【経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析】
(1)経営成績等の状況の概要
当連結会計年度における当社グループの財政状態、経営成績及びキャッシュ・フロー(以下「経営成績等」という。)の状況の概要は次のとおりであります。
①財政状態及び経営成績の状況
当連結会計年度における国内経済は、新型コロナウイルス感染症の再拡大が不安視されつつも、ウィズコロナ下での行動制限の緩和など、経済活動の回復に向けた動きが見られました。一方で、ロシア・ウクライナ情勢や、輸入コストの増加など先行き不安な状況が続きました。
食品業界におきましては、家庭内における光熱費の上昇、ガソリン価格等が高止まりの中、原材料価格の高騰による各種食品の値上げが進んだこともあり、消費者の節約志向は一段と強まりました。
このような状況のなか、当社グループは2022年度からの中期経営計画に基づき、「フルーツのアヲハタ」実現へ向けて、取り組みを進めてまいりました。
この結果、当連結会計年度の財政状態及び経営成績は以下のとおりとなりました。
(イ)財政状態
当連結会計年度末の総資産は、前連結会計年度末に比べ90百万円減少し176億85百万円となりました。資産の増減の主な要因は、商標権の減少2億11百万円、機械装置及び運搬具の減少1億99百万円、現金及び預金の減少1億94百万円、建物及び構築物の減少1億16百万円、原材料及び貯蔵品の増加7億77百万円などであります。
負債合計は、前連結会計年度末に比べ2億53百万円減少し45億84百万円となりました。負債の増減の主な要因は、長期借入金の減少2億85百万円、支払手形及び買掛金の減少1億64百万円、流動負債のその他の減少1億円、退職給付に係る負債の減少73百万円、短期借入金の増加5億円などであります。
純資産合計は、前連結会計年度末に比べ1億63百万円増加し131億円となりました。純資産の増加の主な要因は、利益剰余金の増加66百万円、為替換算調整勘定の増加62百万円などであります。
(ロ)経営成績
売上につきましては、家庭用の新商品投入など需要喚起策を進めてまいりましたが、内食需要の反動のなか、原材料高騰による2度の価格改定が売上に繋がらず、売上高は195億32百万円(前年同期比3.2%減)となりました。
利益につきましては、引き続き生産性向上の取り組みや、販売費及び一般管理費の抑制に努めましたが、売上の減少と想定を超える原材料高騰により、営業利益は3億46百万円(前年同期比61.6%減)、経常利益は4億48百万円(前年同期比53.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益は、フルーツ加工品類の生産設備等の減損損失を計上した影響により、2億31百万円(前年同期比59.5%減)となりました。
当社グループは、食品事業の単一セグメントでありますが、製品等の区分別の営業概況は、次のとおりであります。
(家庭用)
家庭用につきましては、「アヲハタ・55」シリーズ、「アヲハタ・まるごと果実」シリーズ及び「ヴェルデ・トーストスプレッド」シリーズ等において、2022年2月に9年ぶりとなる価格改定を実施しました。その後、更なる原材料高騰やエネルギーコストなどの上昇を受け、2022年11月に2回目となる価格改定を実施しました。「アヲハタ・SpoonFree」シリーズをはじめとする新商品を発売するなど、食シーンの拡大や需要喚起策を進めましたが、ジャム・スプレッド類トータルでの売上の伸長に繋がりませんでした。一方、CVSにて展開しております1食食べ切りタイプの冷凍フルーツ加工品類等は伸長しましたが、家庭用全体としては減収となりました。
この結果、家庭用の売上高は115億98百万円(前年同期比2.7%減)となりました。
(産業用)
産業用につきましては、大手外食向けフルーツ加工品の新規受注が堅調に推移しましたが、乳業メーカー向けについては新たな売上の獲得に繋がりませんでした。また行動制限の緩和に伴い、お土産品などの需要にやや回復がみられたものの、産業用全体としては減収となりました。
この結果、産業用の売上高は49億47百万円(前年同期比2.6%減)となりました。
(生産受託他)
生産受託他につきましては、介護食「キユーピー・やさしい献立」シリーズなどの家庭内食向け商品は伸長しました。一方、外食・ホテル向けなどの業務用商品については回復が遅れており、加えて生産品目の選択と集中を進めていることもあり、減収となりました。
この結果、生産受託他の売上高は29億86百万円(前年同期比6.3%減)となりました。
②キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度末における現金及び現金同等物(以下「資金」という。)は、前連結会計年度末に比べ1億94百万円減少し、7億38百万円となりました。
当連結会計年度における各キャッシュ・フローの状況は以下のとおりであります。
(営業活動によるキャッシュ・フロー)
営業活動の結果支出した資金は、14百万円(前年度は17億97百万円の収入)となりました。主な要因は、減価償却費9億44百万円、税金等調整前当期純利益3億94百万円、為替差益80百万円、棚卸資産の増加額6億96百万円、売上債権の増加額88百万円、仕入債務の減少額1億73百万円、その他の流動負債の減少額1億62百万円、法人税等の支払額1億81百万円などによるものであります。
(投資活動によるキャッシュ・フロー)
投資活動の結果支出した資金は、2億71百万円(前年度は3億82百万円の支出)となりました。主な要因は、有形固定資産の取得による支出2億72百万円などによるものであります。
(財務活動によるキャッシュ・フロー)
財務活動の結果得られた資金は、49百万円(前年度は14億44百万円の支出)となりました。主な要因は、短期借入金の純増による収入5億円、長期借入金の返済による支出2億85百万円、配当金の支払額1億64百万円などによるものであります。
③生産、受注及び販売の実績
(イ)生産実績
当社グループは、食品事業の単一セグメントでありますが、当連結会計年度の生産実績を製品等の区分ごとに示すと、次のとおりであります。
区分
当連結会計年度
(自 2021年12月1日
至 2022年11月30日)
前年同期比(%)
家庭用(千円)
10,731,227
96.2
産業用(千円)
3,269,283
95.2
生産受託他(千円)
2,950,696
96.0
合計(千円)
16,951,208
96.0
(注)金額は販売価格によっております。
(ロ)受注実績
当社グループは受注生産をおこなっておりませんので、該当事項はありません。
(ハ)販売実績
当社グループは、食品事業の単一セグメントでありますが、当連結会計年度の販売実績を製品等の区分ごとに示すと、次のとおりであります。
区分
当連結会計年度
(自 2021年12月1日
至 2022年11月30日)
前年同期比(%)
家庭用(千円)
11,598,546
97.3
産業用(千円)
4,947,276
97.4
生産受託他(千円)
2,986,490
93.7
合計(千円)
19,532,312
96.8
(注)主な相手先別の販売実績および当該販売実績の総販売実績に対する割合は次のとおりであります。
相手先
前連結会計年度
(自 2020年12月1日
至 2021年11月30日)
当連結会計年度
(自 2021年12月1日
至 2022年11月30日)
金額(千円)
割合(%)
金額(千円)
割合(%)
加藤産業株式会社
4,611,642
22.8
4,772,885
24.4
三菱食品株式会社
3,305,040
16.4
2,743,390
14.0
キユーピー株式会社
2,564,090
12.7
2,487,868
12.7
(2)経営者の視点による経営成績等の状況に関する分析・検討内容
経営者の視点による当社グループの経営成績等の状況に関する認識および分析・検討内容は以下のとおりであります。
なお、文中における将来に関する事項は、当連結会計年度末(2022年11月30日)現在において当社グループが判断したものです。
①財政状態および経営成績の状況に関する認識および分析・検討内容
当社グループの連結会計年度の経営成績及び財政状態は、以下のとおりであります。
(イ)財政状態および経営成績の分析
財政状態および経営成績の分析につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ①財政状態及び経営成績の状況」をご参照下さい。
(ロ)当社グループの経営成績に重要な影響を与える要因について
経営成績に重要な影響を与える要因につきましては、「第2 事業の状況 2 事業等のリスク」に記載のとおりであります。
②キャッシュ・フローの状況の分析・検討内容並びに資本の財源および資金の流動性に係る情報
(イ)キャッシュ・フローの状況
当連結会計年度におけるキャッシュ・フローの状況につきましては、「第2 事業の状況 3 経営者による財政状態、経営成績及びキャッシュ・フローの状況の分析 (1)経営成績等の状況の概要 ②キャッシュ・フローの状況」に記載のとおりであります。
なお、キャッシュ・フロー指標のトレンドは、以下のとおりであります。
2018年11月期
2019年11月期
2020年11月期
2021年11月期
2022年11月期
自己資本比率(%)
71.1
61.5
66.5
72.8
74.1
時価ベースの自己資本比率(%)
126.0
102.3
104.0
109.7
114.0
キャッシュ・フロー対有利子負債比率(%)
115.1
665.1
154.2
91.4
–
インタレスト・カバレッジ・レシオ(倍)
301.9
47.3
146.6
231.1
–
(注)自己資本比率:自己資本/総資産
時価ベースの自己資本比率:株式時価総額/総資産
キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債/営業キャッシュ・フロー
インタレスト・カバレッジ・レシオ:営業キャッシュ・フロー/利払い
1.各指標は、いずれも連結ベースの財務数値により計算しております。
2.株式時価総額は、期末株価終値×期末発行済株式数(自己株式控除後)により算出しております。
3.営業キャッシュ・フローは、連結キャッシュ・フロー計算書の営業活動によるキャッシュ・フローを使用しております。有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。また、利払いについては、連結キャッシュ・フロー計算書の利息の支払額を使用しております。
4.2022年度11月期のキャッシュ・フロー対有利子負債比率およびインタレスト・カバレッジ・レシオについては、営業キャッシュ・フローがマイナスのため記載しておりません。
(ロ)資本の財源及び資金の流動性に係る情報
当社グループは、運転資金および設備投資資金などの資金需要につきましては、自己資金において賄っております。また、当社グループでは、グループ内の資金の一元化と低コストで安定的な資金調達を目的として、「アヲハタグループ・キャッシュ・マネジメント・システム」を導入しております。
③重要な会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定
当社グループの連結財務諸表は、わが国において一般に公正妥当と認められている会計基準に基づき作成されております。この連結財務諸表の作成に当たって用いた会計上の見積りおよび当該見積りに用いた仮定のうち、重要なものについては、「第5 経理の状況 1 連結財務諸表等 (1)連結財務諸表 注記事項(重要な会計上の見積り)」に記載のとおりであります。
新型コロナウイルス感染症による当社グループへの影響は、収束時期の見通しが不透明な状況であり、事業によってその影響や程度が異なるものの、提出日現在においては、当期末の見積りに大きな影響を与えるものではないと想定しております。
なお、今後の新型コロナウイルス感染症の広がりにともなう経済活動への影響等には不確定要素も多いため、想定に変化が生じた場合、当社グループの財政状態、経営成績に影響を及ぼす可能性があります。