【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当社の財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。① 財政状態及び経営成績の状況[経営環境]当事業年度(2021年12月1日~2022年11月30日)においてわが国経済は、第6波、第7波と新型コロナウイルス感染者数が増減を繰り返す中でも経済活動の制限が徐々に解除され、景気に持ち直しの動きが見られました。国内景気は8月以降3か月連続で改善し、2022年10月より実施された全国旅行支援や入国時の水際対策の大幅緩和などの効果から、新型コロナウイルス感染拡大前の水準を上回っております。(出典:帝国データバンク「2022年10月の国内景気動向調査」)しかしながら、日米の金融政策の違いにより金利差が拡大したことで2022年3月以降長期にわたり円安が進み、急激な為替相場の変動による市場の混乱が見られました。 また、この円安に加え、2022年2月から続くウクライナ侵攻の影響による原材料価格の高騰で10月には消費者物価指数が3.7%と40年ぶりの高水準に達し、食料品、日用品の「値上げラッシュ」が1年を通じて繰り返されるなど、依然として先行きの不透明な状況が続いております。(出典:総務省統計局「2020年基準 消費者物価指数 全国 2022年(令和4年)10月分」)当業界においては、生命保険会社全42社の個人保険と個人年金保険の合計新契約年換算保険料が前年同期比14.1%増の10,122億円となり、コロナ前である2019年9月末の水準(10,242億円)に戻りつつあります。(出典:(社)生命保険協会「生命保険事業概況 四半期統計(2022年4月~9月期)、生命保険事業概況 四半期統計(2019年4月~9月期)」)個人向け商品の新規契約件数は、個人保険・個人年金保険ともに運用実績に応じて保険金や解約返戻金が変動する「変額保険」の比率が増えており、前期個人保険全体に占める割合が3.4%だった変額保険は5.1%まで伸展、個人年金保険においても前期の20.9%から24.4%まで伸展しております(出典:(社)生命保険協会「2022年版 生命保険の動向」より当社にて算出)。このような環境の下、当社においても引き続きライフプランや資金計画を見直す必要性が生じた顧客から保険を含めたお金に関する相談は多く寄せられており、当社の主力販売商品である変額保険の販売件数も増加いたしました。今後も「保障」だけではなく「資産運用」まで拡大した現在の顧客ニーズは継続すると考えられます。 なお、当社における新型コロナウイルス感染症の影響については、以前から導入しているオンラインFP相談サービスや社員のテレワーク体制が定着していることから、当事業年度においても業務への影響はありませんでした。 そのような中、以下のことから当社の業績は堅調に推移いたしました。
①
新規入社者数及び拠点数の拡大 当事業年度においても営業社員の採用は順調に進んでおり、新規入社者数は516名となりました。これにより、2022年11月末時点での営業社員数は2,014名となります。また、営業社員の所属する拠点(支社・店舗)は既に47都道府県に展開しているものの、地域密着の体制をより強固にすべく中核市を中心に開設を進め、2022年11月末時点で前期末より21拠点増の132拠点となりました。
②
保険契約見込顧客の獲得状況 当事業年度においても保険契約見込顧客数は提携企業数の増加と既存提携先との関係強化を背景に順調に推移し、前期末比18.6%増の139,995件となりました。新型コロナウイルス感染症が急速に広まった2022年7月、8月は一時的に見込み顧客獲得数が減少したものの、それ以外の期間では影響がありませんでした。また、当事業年度における当社サービスサイトを経由した集客件数は9,974件となり、前期末より4,306件増と順調に推移しております。提携企業数は前期末から7社増加し2022年11月末時点で100社となりました。
③
販売動向コロナ禍から更なる高まりを見せていた老後の生活資金準備などの資産形成ニーズへの対応から、貯蓄性・投資性商品を中心に販売量が増加しました。当事業年度における生命保険の新契約件数は前期末から36,288件増の185,911件、新契約年換算保険料も同じく5,679,394千円増の22,514,185千円となりました。損害保険においては新契約件数が前期末から300件増の26,095件と伸展したものの、新契約年換算保険料は73,192千円減の2,990,714千円となりました。これは単価の低い自動車保険の件数が増加したものの、2022年10月に火災保険が改定され、長期火災保険の保険期間が最長5年(これまでは10年)となったことで単価が減少したためとなっております。2022年11月末時点での取扱会社数は生命保険会社22社、損害保険会社11社の計33社となり、顧客のニーズをより充足できる商品ラインナップとなっております。今後も「お客様本位の業務運営(フィデューシャリー・デューティー)」のもと、お客様にお役に立つ情報とコンサルティングを実施してまいります。
④
「マネードクタープレミア」店舗出店拡大当事業年度においては「マネードクタープレミア」店舗を新たに8店舗出店し計9店舗の展開となりました。2022年11月期第4四半期は2022年10月7日に「マネードクタープレミア浦和パルコ店」(さいたま市浦和区)、同年10月22日に「マネードクタープレミア町田東急ツインズ店」(町田市原町田)、同年10月29日に「マネードクタープレミア錦糸町パルコ店」(墨田区江東橋)と続けて出店しております。当事業年度においても来店予約数が計1,436件と2022年11月期第3四半期累計期間(5店舗、768件)から668件増となり、2022年4月より本格的に取り組みを開始した、店舗に来店できない顧客向けに行っているプレミアオンラインFP相談の申込も当事業年度累計で1,277件と堅調に推移しております。プレミア店舗ではお金に関するあらゆる相談ができる「お金の総合サービス」を前面に展開したことにより、当初からライフプランの作成による継続的なサービスを希望する顧客の比率が増加しております。特に資産形成・老後の相談の比率が高くなっており、この事から「マネードクタープレミア」店舗ではより多くの顧客との長期的な関係性の構築が期待できます。
⑤
「マネードクター」ブランド当事業年度においても「マネードクター」ブランドは順調に浸透しております。一層のブランド認知の向上と潜在的顧客の発掘を図るために2021年11月にリニューアルをしたCMの続編は、2022年12月に、CM総合研究所主催の『BRAND OF THE YEAR 2022』において、「消費者を動かしたCM展開」を受賞しました。㈱電通調べによる当社の認知度は、2021年4月の39.1%から2022年4月には47.1%と向上しており、TVCM、Web広告等経由の自社集客による相談申し込み件数は当事業年度累計で14,292件と順調な伸びを見せております。保険だけではないお金の相談相手として「マネードクター」のコンセプトに良い感想をいただいており、今後も「マネードクター」のブランディング強化策を積極的に継続実施してまいります。
引き続き営業社員の採用に注力しつつ、保険契約見込顧客獲得のための企業提携についても様々な業種の企業と進めております。今後も全国展開の強みを活かし、地域に根差した営業基盤の拡大を行うことで業績向上に取り組んでまいります。
[当期の業績]当事業年度において、提携企業からの集客件数は125,703件、自社集客からの集客件数は14,292件となっており、顧客数としては当事業年度で新規契約いただいた顧客数が125,080名(新契約年換算保険料約255億円)となりました。総顧客数は2022年11月末時点で504,959名(前期末424,799名)と安定して顧客数の拡大を継続しております。更に当社は営業社員の積極採用を継続して行い2022年11期末時点2,014名(前期末1,858名)と156名増加いたしました。当事業年度の売上高は25,605,752千円と、引き続き新型コロナウイルス感染症の拡大が続く中においても売上高計画値を達成し、前期比22.4%増と前年実績を上回り、創業以来継続した売上高成長を実現いたしました。売上原価に関しては売上高の増加に伴う外交員報酬及び法定福利費の増加等により16,800,611千円(前期比13.8%増)となりました。販売費及び一般管理費は、業容拡大に伴う給料手当及び地代家賃の増加等により4,980,362千円(前期比12.5%増)となりました。これにより営業利益は3,824,778千円(前期比120.4%増)、経常利益は3,813,463千円(前期比110.2%増)、当期純利益は2,366,809千円(前期比93.2%増)となりました。なお、セグメントの業績につきましては、当社は保険代理業の単一セグメントであるため、記載を省略しております。
a.財政状態当事業年度における財政状態は次のとおりであります。(資産)当事業年度における総資産は、前事業年度と比べ6,386,805千円増加し14,265,605千円となりました。これは主に、東京証券取引所グロース市場上場に伴う公募増資及び税引前当期純利益の計上等により現金及び預金が5,762,418千円増加したことによるものです。(負債)当事業年度における負債は、前事業年度と比べ432,273千円増加し5,608,827千円となりました。これは主に、返済により長期借入金が998,030千円減少した一方で、買掛金が545,743千円、課税所得の増加により未払法人税等が589,217千円増加したことによるものです。(純資産)当事業年度における純資産は、前事業年度と比べ5,954,531千円増加し8,656,777千円となりました。これは主に、東京証券取引所グロース市場上場に伴う公募増資により資本金及び資本準備金がそれぞれ1,794,000千円(合計3,588,000千円)増加したこと、当期純利益の計上により利益剰余金が2,366,809千円増加したことによるものです。
② キャッシュ・フローの状況当事業年度における現金及び現金同等物の期末残高は5,762,418千円増加し、8,848,786千円となりました。当事業年度における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー) 営業活動の結果得られた資金は3,562,342千円(前期は1,940,346千円の収入)となりました。これは主に、税引前当期純利益の計上3,813,463千円、仕入債務の増加545,743千円により資金が増加した一方で、法人税等の支払額1,060,641千円により資金が減少したこと等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー) 投資活動の結果使用した資金は365,000千円(前期は257,326千円の支出)となりました。これは主に、固定資産の取得による支出257,390千円、敷金及び保証金の差入による支出127,866千円により資金が減少したこと等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー) 財務活動の結果得られた資金は2,565,075千円(前期は617,636千円の支出)となりました。これは主に、株式の発行による収入3,571,542千円により資金が増加した一方で、長期借入金の返済による支出998,030千円により資金が減少したこと等によるものであります。
③ 生産、受注及び販売の実績a.生産実績 当社は生産活動を行っておりませんので、該当事項はありません。b.受注実績 当社は受注活動を行っておりませんので、該当事項はありません。
c.販売実績 当社は「保険代理業」の単一セグメントであるため、事業ごとの販売実績を記載いたします。
サービスの名称
販売高(千円)
前年同期比(%)
生命保険代理店業
24,628,159
123.0
損害保険代理店業
967,944
109.9
その他の事業
9,647
67.9
合計
25,605,752
122.4
(注) 1.主な相手先別の販売実績及び当該販売実績の総販売実績に対する割合は以下の通りです。
相手先
前事業年度(自 2020年12月1日至 2021年11月30日)
当事業年度(自 2021年12月1日至 2022年11月30日)
売上高(千円)
割合(%)
売上高(千円)
割合(%)
アクサ生命保険株式会社
5,702,208
27.2
7,099,528
27.7
東京海上日動あんしん生命保険株式会社
3,209,382
15.3
4,792,587
18.7
メットライフ生命保険株式会社
2,937,536
14.0
3,016,000
11.8
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次の通りであります。なお、文中の将来に関する事項は、本書提出日現在において判断したものであります。
① 重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定 当社の財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。そ の作成には、経営者による会計方針の選択・適用、資産・負債及び収益・費用の報告金額及び開示に影響を与える 見積りを必要としております。これらの見積りについては、過去の実績等を勘案し合理的に判断しておりますが、 実際の結果は、見積りによる不確実性のため、これらの見積りとは異なる場合があります。 また、重要な会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定については、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1)財 務諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載のとおりであり、「第5 経理の状況 1 財務諸表等 (1) 財務 諸表 注記事項 重要な会計上の見積り」に記載の翌事業年度の財務諸表に与える影響は、翌事業年度以降において も同様に影響を及ぼす可能性があります。
②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 a.財政状態の分析 当社の財政状態の分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照ください。
b.経営成績の分析
(売上高)当事業年度の売上高は、リーズ(保険契約見込み顧客)獲得数の伸展と営業社員数の純増により、25,605,752千円(前期比22.4%増)となりました。
(売上原価、販売費及び一般管理費、営業利益)当事業年度の売上原価は、外交員報酬の増加等により、16,800,611千円(前期比13.8%増)となりました。また、当事業年度の販売費及び一般管理費は、前事業年度に比べ租税公課が96,605千円、給料手当が72,486千円、地代家賃が52,067千円増加したこと等により、4,980,362千円(前期比12.5%増)となりました。この結果、当事業年度の営業利益は、3,824,778千円(前期比120.4%増)となりました。
(営業外損益、経常利益)当事業年度の営業外収益は、前事業年度に比べ55,089千円減少し、37,126千円(前期比59.7%減)となりました。また、営業外費用は、前事業年度に比べ35,460千円増加し、48,441千円(前期比273.2%増)となりました。この結果、当事業年度の経常利益は、3,813,463千円(前期比110.2%増)となりました。
(当期純利益)当事業年度の当期純利益は、法人税等(法人税等調整額を含む)1,446,654千円を(前期比145.3%増)を計上した結果、2,366,809千円(前期比93.2%増)となりました。
c.キャッシュ・フローの分析当社のキャッシュ・フローの分析については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」をご参照ください。
d.資本の財源及び資金の流動性当社の運転資金需要につきましては、外交員報酬、リーズ取得関連費等の売上原価並びに広告宣伝費等の販売費及び一般管理費等の営業費用であります。運転資金につきましては、保険手数料収入等の営業活動により調達した資金にて対応しております。今後も収益構造の強化と成長性の維持のため継続的な設備投資が必要となりますので、安定的な自己資金の確保を目指していきます。また、主に設備投資等の突発的な資金需要に対しても機動的に資金を調達できるよう、金融機関との間で総額20.5億円のコミットメントライン契約及び当座貸越契約を締結しており、流動性リスクに備えております。
e.経営戦略の現状と見通し当社が今後も持続的に成長していくためには、経営者は「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」及び「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載した課題に対応していくことが必要であると認識しております。経営者は外部環境の変化についての情報入手及び分析を継続的に行い、適切な対応策を策定し実施していく方針であります。
f.経営成績に重要な影響を与える要因について当社の経営成績に重要な影響を与える要因については、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」をご参照ください。
g.目標とする経営指標当社は売上高及び営業利益を重要な指標としております。それぞれの経営指標は、月次でPDCAサイクルを回して進捗状況をレポートし、毎月15日までの取締役会にて月次業績報告書として分析結果を報告しております。当事業年度の売上高及び営業利益については、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容 ②経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容 b.経営成績の分析」をご参照ください。
h.経営者の問題意識と今後の方針について経営者の問題意識と今後の方針については、「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等」をご参照ください。