【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の分析は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末において当社が判断したものです。
①財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における総資産は5,129,429千円となり、前事業年度末に比べ2,068,325千円増加しました。これは主に、株式の発行等により現金及び預金が1,982,460千円、主として「OpenWorkリクルーティング」の営業収益増加により売掛金が60,551千円増加したことによるものです。
(負債)
当事業年度末における負債は461,852千円となり、前事業年度末に比べ211,321千円増加しました。これは主に、売上規模の拡大等に伴う課税所得の増加により、未払法人税等が121,655千円増加、「OpenWorkリクルーティング」の取引先から契約金額の全額を契約時に受領するプランの契約数が増加したこと等により、契約負債(前事業年度においては前受収益)が41,654千円増加したことによるものです。
(純資産)
当事業年度末における純資産は4,667,576千円となり、前事業年度末に比べ1,857,003千円増加しました。これは、株式の発行により資本金が727,000千円及び資本準備金が727,000千円、当期純利益の計上により利益剰余金が403,003千円増加したことによるものです。
②経営成績の状況
当事業年度(自 2022年1月1日 至 2022年12月31日)におけるわが国経済は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種の進展や緊急事態宣言の解除等により、経済活動にも緩やかな回復の兆しがみられるものの、不安定な国際情勢等による円安の進行等により先行きは不透明な状況が継続しています。
このような状況の中、転職者数は2022年10~12月平均で前年同期比104%に回復しました(注)。また、個人のキャリア観の変化や終身雇用の構造的限界により、今後雇用の流動化は一層加速し、働き方改革やリモートワークの普及により、多様な働き方が広がる中で、求職者の会社選びの基準も多様化していくと考えています。
「OpenWork」サービスにおいては、2022年12月末時点で約65,000社、約1,410万件の社員クチコミデータが掲載され、登録ユーザー数は約525万人となりました。また、「OpenWorkリクルーティング」サービスにおいては、2022年12月末時点で、契約社数(登録エージェント企業数含む)は約2,180社、累計Web履歴書登録数(社会人・学生)は約72万件となりました。
以上の結果、当事業年度の営業収益は2,037,087千円(前年同期比32.6%増)、一方で更なる成長に向けた採用強化により、営業費用は1,425,599千円(前年同期比17.7%増)、営業利益は611,488千円(前年同期比88.6%増)、経常利益は590,179千円(前年同期比81.9%増)、当期純利益は403,003千円(前年同期比73.4%増)となりました。
なお、当社はワーキングデータプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載はしていませんが、主なサービス別の業績については、以下のとおりです。
(OpenWork)
当事業年度においては、サイト訪問数の増加もあり、会員課金数が増加したことに加え、求職者の転職意欲回復に伴い提携顧客の集客意欲も回復したため、提携企業への送客数が堅調に推移しました。この結果、それぞれ収益が増加し、当サービスの営業収益は1,101,942千円(前年同期比4.8%増)となりました。
(OpenWorkリクルーティング)
当事業年度においては、既存顧客の活性化に重点を置き、求人企業だけでなく、人材エージェントにも求人掲載を開放することで、求人数の増加に取り組みました。また、自然検索経由でのサイト訪問数増加に加え、Webマーケティングを強化したことで、社会人の新規Web履歴書登録数が増加し、累計Web履歴書登録数(社会人・学生)が約72万件まで増加しました。さらに、求人検索機能等の改善にも注力しました。
これらの結果、求職者と求人企業・登録エージェント企業の採用活動が活性化し、当サービスの営業収益は918,771千円(前年同期比102.5%増)となりました。
(注)総務省「労働力調査 年齢階級別転職者数及び転職者比率」調査によると、10~12月期の転職者数は2021年
309万人、2022年322万人
③キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下、「資金」という。)は、前事業年度末に比べ1,982,460千円増加し、4,797,389千円となりました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりです。
(営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動の結果得られた資金は554,329千円(前事業年度は187,472千円の獲得)となりました。これは主に、税引前当期純利益589,948千円の計上、契約負債の増加額41,654千円、売上債権の減少額60,551千円によるものです。
(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動の結果使用した資金は6,973千円(前事業年度は39,969千円の獲得)となりました。これは、本社備品等の有形固定資産の取得によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は1,435,104千円(前事業年度は発生なし)となりました。これは主に、株式の発行による収入1,449,000千円、上場関連費用の支出18,895千円によるものです。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社の提供するサービスの性質上、生産実績の記載になじまないため、記載を省略しています。
b.受注実績
生産実績と同様の理由により、受注実績に関する記載はしていません。
c.販売実績
当事業年度における販売実績は次のとおりです。なお、当社はワーキングデータプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しています。
(単位:千円)
サービスの名称
当事業年度
(自2022年1月1日
至2022年12月31日)
前年同期比(%)
OpenWork
1,101,942
104.8
OpenWorkリクルーティング
918,771
202.5
その他
16,374
53.2
合計
2,037,087
132.6
(注)1.当事業年度において、「OpenWorkリクルーティング」の販売実績に著しい変動がありました。
これは、掲載求人数及びWeb履歴書登録数の増加の結果、入社人数が増加したことによるものです。
2.最近2事業年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は、次のとおりです。
相手先
前事業年度
(自2021年1月1日
至2021年12月31日)
当事業年度
(自2022年1月1日
至2022年12月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
株式会社リクルートキャリア(現 株式会社リクルート)
295,947
19.3
301,190
14.8
株式会社ビズリーチ
165,925
10.8
195,348
9.6
3.2021年4月1日の吸収合併により株式会社リクルートキャリアは、株式会社リクルートとなっています。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりです。なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものです。
①重要な会計方針及び見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、我が国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されています。財務諸表の作成にあたっては、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告数値に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、過去の実績等を勘案して合理的な見積りを行っていますが、見積り特有の不確実性があるため、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
当社の財務諸表の作成にあたって採用する重要な会計方針については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財務諸表 注記事項 (重要な会計方針)」に記載しています。
また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりです。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社は、将来の利益計画等から将来の課税所得を合理的に見積り、回収可能性があると判断した将来減算一時差異について、繰延税金資産を計上しています。課税所得の見積りの基礎となる将来の利益計画の主要な仮定は営業収益であり、「OpenWork」の会員課金数及び送客数の予測、「OpenWorkリクルーティング」の入社人数の予測等により算出しています。
繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産の計上額に影響を及ぼす可能性があります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
(営業収益)
新型コロナウイルス感染症の感染拡大による転職市場の冷え込みによる営業収益への影響が懸念されたものの、契約社数及び求人数の拡大とWeb履歴書登録数の増加に取り組んだ結果、主に「OpenWorkリクルーティング」における求人数とWeb履歴書登録数の増加が進捗し入社人数が増加したことで「OpenWorkリクルーティング」の営業収益が918,771千円(前年同期比102.5%増)となったため、営業収益は2,037,087千円(前年同期比32.6%増)となりました。
(営業費用、営業利益)
「OpenWorkリクルーティング」拡大のためのビジネス職・エンジニア職の中途採用による人件費の増加、当社の認知向上のためのプロモーション施策及び「OpenWorkリクルーティング」の顧客獲得のためのマーケティング投資により、営業費用は1,425,599千円(前年同期比17.7%増)となりました。また、営業収益が増加したことから、営業利益は611,488千円(前年同期比88.6%増)と増加しました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
営業外収益は1,140千円と大きな発生はなく、営業外費用は上場関連費用が22,403千円発生したことにより、22,449千円(前年同期は発生なし)となりました。以上の結果、経常利益は590,179千円(前年同期比81.9%増)となりました。
(特別利益、特別損失及び当期純利益)
特別利益は発生がなく、特別損失は230千円と大きな発生はなかったため、税引前当期純利益は589,948千円(前年同期比81.9%増)となりました。また、税引前当期純利益の増加に伴い法人税等合計が186,945千円(前年同期比103.2%増)となり、当期純利益は403,003千円(前年同期比73.4%増)となりました。
なお、当社の財政状態及びキャッシュ・フローの状況の分析等は「(1)経営成績等の状況の概要」に記載してい
ます。
③資本の財源及び資金の流動性
当社の運転資金需要のうち主なものは、転職サイトとしての認知度向上や「OpenWorkリクルーティング」サービスのWeb履歴書登録数増加に必要な広告宣伝費及びワーキングデータプラットフォームを基盤とした各サービスの安定的運用と持続的な成長に必要な営業、開発人件費を中心とした各種営業費用です。
当社は、運転資金につきましては「営業活動によるキャッシュ・フロー」及び内部資金にて賄う方針です。今後は、資金需要の必要性に応じて、外部も含めた資金調達等柔軟に対応する方針です。
④経営成績に重要な影響を与える要因について
「第2.事業の状況 2.事業等のリスク」をご参照ください。
⑤経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社は、「OpenWorkリクルーティング」の営業収益、これに関連するWeb履歴書登録数を重要な経営指標としています。
当事業年度では、自然検索によるサイトへの流入増とWebマーケティングを強化したことで、社会人の新規Web履歴書登録数が増加し、累計Web履歴書登録数(社会人・学生)は72万件(前年同期比60.1%増)と順調に成長しました。これらの結果、「OpenWorkリクルーティング」の営業収益は918,771千円(前年同期比102.5%増)となりました。
今後は、認知度向上のためのマーケティング投資を積極的に行い、Web履歴書登録数を増加させること及び機能改善により求職者と求人企業のマッチングを活性化させることでサービスを拡大していく方針です。
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