【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態の状況
(資産)
当事業年度末における資産合計は977,508千円となり、前事業年度末に比べ508,523千円増加いたしました。
流動資産は、前事業年度末に比べ504,529千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金の増加が
437,405千円、売掛金の増加が37,118千円、翌年度のオフィス増床に係る契約金として前渡金34,615千円を計
上したことによるものです。
(負債)
当事業年度末における負債合計は486,791千円となり、前事業年度末に比べ108,672千円増加いたしました。
流動負債は、前事業年度末に比べ133,309千円増加いたしました。これは主に、未払法人税等42,649千円、
未払金34,998千円、買掛金30,115千円及び未払消費税等18,770千円の増加によるものです。固定負債は、前事
業年度末に比べ24,636千円減少いたしました。これは主に、長期借入金が24,660千円減少したことによるもの
です。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は490,717千円となり、前事業年度末に比べ399,851千円増加いたしまし
た。
これは主に、株式の発行による資本金の増加151,800千円及び資本準備金の増加151,800千円と、繰越利益剰
余金が96,251千円増加したことによるものです。
この結果、自己資本比率は50.2%(前事業年度末は19.4%)となりました。
② 経営成績の状況
当事業年度における日本経済は、新型コロナウイルス感染症による厳しい状況がワクチン接種率の向上や行動
制限緩和、各種政策等の効果により緩和する動きが継続して見られるようになりました。しかしながら、強い感
染力を持つ新たな変異株による感染拡大の影響やウクライナ情勢の長期化に伴う資源及びエネルギー価格の高騰
等による物価高、世界的な金融引き締めを背景とした円安の進行等より、国内景気の先行きは依然として不透明
な状況が続いております。
一方で、日本の広告市場におきましては、デジタルを中心に好調に推移したことから、2022年は3.6%の成長が
見込まれており、2023年も引き続きデジタル広告が成長を牽引すると予測されております。(出典:株式会社
電通グループ「世界の広告費成長率予測(2022~2025)2022年12月16日」)
このような環境の中、当社の広告業界のプラットフォーム「メディアレーダー」及びクチコミマーケティング
のプラットフォーム「トラミー」の需要は引き続き拡大傾向にあり、堅調な成長を続けております。なお、当社
の事業は、プラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメントごとの記載は省略しております。
サービス別の主な取り組みについては下記のとおりとなります。
(メディアレーダー)
資料リード売上(注1)の拡大を目的に集客及び資料ダウンロード促進施策となる「SEO対策」(注2)、「広告出稿」、「会員メルマガ配信の最適化」や「入札機能の利用促進」(注3)、「一括ダウンロード機能のリリース及び利用促進」(注4)を実施してまいりました。
その他、イベント売上(注5)の拡大を目的とした「スポンサー獲得」、「登壇企業獲得」、「イベント申し込み獲得」や新しい収益源となる動画掲載機能(注6)のリリースを進めてまいりました。
その結果、メディアレーダーの売上高は408百万円(前事業年度比43.7%増)、売上を構成する資料リード売上は325百万円(同38.4%増)、イベント売上54百万円(同66.8%増)となりました。
資料リード売上を構成する主要KPIの結果は、資料リード単価(注7)2,723円(同26.6%増)、課金資料リード数(注8)119,361件(同9.3%増)となりました。
(トラミー)
売上の拡大を目的に「案件の獲得」、「案件単価の向上」を進めてまいりました。その結果、トラミーの売上高は374百万円(前事業年度比38.3%増)、売上を構成する主要KPIの結果は、案件数は719件(同14.5%増)、案件単価は521千円(同20.8%増)となりました。
以上の結果、当事業年度の売上高は847,393千円(前事業年度比40.0%増)、営業利益は157,756千円(同108.0%増)、経常利益は142,778千円(同89.1%増)、当期純利益は96,251千円(同103.0%増)となりました。
なお、当社はプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、セグメント情報の記載は省略しております。
(注1)資料ダウンロードによるリード提供での売上
(注2)Webページ上で検索結果を上位表示させるための対策
(注3)掲載社が資料ダウンロードされた際の単価を自ら@2,000円~@10,000円で設定できる機能で、単価を上
げることで検索結果ロジックに影響し上位表示される可能性が上がる機能
(注4)掲載社が一括ダウンロード機能を有効にすることで、メディアレーダー上で会員に対し一括ダウンロード
可能な資料として表示され、会員は対象資料をまとめてダウンロードすることができ、掲載社はダウンロ
ードされる機会が増える機能
(注5)メディアレーダーが主体となり、開催されるオンラインセミナーイベントで、スポンサー、登壇企業、視
聴者(会員)を集めることで、スポンサー及び登壇企業に対してリード(見込み顧客情報)提供すること
で得られる売上
(注6)掲載社がメディアレーダー内に動画を掲載しリード(提供単価は、@3,000円~)を獲得できる機能で、
会員が動画視聴した際に掲載社へリード提供する仕組み
(注7)資料ダウロードで発生したリード売上に対する1リードあたりの平均単価
(注8)資料ダウロードで発生したリード売上の請求対象となったリード提供数
③ キャッシュ・フローの状況
当事業年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は683,264千円となり、前事業年度末に
比べ437,405千円増加しました。
当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果得られた資金は192,663千円(前事業年度は74,010千円の収入)となりました。これは主に
増加要因として、税引前当期純利益142,573千円、未払金の増加34,998千円(前期比17,774千円増加)、仕入債
務の増加30,115千円(前事業年度は仕入債務の減少23,481千円)等があった一方で、減少要因として、売上債権
の増加37,107千円(前期比37,084千円増加)、法人税等の支払額16,281千円(前期比16,211千円増加)等があっ
たことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は37,798千円(前事業年度は50,198千円の支出)となりました。これは主に、オ
フィス増床の為の敷金の支出34,615千円によるものです。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は282,540千円(前事業年度は11,028千円の収入)となりました。これは、東京
証券取引所グロース市場への上場に伴う株式の発行による収入303,600千円、及び長期借入金の返済による支出
21,060千円があったことによるものであります。
④ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績
当社が行う事業は、提供するサービスの性格上、生産実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.受注実績
当社が行う事業は、提供するサービスの性格上、受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
c.販売実績
当事業年度の販売実績は次のとおりであります。なお、当社はプラットフォーム事業の単一セグメントであるため、サービス別に記載しております。
サービスの名称
当事業年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
金額(千円)
前年同期比(%)
メディアレーダー
408,839
143.7
トラミー
374,625
138.3
その他
63,929
127.8
合計
847,393
140.0
(注)主な相手先別の販売実績は、当該販売実績の総販売実績に対する割合がいずれも100分の10未満であるため記載を省略しております。
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、当事業年度末現在において判断したものであります。
① 財政状態及び経営成績の状況に関する認識及び分析・検討内容
当社の当事業年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりであります。
(資産)
当事業年度末における資産合計は977,508千円となり、前事業年度末に比べ508,523千円増加いたしました。
流動資産は、前事業年度末に比べ504,529千円増加いたしました。これは主に、現金及び預金の増加が437,405千円、売掛金の増加が37,118千円、翌年度のオフィス増床に係る契約金として前渡金34,615千円を計上したことによるものです。
固定資産は、前事業年度末に比べ3,993千円増加いたしました。これは主に、繰延税金資産の増加4,972千円、
工具、器具及び備品の増加1,326千円、商標権の増加900千円に対し、減価償却の進捗により減価償却累計額が
3,189千円増加したことによるものです。
(負債)
当事業年度末における負債合計は486,791千円となり、前事業年度末に比べ108,672千円増加いたしました。流
動負債は、前事業年度末に比べ133,309千円増加いたしました。これは主に、未払法人税等42,649千円、未払金34,998千円、買掛金30,115千円及び未払消費税等18,770千円の増加によるものです。
固定負債は、前事業年度末に比べ24,636千円減少いたしました。これは主に、長期借入金が24,660千円減少したことによるものです。
(純資産)
当事業年度末における純資産合計は490,717千円となり、前事業年度末に比べ399,851千円増加いたしました。
これは主に、株式の発行による資本金の増加151,800千円及び資本準備金の増加151,800千円と、繰越利益剰余
金が96,251千円増加したことによるものです。
この結果、自己資本比率は50.2%(前事業年度末は19.4%)となりました。
(売上高)
売上高は847,393千円と前年同期に比べて241,969千円(40.0%)増加しました。これはコロナ禍においてオフラインでのマーケティング活動が制限されたこと等により、企業のマーケティング活動のデジタルシフトが加速したことに加え、メディアレーダーにおいては、資料ダウンロード売上の向上を目的とし、「リード入札機能」によるリード単価の向上およびメディアレーダー主催の「セミナーイベント」の開催による売上獲得を目的とした対策を実施し、トラミーにおいては、案件数の増加を目的とした既存顧客および新規顧客への営業活動を実施した結果、売上高が伸長したものです。
(売上原価及び売上総利益)
売上原価は83,059千円と前年同期に比べて16,022千円(23.9%)増加しました。メディアレーダーの売上が順調に推移したことから全体の売上原価率が前年同期の11.1%から9.8%と改善し、売上総利益は764,334千円と前年同期に比べて225,947千円(42.0%)増加しました。
(販売費及び一般管理費)
販売費及び一般管理費は606,577千円と前年同期に比べて144,020千円(31.1%)増加しました。これは主に、上場準備に伴う管理体制の強化による人員及び管理費用並びに広告宣伝費が増加したことによるものです。この結果、営業利益は157,756千円と前年同期に比べて81,926千円(108.0%)増加しました。
(営業外収益、営業外費用及び経常利益)
営業外収益は1,024千円と前年同期に比べて283千円(21.7%)減少しました。これは主にポイント失効に伴うポイント失効戻入益によるものです。営業外費用は16,002千円と前年同期に比べて14,371千円(881.3%)増加しました。これは主に株式公開費用として14,792千円を計上したことによるものです。この結果、経常利益は142,778千円と前年同期に比べて67,271千円(89.1%)増加しました。
(法人税等合計及び当期純利益)
法人税等合計は46,322千円と前年同期に比べて18,458千円(66.2%)増加しました。この結果、当期純利益は96,251千円と前年同期に比べて48,836千円(103.0%)増加しました。
当社の経営成績に重要な影響を与える要因として、当社主力サービスのメディアレーダー及びトラミーの強化があります。
メディアレーダーにおいては、今後も会員となる広告主、広告代理店のニーズを満たす資料、動画、セミナー情報の拡充を行い、機能充実、利便性の向上、セミナーイベントの規模拡大を図ることで、「広告業界のインフラへ」というビジョンの実現にむけて成長スピードを加速させていくことが重要と考えております。
またトラミーにおいては、主要代理店取引を伸ばしつつ、クライアントへ直接販売する販売ルートを強化するとともに、現状のクライアントの多くが属するコスメ業界に加え、様々な業界に属するクライアントと幅広く取引できるよう案件の拡大および取引単価の向上が重要と考えております。
② キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容
当事業年度のキャッシュ・フローの分析につきましては、「(1)
経営成績等の状況の概要 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。当社のビジネスモデルの特性から、利益額と営業キャッシュ・フローは比例的に増減します。当事業年度においては、東京証券取引所グロース市場への上場に伴う株式の発行により財務活動によるキャッシュ・フローにおいて303,600千円の収入がありました。これらの要因から現金及び現金同等物の期末残高は683,264千円(前期末比437,405千円増)となりました。
③ 資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社の資本の財源及び資金の流動性については、主に外注費、広告宣伝費及び人件費の支払いが中心となり、設備資金については無いことから、売上代金の入金に至る期間までの運転資金が資金需要となります。また、今後の会社規模の拡大に合わせた組織体制の確立及び優秀な人材の確保に向けて、今後も積極的に採用活動を進める方針です。
当社ではこれら運転資金に対応した資金調達は、自己資金及び金融機関からの借入を中心に検討を行い、必要に応じて社債発行及び新株発行等による資金調達も検討していく方針としております。
④ 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。その作成には経営者により会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額並びに開示に影響を与える見積りを必要とします。経営者は、これらの見積りについて、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、実際の結果は、見積り特有の不確実性が存在するため、これらの見積りとは異なる場合があります。当社の財務諸表の作成に当たり会計上の見積りに用いた仮定のうち重要なものはないため、重要な会計上の見積りに該当する項目はないと判断しております。なお、当社の財務諸表で採用する重要な会計方針は、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 注記事項 (重要な会計方針)」に記載のとおりであります。
#C5242JP #アイズ #サービス業セクター