【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期会計期間の末日現在において当社が判断したものであります。なお、当社は、前年第1四半期累計期間については四半期財務諸表を作成していないため、前年同四半期累計期間との比較分析は行っておりません。
(1) 財政状態及び経営成績の状況当第1四半期累計期間における我が国経済は、前年の同時期と比較し、ウクライナ情勢の長期化や円安などを背景にした物価上昇・資源高などの下押しリスクもありましたが、新型コロナウイルス感染症に対する各種経済支援政策等により個人消費は緩やかに回復しており、経済の持ち直しの動きが期待されております。国内における再生医療・細胞治療分野においては、厚生労働省 薬事・食品衛生審議会 再生医療等製品・生物由来技術部会において、新たに再生医療等製品の製造販売承認が了承されたものを含め、累計で19製品が国内上市されるなど、新たな再生医療等製品の上市への期待感は引き続き高まっている状況です。このような状況の下、当社は独自のプラットフォーム技術を用いた革新的な再生医療等製品や3D細胞製品の創出を通じて、新たな再生医療・細胞医療の実用化・産業化に貢献するべく、研究・技術開発を中核とする事業活動を推進してまいりました。また、細胞製品開発と並行して、デバイス販売や共同研究活動等により、当社の基盤技術を国内外に普及させる事業活動にも取り組んでまいりました。具体的には、①再生医療領域において、再生医療等製品の実用化へ向けたパイプライン開発及び研究用細胞製品の受託製造、②創薬支援領域において、製薬企業・非臨床試験受託企業等を相手方とした創薬支援用のツールとしての細胞製品の開発・販売、③デバイス領域において、基盤技術を搭載したバイオ3Dプリンタ等の三次元細胞積層システム機器の開発・販売等を多面的に展開しております。当第1四半期累計期間における各事業における進捗及び経営成績の概況は、以下のとおりです。
①再生医療領域当社では、主要な再生医療パイプライン(末梢神経再生、骨軟骨再生、血管再生等の革新的な3D細胞製品)について、国立研究開発法人日本医療研究開発機構(以下、「AMED」という。)等の公的機関の支援のもと、再生医療等製品の承認取得・実用化を目指し、各大学・研究機関及び連携企業等の共同開発パートナーとともに臨床開発及び研究開発を進めております。当第1四半期累計期間においては、京都大学医学部附属病院とともに実施した、AMED委託事業「末梢神経損傷を対象とした三次元神経導管移植による安全性と有効性を検討する医師主導治験」が終了し、臨床試験に関するデータを集積し、次相臨床試験開始に向けた準備を進めました。骨軟骨再生については、AMED橋渡し研究プログラム「バイオ3Dプリンタ技術を用いた膝関節特発性骨壊死に対する骨軟骨再生治療」において、慶應義塾大学病院とともに次相臨床試験開始に向けた開発を進めました。血管再生については、国立大学法人佐賀大学とともに臨床試験を継続して進めました。さらに、主要パイプラインに加え、次世代のパイプラインの育成及び探索開発が進捗しております。引き続き、共同研究パートナーとの研究開発を進めるとともに、新たなシーズ探索・基礎研究を進めてまいります。また、当第1四半期累計期間においては、当社と細胞製品の製造に関する包括的パートナーシップ契約を締結している太陽ホールディングス株式会社及びその子会社である太陽ファルマテック株式会社とともに、将来の再生医療等製品の実用化を見据えた、製造販売体制構築に向けて準備を進めました。そのほか、藤森工業株式会社との間では、細胞の大量培養に関する共同技術開発を、また、岩谷産業株式会社との間では、凍結保管技術の開発を進めております。各共同研究については、2023年3月に開催された第22回日本再生医療学会学術総会において、共同研究先とともに開発成果の公表等を行いました。また、日立グローバルライフソリューションズ株式会社、MetaTech (AP) Inc.及びTaiwan Hitachi Asia pacific Co., Ltd.との間で、再生医療分野の発展及び台湾地域での協業を進めることを目的とした基本合意書を締結しました。以上のように当社では、今後もパートナー企業との間で戦略的パートナーシップの強化を進め、当社の革新的な再生医療等製品の早期の実用化に向け、開発を進めてまいります。
②創薬支援領域当社では、創薬支援領域において、独自の基盤技術により、スキャフォールドを使用せずに、ヒト肝細胞等の細胞のみから、高い肝機能が長期間にわたり持続する3D肝臓構造体を開発し、製薬企業や非臨床試験受託会社等の創薬研究のニーズに応える創薬支援用途でのツール開発を進めております。当第1四半期累計期間においては、「3D肝臓構造体による毒性評価モデル」について、業務提携パートナーである積水化学工業株式会社、大阪サニタリー株式会社及び株式会社SCREENホールディングスとともに、3D肝臓構造体の事業化に向けた共同開発を進めました。
③デバイス領域当社では、デバイス領域において、基盤技術を搭載したバイオ3Dプリンタ等の三次元細胞積層システム機器の開発・販売等の事業活動を進めております。また、バイオ3Dプリンタによる基盤技術普及を進めることにより、再生・細胞医療領域におけるポジション確立及びシーズ普及・探索を目指すとともに、細胞製品の実用化に必要となる技術応用及び新技術開発を進めております。今後は再生医療等製品の実用化及び臨床開発に向けたデバイス類の開発及びサポートにも注力してまいります。
以上の結果、当第1四半期累計期間の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
a. 財政状態当第1四半期会計期間末における総資産は、前事業年度末に比べ220,816千円減少し、4,594,521千円となりました。主な減少要因は、現金及び預金の減少168,447千円であります。負債については、前事業年度末に比べ56,546千円減少し、988,990千円となりました。主な減少要因は、未払法人税等の減少21,734千円及び1年内返済予定の長期借入金の減少22,566千円であります。純資産については、前事業年度末に比べ164,269千円減少し、3,605,531千円となりました。主な減少要因は、四半期純損失の計上168,089千円であります。この結果、自己資本比率は78.5%と前事業年度末に比べ0.2ポイント増加しました。
b. 経営成績当第1四半期累計期間における売上高は、細胞製品の製造支援及びデバイスの販売、その関連部品の販売等により7,070千円を計上し、販売費及び一般管理費は、合計で176,057千円を計上した結果、当第1四半期累計期間の営業損失は172,139千円となりました。また、研究開発に係る助成金受領等により、営業外収益10,336千円を計上した一方、借入金の利息等の支払により営業外費用5,244千円を計上したことから、経常損失は167,047千円、四半期純損失は168,089千円となりました。なお、当社の事業は細胞製品等の研究開発及び製造販売並びにこれらの付随業務の単一セグメントであるため、セグメント別の記載を省略しています。
(2) 経営方針・経営戦略等当第1四半期累計期間において、当社が定めている経営方針・経営戦略等について重要な変更はありません。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題当第1四半期累計期間において、当社が優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動当第1四半期累計期間における当社の研究開発活動の金額は、87,130千円であります。なお、当第1四半期累計期間において、当社の研究開発活動の状況に重要な変更はありません。