【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要
① 財政状態の状況
(資産) 当連結会計年度末における総資産は4,399,922千円(前連結会計年度末比1,278,495千円の増加)となりました。これは、主に東京証券取引所スタンダード市場への上場に伴う公募増資により現金及び預金が1,114,989千円増加したこと、及び保有する上場株式の時価の上昇により投資有価証券が145,800千円増加したことによるものであります。(負債) 当連結会計年度末における負債は1,526,512千円(前連結会計年度末比48,302千円の増加)となりました。これは、主に上場関連費用やシステム開発により未払金が98,102千円増加したこと、及び当期の所得に対する未払法人税等が84,441千円増加したことによるものであります。(純資産) 当連結会計年度末における純資産は2,873,409千円(前連結会計年度末比1,230,192千円の増加)となりました。これは、主に公募増資により761,760千円の資金調達を行い、資本金及び資本剰余金が増加したこと、及び当期純利益の計上により利益剰余金が392,855千円増加したことによるものであります。 以上の結果、主な安全性分析における指標としては、流動比率が231.7%、自己資本比率が65.3%となりました。
② 経営成績の状況 当連結会計年度における当社グループの経営環境といたしましては、新型コロナウイルス感染症の拡大下における厳しい行動制限は緩和され、経済活動正常化による個人消費の緩やかな持ち直しは見られるものの、米国の金利上昇による急激な円安の進行やウクライナ情勢の影響による資源価格の高騰を背景とした物価上昇など、先行きが不透明な状況が継続しました。 このような環境の中、我が国においては“GDP に占める企業の能力開発費の割合が、国際的に見て突出して低い水準にとどまっており(注1)”、人材開発への投資は欧米企業と比較しても遅れている状況であると考えております。しかしながら、“経営陣においては、企業理念や存在意義(パーパス)、経営戦略を明確化した上で、経営戦略と連動した人材戦略を策定・実行すべきである。(注2)”とされており、我が国においても人的資本への投資が今後さらに高まっていくものと考えております。
このような状況のもと、主力のシステミック・コーチング™による組織開発ビジネスにおいては、エグゼクティブ・コーチング(EC)及び Driving Corporate Dynamism (DCD)を中心に営業活動に注力したことにより売上が堅調に推移しました。また、コーチング人材育成ビジネスにおいては、パンデミックの発生により在宅勤務が増えた影響を受け前連結会計年度は高い水準で推移しましたが、当連結会計年度になり需要の一巡が見られました。これらの結果、当連結会計年度における売上高は3,600,607千円(前連結会計年度比8.9%増)、営業利益は473,149千円(前連結会計年度比30.7%増)、経常利益は517,614千円(前連結会計年度比24.2%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は418,991千円(前連結会計年度比70.8%増)となりました。
なお、当社グループはコーチング事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載を省略しております。
(注1)出典:厚生労働省.『平成 30 年版 労働経済の分析 働き方の多様化に応じた人材育成の在り方について』,2018年9月(注2)出典:経済産業省.『持続的な企業価値の向上と人的資本に関する研究会 報告書 ~人材版伊藤レポート~』,2020年9月
③ キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における現金及び現金同等物は3,260,933千円と前連結会計年度末と比べて1,114,199千円の増加となりました。当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。(営業活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度において営業活動によるキャッシュ・フローは470,246千円の収入(前連結会計年度は957,440千円の収入)となりました。主な収入要因は、税金等調整前当期純利益509,377千円であります。(投資活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度において投資活動によるキャッシュ・フローは55,042千円の支出(前連結会計年度は62,115千円の支出)となりました。主な支出要因は無形固定資産の取得による支出51,397千円、有形固定資産の取得による支出5,389千円であります。(財務活動によるキャッシュ・フロー) 当連結会計年度において財務活動によるキャッシュ・フローは708,501千円の収入(前連結会計年度は33,109千円の収入)となりました。主な収入要因は株式の発行による収入761,760千円であります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a. 生産実績当社グループは生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
b. 受注実績当連結会計年度における受注実績は、次のとおりであります。なお、当社グループは、システミック・コーチング™を提供するコーチング事業の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しております。
セグメントの名称
第22期連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
受注高(千円)
前年同期比(%)
受注残高(千円)
前年同期比(%)
コーチング事業
3,733,233
115.0
1,337,399
115.6
c. 販売実績当連結会計年度における販売実績は、次のとおりであります。当社グループは、システミック・コーチング™を提供するコーチング事業の単一セグメントであるため、セグメント別の販売実績の記載を省略しております。
セグメントの名称
第22期連結会計年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)
販売高(千円)
前年同期比(%)
コーチング事業
3,600,607
108.9
(注)主な相手先別の販売実績及び総販売実績に対する割合については、総販売実績に対する割合が100分の10以上の相手先がいないため、記載を省略しております。
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において当社グループが判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定当社グループの連結財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成しており、その作成に当たっては、経営者による会計方針の選択と適用を前提として、資産・負債及び収益・費用の金額に影響を与える見積りを必要とします。当社グループの連結財務諸表の作成に当たり採用した重要な会計方針と会計上の見積りの詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1) 連結財務諸表 注記事項」の(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)(重要な会計上の見積り)に記載しております。なお、引当金の計上や資産の評価等の見積りについては、当社グループにおける過去実績や将来計画を勘案し判断しておりますが、見積り特有の不確実性が存在するため、実際の結果とは異なる場合があります。当社グループの連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
(繰延税金資産の回収可能性)繰延税金資産は、過去の税務上の欠損金の発生状況及び中期経営計画に基づく課税所得の発生時期及び金額の見積りにより企業分類を判定した上で、一時差異等の解消年度のスケジューリングを行い、回収可能と見込まれる金額について計上しております。見積りの基礎となる中期経営計画の仮定は、主要顧客を中心とした将来の受注見込を基に売上高を予測し、サービス提供を実現するための人員計画やシステム投資を考慮して発生が見込まれる費用を予測したものとなります。当該見積りは、将来の不確実な経済条件の発動等によって影響を受ける可能性があり、課税所得の時期及び金額の見積りに変更が必要となった場合には、繰延税金資産の計上額が変動し、当社グループの業績に影響を与える可能性があります。
(のれんの評価)当社グループは、買収した子会社の超過収益力をのれんとして連結貸借対照表に計上しております。のれんにつき減損の兆候があると認められる場合、当該のれんが帰属する子会社について、のれんの残存償却年数に対応する割引前将来キャッシュ・フローに基づいて減損損失の認識の判定を行っております。その結果、減損損失の認識が必要と判定された場合、帳簿価額を回収可能価額まで減額するとともに、帳簿価額の減少額を減損損失として計上します。割引前将来キャッシュ・フローは、経営者により承認された中期経営計画に基づいて算出しております。将来の事業環境の変化等により、中期経営計画が修正される等、割引前将来キャッシュ・フローの見積り算定の基礎となる主要な仮定に変動が生じた場合、翌連結会計年度の連結財務諸表に影響を与える可能性があります。
② 経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
a. 経営成績の分析(売上高)当連結会計年度におけるコーチング人材育成ビジネスは、新型コロナウイルス感染拡大に伴う在宅学習が一巡したことから、低調な受注となりました。一方、システミック・コーチング™による組織開発ビジネスについては、企業の組織開発需要を捉え、主要サービスであるエグゼクティブ・コーチング(EC)及びDriving Corporate Dynamism(DCD)の受注数は堅調に増加いたしました。その結果、当連結会計年度における売上高は3,600,607千円(前連結会計年度比8.9%増)となりました。(売上原価)当連結会計年度における売上原価は、上場を見据えたバックオフィスの人材・組織を拡充するべく組織変更・人事異動を行ったことによる社員人件費の減少、及び前年4月に行われた本社フロア減床のための地代家賃の減少により、1,673,106千円(前連結会計年度比9.0%減)となりました。(販売費及び一般管理費)当連結会計年度における販売費及び一般管理費は、前記載のとおり、組織変更・人事異動に伴う社員人件費の増加、業績好調に伴う社員還元としての賞与引当金の増加、及び公募増資に伴う外形標準課税の適用による事業税の計上により、1,454,351千円(前連結会計年度比31.4%増)となりました。(営業外損益)当連結会計年度における営業外収益は89,241千円(前連結会計年度比62.9%増)となりました。主な内容は、円安の進行による為替差益79,268千円であります。当連結会計年度における営業外費用は44,777千円(前連結会計年度比60,677.8%増)となりました。主な内容は、2022年12月22日の東京証券取引所スタンダード市場上場に伴う上場関連費用44,038千円であります。(特別損益、親会社株主に帰属する当期純利益)当連結会計年度における特別損失は8,237千円(前連結会計年度比72.5%減)となりました。主な内容は、固定資産除却損5,086千円、及びゴルフ会員権評価損2,722千円であります。なお、当連結会計年度における特別利益の計上はございません。
以上の結果、親会社株主に帰属する当期純利益は418,991千円(前連結会計年度比70.8%増)となりました。
b. 財政状態の分析 財政状態の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ①財政状態の状況」をご参照ください。
c. キャッシュ・フローの状況の分析各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1) 経営成績等の状況の概要 ③ キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
なお、当社グループは原則、サービス提供開始時に全額一括請求を行う前金受領制を営業取引の条件としており、営業キャッシュ・フローを確保することで投資及び財務キャッシュ・フローを賄っております。
③ 経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
④ 資本の財源及び資金の流動性に係る情報 当社グループの資金需要は、人件費、オフィス家賃等であり、財源については主に営業活動によるキャッシュ・フローである自己資金により充当しております。また、当連結会計年度末の現金及び預金は3,260,933千円であり、十分な短期流動性を確保していると考えております。当社は設立以来無借金経営を継続しており、資本の源泉は営業活動によるキャッシュ・フローを財源としておりますが、大規模投資が必要になった場合又は流動性が悪化した場合には、金融機関からの借入やエクイティファイナンスを実施いたします。
⑤ 経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等 「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2) 経営上の目標達成状況を判断するための客観的な指標等」に記載のとおり、当社は売上高の先行指標としての受注高、売上高、営業利益及びコーチ人数(委託コーチを除く。)を重要指標としております。当連結会計年度においては、受注高は3,733,233千円(前連結会計年度比15.0%増)、売上高3,600,607千円(前連結会計年度比8.9%増)、営業利益473,149千円(前連結会計年度比30.7%増)となりました。また、当連結会計年度末のコーチ人数は116名(前連結会計年度末比3名減)となりましたが、引き続き品質の高いサービスを提供するコーチ人数を確保することに努めてまいります。
⑥ 経営者の問題認識と今後の方針について 経営者の問題認識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」に記載しております。
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