【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 経営成績の状況
当事業年度のわが国経済は、新型コロナウイルス感染症のマイナス影響が徐々に縮小し、個人消費を中心に持ち直しの動きが見られます。景気の先行きについては、新型コロナウイルス感染症拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動レベルの段階的な引上げが期待されるものの、感染症が内外経済を下振れさせるリスクに十分注意する必要があります。また、世界的なインフレや金利の上昇が進む中、わが国においては、長期化するウクライナ情勢に伴うエネルギー価格の高騰に加え急激な為替変動等による物価上昇が進むなど、当面不透明な状況が続くものと見込まれております。
当社を取り巻く障害福祉サービス業界においては、障害者数は増加傾向にあり1,160.2万人となっております(内閣府「令和5年度版障害者白書」)。また、障害者の法定雇用率(民間企業に義務付けられている障害者の雇用率)は段階的に引上げられ、2021年3月には2.3%となりました(1976年時点の法定雇用率は1.5%)。2018年には精神障害者が障害者雇用義務の対象に加わりました。厚生労働省「令和4年 障害者雇用状況の集計結果」によると、民間企業における雇用障害者数「61万3,958人」、実雇用率(民間企業に実際に雇用されている障害者の雇用率)「2.25%」はともに過去最高を更新しております。一方で、実雇用率は2.25%と法定雇用率2.3%に届かず、また法定雇用率達成企業の割合は48.3%となっていることもあり、また、法定雇用率自体も2024年4月に2.5%、2026年7月に2.7%に益々引上げられる(厚生労働省「障害者の法定雇用率引上げと支援策の強化について」)ことから、今後も障害者雇用の拡大は見込まれ、それを支援する障害福祉サービスの拡大余地も引き続き大きいと考えられます。
このような環境の下、当事業年度においても社会課題解決に応えるべく拠点数増加を推進し、前事業年度末の78拠点(就労移行支援事業所61拠点、自立訓練(生活訓練)事業所(Cocorport College)16拠点、指定計画相談支援事業所1拠点)から15拠点増加し合計93拠点へと拡大し(就労移行支援事業所69拠点、自立訓練(生活訓練)事業所(Cocorport College)23拠点、指定計画相談支援事業所1拠点)、サービスの拡大を図ってまいりました。
これらの結果、当事業年度における経営成績は、売上高5,083,804千円(前期比21.7%増)、営業利益612,349千円(前期比61.0%増)、経常利益596,362千円(前期比60.0%増)、当期純利益452,903千円(前期比75.0%増)となりました。なお、当社は指定障害福祉サービス事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
② 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における流動資産合計は1,904,856千円となり、前事業年度末に比べ946,234千円増加いたしました。これは主に株式上場時の公募増資により、現金及び預金が787,578千円増加したこと等によるものであります。固定資産合計は603,642千円となり、前事業年度末に比べ126,786千円増加いたしました。これは主に新規拠点増加に伴い有形固定資産が66,221千円、敷金及び保証金が33,621千円それぞれ増加したこと、並びに繰延税金資産が29,907千円増加したこと等によるものであります。
この結果、資産合計は、2,508,498千円となり、前事業年度末に比べ1,073,020千円増加いたしました。
(負債)
当事業年度末における流動負債合計は579,172千円となり、前事業年度末に比べ120,556千円減少いたしました。
これは主に未払法人税等が62,020千円増加した一方で、短期借入金が166,000千円、1年内返済予定の長期借入金が16,818千円それぞれ減少したこと等によるものであります。
固定負債合計は119,084千円となり、前事業年度末に比べ5,561千円減少いたしました。これは主に賃借不動産の退去に備えた資産除去債務が36,887千円増加した一方で、長期借入金が35,034千円及びリース債務が2,935千円それぞれ減少したこと等によるものであります。
この結果、負債合計は、698,256千円となり、前事業年度末に比べ126,117千円減少いたしました。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は1,810,242千円となり、前事業年度末に比べ1,199,137千円増加いたしました。これは主に公募増資及び新株予約権の行使により資本金及び資本準備金がそれぞれ373,224千円増加したこと、及び当期純利益の計上に伴い繰越利益剰余金が452,903千円増加したこと等によるものであります。
この結果、当事業年度末の自己資本比率は72.2%(前事業年度末は42.6%)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前事業年度末と比べて787,578千円増加し、834,764千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの変動要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は421,415千円(前年同期は176,197千円の獲得)となりました。
これは主に売上債権の増加による132,609千円及び法人税等の支払額120,330千円等の支出があった一方で、税引前当期純利益596,362千円、減価償却費56,261千円をそれぞれ計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は139,161千円(前年同期は119,910千円の使用)となりました。
これは主に新規拠点開設に伴う有形固定資産の取得による支出90,046千円並びに敷金及び保証金の差入による支出52,720千円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は505,325千円(前年同期は79,513千円の使用)となりました。
これは主に短期借入金の返済による支出166,000千円、長期借入金の返済による支出51,852千円等があった一方で、公募増資及び新株予約権の行使に伴い、株式の発行による収入734,150千円があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社で行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績をサービス別に示すと、次のとおりであります。
サービスの名称
当事業年度
(自 2022年7月1日
至 2023年6月30日)
金額(千円)
前年同期比(%)
就労移行支援・就労定着支援・指定計画相談支援サービス
4,294,534
116.2
自立訓練(生活訓練)サービス
789,269
164.0
合計
5,083,804
121.7
(注)1.当社は「指定障害福祉サービス事業」の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。上記ではサービス別の販売実績を記載しております。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前事業年度
(自 2021年7月1日
至 2022年6月30日)
当事業年度
(自 2022年7月1日
至 2023年6月30日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
神奈川県国民健康保険団体連合会
1,450,100
34.7
1,646,011
32.4
埼玉県国民健康保険団体連合会
879,514
21.1
1,130,206
22.2
東京都国民健康保険団体連合会
843,798
20.2
977,814
19.2
千葉県国民健康保険団体連合会
727,375
17.4
869,445
17.1
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中における将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づいて作成されております。その作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要としております。経営者は、これらの見積りについて過去の実績や現状等を勘案し合理的に判断しておりますが、見積りによる不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計方針)」に記載しております。また、財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
a.固定資産の減損処理
財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、固定資産の減損については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
b.繰延税金資産の回収可能性
財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、繰延税金資産については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
c.資産除去債務
財務諸表作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、資産除去債務については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載しております。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a.財政状態
財政状態の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ② 財政状態の状況」に含めて記載しております。
b.経営成績
(売上高、売上原価、売上総利益)
サービス拡大を目的に、当事業年度は就労移行支援事業所を前事業年度と比べて8事業所増加(前事業年度61事業所から69事業所)し、自立訓練(生活訓練)事業所の事業所数を7事業所増加(前事業年度16事業所から23事業所)いたしました。事業所数の増加に伴い、前事業年度と比べて通所数は60,803通所増加となり、411,887通所となりました(前事業年度比17.3%増)。とりわけ自立訓練(生活訓練)事業所の増加に伴う通所数の増加(30,666通所)が、全体の通所数の増加に大きく寄与し、売上高については、前事業年度と比べて907,620千円増加し、5,083,804千円(前事業年度比21.7%増)となりました。売上原価については、従業員数増加に伴う労務費が459,196千円増加、事業所数増加に伴う地代家賃が94,465千円増加、利用者増加に伴う利用者研修費が43,802千円増加したこと等により、前事業年度と比べて604,162千円増加し、3,573,177千円(同20.3%増)となりました。その結果、売上総利益は、前事業年度と比べて303,457千円増加し、1,510,627千円(同25.1%増)となりました。
(販売費及び一般管理費、営業利益)
販売費及び一般管理費については、従業員数増加に伴い、給料及び手当が39,585千円増加したこと等により、前事業年度と比べて71,484千円増加し、898,277千円(同8.6%増)となりました。その結果、営業利益は612,349千円(同61.0%増)となりました。
(営業外収益、営業外費用、経常利益)
営業外収益は、助成金収入が1,739千円増加したこと等により、前事業年度と比べて1,637千円増加し、6,526千円(同33.5%増)となりました。営業外費用は、株式交付費12,298千円並びに上場関連費用7,964千円等の計上等により、前事業年度と比べて10,017千円増加し、22,513千円(同80.2%増)となりました。
その結果、経常利益は596,362千円(前期比60.0%増)となりました。
(特別利益、特別損失、法人税等、当期純利益)
特別利益及び特別損失は発生せず、また、法人税、住民税及び事業税(法人税等調整額含む)は、前事業年度と比べて39,520千円増加し、143,458千円(同38.0%増)となりました。
これらの結果、当期純利益は452,903千円(同75.0%増)となりました。
③ キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源及び資金の流動性に関する情報
キャッシュ・フローの状況の分析については、「(1)経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」に記載しております。
当社の事業活動における運転資金需要の主なものは、障害福祉サービスの提供及び事業所の運営に係る人件費及び外注費、販売費及び一般管理費の営業費用による運転資金であります。投資を目的とした資金需要は、新規事業所開設に伴う設備投資が主なものであります。
当社は、事業運営上必要な流動性と資金の源泉を安定的に確保することを基本方針としております。
短期運転資金は自己資金及び金融機関からの短期借入を基本としており、設備投資や長期運転資金の調達につきましては、金融機関からの長期借入を基本としております。
なお、当事業年度末における借入金及びリース債務を含む有利子負債の残高は51,456千円となっております。
また、当事業年度末における現金及び現金同等物の残高は834,764千円となっております。
④ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等について
当社は、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標として、「1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)」に記載のとおり、売上高及び経常利益を重要な経営指標と位置付けております。そして、重要な経営指標である売上高と経常利益の向上のため、事業所数、利用者数(通所数)、就職者数、定着者数(定着率)等を重要指標として、各経営課題に取り組んでおります。なお、定着者数の目標は2年以上経過している各Officeは年間10名以上(就職者数は最低限年間10名以上)が目標となります。
第12期については、事業所数は前事業年度と比べて、就労移行支援事業所は8事業所増加(前事業年度末61事業所から69事業所)、自立訓練(生活訓練)事業所は7事業所増加(前事業年度末16事業所から23事業所)となりました。事業所数の増加に伴い、前事業年度と比べて通所数は60,803通所増加(17.3%増)となりました。これらの結果、売上高は907,620千円増加(21.7%増)、経常利益は223,593千円増加(60.0%増)となりました。
a.重視する経営指標の推移
前事業年度
(自 2021年7月1日
至 2022年6月30日)
当事業年度
(自 2022年7月1日
至 2023年6月30日)
売上高(千円)
4,176,184
5,083,804
経常利益(千円)
372,768
596,362
b.売上高を構成する主要な経営指標
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