【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループ(当社及び連結子会社)の財政状態、経営成績およびキャッシュ・フロー(以下、「経営成績等」という。)の状況の概要は次の通りであります。
①経営成績の状況
当連結会計年度における我が国経済は、新型コロナウイルス感染症に対する行動制限の緩和等により、緩やかに持ち直してきました。
景気の先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直していくことが期待されます。しかしながら、ウクライナ情勢の長期化や急激な為替変動の影響が懸念され、世界的な金融引き締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっており、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要があります。
国内農業では、農業従事者の高年齢化や後継者不足、耕作面積の減少や耕作放棄地の増加など依然として厳しい状況にあります。このような状況下において政府は、SDGsや環境への対応を重視する国内外の動きが加速していく中で、食料・農林水産業の生産力向上と持続性の両立をイノベーションで実現させるため、中長期的な観点から戦略的に取り組む政策方針として2021年5月に「みどりの食料システム戦略」を策定し、取り組みを推進しております。一方、海外では、世界的な人口の増加や新興国経済の成長による農作物需要の拡大基調が今後も続くと予想されます。
ファインケミカル業界では、半導体のFA(Factory automation)機器やデータセンター向けなどの需要拡大、自動車向けの供給逼迫の継続など、フォトレジスト分野等を中心に、国内外において堅調な動向にあります。一方足元では、インフレの進行と個人消費などの動向が懸念されますが、中長期的には、自動車のエレクトロニクス化や新たな情報通信技術の進展等による需要拡大が期待されます。
繊維業界では、中国でのゼロコロナ政策に伴う主要都市のロックダウンにより、世界的に生産拠点の再構築・再整備を迫る結果となりました。一方、環境負荷の軽減については、環境対応型繊維素材の開発等、国内外で環境対応への取り組みは大きく進展しました。この結果、バリューアップやコストダウンへの取り組みの違いから企業業績の回復は斑模様となり、先行き不透明な状況が今後も続くものと予想されます。
このような状況のもと、当社グループにおきましては、「収益構造改革」、「造り方改革」、「働き方改革」の三つの改革を柱とした5ヵ年経営計画「HOKKO Value Up Plan 2030 1st Stage for Creation」(2021年11月期~2025年11月期)の経営目標達成に向けて、新製品の普及や新規受託品の受注活動に注力しております。また、企業理念に基づき「SDGsへの取り組み方針」を定め、その達成を目指しております。
当連結会計年度における当社グループの売上高は、農薬事業並びにファインケミカル事業における販売が好調に推移し、加えて為替が円安に進行したことから、44,864百万円、前連結会計年度比4,577百万円(11.4%)の増収となりました。
利益面では、コロナ禍からの営業活動正常化に伴う経費や燃料価格上昇に伴う運賃・倉敷料等の増加が見られたものの、特にファインケミカル事業において売上高の増加に加え、原材料高騰等の原価上昇に対して販売価格の改定に努めたことにより、営業利益は、4,727百万円、前連結会計年度比1,862百万円(65.0%)の増加となりました。また、経常利益は、円安進行に伴う為替差益の計上等により、5,905百万円、前連結会計年度比2,061百万円(53.6%)の増加となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、4,214百万円、前連結会計年度比1,287百万円(44.0%)の増加となりました。
事業別の状況は以下のとおりです。
〔農薬事業〕
農薬事業の売上高は、国内販売における園芸剤の受注増、海外販売におけるアジア向け並びに中南米向けの需要が堅調だったことから、24,661百万円、前連結会計年度比540百万円(2.2%)の増収となりました。営業利益は、売上高の増加により、70百万円となりました。
〔ファインケミカル事業〕
ファインケミカル事業の売上高は、樹脂分野や電子材料分野の販売が好調に推移したことから、18,618百万円、前連結会計年度比3,959百万円(27.0%)の増収となりました。営業利益は、売上高の増加に加え、原材料高騰等の原価上昇に対して販売価格改定に努めたことにより、4,621百万円、前連結会計年度比1,577百万円(51.8%)の増加となりました。
〔繊維資材事業〕
繊維資材事業の売上高は、生産面や物流面の停滞の影響はあったものの、ヨーロッパのハイブランド向け売上を拡大したことから、1,570百万円、前連結会計年度比81百万円(5.5%)の増収となりました。営業利益は、売上高の増加に加え、原材料価格や諸コストの上昇に適切に対応したことにより、40百万円、前連結会計年度比2百万円(4.9%)の増加となりました。
②財政状態の状況
当連結会計年度末における資産の残高は57,566百万円となり、前連結会計年度比5,579百万円の増加となりました。内訳として、商品及び製品、建物及び構築物、機械装置及び運搬具、投資有価証券が増加しております。
負債の残高は19,325百万円となり、前連結会計年度比1,558百万円の増加となりました。内訳として、未払金、未払法人税等、繰延税金負債が増加した一方、支払手形及び買掛金、短期借入金が減少しております。
純資産の残高は38,240百万円となり、前連結会計年度比4,021百万円の増加となりました。
以上の結果、自己資本比率は66.4%となり、前連結会計年度の65.8%から0.6ポイント増加しました。
③キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、法人税等の支払、有形固定資産の取得による支出等の要因により一部相殺されたものの、税金等調整前当期純利益5,792百万円等の増加により、前連結会計年度末に比べ493百万円増加し、当連結会計年度末は4,814百万円となりました。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動による資金の増加は、3,869百万円となりました。これは主に、棚卸資産の増加1,166百万円はありましたが、税金等調整前当期純利益5,792百万円、減価償却費1,374百万円を計上したことによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動による資金の減少は、2,809百万円となりました。これは主に、有形固定資産の取得2,724百万円によるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動による資金の減少は、691百万円となりました。これは主に、短期借入金の返済149百万円、配当金の支払542百万円によるものであります。
④生産、受注及び販売の実績
1)生産実績
当連結会計年度の生産実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2021年12月1日
至 2022年11月30日)
(百万円)
前年同期比(%)
農薬事業
14,409
103.6
ファインケミカル事業
9,779
114.8
合計
24,188
107.8
(注)1.金額は、製品製造原価で表示しております。
2.繊維資材事業及びその他につきましては、生産実績がないため記載を省略しております。
2)商品仕入実績
当連結会計年度の商品仕入実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2021年12月1日
至 2022年11月30日)
(百万円)
前年同期比(%)
農薬事業
5,427
107.7
ファインケミカル事業
2,952
242.8
繊維資材事業
1,389
105.8
その他
9
84.2
合計
9,777
129.0
(注)金額は、実際仕入額で表示しております。
3)受注実績
当社グループは、受注生産の規模は小さいため、受注実績は記載しておりません。
4)販売実績
当連結会計年度の販売実績をセグメントごとに示すと、次のとおりであります。
セグメントの名称
当連結会計年度
(自 2021年12月1日
至 2022年11月30日)
(百万円)
前年同期比(%)
農薬事業
24,661
102.2
ファインケミカル事業
18,618
127.0
繊維資材事業
1,570
105.5
その他
15
80.2
合計
44,864
111.4
(注)最近2連結会計年度の主な相手先別の販売実績および当該販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2020年12月1日
至 2021年11月30日)
当連結会計年度
(自 2021年12月1日
至 2022年11月30日)
金額
(百万円)
割合(%)
金額
(百万円)
割合(%)
全国農業協同組合連合会
17,869
44.4
17,388
38.8
信越化学工業株式会社
5,501
13.7
6,457
14.4
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容は次のとおりであります。なお、文中の将来に関する事項は、当連結会計年度末において判断したものであります。
①当連結会計年度の経営成績等の状況に関する認識及び分析・検討内容
当連結会計年度における当社グループの売上高は、農薬事業並びにファインケミカル事業における販売が好調に推移し、加えて為替が円安に進行したことから、44,864百万円、前連結会計年度比4,577百万円(11.4%)の増収となりました。
利益面では、コロナ禍からの営業活動正常化に伴う経費や燃料価格上昇に伴う運賃・倉敷料等の増加が見られたものの、特にファインケミカル事業において売上高の増加に加え、原材料高騰等の原価上昇に対して販売価格の改定に努めたことにより、営業利益は、4,727百万円、前連結会計年度比1,862百万円(65.0%)の増加となりました。また、経常利益は、円安進行に伴う為替差益の計上等により、5,905百万円、前連結会計年度比2,061百万円(53.6%)の増加となりました。この結果、親会社株主に帰属する当期純利益は、4,214百万円、前連結会計年度比1,287百万円(44.0%)の増加となりました。
事業別の状況は以下のとおりです。
〔農薬事業〕
農薬製品の国内販売は主に園芸剤の受注増により増加しました。また、農薬製品の海外販売はアジア向け並びに中南米向けの販売が好調に推移し増加しました。これにより、農薬事業における輸出割合は14.9%に上昇しております。(前連結会計年度の輸出割合は11.3%)
この結果、本セグメントの売上高は24,661百万円となり前連結会計年度比540百万円(2.2%)の増収となりました。営業利益は、売上高の増加により70百万円となりました。
〔ファインケミカル事業〕
ファインケミカル製品の売上高は樹脂分野および電子材料分野の販売が好調に推移したことから増加となりました。この結果、本セグメントの売上高は18,618百万円となり前連結会計年度比3,959百万円(27.0%)の増収となりました。営業利益は、原材料高騰等の原価上昇に対し販売価格の改定に努めたことにより4,621百万円となり、前連結会計年度比1,577百万円(51.8%)の増加となりました。営業利益率も24.8%と前連結会計年度比4.1%向上しております。
<ファインケミカル製品の主な用途>
〇医農薬分野
・医薬、農薬原料および中間体
〇電子材料分野
・半導体封止剤用の硬化促進剤(CPU、メモリー 等)
・フォトレジスト用のモノマー原料
(KrF約70%、ArF約10%、EUV約10%)
・有機EL 等
〇樹脂分野
・石化用触媒(主にTPP)
・その他樹脂用料(塗料、コーティング剤 等)
〇その他
・食品飼料(TPP:ビタミンA、ベータカロチン用途 等)、
化粧品、エネルギー 等
〔繊維資材事業〕
繊維資材の売上高は、消費回復の遅れ等の影響もあるなかで、ヨーロッパのハイブランド向け販売を拡大したことから、増加となりました。この結果、本セグメントの売上高は、1,570百万円となり前連結会計年度比81百万円(5.5%)の増収となりました。営業利益は、原材料価格上昇等にも適切に対応したことから40百万円となり、前連結会計年度比2百万円(4.9%)の増加となりました。
②当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因
当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因としては、原材料調達や価格の動向、市場
動向、為替動向、国内外の法令及び政治・経済動向等があります。
資材調達につきましては、調達ルートの多様化、調達方法の高度化を推進しております。
市場動向、顧客ニーズの変化につきましては以下のとおりです。
農薬事業においては、国内生産者の高齢化による耕作地減少や新興国を中心とした購買力増大
による海外市場拡大等を踏まえ、付加価値の高い製品開発とラインナップの強化、グローバル化
に対応した新原体の創製に取り組んでまいります。
ファインケミカル事業においては、顧客要求の高度化・多様化やファブレス化の進展に伴う受
託機会の増加傾向等を踏まえ、コア技術のさらなる進化と独自製品の開発、アライアンス等によ
る新規ビジネス創出に取り組んでまいります。
国内外の法令や政治・経済動向等につきましては、企画部を中心に、情報を入手するととも
に、海外子会社及び関係会社と連携・情報共有を図ることで対応を行っております。
なお、当社グループの経営成績及び財政状態に重要な影響を与える主要なリスクにつきまして
は、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりです。
③財政状態の状況
財政状態の状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ②財政状態の状況」に記載のとおりであります。
④キャッシュ・フローの状況
キャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 ③キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
⑤資本の財源及び資金の流動性
当社グループの資金需要のうち主なものは、新剤開発・登録等にかかる研究開発費や生産設備の増強及び生産効率化に係る設備投資であり、これらは主に自己資金並びに金融機関からの借入金により調達しております。また、当連結会計年度末における現金及び現金同等物の残高は4,814百万円であり、資金の流動性を確保しております。
⑥重要な会計方針及び見積り
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められる会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表作成にあたって、必要と思われる見積りは合理的な基準に基づいて実施しております。詳細につきましては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(連結財務諸表作成のための基本となる重要な事項) 4.会計方針に関する事項」に記載のとおりであります。
⑦経営方針・経営戦略、経営上の目標の達成状況を判断するための客観的な指標等
当社グループでは、売上高、経常利益、売上高経常利益率、ROE、自己資本比率を重要な経
営指標と認識し、目標を設定しています。
当該数値目標については「第2 事業の状況 1 経営方針、経営環境及び対処すべき課題等 (2)経営計画〔中期経営計画 「HOKKO Value Up Plan 2030 1st Stage for Creation」〕 ②経営目標」に記載のとおりです。
当連結会計年度の売上高は44,864百万円、経常利益は5,905百万円、売上高経常利益率は
13.2%、ROEは11.6%、自己資本比率は66.4%となりました。
