【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1) 経営成績等の状況の概要当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
① 財政状態及び経営成績の状況
財政状態
a. 流動資産当連結会計年度末における流動資産の残高は、51,394百万円となり、前連結会計年度末に比べ10,517百万円増加しました。その主な要因は、現金及び預金の増加1,246百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の増加3,662百万円、製品を中心とした棚卸資産の増加5,267百万円などによるものです。
b. 固定資産当連結会計年度末における固定資産の残高は、25,237百万円となり、前連結会計年度末に比べ2,116百万円増加しました。その主な要因は、有形固定資産の増加1,086百万円、無形固定資産の減少109百万円、投資有価証券の増加1,215百万円などによるものです。
c. 流動負債当連結会計年度末における流動負債の残高は、28,379百万円となり、前連結会計年度末に比べ6,258百万円増加しました。その主な要因は、支払手形及び買掛金の増加3,707百万円、未払法人税等の増加1,629百万円、設備関係支払手形の減少74百万円、その他に含まれる未払消費税等の増加328百万円などによるものです。
d. 固定負債当連結会計年度末における固定負債の残高は、7,521百万円となり、前連結会計年度末に比べ852百万円減少しました。その主な要因は、長期借入金の減少633百万円、社債の減少21百万円、退職給付に係る負債の減少78 百万円、リース債務の減少105百万円などによるものです。
e. 純資産当連結会計年度末における純資産の残高は、40,730百万円となり、前連結会計年度末に比べ7,227百万円増加しました。その主な要因は、親会社株主に帰属する当期純利益の計上による利益剰余金の増加6,056百万円及び配当による利益剰余金の減少806百万円、その他有価証券評価差額金の増加513百万円、為替換算調整勘定の増加504百万円、非支配株主持分の増加1,205百万円などによるものです。その結果、「自己資本比率」は47.1%となり前連結会計年度末47.0%に比べ0.1%の増加となりました。
経営成績当連結会計年度(2021年12月~2022年11月)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に関する行動制限が段階的に緩和され、社会経済活動の正常化が徐々に進みましたが、資材価格や電力料の高騰、海上物流の混乱、さらにはロシアによるウクライナ侵攻の長期化や急激な円安なども加わり、先行きは極めて不透明な状況で推移いたしました。住宅業界におきましては、2021年秋の住宅ローン減税契約期限到来に伴う駆け込み需要に支えられ、期初の住宅需要は概ね堅調でしたが、資材価格高騰に伴う住宅価格上昇や物価高による消費マインド低下の影響から、持家の新設住宅着工戸数が前期比1割減と大幅に減少するなど、住宅需要は一部で弱含みとなりました。また、2021年春から続く木材の供給不足や価格高騰(ウッドショック)については、世界の木材需給緩和により輸入木材の価格が弱基調となるなど、需給逼迫のピークは過ぎ、国内在庫の増加や荷動きの低下が目立つようになりました。このような事業環境において当社グループは、引き続き原材料の確保や製品の安定供給に努め、コストダウンや生産性向上に取り組むとともに、原材料等の急激なコストアップへの対応として建材製品の販売価格改定を行い収益の確保に努めました。合板製品については、原材料コストや輸入コストが上昇するなか、需給逼迫による先高感から国内相場は大幅に上昇いたしましたが、2022年6月以降は横ばいに転じました。また、建材製品のシェア確保や国産材(間伐材、未利用材等)の活用を推進するとともに、ビジョン2030「木の心地よさを住まいから様々な空間へ」の実現に向け、非住宅分野やリフォーム・リノベーション分野の市場開拓にも積極的に取り組みました。これらの結果、当連結会計年度における連結業績は、次のとおりです。
売上高
81,012百万円(前期比 16,425百万円
25.4%増)営業利益
9,797百万円(前期比 5,968百万円 155.8%増)経常利益
10,332百万円(前期比
6,089百万円 143.5%増)親会社株主に帰属する当期純利益
6,056百万円(前期比
3,521百万円 138.9%増)
セグメント別の経営成績は、次のとおりであります。
住宅建材事業「ビノイエ」「モードコレクト」など内装建材シリーズや、国産針葉樹合板とMDF(中質繊維板)の複合基材フロア「ラスティックフェイス リッチ・Jベース」、マンションなどリフォーム・リノベーション需要への対応として各種防音フロアなどの拡販に注力し、シェア確保に努めました。また、バリアフリー商品群「ユニバーサル ディレクト」や木造中規模物件用建築工法「BIG-MJシステム」を足掛かりに、高齢者施設や幼保施設、集合住宅、店舗など非住宅分野や中規模物件の市場開拓、販売強化に取り組みました。MDFについては、輸入チップや廃木材チップなど原材料の確保に努めながら、耐震性能や劣化軽減性能に優れた構造用ハイベストウッド(HBW)や、資本業務提携先のIFI社(インドネシア ファイバーボード インダストリー社)製の輸入MDFの安定供給、シェア確保に取り組みました。なお、原材料や副資材、電力、物流など様々なコスト高騰が続く厳しい事業環境において、2021年6月より継続的に行っている販売価格の改定を、当期も建具やフロア、HBWなど建材・MDF製品全般で実施し、収益の確保に努めました。この結果、住宅建材事業の売上高は45,330百万円(前期比12.0%増)、セグメント利益は2,547百万円(前期比10.3%減)となりました。
合板事業国産針葉樹合板は、原木・接着剤の仕入コストや物流コストが上昇するなか、合板需給の著しい逼迫と先高感により、第2四半期までは販売価格の大幅な上昇が続きました。その後は、住宅着工の減少や中国産針葉樹合板の輸入急増により需給の逼迫は徐々に緩和し、6月以降販売価格は概ね横ばいに転じましたが、第4四半期には国内出荷量の減少により国内のメーカー在庫が増加傾向に転じたため、適正在庫水準と販売価格維持のため生産調整を開始いたしました。輸入南洋材合板は、インドネシアやマレーシアにおける原木・人員不足により生産量が低迷し、産地価格が上昇いたしました。それに伴い、仕入コストは急激な円安もあり大幅な上昇が続き、販売量は前年同期に比べ大幅に減少いたしました。こうしたなか、第2四半期までは国内の販売価格も上昇いたしましたが、第3四半期以降は、国内需要の低迷や港頭在庫の増加により先高感が解消したことから、販売価格は概ね横ばいとなり、採算性が期末にかけて低下いたしました。この結果、合板事業の売上高は35,681百万円(前期比48.1%増)、セグメント利益は9,204百万円(前期比263.0%増)となりました。
② キャッシュ・フローの状況当連結会計年度末における連結ベースの現金及び現金同等物は、前連結会計年度末に比べ1,246百万円増加し、21,471百万円となりました。 当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況とその要因は次のとおりであります。営業活動によるキャッシュ・フローは、税金等調整前当期純利益10,162百万円となり、減価償却費の計上による2,026百万円の増加や、持分法投資利益の計上による409百万円の減少、売上債権の増加による3,665百万円の減少、棚卸資産の増加による5,417百万円の減少、仕入債務の減少による3,729百万円の増加、未払消費税等の減少による328百万円の増加、法人税等の納付による1,540百万円の減少などの要因から、5,847百万円の収入(前期は6,869百万円の収入)となりました。投資活動によるキャッシュ・フローは、設備投資などの有形固定資産の取得による2,348百万円の減少などの要因から、2,493百万円の支出(前期は1,174百万円の支出)となりました。 また、財務活動によるキャッシュ・フローは、長期借入金の返済による1,050百万円の減少、リース債務返済による314百万円の減少、配当金の支払額806百万円などの要因から、2,097百万円の支出(前期は1,957百万円の支出)となりました。
③ 生産、受注及び販売の実績
a.生産実績当連結会計年度における生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
生産高(百万円)
前期比(%)
住宅建材事業
26,450
121.8
合板事業
14,589
124.2
合計
41,040
122.6
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2 金額は、製品製造原価によっております。
b.受注実績当社グループの生産は主に見込生産を行っているため、記載を省略しています。
c.販売実績当連結会計年度における販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
販売高(百万円)
前期比(%)
住宅建材事業
45,330
120.0
合板事業
35,681
148.1
合計
81,012
125.4
(注) 1 セグメント間取引については、相殺消去しております。2 主な相手先別の販売実績及びそれぞれ総販売実績に対する割合は、次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
当連結会計年度
販売高(百万円)
割合(%)
販売高(百万円)
割合(%)
SMB建材㈱
31,857
49.3
37,929
46.8
伊藤忠建材㈱
6,985
10.8
8,726
10.8
(2) 経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末現在において判断したものであります。
① 重要な会計方針の見積り及び当該見積りに用いた仮定連結財務諸表の作成にあたって用いた会計上の見積り及び仮定のうち、重要なものは「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項 (重要な会計上の見積り)」に記載しております。また、会計上の見積り及び当該見積りに用いた仮定における新型コロナウイルスの感染による影響につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(追加情報)」に記載しております。
② 当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容当連結会計年度(2021年12月~2022年11月)における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に関する行動制限が段階的に緩和され、社会経済活動の正常化が徐々に進みましたが、資材価格や電力料の高騰、海上物流の混乱、さらにはロシアによるウクライナ侵攻の長期化や急激な円安なども加わり、先行きは極めて不透明な状況で推移いたしました。住宅業界におきましては、2021年秋の住宅ローン減税契約期限到来に伴う駆け込み需要に支えられ、期初の住宅需要は概ね堅調でしたが、資材価格高騰に伴う住宅価格上昇や物価高による消費マインド低下の影響から、持家の新設住宅着工戸数が前期比1割減と大幅に減少するなど、住宅需要は一部で弱含みとなりました。また、2021年春から続く木材の供給不足や価格高騰(ウッドショック)については、世界の木材需給緩和により輸入木材の価格が弱基調となるなど、需給逼迫のピークは過ぎ、国内在庫の増加や荷動きの低下が目立つようになりました。このような事業環境において当社グループは、引き続き原材料の確保や製品の安定供給に努め、コストダウンや生産性向上に取り組むとともに、原材料等の急激なコストアップへの対応として建材製品の販売価格改定を行い収益の確保に努めました。合板製品については、原材料コストや輸入コストが上昇するなか、需給逼迫による先高感から国内相場は大幅に上昇いたしましたが、2022年6月以降は横ばいに転じました。また、建材製品のシェア確保や国産材(間伐材、未利用材等)の活用を推進するとともに、ビジョン2030「木の心地よさを住まいから様々な空間へ」の実現に向け、非住宅分野やリフォーム・リノベーション分野の市場開拓にも積極的に取り組みました。これらの結果、当連結会計年度の売上高は81,012百万円となり、前連結会計年度に比べ16,425百万円の増加となりました。営業利益は9,797百万円となり、前連結会計年度に比べ5,968百万円の増加となりました。また、経常利益は前連結会計年度に比べ海外関連会社の持分法による投資利益の増加等により10,332百万円となり、前連結会計年度に比べ6,089百万円の増加となりました。これにより当連結会計年度の売上高経常利益率は12.8%となり、前連結会計年度に比べ6.2%の増加となりました。なお、親会社株主に帰属する当期純利益は、6,056百万円となり前連結会計年度に比べると3,521百万円の増加となりました。
③ 当連結会計年度の財政状態の分析当連結会計年度の財政状態につきましては、「第2 事業の状況、3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、(1) 経営成績等の状況の概要」に記載のとおりであります。
④ 資本の財源と資金の流動性についての分析当連結会計年度のキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況、3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析、② キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。また、当社グループの資金需要は、主に製品製造のための原材料・副資材の調達や製造経費、販売費及び一般管理費等の営業費用の支払いにより生じる運転資金と、生産設備の新設及び更新による設備投資資金であります。なお、当社グループの事業活動を円滑に行うため、営業キャッシュ・フローのほか、安定的な財源確保のため金融機関からの借入金及び社債により資金調達を実施しております。当社グループの当連結会計年度末の借入金及び社債の残高は7,070百万円でありますが、営業活動によるキャッシュ・フローや現金及び現金同等物の残高を考慮すると、将来必要とされる運転資金及び設備投資資金、有利子負債の返済に対し、当面十分な流動性を確保しております。
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