接種支援サービス、訪問看護セグメントの居宅訪問看護事業における在宅治験及び健康観察支援サービスからなり、それ以外の2021年3月期以前より続くサービスを既存サービスとしています。当該新規サービスは主に新型コロナウイルスを起因としたサービスとなっており、翌連結会計年度以降は大きく縮小する見通しのため、売上収益について新規サービスと既存サービスに分けて記載しています。
また、EBITDAの計算式は次のとおりです。
EBITDA=営業利益+減価償却費及び償却費±その他の収益・費用
(当期の業績)
(単位:百万円)
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
比較増減
売上収益
35,314
35,210
△104
△0.3%
営業利益
3,679
3,683
+4
+0.1%
税引前利益
3,622
3,634
+12
+0.3%
当期利益
2,220
2,404
+184
+8.3%
EBITDA
6,525
4,982
△1,543
△23.6%
(セグメントの業績)
(単位:百万円)
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
比較増減
医療機関支援
セグメント売上収益
17,389
16,441
△947
△5.4%
セグメント利益
1,401
2,955
+1,554
+111.0%
EBITDA
3,596
3,492
△104
△2.9%
訪問看護
セグメント売上収益
17,364
18,826
+1,462
+8.4%
セグメント利益
2,728
1,542
△1,186
△43.5%
EBITDA
3,360
2,295
△1,065
△31.7%
その他
セグメント売上収益
764
205
△558
△73.1%
セグメント利益
159
29
△130
△81.7%
EBITDA
177
39
△138
△77.8%
調整額
(注)
セグメント売上収益
△202
△263
△60
–
セグメント利益
△609
△843
△234
–
合計
セグメント売上収益
35,314
35,210
△104
△0.3%
セグメント利益
3,679
3,683
+4
+0.1%
EBITDA
6,525
4,982
△1,543
△23.6%
(注)調整額は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.セグメント情報」に記載しているものと同様です。
(既存サービスと新規サービスのセグメント売上収益)
(単位:百万円)
既存・新規
セグメント
前連結会計年度
(自 2021年4月1日
至 2022年3月31日)
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
比較増減
既存サービス
医療機関支援
6,713
8,307
+1,594
+23.7%
訪問看護
13,057
16,173
+3,116
+23.9%
その他
764
205
△558
△73.1%
調整額
(注)1
△202
△263
△60
–
合計
20,331
24,423
+4,091
+20.1%
新規サービス
医療機関支援
(注)2
10,676
8,134
△2,541
△23.8%
訪問看護
(注)3
4,307
2,653
△1,654
△38.4%
合計
14,983
10,787
△4,195
△28.0%
合計
35,314
35,210
△104
△0.3%
(注)1.調整額は「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 6.セグメント情報」に記載しているものと同様です。
2.自治体や企業向けの新型コロナウイルス感染症ワクチン接種支援サービス。
3.在宅治験及び健康観察支援サービス。
(a)医療機関支援セグメント
当セグメントにおける既存の支援先医療機関によるM&A等により、当連結会計年度の支援先主要拠点数(期中平均)(注)は91(前期比20拠点増)となりました。これに加えて支援先医療機関の事業の拡大等により業務受託報酬が増加し、当セグメントの既存サービスによる売上収益は8,307百万円(前期比23.7%増)となりました。一方、前連結会計年度より開始した新型コロナウイルス感染症ワクチン接種支援サービスの需要が前連結会計年度に比べて落ち着いたため、当セグメント全体の売上収益は16,441百万円(前期比5.4%減)となりました。
当セグメント全体の営業損益については、新型コロナウイルス感染症ワクチン接種支援サービスに係る利益が減少した一方、既存サービスに係る利益の増加及び前連結会計年度に計上した海外事業における減損損失の反動等により、2,955百万円(前期比111.0%増)の営業利益となりました。
(注)当社が経営支援を提供する病院、介護老人保健施設、訪問診療クリニック、透析クリニック、外来クリニックの合計数。
(b)訪問看護セグメント
居宅訪問看護事業においては、利用者数の増加に伴い、当連結会計年度ののべ総ケア時間(注)は954千時間(前期比151千時間増)となりました。また、在宅ホスピス事業においては、前連結会計年度に開設した在宅ホスピス施設の稼働率が上昇し、また、当連結会計年度において在宅ホスピス施設は8箇所増加しました。以上の結果、当セグメントの既存サービスによる売上収益は16,173百万円(前期比23.9%増)となりました。また、居宅訪問看護事業における新規サービスである在宅治験及び健康観察支援サービスの需要が前連結会計年度に比べて落ち着いたものの、既存サービスによる売上収益の増加により、当セグメント全体の売上収益は18,826百万円(前期比8.4%増)となりました。
当セグメント全体の営業損益については、居宅訪問看護事業における新規サービスの縮小及び採用関連費用の増加等の影響に加え、在宅ホスピス事業における各施設のサービスレベル向上及び本社機能の強化に伴う要員増等の影響により、1,542百万円(前期比43.5%減)の営業利益となりました。
(注)当社グループの看護師及びセラピストが利用者に居宅訪問看護サービスを提供した時間の合計。
以上の結果、当社全体の売上収益は35,210百万円(前期比0.3%減)、営業利益は3,683百万円(前期比0.1%増)、当期利益は2,404百万円(前期比8.3%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末残高より235百万円減少し、4,120百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動によるキャッシュ・フローは、2,357百万円の収入(前年同期は6,616百万円の収入)となりました。主に、税引前利益3,634百万円によるキャッシュ・フローの増加及び法人所得税の支払額2,640百万円によるキャッシュ・フローの減少によるものです。法人所得税の支払額の大幅な増加は、前連結会計年度の税引前利益が新規サービスにより大幅に増加したため、未払法人税等及び中間納付の金額が大幅に増加した影響です。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動によるキャッシュ・フローは、6,682百万円の支出(前年同期は1,468百万円の支出)となりました。主に有形固定資産及び投資不動産の取得による支出5,452百万円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動によるキャッシュ・フローは、3,972百万円の収入(前年同期は4,433百万円の支出)となりました。主に短期借入金の純増加額5,254百万円、リース負債の返済による支出850百万円によるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社グループは、製品の生産を行っていないため、記載すべき事項はありません。
b.受注実績
当社グループは、実績に応じて売上が計上される契約がほとんどであり、受注時に受注金額を確定することが困難な状況であるため、記載を省略しています。
c.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりです。
(単位:百万円)
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年4月1日
至 2023年3月31日)
前年同期比(%)
医療機関支援
16,179
△5.9
訪問看護
18,826
+8.4
報告セグメント計
35,005
+1.3
その他
205
△73.1
合計
35,210
△0.3
(注)1.セグメント間の取引については相殺消去しています。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が10%を超える相手先がないため、記載を省略しています。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
① 重要な会計方針及び見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、「連結財務諸表の用語、様式及び作成方法に関する規則」(以下「連結財務
諸表規則」という。)第93条の規定によりIFRSに準拠して作成しています。また、連結財務諸表の作成にあたっては、企業結合における無形資産の公正価値の測定、非金融資産の減損テスト、金融商品の公正価値の評価について、過去の実績や将来キャッシュ・フロー等を勘案し、合理的と判断される前提に基づき見積り及び予測を行っていますが、前提条件やその後の環境等に変化がある場合等の不確実性が存在するため、実際の結果がこれらの見積りや予測と異なる場合があります。なお、当社グループの連結財務諸表で採用する重要な会計方針及び見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 連結財務諸表注記 4 重要な会計上の見積り及び見積りを伴う判断」に記載のとおりです。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(売上収益)
医療機関支援セグメントでは、既存の支援先医療機関によるM&A等により、当連結会計年度の支援先主要拠点数(期中平均)は91(前期比20拠点増)となりました。これに加えて支援先医療機関の事業の拡大等により業務受託報酬が増加しました。
訪問看護セグメントでは、居宅訪問看護事業において、利用者数の増加に伴い、当連結会計年度ののべ総ケア時間は954千時間(前期比151千時間増)となりました。また、在宅ホスピス事業において、前連結会計年度に開設した在宅ホスピス施設の稼働率が上昇し、当連結会計年度において在宅ホスピス施設は8箇所増加しました。
以上を主な要因として、既存サービスによる売上収益は24,423百万円(前期比20.1%増)となりました。
一方、前連結会計年度から開始した医療機関支援セグメントの新型コロナウイルス感染症ワクチン接種支援サービス、訪問看護セグメントの居宅訪問看護事業で実施している在宅治験、健康観察支援サービスを含んだ新規サービスの売上収益は10,787百万円(前期比28.0%減)となりました。
以上の結果、当連結会計年度における売上収益は、35,210百万円(前期比0.3%減)となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益)
売上原価は、既存サービスの成長に伴い増加した一方、新規サービス関連費用が減少したため、21,434百万円(前期比1.7%増)となりました。この結果、売上総利益は13,776百万円(前期比3.3%減)となりました。
販売費及び一般管理費は、人件費や採用関連費用等の増加により、10,015百万円(前期比14.0%増)となりました。結果として、営業利益は3,683百万円(前期比0.1%増)となりました。
(金融収益、金融費用、税引前利益)
金融収益は受取利息等により50百万円(前期比16.1%増)、金融費用は支払利息等の計上により99百万円(前期比1.0%減)となり、この結果税引前利益は3,634百万円(前期比0.3%増)となりました。
(親会社の所有者に帰属する当期利益)
法人所得税費用を1,230百万円(前期比12.3%減)計上した結果、親会社の所有者に帰属する当期利益は2,404百万円(前期比8.3%増)となりました。
③資金の源泉と流動性についての分析
当社グループの主な資金需要は、事業活動にかかる人件費、居宅訪問看護事業の新規拠点開設費用、在宅ホスピス事業の土地取得及び新規在宅ホスピス建設費用等です。必要な資金は主に営業活動によって得られるキャッシュ・フローと、エムスリー株式会社を頂点とする親会社グループのCMS(キャッシュ・マネジメント・システム)からの借入により調達していました。現状はリファイナンスに切替え、外部より借入により資金調達を行っています。また、当社を頂点とする当社グループのCMSも導入しており、当社グループ内資金を当社が一元管理しています。各社における余剰資金を当社へ集中し、一元管理を行うことで資金効率の向上を図っています。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については「3 事業等のリスク」に記載のとおりです。
⑤経営者の問題意識と今後の方針 経営者の問題意識と今後の方針につきましては、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のと
おりです。
#C9158JP #シーユーシー #サービス業セクター