【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績
当第3四半期連結累計期間(2022年12月1日~2023年8月31日)における我が国経済は、経済活動のコロナ禍からの正常化が進み、雇用・所得環境が改善するなかで、各種政策の効果もあって、回復の兆しを見せ始めている一方、原材料価格やエネルギーコストの高騰、長期的な円安傾向が加わり、物価上昇が止まらないなど、先行き不透明な状況となっております。
このような状況のもと、当社グループでは、2030年11月期に向けた中長期ビジョン及び2025年11月期に向けた中期経営計画を推進し、更なる成長と企業価値の向上を目指す事業の運営を行ってまいりました。
当第3四半期連結累計期間では、第2四半期に引き続き、スペラネクサス株式会社(ファインケミカル事業)において医薬品原料の販売や新薬メーカー向け新規案件が好調であったこと、イワキ株式会社(HBC・食品事業)において機能性食品等の原料需要増に加え、新規受注の獲得により販売が好調だったこと、また岩城製薬株式会社(医薬事業)において新製品の市場シェアが拡大したことなどにより売上高が伸長いたしました。他方、医薬事業の医療用医薬品部門においては、資源価格・人件費・エネルギーコストの高騰の影響を即時に販売価格に転嫁できない医療用医薬品市場特有の事業環境の影響を受けるなどしておりますが、連結収益の回復は進んでおります。
以上により、当第3四半期連結累計期間の売上高は406億7千4百万円(前年同期比10.1%増)、営業利益は6億8千5百万円(同60.8%増)、経常利益は7億9千万円(同52.9%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は2億9百万円(同65.4%減)となりました。
次にセグメントの概況につきご報告申し上げます。
ファインケミカル事業
医薬品原料部門のスペラネクサス株式会社では、商社機能においてジェネリック医薬品向けの原料や新薬メーカー向け中間体の販売製造機能では稼働開始した高薬理活性原薬製造設備の更なる受託案件の獲得に、それぞれ注力いたしました。その結果、ジェネリック医薬品の新規開発品目への原料販売や新薬メーカー向け新規案件が前年を上回ったことにより、売上高は好調に推移いたしました。
CDMO部門のスペラファーマ株式会社では、第2四半期に引き続き、大手新薬メーカーやベンチャー企業への営業活動の強化、受託案件の利益率向上を推進したほか、治験薬製造オペレーションの更なる効率化と専門的研究人材の人員増による受託キャパシティの拡大を行ってまいりました。また、JITSUBO株式会社では、海外のグローバルメガファーマなどを含むペプチド・核酸領域に存在感を持つ医薬品メーカーに対する中分子医薬品の開発支援サービスの営業活動に注力いたしました。その結果、CDMO部門全体では新規受注の一層の獲得を果たし、売上高は伸長を続け今後の収益性の向上が期待できる環境が整ってまいりました。
以上により、当事業全体の売上高は118億4千7百万円(前年同期比6.8%増)、営業利益は6千3百万円(同62.6%減)となりました。
HBC・食品事業
イワキ株式会社の食品原料部門では、消費者の健康意識の高まりによる機能性食品の需要増に加え、自社品の販売強化、企画機能・提案力を活かした既存顧客の取引拡大や新規受注の獲得により、売上は堅調に推移いたしました。また、加工食品・機能性食品の原料検索システムである「i-Platto(アイプラット)」の提供を開始し、多様化する顧客ニーズに迅速かつ的確に対応する機能を強化いたしました。化粧品原料部門におきましては、国内の化粧品需要は回復基調にあるものの、アジア市場の回復の遅れにより売上は低調に推移いたしました。
ファルマネット部門におきましては、一般用医薬品等の卸売事業の撤退を進める途上で、政府の新型コロナウィルス感染症に対する水際対策解除に伴うインバウンド需要の回復により、売上・利益とも当初計画を上回って推移いたしました。
化粧品通販部門のアプロス株式会社におきましては、定期会員数減少等の影響により、売上が低調に推移いたしました。しかしながら、一部媒体での新規獲得は伸長しており、今後の収益改善が見込まれます。また、マルマンH&B株式会社では、自社企画の健康食品やシートマスク「ピュレア」及び輸入化粧品の販売が堅調に推移いたしました。12月にグループ会社となった株式会社アインズラボでは、主要顧客の集まる東京地区での営業を強化した結果、受注が前年を上回り堅調に推移いたしました。
以上により、当事業全体の売上高は126億5千1百万円(前年同期比21.1%増)、営業利益は1億9千1百万円(前年同期は9千1百万円の営業損失)となりました。
医薬事業
医療用医薬品部門では、岩城製薬株式会社が昨年12月に新製品として販売を開始した抗真菌薬であるルリコナゾール軟膏・クリームが引き続き市場シェアを拡大し好調に推移いたしました。また、同業他社の一部製品が販売中止になったことによる代替需要の発生から、ゲンタマイシン軟膏やピコスルファートナトリウム内用液などが伸長いたしました。また、7月1日に帝人ファーマ株式会社より製造販売承認の承継を受けたボンアルファ・ボンアルファハイも想定を上回る売上となり、好調な滑り出しとなっております。他方、原材料価格やエネルギーコストの高騰は継続しており、医療用医薬品の薬価制度では原価上昇分を即時に価格転嫁し得ないため、収益性は低下いたしました。
岩城製薬佐倉工場株式会社では、既存製造受託品の販売が計画を上回って好調に推移いたしました。引き続き製造受託品の安定供給に注力するとともに、小集団活動などを通した製品品質及びオペレーション効率の継続的改善に取り組んでおります。また、同社では高活性注射剤製造棟の改修を行い、今秋に稼働開始し得る体制の確保に向け準備を進めております。このほか、固形製剤の製造受託キャパシティの拡大に向けた設備投資を進めております。
美容医療部門におきましては、岩城製薬株式会社が新製品のクレンジングクリーミージェルを8月から発売を開始し、好評を得ております。
以上により、当事業全体の売上高は98億4千5百万円(前年同期比10.2%増)、営業利益は4億8千8百万円(同25.6%増)となりました。
化学品事業
メルテックス株式会社の表面処理薬品部門では、主力の半導体電極形成用薬品、微細配線形成用薬品、受動部品向けめっき薬品の販売促進に注力いたしました。プリント基板、電子部品関連市場が世界的な需給の不均衡により低迷する中、微細配線形成用薬品、受動部品向けめっき薬品の販売が低調に推移いたしました。しかしながら長年活動してきたスマートフォン向けのコネクター用薬品の日本企業への採用が決まり、2023年7月より量産を開始しております。今後市場が回復するに伴い販売が大きく伸長することが期待できます。また今期は、原材料価格やエネルギーコストの上昇分の価格転嫁を進め、人件費も含めた製造原価・販売費及び一般管理費の見直しの取り組みに努め、損益分岐点売上高を大きく引き下げることに成功いたしました。今後、市場の回復に伴い、表面処理薬品の需要が増加することで、従前よりも高い収益性を実現することが期待されます。表面処理設備部門におきましては、東京化工機株式会社における工場拡張に伴う受注キャパシティ及び受注件数増加により、業績は好調に推移いたしました。
以上により、当事業全体の売上高は63億2千3百万円(前年同期比2.1%減)、営業損失は4千8百万円(前年同期は1億3千万円の営業損失)となりました。
その他事業
アステナミネルヴァ株式会社では引き続き、石川県奥能登地域における社会課題解決を目的とした新規事業を企画運営するとともに、複数の事業有限責任組合を通じて投資した企業と協調して事業を推進しております。新規事業の企画を行うアステナミネルヴァ株式会社を中心とし、地域資源を生かした商品の販売を行うAMトレーディング株式会社、人材事業を発起点として石川県内企業との連携を進めるイシカワズカン株式会社、大学と連携し循環型農業・畜産業を推進する株式会社PIXTURE(非連結子会社)、投資を通して当事業を加速させる奥能登SDGs投資事業有限責任組合、TUAT1号投資事業有限責任組合と、当社グループの新規事業を進める体制づくりを進めております。
アステナミネルヴァ株式会社が行うふるさと納税事業の現地決済型ふるさと納税サービス「ふるさとNOW」では、目標を上回る自治体との契約・導入が決定しており、今後の収益化を進めております。AMトレーディング株式会社では、能登の地域資源を活用した通販サイト「Noto regionale+」をオープンし、当社が珠洲市で栽培している中国原産のハーブである「国産ラフマ茶」を中心に、ヘルスケア商品の販売を開始いたしました。また珠洲市が石川県で初めて認定を受けた「みどりの食料 システム戦略」を推進するオーガニックビレッジ構想の枠組みのもと、有機米・特別栽培米の販路づくりを進めております。
投資事業として奥能登SDGs投資事業有限責任組合から2件の投資を行い、投資先は13銘柄となりました。またTUAT1号投資事業有限責任組合からは1号案件の投資を行いました。
以上により、当事業全体の売上高は6百万円(前年同期比376.0%増)、営業損失は7千7百万円(前年同期は2千8百万円の営業損失)となりました。
② 財政状態
当第3四半期連結会計期間末の財政状態につきましては、総資産671億4千4百万円(前連結会計年度末比35億9千2百万円増)、負債合計399億1千5百万円(同34億3千2百万円増)、純資産は272億2千9百万円(同1億6千万円増)となりました。
総資産の増加の主な理由は、現金及び預金の減少7億2千1百万円、仕掛品の増加5億9千8百万円、建設仮勘定の増加22億5千9百万円、投資有価証券の増加7億5千9百万円等によるものです。負債合計の増加の主な理由は、短期借入金の増加39億8千7百万円、未払費用の減少8億2千1百万円、未払法人税等の減少6億5千7百万円等によるものです。純資産の増加の主な理由は、利益剰余金の減少5億2千2百万円、その他有価証券評価差額金の増加5億7千5百万円、為替換算調整勘定の増加5千7百万円、非支配株主持分の増加5千4百万円等によるものです。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第3四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動
当第3四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費総額は6億5千6百万円であります。
なお、当第3四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。