【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に係る制限の段階的緩和により経済活動の正常化が進んだことで、景気は緩やかな回復基調で推移し、雇用情勢にも改善の動きがみられました。一方で、世界的な金融引締め等が続くなか、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、物価上昇、金融資本市場の変動等の影響も懸念されるなど、依然として先行きは不透明な状況が続いております。このような環境のなか、企業におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)を軸としたビジネスの変革と創造に係るコンサルティング需要が高まっていることや、産業や社会課題の解決に向けた取り組みに活発化の動きが見られることなどから、引き続きハイエンド人材に対する需要が堅調に推移していることを受け、当社グループの主要なビジネスである人材紹介及びスキルシェアともに、経営成績は好調に推移しました。
この結果、当連結会計年度における当社グループの売上高は4,342,372千円(前期比23.6%増)、営業利益は673,813千円(同34.5%増)、経常利益は644,373千円(同30.6%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は418,802千円(同28.9%増)となりました。なお、当社グループはヒューマンキャピタル事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
② 財政状態の状況
当連結会計年度末における流動資産は3,349,554千円となり、前連結会計年度末に比べ1,423,059千円増加いたしました。これは主に、新規上場に伴う公募増資及び第三者割当増資等により現金及び預金が1,413,634千円増加したことによるものです。固定資産は148,306千円となり、前連結会計年度末に比べ29,921千円減少いたしました。これは主に、減価償却の進行等により有形固定資産が4,343千円、無形固定資産が3,231千円減少し、繰延税金資産が22,179千円減少したことによるものです。この結果、資産合計は3,497,860千円となり、前連結会計年度末に比べて1,393,138千円増加いたしました。
当連結会計年度末における流動負債は768,495千円となり、前連結会計年度末に比べ307,187千円減少いたしました。これは主に、1年内返済予定の長期借入金が76,338千円減少、未払金が159,245千円減少及び未払法人税等が40,473千円減少したことによるものです。固定負債は74,833千円となり、前連結会計年度末に比べ91,528千円減少いたしました。これは主に、長期借入金が87,434千円減少したことによるものです。この結果、負債合計は843,328千円となり、前連結会計年度末に比べ398,716千円減少いたしました。
当連結会計年度末における純資産合計は2,654,532千円となり、前連結会計年度末に比べ1,791,854千円増加いたしました。これは主に、公募増資及び第三者割当増資により資本金及び資本準備金がそれぞれ679,477千円増加し、親会社株主に帰属する当期純利益の計上により利益剰余金が418,802千円増加したことによるものです。
③ キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)の期末残高は2,898,956千円(前連結会計年度末は1,485,322千円)となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果、増加した資金は221,840千円(前連結会計年度は657,378千円の収入)となりました。これは主に、税金等調整前当期純利益644,373千円を計上した一方で、法人税等の支払額296,335千円、主に未払金の減少によるその他の負債の減少額131,872千円が生じたことによるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果、減少した資金は11,501千円(前連結会計年度は33,353千円の支出)となりました。これは主に、情報管理システムの改修等に伴う無形固定資産の取得による支出2,256千円、従業員向けPCの購入に伴う有形固定資産の取得による支出8,890千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果、増加した資金は1,203,295千円(前連結会計年度は166,183千円の支出)となりました。これは主に、株式の発行による収入1,358,955千円、新株予約権の行使による株式の発行による収入14,214千円及び長期借入金の返済による支出163,772千円によるものです。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社の行う事業は提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略致します。
b.仕入実績
当社の行う事業は提供するサービスの性質上、仕入実績の記載になじまないため、記載を省略致します。
c.受注実績
人材紹介において該当事項はございません。また、スキルシェアにおいては、受注から売上計上までのリードタイムが短く、事業年度において受注高と売上高に重要な乖離は生じないため、当該記載を省略しております。
d.販売実績
当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年7月1日
至 2023年6月30日)
金額(千円)
前年同期比(%)
ヒューマンキャピタル事業
4,342,372
123.6
(注)1.当社グループはヒューマンキャピタル事業の単一セグメントであります。
2.最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年7月1日
至 2022年6月30日)
当連結会計年度
(自 2022年7月1日
至 2023年6月30日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
PwCコンサルティング合同会社
1,022,030
29.1
1,034,382
23.8
アビームコンサルティング株式会社(注3)
-
-
589,792
13.6
デロイトトーマツコンサルティング合同会社(注3)
-
-
487,640
11.2
3.前連結会計年度の販売実績及び総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が100分の10以上ではないため、記載を省略しております。
なお、サービス別売上高は以下の通りです。
サービスの名称
当連結会計年度
(自 2022年7月1日
至 2023年6月30日)
金額(千円)
前年同期比(%)
人材紹介
2,918,104
124.7
スキルシェア
1,424,268
121.4
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づいて作成されており、その作成にあたっては、経営者による会計方針の選択と適用を前提として、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要とします。当社グループの連結財務諸表の作成にあたり採用した重要な会計方針と会計上の見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等(1)連結財務諸表 注記事項」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)及び(重要な会計上の見積り)に記載しております。
なお、引当金の計上や資産の評価等の見積りについては、当社グループにおける過去の実績や将来の計画を勘案し判断しておりますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果とは異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(繰延税金資産の回収可能性)
繰延税金資産は、将来減算一時差異の解消により、将来の税金負担額を軽減する効果を有すると認められる範囲を回収可能性があると判断し計上しております。具体的には、将来の一時差異回収スケジュール、タックス・プランニング及び収益力に基づく課税所得の見積り等に基づいて判断しております。課税所得の見積りは、事業計画を基礎としており、人材紹介の市場動向、正社員採用サービスにおける入社決定数、スキルシェアにおけるフリーコンサルタントの稼働人数を主要な仮定として、将来の収益及び費用の見積りを行っております。ただし、実際の経済環境や損益の状況がこれらの仮定と大きく乖離した場合には、翌連結会計年度以降の繰延税金資産の回収可能性に重要な影響を及ぼす可能性があります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・結果内容
a 売上高
当連結会計年度の売上高は、人材紹介及びスキルシェアともに好調に推移しました。人材紹介につきましては、コンサルティングファームの採用需要が高い水準で継続するなか、戦略的なアカウントマネジメントにより、採用意欲が旺盛なクライアントに注力して入社決定人数を伸ばすとともに、採用難易度が高く且つ高年収のコンサルティングファームのマネージャー以上の案件が好調に推移したことが奏功し、売上高は2,918,104千円(前期比24.7%増)となりました。スキルシェアにつきましては、「フリーコンサルBiz」が需要の高いコンサルティングファーム向けの案件を中心に稼働人数を伸ばしつつ、利益構造の改善を図り比較的稼働率の高い案件への移行を進めたことにより、売上高は1,424,268千円(前期比21.4%増)となりました。また、2022年7月にサービスを開始した「コンパスシェア」は、業績貢献には至らないものの、サービスメニュー等の充実に努め、想定を上回る企業及びコンサルタントの登録を獲得しております。この結果、当連結会計年度における当社グループの売上高は4,342,372千円(前期比23.6%増)となりました。
(参考)各サービスの指標
前連結会計年度
(2022年6月期)
当連結会計年度
(2023年6月期)
増減率
人材紹介
入社決定人数(人)(注1)
634
703
10.9%
フリーコンサルBiz
稼働人数(人)(注2)
762
826
8.4%
(注)1.求職者が求人企業に入社後一定期間内に自己都合により退職した場合、紹介手数料の一部を返金する契約を締結しておりますが、当該返金対象となった場合も入社決定数に含めております。なお、人材紹介(正社員採用サービス)の一部取引について外部提携する場合がありますが、当該提携先で決定した場合は、入社決定人数に含めておりません。
2.フリーコンサルタントの月次の稼働人数の合計となります。
b 売上総利益
当連結会計年度の売上原価は、人材紹介における他社転職サイトの求職者情報登録者の転職決定に伴う手数料及びスキルシェアにおけるフリーコンサルタントへの業務委託費用等によって構成され、各サービスの売上高の増加と売上構成の変化により、1,464,414千円(前期比15.1%増)となりました。この結果、売上総利益は2,877,957千円(前期比28.4%増)となりました。
c 販売費及び一般管理費、営業利益
当連結会計年度の販売費及び一般管理費は、企業認知度向上やコーポレートブランディングに係る広告宣伝を強化したこと及び人員増強に伴い人件費が増加したこと等により、2,204,144千円(前期比26.7%増)となりました。この結果、営業利益は673,813千円(前期比34.5%増)となりました。
d 経常利益
当連結会計年度の営業外収益は受取補填金を計上したこと等により、1,720千円となり、営業外費用は上場関連費用を27,800千円計上したこと等により、31,160千円となりました。この結果、経常利益は644,373千円(前期比30.6%増)となりました。
e 特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益
当連結会計年度において特別利益、特別損失は発生しておりませんが、法人税、住民税及び事業税を203,391千円、税効果会計による法人税等調整額を22,179千円計上した結果、親会社株主に帰属する当期純利益は418,802千円(前期比28.9%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
④ 資本の財源及び資金の流動性
(資金需要)
当社グループの運転資金の主なものは、従業員の人件費、スキルシェアにおける登録コンサルタントへの業務委託費用、当社サービス浸透のための広告宣伝費、及び今後展開していくデジタルプラットフォームに係るシステム開発費等であります。
(財務政策)
当社グループは、事業運営上必要な資金の流動性と財源を安定的に確保しながら、必要な資金は、自己資金、金融機関からの借入による資金調達を基本とし、新規サービスの展開等の初期開発費用等がかかるものについては、必要に応じてエクイティファイナンス等による資金調達を検討する予定です。当連結会計年度末における流動比率は435.9%であり、十分な流動性を確保していると認識しております。
⑤ 経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (4)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、売上高及び営業利益を重要な経営指標と位置づけております。これに加え、人材紹介においては入社決定人数、スキルシェアの「フリーコンサルBiz」においてはフリーコンサルタントの稼働人数を各サービスの売上成長を測定する指標として重視しております。
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