【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績
当第2四半期連結累計期間(2022年12月1日~2023年5月31日)におけるわが国経済は、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響により一部に弱さが見られるものの、新型コロナウイルス感染症に関する水際対策の解除や各種政策の効果もあり、緩やかに持ち直しております。
このような状況のもと、当社グループでは、2030年11月期に向けた中長期ビジョン及び2025年11月期に向けた中期経営計画を推進し、更なる成長と企業価値の向上を目指す事業運営を行いました。
当第2四半期連結累計期間では、ファインケミカル事業において医薬品原料の販売や新薬向け新規案件が好調であったこと、HBC・食品事業において化粧品・健康食品等の原料需要の拡大やインバウンド需要の回復により販売が好調だったこと、また医薬事業において新製品の市場シェアが拡大したことなどにより売上高が伸長いたしました。他方、資源価格・人件費・エネルギーコストの高騰の影響を、即時に販売価格に転嫁できない医療用医薬品市場特有の事業環境の影響を受け、連結業績の回復には至りませんでした。
以上により、当第2四半期連結累計期間の売上高は268億5千7百万円(前年同期比7.7%増)、営業利益は2億8百万円(同71.1%減)、経常利益は2億8千3百万円(同66.0%減)、親会社株主に帰属する四半期純損失は2億2千7百万円(前年同期は9億3千2百万円の親会社株主に帰属する四半期純利益)となりました。
次に、セグメントの概況につきご報告申し上げます。
ファインケミカル事業
医薬品原料部門における商社機能では、ジェネリック医薬品向けの原料や新薬向け中間体の販売に、製造機能では受託案件の獲得に、それぞれ注力いたしました。その結果、ジェネリック医薬品の新規開発品目への原料販売や新薬メーカー向け新規案件が前年を上回ったことにより、売上高は好調に推移いたしました。
CDMO部門においては、第1四半期に引き続き、大手製薬企業やベンチャー企業への営業活動の強化及び新規顧客開拓や既存顧客との関係強化を推進するなどにより新規受注の一層の獲得を果たしたほか、治験薬製造オペレーションの更なる効率化と専門的研究人材の人員増による受託キャパシティの拡大を行いました。また、海外のグローバルメガファーマなどを含むペプチド・核酸領域に存在感を持つ医薬品メーカーに対する中分子医薬品の開発支援サービスの営業活動に注力いたしました。その結果、受注金額は前年同期から伸長し、売上高は再成長を始めるなど、今後の収益性が期待できる事業環境が整ってまいりました。
以上により、当事業全体の売上高は72億5千4百万円(前年同期比3.7%減)、営業損失は8千3百万円(前年同期は4億7千3百万円の営業利益)となりました。
HBC・食品事業
食品原料部門においては、消費者の健康意識の高まりによる機能性食品の需要増に加え、自社品の販売強化、企画機能・提案力を活かした既存顧客の取引拡大や新規受注の獲得により、売上高は好調に推移いたしました。
化粧品原料部門においては、国内の化粧品需要が回復基調にあり、アジア市場も今後の回復が見込まれることから、今後の更なる成長のために新規案件や重要案件の獲得に向けた活動を行いました。
ファルマネット部門においては、昨年12月に発表した通り、一般用医薬品等の卸売事業の事業撤退を進める途上にありますが、新型コロナウイルス感染症に関する政府の水際対策の解除によるインバウンド需要の回復により、売上・利益ともに当初計画を上回って推移いたしました。
化粧品通販部門においては、新規顧客獲得が伸長した一方、定期会員数が緩やかに減少したため、売上高は低調に推移いたしました。また、マルマンH&B株式会社では、シートマスク「ピュレア」、自社企画の健康食品、輸入化粧品などの販売が好調に推移いたしました。昨年12月にグループ会社となった株式会社アインズラボでは、主要顧客の集まる東京地区での営業を強化した結果、前年を上回る受注を獲得するなど、好調に推移いたしました。
以上により、当事業全体の売上高は88億1千2百万円(前年同期比22.4%増)、営業利益は7千8百万円(前年同期は6千5百万円の営業損失)となりました。
医薬事業
医療用医薬品部門においては、昨年12月に新製品として販売を開始した抗真菌薬であるルリコナゾール軟膏・クリームが当初計画を上回って市場シェアを拡大し好調に推移するとともに、ゲンタマイシンやピコスルファートナトリウムほか、主力製品の販売が伸長いたしました。ルリコナゾールについては更なるシェア拡大に向けて拡販活動を進めており、今後も収益の拡大が期待されます。他方、医療用医薬品は原材料やエネルギーコストなどの上昇分を即時に価格転嫁することができないため、収益性は低下いたしました。
岩城製薬佐倉工場株式会社においては、既存製造受託品の販売が計画を上回って好調に推移するなか、引き続き製造受託品の安定供給に注力するとともに、小集団活動などを通した製品品質及びオペレーション効率の継続的改善に着手いたしました。また、同社では高活性注射剤製造棟の改修により今秋の稼働開始に向け準備を進めているほか、固形製剤の製造受託キャパシティの拡大に向けた設備投資が行われております。
美容医療分野においては、新規顧客の獲得により、前年を上回る売上高となりました。
以上により、当事業全体の売上高は63億8千3百万円(前年同期比8.5%増)、営業利益は3億2千5百万円(前年同期比7.7%減)となりました。
化学品事業
表面処理薬品部門においては、主力の半導体電極形成用薬品、微細配線形成用薬品、受動部品向けめっき薬品の販売促進に注力いたしました。プリント基板、電子部品関連市場が世界的な需給の不均衡により低迷する中、微細配線形成用薬品、受動部品向けめっき薬品の販売が低調に推移いたしました。他方、原材料・エネルギーコストの上昇分の価格転嫁を進め、人件費も含めた製造原価・販売費及び一般管理費の見直しの取り組みに努め、損益分岐点売上高を大きく引き下げることに成功いたしました。今後、市場の回復に伴って、表面処理薬品の需要が回復するに伴い、従前よりも高い収益性を実現することが期待されます。
表面処理設備部門においては、東京化工機株式会社における工場拡張に伴う受注キャパシティ及び受注件数増加により、業績は好調に推移いたしました。
以上により、当事業全体の売上高は44億3百万円(前年同期比2.0%増)、営業損失は8千1百万円(前年同期は3千8百万円の営業損失)となりました。
その他事業
その他事業では、石川県奥能登地域における社会課題解決を目的とした新規事業を企画運営するとともに、奥能登SDGs投資事業有限責任組合、TUAT1号投資事業有限責任組合を通じて投資した企業と協調して事業を推進しております。新規事業の企画を行うアステナミネルヴァ株式会社を中心とし、地域資源を生かした商品の販売を行うAMトレーディング株式会社、人材事業を発起点として石川県内企業との連携を進めるイシカワズカン株式会社、大学と連携し循環型農業・畜産業を推進する株式会社PIXTURE(非連結子会社)、投資事業としてアステナミネルヴァ株式会社の事業を加速させる奥能登SDGs投資事業有限責任組合、TUAT1号投資事業有限責任組合と、当社グループの新規事業を進める体制づくりを進めております。
また、当社の本社所在地の1つである石川県珠洲市は、石川県で初めて、農林水産省が策定した「みどりの食料システム戦略」を推進するオーガニックビレッジ構想の認定を受け、AMトレーディング株式会社が協議会の一員として有機農業の産地づくりと販路形成の役割を担っております。今後も当事業をはじめとして、自治体との協創を通じた事業の拡大を進めてまいります。
以上により、当事業全体の売上高は3百万円(前年同期比354.9%増)、営業損失は4千8百万円(前年同期は1千8百万円の営業損失)となりました。
② 財政状態
当第2四半期連結会計期間末の財政状態につきましては、総資産648億2千8百万円(前連結会計年度末比12億7千7百万円増)、負債合計382億1百万円(同17億1千8百万円増)、純資産は266億2千7百万円(同4億4千1百万円減)となりました。
総資産の増加の主な理由は、現金及び預金の減少14億9千7百万円、電子記録債権の増加7億5千4百万円、建設仮勘定の増加22億5千9百万円等によるものです。負債合計の増加の主な理由は、支払手形及び買掛金の増加4億2千1百万円、電子記録債務の増加5億7千1百万円、短期借入金の増加8億7千7百万円等によるものです。純資産の減少の主な理由は、利益剰余金の減少5億9千8百万円、その他有価証券評価差額金の増加9千8百万円等によるものです。
(2) キャッシュ・フローの状況
当第2四半期連結累計期間における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、営業活動によるキャッシュ・フローは増加、投資活動によるキャッシュ・フローは減少、財務活動によるキャッシュ・フローは増加、これに現金及び現金同等物に係る換算差額等を加えた全体で14億9千8百万円の減少となり、当第2四半期連結会計期間末における資金残高は53億5百万円となりました。当第2四半期連結累計期間における各キャッシュ・フローの状況とそれらの要因は次のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間において営業活動により増加した資金は8億3百万円(前年同四半期比5億2千5百万円減)となりました。これは、主に、税金等調整前四半期純利益6千8百万円、減価償却費10億8千1百万円、棚卸資産の増加額5億4千万円、仕入債務の増加額7億8千1百万円、法人税等の支払額8億7千1百万円等によるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における投資活動により減少した資金は29億5千万円(前年同四半期比29億2千7百万円減)となりました。これは、主に、有形固定資産の取得による支出27億9千5百万円等によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
当第2四半期連結累計期間における財務活動により増加した資金は6億3千9百万円(前年同四半期比25億4千万円増)となりました。これは、主に、短期借入金の増加5億9千7百万円、長期借入れによる収入10億円、長期借入金の返済による支出5億7千3百万円、配当金の支払額3億5千9百万円等によるものであります。
(3) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第2四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(4) 研究開発活動
当第2四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費総額は4億1千2百万円であります。
なお、当第2四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。