【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
文中の将来に関する事項は、当四半期連結会計期間の末日現在において判断したものであります。
(1) 財政状態及び経営成績の状況
① 経営成績
当第1四半期連結累計期間(2022年12月1日~2023年2月28日)におけるわが国経済は、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響により一部に弱さが見られるものの、各種政策の効果もあり、緩やかに持ち直しております。
このような状況のもと、当社グループでは2030年11月期に向けた中長期ビジョン及び2025年11月期までの中期経営計画を推進し、更なる成長と企業価値の向上を目指した施策を実行しました。
当第1四半期連結累計期間では、ファインケミカル事業において医薬品原料の販売が好調だったこと、また医薬事業において新製品の市場シェアが拡大したことなどにより売上高は増加しましたが、新型コロナウイルス感染症による負の影響や、世界の情勢不安に起因する資源高、エネルギーコストの高騰の影響などに加え、一部の事業会社において前連結会計年度に発生した経営改善の取り組み遅延の影響が残り、連結収益の回復には至りませんでした。
以上により、当第1四半期連結累計期間の売上高は127億8千5百万円(前年同期比4.1%増)、営業損失は9千2百万円(前年同期は6億3千万円の営業利益)、経常損失は6千3百万円(同6億5千9百万円の経常利益)、親会社株主に帰属する四半期純損失は2億6百万円(同4億4千9百万円の親会社株主に帰属する四半期純利益)となりました。
次にセグメントの概況につき、ご報告申し上げます。なお、セグメント別の売上及び収支にはグループ間取引等を含みます。
ファインケミカル事業
医薬品原料部門における商社機能ではジェネリック医薬品向けの新規原料や新薬向け中間体の販売に注力し、製造機能では新規受託案件の獲得に注力しました。その結果、売上高は好調に推移いたしました。
CDMO部門においては、前連結会計年度で発生した経営改善の取り組み遅延を取り戻すべく、大手製薬企業への営業活動の強化、顧客向けウェビナーの実施など、新規顧客開発や既存顧客との関係強化を推進し、中分子医薬品の開発支援サービスの営業活動に注力すると共に、外部委託業務の内製化や種々のコスト削減による限界利益の向上に務めました。その結果、当連結会計年度における受託案件は受注数・受注額ともに伸長し、損益分岐点売上の水準は従前よりも大きく下がりましたが、受託案件の納期が比較的長いものが多いことから進行基準による売上回復は緩やかとなり、従前の収益性を回復させるまでには至りませんでした。
以上により、当事業全体の売上高は36億4千5百万円(前年同期比3.1%減)、営業損失は5千6百万円(前年同期は5億2千万円の営業利益)となりました。
HBC・食品事業
化粧品及び食品原料部門においては、既存顧客に対して自社品の企画・提案を推進し、その成功事例をもとに新規顧客の獲得に注力いたしました。関連会社のマルマンH&B株式会社においては、自社企画の健康食品やシートマスク、取り扱い輸入化粧品の販売が好調となりました。
ファルマネット部門においては、一般用医薬品等の卸売部門の事業撤退を進める一方、化粧品輸入代行等の事業を営む株式会社アインズラボの全株式を取得するなど、部門収益性を高めるための構造改革を行いました。
その結果、HBC・食品事業を構成する全ての部門において前年同期比で増収となり、営業収支は前連結会計年度に比べ改善いたしました。
以上により、当事業全体の売上高は42億1千8百万円(前年同期比18.8%増)、営業損失は4千万円(前年同期は9千5百万円の営業損失)となりました。
医薬事業
医療用医薬品部門においては、ルリコナゾール軟膏・クリームの発売にあたり、提携先との協業や営業DXを活用した販売促進を行った結果、当初目標としていた市場シェアの獲得に至りました。一方、原材料や用役費などの高騰の影響により、収益性は低下いたしました。関連会社の岩城製薬佐倉工場株式会社は引き続き受託品の安定供給に注力しており、既存受託品は堅調に推移いたしました。また、同社では高活性注射棟の改修を行っており、今秋の稼働に向け準備を進めております。
美容医療部門においては、美容施術関連の新製品等の販売促進を強化した結果、売上高は好調に推移いたしました。
以上により、当事業全体の売上高は29億6百万円(前年同期比5.8%増)、営業利益は7千2百万円(前年同期比53.2%減)となりました。
化学品事業
表面処理薬品部門においては、主力の半導体電極形成用薬品、微細配線形成用薬品、受動部品向けめっき薬品の販売促進に注力いたしましたが、対象市場の低迷、原材料や用役費などの高騰の影響により、低調な業績となりました。
表面処理設備部門においては、納期短縮に向けた業務の効率化と知識向上、および品質保全に注力し、より高い技術・製品を提供できる施策を推進いたしました。また、原価低減の取り組みも進めた結果、業績は堅調に推移いたしました。
以上により、当事業全体の売上高は20億1千3百万円(前年同期比9.6%減)、営業損失は1億4百万円(前年同期は4千万円の営業利益)となりました。
その他事業
新規事業においては、当連結会計年度からサービスを開始した「イシカワズカン」(人材事業)、前連結会計年度に実証実験を行い当連結会計年度から本格的に事業をスタートした「ふるさとNOW」(ふるさと納税事業)など、新たな事業創出に向けた活動を継続しています。
以上により、当事業全体の売上高は1百万円、営業損失は2千3百万円(前年同期は9百万円の営業損失)となりました。
② 財政状態
当第1四半期連結会計期間末の財政状態につきましては、総資産635億8千8百万円(前連結会計年度末比3千6百万円増)、負債合計370億8千3百万円(同6億円増)、純資産265億5百万円(同5億6千3百万円減)となりました。
総資産の増加の主な理由は、電子記録債権の増加3億7千2百万円、原材料及び貯蔵品の増加4億5千4百万円、受取手形、売掛金及び契約資産の減少9億3百万円によるものです。負債合計の増加の主な理由は、支払手形及び買掛金の増加8億3千5百万円、短期借入金の増加5億8千万円、未払費用の減少4億9千2百万円、未払法人税等の減少7億5千8百万円、長期借入金の増加4億5千6百万円によるものです。純資産の減少の主な理由は、利益剰余金の減少5億7千7百万円によるものです。
(2) 優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題
当第1四半期連結累計期間において、当社グループが優先的に対処すべき事業上及び財務上の課題について重要な変更はありません。
(3) 研究開発活動
当第1四半期連結累計期間におけるグループ全体の研究開発費総額は1億8千7百万円であります。
なお、当第1四半期連結累計期間において、当社グループの研究開発活動の状況に重要な変更はありません。