【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度におけるわが国経済は、激動する世界の政治・経済に翻弄された一年でした。ロシアのウクライナ侵攻及び西側諸国のロシアへの経済制裁、更にこの数年続く米中対立により従来のグローバルベースのサプライチェーンは機能不全となり、資源価格の高騰と急激なインフレーションを誘引しました。特に米国の金利上昇はゼロ金利施策の日本に急激な円安をもたらし、深刻な人手不足、物流費高騰と相まって、景気の先行きの不透明感は一層高まりました。かかる環境の中、2022年度は当社グループ中期経営計画「Fly Higher Nankai」の経営指針である、「想定力の向上で守りの成長と攻めの成長を実現する」の達成に向け、既存コア事業の基盤強化、顧客への取組強化による適正な価格設定、効率経営による生産性向上、成長分野への経営資源(ヒト・モノ・カネ)の重点配分の諸施策を適切に実施いたしました。以上の結果、当連結会計年度の経営成績につきましては、売上高は19,601百万円(前期比12.4%増)となり、損益面につきましては、営業利益は796百万円(前期比7.8%増)、経常利益は886百万円(前期比23.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は504百万円(前期比8.9%増)となりました。なお、当連結会計年度におけるセグメントごとの経営成績は次のとおりであります。
<化学品事業>基礎化学品につきましては、地域に根ざした販売体制のさらなる強化と、シェア拡大による殺菌剤の増加、苛性ソーダの値上げ浸透や、円安による輸出商材の増加等により、前連結会計年度実績を上回りました。機能化学品につきましては、連結子会社である富士アミドケミカル㈱操業停止の影響により、前連結会計年度実績を下回りました。アグリにつきましては、安定供給体制の構築に向けて、サプライチェーンの整備の継続に努めた結果、前連結会計年度実績を上回りました。環境リサイクルにつきましては、廃硫酸リサイクルの新規顧客獲得推進により増加したことから、前連結会計年度実績を上回っての推移となりました。以上の結果、化学品事業における当連結会計年度の売上高は16,499百万円(前期比16.6%増)、セグメント利益は1,577百万円(前期比3.8%増)となりました。
<各種塩事業>各種塩事業には、塩の製造や加工、販売を営む各種塩事業が含まれております。梅用塩が豊作であり、受注量が増加しましたが、冬季の融雪塩が寒波の影響もあった前連結会計年度を下回ったことなどから、売上高は3,101百万円(前期比5.7%減)、セグメント利益107百万円(前期比11.2%減)となりました。
(2) 財政状態及び経営成績の状況① 財政状態の状況(資産)当連結会計年度末の資産合計は18,346百万円となり、前連結会計年度末に比べ1,363百万円増加しました。流動資産につきましては、原材料及び貯蔵品が632百万円、未収入金が497百万円増加しましたが、売掛金が1,038百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ215百万円増加し8,850百万円となりました。また固定資産につきましては、建物及び構築物が193百万円、建設仮勘定が445百万円、無形固定資産が386百万円、投資有価証券が44百万円増加したことなどにより、前連結会計年度末に比べ1,129百万円増加し9,476百万円となりました。繰延資産につきましては、社債発行費が発生したことにより18百万円となりました。
(負債)当連結会計年度末の負債合計は13,155百万円となり、前連結会計年度末に比べ848百万円増加しました。流動負債につきましては、設備工事に対する未払金が252百万円、預り金が424百万円、1年内償還予定の社債が100百万円増加しましたが、短期借入金が1,261百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ389百万円減少し7,949百万円となりました。また固定負債につきましては、社債が900百万円、土地の売却に係る手付金収入である長期前受金が1,300百万円発生しましたが、長期借入金が1,018百万円減少したことなどにより、前連結会計年度末に比べ1,238百万円増加し5,205百万円となりました。
(純資産)当連結会計年度末における純資産合計は5,191百万円となり、前連結会計年度末に比べ515百万円増加しました。これは主に親会社株主に帰属する当期純利益の計上等により利益剰余金が484百万円増加したことや、為替換算調整勘定が34百万円増加したことなどによるものであります。
② 経営成績の状況当社グループの売上高、売上総利益、営業利益、経常利益及び親会社株主に帰属する当期純利益は以下のとおりとなりました。
(売上高)当連結会計年度の売上高は19,601百万円(前期比12.4%増)となりました。殺菌剤のシェア拡大や苛性ソーダの値上げ浸透、円安による輸出商材の増加等により、増収となりました。
(売上原価、売上総利益)当連結会計年度の売上原価は15,096百万円(前期比13.4%増)、売上総利益は4,504百万円(前期比9.1%増)となりました。売上高増加に伴う原材料使用数量等の増加、ニトロメタンや水酸化アルミの原材料価格高騰により、売上原価が増加しました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)当連結会計年度の販売費及び一般管理費は3,708百万円(前期比9.5%増)、営業利益は796百万円(前期比7.8%増)となりました。製品発送費をはじめとする販売費や、人件費が増加しました。
(営業外損益、経常利益)当連結会計年度の経常利益は886百万円(前期比23.7%増)となりました。営業外損益におきましては、営業外収益は賃貸収入の増加や持分法投資利益30百万円の計上などにより前期比70百万円の増加、営業外費用は前連結会計年度に計上していた持分法による投資損失や寄付金が発生しなかったことにより前期比41百万円の減少となりました。
(特別損益、税金等調整前当期純利益)当連結会計年度の税金等調整前当期純利益は663百万円(前期比43.1%増)となりました。特別損益におきましては、特別利益は固定資産売却益が減少したことなどにより前期比882百万円の減少、特別損失は固定資産除却損や減損損失、環境対策費の減少などにより、前期比913百万円の減少となりました。
(親会社株主に帰属する当期純利益)当連結会計年度の親会社株主に帰属する当期純利益は504百万円(前期比8.9%増)となりました。法人税、住民税及び事業税123百万円、法人税等調整額29百万円の計上により法人税等合計は前期比162百万円増加しました。
③ キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は1,301百万円となり、前連結会計年度末と比較して20百万円の増加となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は、次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動により得られた資金は1,769百万円(前年同期は1,587百万円の収入)となりました。これは主に税金等調整前当期純利益663百万円、減価償却費1,005百万円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動により支出した資金は371百万円(前年同期は614百万円の支出)となりました。これは主に有形固定資産の売却に係る手付金収入1,300百万円、有形固定資産の取得による支出1,617百万円、関係会社株式の取得による支出60百万円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動により支出した資金は1,404百万円(前年同期は858百万円の支出)となりました。これは主に長期借入れによる収入271百万円、社債の発行による収入1,000百万円、短期借入金の純増減額の減少1,261百万円、長期借入金の返済による支出1,344百万円などによるものであります。
(3) 生産、受注及び販売の実績① 生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前年同期比(%)
化学品事業
10,028
107.3
各種塩事業
1,190
101.1
報告セグメント計
11,219
106.6
合計
11,219
106.6
(注)金額は製造原価によっており、セグメント間の取引については相殺消去しております。
② 受注実績当社グループは見込生産を行っていることから、当該記載を省略しております。
③ 販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
金額(百万円)
前年同期比(%)
化学品事業
16,499
116.6
各種塩事業
3,101
94.3
報告セグメント計
19,601
112.4
合計
19,601
112.4
(注)セグメント間の取引については相殺消去しております。
(4) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は以下のとおりであります。文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において当社グループが判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容財政状態及び経営成績の状況につきましては、「(2) 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に係る情報キャッシュ・フローの状況の分析につきましては、「(2) 財政状態及び経営成績の状況」に記載のとおりであります。当社グループは、化学工業薬品の製造・販売業務を営んでおり、原材料の仕入れから製造工程を経て販売に至るまでにおいて支払と売上代金回収の間には一定期間タイムラグが生じることから、運転資金が必要となっております。また、製造においては設備投資が発生するため設備資金が必要となっており、これらの所要資金については、銀行からの借入を基本としております。運転資金については、毎月月末に資金繰りを勘案した上で当座貸越により調達しております。また設備資金については、大規模な設備投資が発生した場合に設備投資の支払時期に長期借入金にて調達することを基本としております。上記記載のとおり、当社グループの事業運営を円滑に遂行するための資金調達チャネルは十分に確保されており、適正な水準の資金の流動性を維持・確保できているものと認識しております。
③ 重要な会計方針及び見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成にあたっては、会計上の見積りを行う必要があり、固定資産の減損会計、繰延税金資産の回収可能性の判断、環境対策引当金等の検討や見積りについては、過去の実績や合理的な基準に基づいて実施しておりますが、見積りには不確実性があるため、実際の結果は、前提条件や事業環境の変化により見積りと将来の実績が異なる場合があります。会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
⑤ 経営戦略の現状と見通し経営戦略の現状と見通しについては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。
⑥ 経営者の問題意識と今後の方針当社の経営者は、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載のとおり、当社グループが今後さらなる成長を遂げるためには、様々な課題に対処することが必要であると認識しております。