【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概況当事業年度における当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の分析当事業年度(2022年8月1日から2023年7月31日)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症の対策進展や行動制限の緩和により景気の持ち直しの動きがみられたものの、ロシア・ウクライナ情勢の長期化や国内外のマクロ経済におけるインフレ・金融引締めの傾向が見られる等の先行き不透明な状況が続いております。このような中、当社を取り巻く国内AI市場においては、「Chat GPT」をはじめとする大規模言語モデルによる技術革新が進展し生成AIの活用に対する注目の高まりにより、企業の生産性向上や競争力強化を目的としたDX(デジタルトランスフォーメーション)関連の高い需要が継続しており、引き続き様々な場面においてAI導入の流れが加速しております。当社は「データ・AIを駆使した最先端技術とビジネス知見を用いて、未解決の課題に挑み、新しい社会を実現する」をミッションとして掲げ、カスタムAIソリューション事業として顧客の目的から現場のプロセス、課題を理解し、様々なデータに対応したAIを組み合わせた最適なAIソリューションを提案し、実装までを行っております。当事業年度においても、前事業年度から継続している大手企業の顧客を中心にAIプロジェクトの執行を行いましたが前事業年度の大型案件プロジェクトが完了した一方で当事業年度は前事業年度ほどの大型プロジェクトがなかったためにAI活用コンサルティング・AI開発の売上高は617,683千円となり、衛星関連プロジェクトは官公庁からのプロジェクトが順調に増加しており人工衛星AI解析の売上高は102,734千円となりました。また、大型の保守運用が開始されたためAIライセンス提供の売上高は69,966千円となりました。これらの結果、売上高は合計で790,384千円(前年同期比18.4%減)となりました。売上総利益については、プロジェクトの採算性は変わらなかったため売上高総利益率は前事業年度と同程度でしたが上記の売上高減少に伴い515,648千円(前年同期比15.8%減)となりました。営業利益については、上記により売上高総利益が減少した一方で、前事業年度にプロダクト開発が完了したことによる研究開発費の減少と営業外注費用の削減により70,346千円(前年同期比24.7%増)となりました。経常利益については、前事業年度はプロジェクト関連の助成金収入52,605千円を計上していましたが当事業年度は63千円のみとなり、一方で当事業年度は上場関連費用が発生したことにより60,896千円(前年同期比44.4%減)となりました。当期純利益については、前事業年度に繰延税金資産を計上したことによる法人税等調整額の計上がありましたが、当事業年度は特別な計上がなかったことにより44,564千円(前年同期比70.3%減)となりました。なお、当社の事業セグメントはカスタムAIソリューション事業の単一セグメントですので、セグメント別の経営成績に関する記載は省略しております。
② 財政状態の分析
a.資産当事業年度末における流動資産は1,950,070千円となり、前事業年度末に比べ481,866千円増加いたしました。これは主に資金調達により現金及び預金が337,626千円増加したことと継続途中のプロジェクトが増加し売掛金及び契約資産が158,874千円増加したことによるものであります。この結果、総資産は2,062,668千円となり、前事業年度に比べ501,412千円増加いたしました。
b.負債当事業年度末における流動負債は73,180千円となり、前事業年度末に比べ74,449千円減少いたしました。これは主に研究開発費や営業費の支払いにより未払金が64,540千円減少したことによるものであります。この結果、負債合計は73,180千円となり、前事業年度末に比べ74,449千円減少いたしました。
c.純資産当事業年度末における純資産合計は1,989,487千円となり、前事業年度末に比べ575,862千円増加いたしました。これは主に、資金調達により資本金265,650千円および資本剰余金265,650千円が増加したことによるものであります。
③ キャッシュ・フローの状況当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、新規上場に伴う資金調達等の要因により、前事業年度末に比べ337,626千円増加し、当事業年度末には1,720,780千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)営業活動の結果使用した資金は145,756千円となりました。これは主に、税引前当期純利益60,896千円の計上等があったものの、売上債権及び契約資産の増加額124,554千円、未払金の減少額64,540千円等があったことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)投資活動の結果使用した資金は38,263千円となりました。これは主に、プロダクトの開発に伴う無形固定資産36,300千円の計上等があったことによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)財務活動の結果調達した資金は521,646千円となりました。これは主に、資金調達により資本金及び資本準備金が531,300千円増加したことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績当社で行う事業は、提供するサービスの性質上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績当事業年度における販売実績は、次のとおりであります。なお、当社はカスタムAIソリューション事業の単一セグメントのため、サービス別に記載しております。
サービスの名称
販売高(千円)
前事業年度比(%)
AI活用コンサルティング・AI開発
617,683
69.0
人工衛星AI解析
102,734
231.2
AIライセンス提供
69,966
240.6
合計
790,384
81.6
(注) 1.最近2事業年度の主な相手先の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
第7期事業年度(自 2021年8月1日至 2022年7月31日)
第8期事業年度(自 2022年8月1日至 2023年7月31日)
販売高(千円)
割合(%)
販売高(千円)
割合(%)
荏原環境プラント㈱
127,650
13.2
197,330
25.0
㈱バルカー
46,000
4.7
140,290
17.7
三菱商事㈱
485,450
50.1
40,000
5.1
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 当事業年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容(売上高)AI活用コンサルティング・AI開発の売上高は617,683千円(前事業年度比69.0%)となりました。これは前事業年度から継続している大手企業の顧客を中心にAIプロジェクトの執行を行いましたが、前事業年度の大型案件プロジェクトが完了した一方で当事業年度は前事業年度ほどの大型プロジェクトがなかったことによるものです。人工衛星AI解析の売上高は102,734千円(前事業年度比231.2%)となりました。これは官公庁からのプロジェクトが順調に増加していることによるものです。AIライセンス提供の売上高は69,966千円(前事業年度比240.6%)となりました。これは大型の保守運用が開始となったことによるものです。以上の結果、当事業年度の売上高は790,384千円(前事業年度比81.6%)となりました。
(売上原価、売上総利益)当事業年度の売上原価は274,736千円(前事業年度比77.2%)となりました。これは主に、プロジェクトの採算性は変わらなかったため売上高に対する売上原価の割合は前年度と同程度でしたが売上高減少に伴い売上原価も減少したことによるものです。以上の結果、当事業年度の売上総利益は515,648千円(前事業年度比84.2%)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)当事業年度の販売費及び一般管理費は445,301千円(前事業年度比80.1%)となりました。これは主に、前事業年度にプロダクト開発が完了したことによる研究開発費の減少と営業外注費用の削減によるものであります。以上の結果、当事業年度の営業利益は70,346千円(前事業年度比124.7%)となりました。
(営業外損益、経常利益)当事業年度の営業外収益は201千円(前事業年度は53,097千円)となりました。これは前事業年度に、東京都の助成事業として行っていたAIによる異常検知簡易検証サービス開発完了による助成金収入の発生があったことによるものであります。当事業年度の営業外費用は9,651千円(前事業年度はなし)となりました。これは当事業年度に上場関連費用が発生したことによるものです。以上の結果、当事業年度の経常利益は60,896千円(前事業年度比55.6%)となりました。
(当期純利益)当事業年度の税引前当期純利益は60,896千円(前事業年度比55.6%)となりました。当期純利益については、前事業年度に繰延税金資産を計上したことによる法人税等調整額の計上がありましたが当事業年度は特別な計上がなかったことにより44,564千円(前事業年度比29.7%)となりました。
財政状態の分析及びキャッシュ・フローの分析は、前述の「(1)経営成績等の状況の概況」に含めて記載しております。
② 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の達成・進捗状況当社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等につきましては、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等(2)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり売上高、営業利益又は営業損失(△)、従業員数としております。過年度における当社の各指標の進捗は以下の通りです。(単位:千円)
2019年7月期
2020年7月期
2021年7月期
2022年7月期
2023年7月期
売上高
218,935
354,117
419,445
968,521
790,384
営業利益又は営業損失(△)
26,008
△166,246
△156,560
56,403
70,346
従業員数(名)
15(3)
28(8)
31(10)
37(8)
29(7)
売上高は790,384千円(前事業年度比81.6%)となりました。これは前事業年度ほどの大型プロジェクトが当事業年度にはなかったためAI活用コンサルティング・AI開発の売上が前事業年度比69.0%となったことによるものであります。営業利益は70,346千円(前事業年度比124.7%)となりました。これはプロジェクトの受注に対して従業員数及び外注人材の利用が適正な水準近くなったことによるものであります。従業員数は29名となりました。これは営業部を解体してコンサルティング部に統合したことによるものです。今後はエンジニアと共にコンサルタントを増やしていく方針です。従業員数は売上高の伸びにある程度比例するものと考えており、将来の受注見込を考慮して引き続き人材獲得を目指すものであります。
③ 経営者の問題意識と今後の方針に関して当社では、「データ・AIを駆使した最先端技術とビジネス知見を用いて、未解決の課題に挑み、新しい社会を実現する」の経営方針を掲げ、技術者を尊重する企業環境の下、先端技術の実用化に取り組んでまいりました。その結果として、ディープラーニングを中心としたAI関連技術を実装することについて、他社に対し優位な立場を築くことができていると考えております。一方で、当社が事業を営むカスタムAIソリューション事業においては、技術革新のスピードは非常に早く、その状況を常に注視し、また技術の変化、新技術の登場にいち早く対応することができなければ、当社の有する技術的な優位性は失われ得るものです。この優位性を維持し、さらに強固にするために、優秀な人材を継続して確保することが、当社にとって最優先の課題となると考えております。現在、AI関連技術を有する人材に対する市場のニーズは強くその獲得競争は激化していると認識しております。当社においては、「データ・AIを駆使した最先端技術とビジネス知見を用いて、未解決の課題に挑み、新しい社会を実現する」の経営方針をより強く発信し、また最先端の研究をしている大学教授等と共同研究の取り組みを行うことにより、優秀な人材の確保を進める方針です。
④ 経営成績に重要な影響を与える要因について経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 3 事業等のリスク」に記載したとおり、事業内容、事業運営・組織体制等、様々なリスク要因が経営成績に重要な影響を与える可能性があると認識しております。市場動向及び業界動向に対して常に情報を集め、また、優秀な人材の獲得と育成に取り組むとともに、事業運営体制の強化と整備を進めることで、経営成績に重要な影響を与えるリスク要因に迅速かつ最適な対応に努めてまいります。
⑤ 資本の財源及び資金の流動性当社の資金需要のうち主なものは、人件費、外注費等の売上原価であります。運転資金は自己資金を基本としております。当事業年度末において、現金及び預金は1,720,780千円であり、十分な流動性を確保していると判断しております。
⑥ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この財務諸表の作成にあたっては、経営者の会計方針の選択や適用、資産・負債や収益・費用の計上に際し、合理的な基準による見積りが含まれており、見積りは不確実性を伴うため、実際の結果はこれらの見積りによる数値と異なる場合があります。詳細は「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)『財務諸表』注記事項(重要な会計上の見積り)」をご参照ください。なお、当社の財務諸表で採用する重要となる会計方針につきましては「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 『財務諸表』注記事項(重要な会計方針)」に記載のとおりであります。
#C5572JP #Ridge-i #情報通信業セクター
