【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態の状況
(資産)
当連結会計年度末における流動資産は1,414,633千円となり、前連結会計年度末に比べ397,146千円増加いたしました。これは主に現金及び預金の増加379,091千円、売掛金の増加11,142千円等によるものであります。固定資産は490,027千円となり、前連結会計年度末に比べ4,712千円増加いたしました。これは主にソフトウエア仮勘定の増加11,791千円、顧客関連資産の増加8,929千円等の一方で、ソフトウエアの減少11,382千円等によるものであります。
この結果、総資産は、1,904,660千円となり、前連結会計年度末に比べ401,858千円増加いたしました。
(負債)
当連結会計年度末における流動負債は672,893千円となり、前連結会計年度末に比べ50,411千円増加いたしました。これは主に営業未払金の増加63,641千円等によるものであります。固定負債は136,131千円となり、前連結会計年度末に比べ19,567千円増加いたしました。これは主に新規借り入れによる長期借入金の増加26,090千円等によるものであります。
この結果、負債合計は、809,025千円となり、前連結会計年度末に比べ69,979千円増加いたしました。
(純資産)
当連結会計年度末における純資産合計は1,095,635千円となり、前連結会計年度末に比べ331,879千円増加いたしました。これは主に新規上場時の公募増資による資本金及び資本剰余金の増加206,080千円、親会社株主に帰属する当期純利益計上による利益剰余金の増加112,401千円等によるものであります。
この結果、自己資本比率は57.5%(前連結会計年度末は50.8%)となりました。
②経営成績の状況
当連結会計年度(2022年1月1日から2022年12月31日まで)における経済環境は、新型コロナウイルス感染症に対するワクチン接種の普及等により、経済活動に持ち直しの動きが見られたものの、変異株の発生による感染の再拡大、また、ウクライナ情勢の悪化等の地政学情勢の変動や物価の高騰、円安の急激な進行等により、依然として先行きが不透明な状況が続いております。このような経済環境のもと、当社グループは持続的な成長を実現するため、国内・海外とも、引き続きWebによる面談、コンサルティング等を積極的に取り入れるとともに、AIやIT技術を活用したデジタル接点の強化を図り、お客様の利便性向上に努めてまいりました。
当社グループは「お客様の利益創出に最善を尽くす~Doing Our Best On Your Behalf~」を企業理念に掲げ、契約からアフターフォローにいたるまで全て一貫したサービスを提供しております。「企業が売りたい商品・サービス」ではなく、「お客様から求められる商品・サービス」を提供することを軸に事業を行っており、「保険業界における販売インフラの変革」を通じて、お客様が安心して保険に加入し続けられる社会の実現を目指しております。また、経営の存続が難しい中小保険代理店を積極的に受け入れ、「保険代理店支援プラットフォーム」という仕組みを通じて、営業・事務両面からのサポート体制、月1回の勉強会の開催、E-Learningを活用した研修支援、FP・AFP資格を持った営業社員同行支援等を行い、保険業法や各保険会社の規則に則った保険契約更新や募集行為の継続をサポートしております。このような取組みを通じて、「保険業界における販売インフラの改革」を推進するとともに、より効率的にマーケットの拡充を図っております。
当連結会計年度は、新たに3つの拠点を新設し、拠点数は国内外合わせて23拠点となりました。また、「保険代理店支援プラットフォーム」を通じて合流した保険募集人(パートナー社員及び勤務型代理店)は、311人となりました。
この結果、当連結会計年度における当社グループの営業収益は、新型コロナウイルス感染症及びその変異株の影響を受けつつも、引き続きWebによる面談、コンサルティング等を積極的に取り入れて、メール、Web等を活用したデジタル接点の強化を図り、お客様の利便性向上に努めてきたこと及び事業承継の推進、2022年10月の火災保険料の改定、契約期間の短縮等に伴う、火災保険長期契約申込みの大幅な増加により損害保険の売上が伸長したことにより、3,267,913千円(前連結会計年度比12.5%増)となりました。
営業利益は、積極採用に伴う人件費増、また保険代理店基幹システムの機能追加による減価償却費や保守維持費の増加等により、197,441千円(前連結会計年度比5.2%減)となりました。
経常利益は、社史の広告掲載に伴う協賛金収入1,681千円等を営業外収益に計上し、上場関連費用7,048千円や株式交付費4,594千円等を営業外費用に計上した結果、187,780千円(前連結会計年度比14.4%減)となりました。
親会社株主に帰属する当期純利益は、米国子会社における社用車の売却に伴う固定資産売却益684千円を特別利益に計上し、旧基幹システムの除却等に伴う固定資産除却損11,433千円や社用車のリース解約損2,050千円を特別損失に計上した結果、112,401千円(前連結会計年度比27.6%減)となりました。
各セグメントの業績は、次のとおりであります。
・国内事業
日本国内においては、昨年度に引き続き、新型コロナウイルス感染症の影響及び世界的なインフレ、金利上昇等による急激な円安、物価の上昇により、個人消費が落ち込む等の悪影響が出ました。新型コロナウイルス感染症については、未だ感染収束の時期を見通すことができない状況が続いております。
このような環境下で、2020年度より取組みを始めたオンライン面談の強化を図り、Webを活用したサービスの提供、SMSを活用したご契約者様へのアフターフォロー等、DXへの取り組み強化に努めてまいりました。また、2022年10月の火災保険料の改定、契約期間の短縮等に伴い、駆け込みで火災保険長期契約の申込みが大幅に増加し、損害保険の売上が伸長しました。当社ビジネスモデルの根幹である事業承継(中小代理店の合流)においては、従来の「支店」開設に加えて、前年度よりローコストオペレーションの小規模拠点として、「支社」の新設を進めており、本社営業部 東京東支社(5月)、仙台支店 福島支社(5月)、仙台支店 仙台南支社(10月)の3支社を新設しました。
この結果、同事業の当連結会計年度における営業収益は、火災保険の長期契約化による保険契約の大幅な増加等により、3,095,000千円(前連結会計年度比12.3%増)となり、セグメント利益は166,708千円(前連結会計年度比12.8%減)となりました。
・海外事業
米国においては、新型コロナウイルス感染症の影響を受けつつも、昨年度に続き、お客様とのオンライン面談などで接点を強化し、損害保険を中心に売上が好調に推移いたしました。
この結果、同事業の当連結会計年度における営業収益は、損害保険による手数料収入等により、172,912千円(前連結会計年度比16.0%増)となり、セグメント利益は21,071千円(前連結会計年度比25.2%減)となりました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は946,075千円となり、前連結会計年度末と比べ379,091千円増加いたしました。
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果獲得した資金は242,351千円(前連結会計年度は187,231千円の収入)となりました。これは、税金等調整前当期純利益174,981千円、減価償却費73,978千円、基幹システムの開発費用等の営業未払金の増加額36,437千円などによる資金増加から、法人税等の支払額59,960千円などによる資金減少があった結果であります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果使用した資金は71,017千円(前連結会計年度は83,247千円の支出)となりました。これは、リース資産等の有形固定資産売却による収入2,388千円などによる資金増加から、無形固定資産の取得による支出59,855千円、車両等の有形固定資産の取得による支出10,546千円などによる資金減少があった結果であります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果獲得した資金は192,121千円(前連結会計年度は14,095千円の支出)となりました。これは、株式の発行による収入201,485千円、長期借入れによる収入100,000千円などによる資金増加から、長期借入金の返済による支出97,688千円、リース債務の返済による支出11,675千円などによる資金減少があった結果であります。
④生産、受注及び販売の実績
a.生産及び受注実績
当社グループで行う事業は、提供するサービスの性格上、生産及び受注実績の記載になじまないため、当該記載を省略しております。
b.販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
金額(千円)
前年同期比(%)
国内事業
3,095,000
112.3
海外事業
172,912
116.0
合計
3,267,913
112.5
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2021年1月1日
至 2021年12月31日)
当連結会計年度
(自 2022年1月1日
至 2022年12月31日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
東京海上日動火災保険株式会社
1,433,390
49.3
1,696,542
51.9
東京海上日動あんしん生命保険株式会社
352,922
12.1
356,460
10.9
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。
なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
①重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる企業会計の基準に準拠して作成されております。この連結財務諸表の作成において、損益又は資産の状況に影響を与える見積りの判断は、過去の実績やその時点での入手可能な情報に基づき合理的に行っておりますが、実際の結果は、これらの見積りと異なる場合があります。
当社グループが連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものは以下のとおりであります。
なお、当社グループの連結財務諸表作成に当たり採用した会計方針は、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項)」に記載のとおりであります。
(顧客関連資産の減損)
当社グループが保有する顧客関連資産については、一定程度契約が継続される前提で資産計上しておりますが、その契約の継続率が当初想定したものよりも著しく低下し、想定した将来キャッシュ・フローが見込めなくなった場合、減損損失を計上する可能性があります。
(繰延税金資産の回収可能性)
当社グループは、繰延税金資産について、将来の事業計画に基づいた課税所得が十分に確保できることや、回収可能性があると判断した将来減算一時差異等について繰延税金資産を計上しております。繰延税金資産の回収可能性は将来の課税所得の見積りに依存するため、その見積りの前提とした条件や仮定に変更が生じた場合、繰延税金資産が減額され税金費用が計上される可能性があります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
③経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照下さい。
④資本の財源及び資金の流動性についての分析
当社グループの資金需要の主なものは、運転資金、拠点開設の際の初期費用や内装工事に伴う設備資金及び事業承継にて保険契約を引き受けた際の買取資金であります。運転資金のうち主なものは、営業費用に計上している拠点従業員の人件費及び保険募集人に対する外交員報酬等であります。運転資金及び拠点開設の際の初期費用や新規拠点の内装工事のための設備資金につきましては、自己資金及び金融機関からの借入により調達しております。
当社は、手許流動性の水準を考えるに当たり、流動性リスクとして事業の継続運営に必要な資金や半年以内返済予定の借入金等の合計額を想定し、これに対し、現金・預金及び現金同等物(以下「手許現預金」)で賄うことで対応することとし、資金が不足する場合には、取引銀行2行と締結している当座貸越契約による短期借入により調達しております。
さらに、手許現預金が中長期にわたり必要額に満たなくなると想定される場合には、金融機関からの借入金等を通じて、必要な現預金残高を確保することを考えております。
なお、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は946,075千円となっており、十分な流動性を確保しているものと考えております。
⑤経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等の分析
経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (3)経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等」をご参照下さい。
当連結会計年度の経営成績及び当該指標等の分析につきましては、「(1)経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
また、経営指標と相関性が高い指標である取扱保険料を重視しております。
当該指標について、前事業年度末(2021年12月31日)は28,792百万円、当事業年度末(2022年12月31日)は30,733百万円となっております。
これは、現時点においては堅調に推移しているものと認識しております。
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